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第2章、破滅に向かう世界。
第12話、城塞都市、最後の攻防
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「拙者の前に立つ者は斬る!!」
一瞬にして切り裂かれるモンスター達をコウが、その剣技で次々とモンスターを倒していく。
「『サンダーストーム!!』」
そしてリリアとハクヨウは巨大な竜巻を作り、その竜巻によって多くのモンスターが竜巻に飲まれ風と雷で次々と切り刻まれ塵に変わっていった。
『グルアアア!!』(吹き飛べ!!)
レツガは「土魔法」を体に纏い、その巨体をいかして体当たりでモンスターを次々に撥ね飛ばしている。
『グェ!?』
『ヘブ!?』
『アヘェ!?』
『アギャ!?』
レツガに撥ね飛ばされたモンスター達は短い悲鳴をあげながら、空の星へと変わっていった。
防衛する1800人に対して、モンスター達は6000~7000体、数の上では圧倒的な差があったのだが、コウ達「森林の伊吹」のメンバーの力もあり、互角以上の戦いが続けられていた。
「絶対に負けないんだから!!」
『マスターが守った町を今度は僕たちが守るんだ!!』
「『やぁ~!!』」
次々に放たれる魔法、リリアとハクヨウの相乗効果もあって、倍以上の威力がある魔法が、まさに蹂躙が如くモンスター達を炎で焼き尽くし、風で切り刻み、氷で凍てつかせ、土で押し潰していく。
それに刺激を受けた冒険者達や守備隊も士気が上り何倍もの戦力を押し返す。
時間が経ち太陽が沈むと共にモンスター達はリーダーとなる悪魔もいない状態で撤退していった。
何とか一日目を凌ぎきり、明日の戦いも押し切れると勝利に酔いしれながら見張りを残しつつ眠りについた。
次の日、前日の勝利でテンションが高いまま守備隊や冒険者達が防壁へと集まる。
最早、誰もが勝利を確信しモンスター迎え撃つ雰囲気は明るい。
だが、その空気が一変し戦況が大きく動く事になる。
『ドゥルルルル!!』
『ゴガァアアア!!』
二日目に入った攻防は、トロールや下位のドラゴンが前線に投入され、その圧倒的な戦闘力は並みの冒険者や守備隊を文字通り押し潰していく。
「「「ギャアァァ!!」」」
「熱い~!俺の体が焼けていく!!」
「誰か~!助けて……ゴフッ」
トロールの持つ巨大な丸太で叩き潰される者や下位のドラゴンのブレスで焼かれる者が物言わぬ肉片になっていく。
中位から下位の冒険者が多数を締めていたが、今まで下位のモンスターが攻めていた為、何とか持ちこたえていた。
だが、巨体を持つモンスターやドラゴン種の登場で、下位や中位の冒険者や守備隊では堪えきれずに防壁の間際まで押し込まれる事になる。
その日は、戦力の半分を失う事になりながらも、【森林の伊吹】の活躍で、何とかモンスターを退けたが、戦線を維持するのは最早限界だった。
人数が足りないのは勿論、朝までの高いテンションが一気に下降している。
その落差は、心を折るのに十分な程に大きかった。
◇
ギルドマスターは、戦える者達を集めると話し出した。
「明日は今まで以上に厳しい戦いになるだろう……」
周りを見ると誰もが俯いている。
「だが俺達は負ける訳にはいかない!」
ギルドマスターは、辺りを見回しながら声を張り話し続ける。
「何故ならば、俺達がウエストレイドを守る最後の希望だからだ!」
ギルドマスターの言葉を聞き、俯いていた冒険者や守備隊の男達は顔を上げ何も言わず、耳を傾ける。
「ウエストレイドの出身では無い者も居るだろう……自分の命がおしい者も居るだろう……そして、この場所から逃げ出したい者も居る事だろう!」
ギルドマスターは右手で握り拳を作り、それを胸の前に持って来ると目を閉じて大きく息を吸った。
「だが俺は!ここから逃げ出す様な者は誰一人としていないと確信している!
何故ならば、ここに居る者達は町を守れる力を持つ者だと知っているからだ!
何度も強敵を倒して来た勇者達だからだ!
そして勇者とは特別な能力を持つ者ではなく、その内に秘める勇気の心を力として立ち塞がる敵を倒し弱き者を守る!
そんな存在なんだと!それがここにいる者達なのだと俺は信じている!」
そんなギルドマスターの言葉を聞き、皆の目に力が戻ってくる。
「明日は必ず奴等を片っ端から倒して、ウエストレイドの町を絶対に守るぞ!」
「「「「「オオー!!」」」」」
夜空に輝く星々にも届きそうな皆の声が、一斉に響き渡っていた。
◇
~マサムネside~
「ハァハァハァハァ」
ディザスターカイザースネークの食料を確保する為に、半日以上に渡り森を激走し続けた俺は、20体にも及ぶS~SSクラスのモンスターを巨大な蛇の前に積み重ねていく。
「どうだ師匠!これだけ有れば文句は無いだろ!」
地面に大の字で寝るマサムネは、唯一動く口を動かし声を出す。
『何をこれだけを捕まえるだけで死にそうになっているんじゃ?情けないのぉ~?』
「グギギギギ……(このクソジジイが!)」
口を返す元気は無いし、下手に口を返すと別メニューを増やされるので、さすがにヘトヘトな俺はもう動きたく無いので、黙って歯軋りする。
「皆、どうしてるのかなぁ~?」
夜空を見上げ森の木々の隙間から除く星を眺め呟く。
それからすぐに疲れのせいで襲って来る睡魔に抗うことが出来ずに俺は、そのまま意識を手放したのだった。
◇
~再びウエストレイドside~
「明日は守れ切れるんですかね?」
リリアが焚き火の炎を見つめながらゴチる。
「リリア殿……」
ハクヨウは晩飯を食べた後、直ぐにレツガと共に寝息を立てていた。
「マサムネ殿が命をかけて守った町、何としても守っていかないとマサムネ殿に顔向けが出来なくなるでゴザル。明日は何がなんでも勝つでゴザルよ」
「そう……ですよね……」
その後、二人は言葉を交わす事無く、ただ炎を見つめ、しだいに睡魔に襲われるとそれぞれのテントに戻り就寝したのだった。
◇
朝、目を覚ますと誰しもが朝食をとった後に武器を握り締め防壁へと集まる。
まだモンスターは現れては居なかったが、これから始まる恐らく最後になるだろう戦いをの事を考えているのか、その場にいた誰しもが、一言も話す事無くモンスターが来るであろう防壁の向こうを見つめていた。
こうして、ウエストレイドを魔王軍から守る最後の戦いが刻一刻と迫っていくのだった。
一瞬にして切り裂かれるモンスター達をコウが、その剣技で次々とモンスターを倒していく。
「『サンダーストーム!!』」
そしてリリアとハクヨウは巨大な竜巻を作り、その竜巻によって多くのモンスターが竜巻に飲まれ風と雷で次々と切り刻まれ塵に変わっていった。
『グルアアア!!』(吹き飛べ!!)
レツガは「土魔法」を体に纏い、その巨体をいかして体当たりでモンスターを次々に撥ね飛ばしている。
『グェ!?』
『ヘブ!?』
『アヘェ!?』
『アギャ!?』
レツガに撥ね飛ばされたモンスター達は短い悲鳴をあげながら、空の星へと変わっていった。
防衛する1800人に対して、モンスター達は6000~7000体、数の上では圧倒的な差があったのだが、コウ達「森林の伊吹」のメンバーの力もあり、互角以上の戦いが続けられていた。
「絶対に負けないんだから!!」
『マスターが守った町を今度は僕たちが守るんだ!!』
「『やぁ~!!』」
次々に放たれる魔法、リリアとハクヨウの相乗効果もあって、倍以上の威力がある魔法が、まさに蹂躙が如くモンスター達を炎で焼き尽くし、風で切り刻み、氷で凍てつかせ、土で押し潰していく。
それに刺激を受けた冒険者達や守備隊も士気が上り何倍もの戦力を押し返す。
時間が経ち太陽が沈むと共にモンスター達はリーダーとなる悪魔もいない状態で撤退していった。
何とか一日目を凌ぎきり、明日の戦いも押し切れると勝利に酔いしれながら見張りを残しつつ眠りについた。
次の日、前日の勝利でテンションが高いまま守備隊や冒険者達が防壁へと集まる。
最早、誰もが勝利を確信しモンスター迎え撃つ雰囲気は明るい。
だが、その空気が一変し戦況が大きく動く事になる。
『ドゥルルルル!!』
『ゴガァアアア!!』
二日目に入った攻防は、トロールや下位のドラゴンが前線に投入され、その圧倒的な戦闘力は並みの冒険者や守備隊を文字通り押し潰していく。
「「「ギャアァァ!!」」」
「熱い~!俺の体が焼けていく!!」
「誰か~!助けて……ゴフッ」
トロールの持つ巨大な丸太で叩き潰される者や下位のドラゴンのブレスで焼かれる者が物言わぬ肉片になっていく。
中位から下位の冒険者が多数を締めていたが、今まで下位のモンスターが攻めていた為、何とか持ちこたえていた。
だが、巨体を持つモンスターやドラゴン種の登場で、下位や中位の冒険者や守備隊では堪えきれずに防壁の間際まで押し込まれる事になる。
その日は、戦力の半分を失う事になりながらも、【森林の伊吹】の活躍で、何とかモンスターを退けたが、戦線を維持するのは最早限界だった。
人数が足りないのは勿論、朝までの高いテンションが一気に下降している。
その落差は、心を折るのに十分な程に大きかった。
◇
ギルドマスターは、戦える者達を集めると話し出した。
「明日は今まで以上に厳しい戦いになるだろう……」
周りを見ると誰もが俯いている。
「だが俺達は負ける訳にはいかない!」
ギルドマスターは、辺りを見回しながら声を張り話し続ける。
「何故ならば、俺達がウエストレイドを守る最後の希望だからだ!」
ギルドマスターの言葉を聞き、俯いていた冒険者や守備隊の男達は顔を上げ何も言わず、耳を傾ける。
「ウエストレイドの出身では無い者も居るだろう……自分の命がおしい者も居るだろう……そして、この場所から逃げ出したい者も居る事だろう!」
ギルドマスターは右手で握り拳を作り、それを胸の前に持って来ると目を閉じて大きく息を吸った。
「だが俺は!ここから逃げ出す様な者は誰一人としていないと確信している!
何故ならば、ここに居る者達は町を守れる力を持つ者だと知っているからだ!
何度も強敵を倒して来た勇者達だからだ!
そして勇者とは特別な能力を持つ者ではなく、その内に秘める勇気の心を力として立ち塞がる敵を倒し弱き者を守る!
そんな存在なんだと!それがここにいる者達なのだと俺は信じている!」
そんなギルドマスターの言葉を聞き、皆の目に力が戻ってくる。
「明日は必ず奴等を片っ端から倒して、ウエストレイドの町を絶対に守るぞ!」
「「「「「オオー!!」」」」」
夜空に輝く星々にも届きそうな皆の声が、一斉に響き渡っていた。
◇
~マサムネside~
「ハァハァハァハァ」
ディザスターカイザースネークの食料を確保する為に、半日以上に渡り森を激走し続けた俺は、20体にも及ぶS~SSクラスのモンスターを巨大な蛇の前に積み重ねていく。
「どうだ師匠!これだけ有れば文句は無いだろ!」
地面に大の字で寝るマサムネは、唯一動く口を動かし声を出す。
『何をこれだけを捕まえるだけで死にそうになっているんじゃ?情けないのぉ~?』
「グギギギギ……(このクソジジイが!)」
口を返す元気は無いし、下手に口を返すと別メニューを増やされるので、さすがにヘトヘトな俺はもう動きたく無いので、黙って歯軋りする。
「皆、どうしてるのかなぁ~?」
夜空を見上げ森の木々の隙間から除く星を眺め呟く。
それからすぐに疲れのせいで襲って来る睡魔に抗うことが出来ずに俺は、そのまま意識を手放したのだった。
◇
~再びウエストレイドside~
「明日は守れ切れるんですかね?」
リリアが焚き火の炎を見つめながらゴチる。
「リリア殿……」
ハクヨウは晩飯を食べた後、直ぐにレツガと共に寝息を立てていた。
「マサムネ殿が命をかけて守った町、何としても守っていかないとマサムネ殿に顔向けが出来なくなるでゴザル。明日は何がなんでも勝つでゴザルよ」
「そう……ですよね……」
その後、二人は言葉を交わす事無く、ただ炎を見つめ、しだいに睡魔に襲われるとそれぞれのテントに戻り就寝したのだった。
◇
朝、目を覚ますと誰しもが朝食をとった後に武器を握り締め防壁へと集まる。
まだモンスターは現れては居なかったが、これから始まる恐らく最後になるだろう戦いをの事を考えているのか、その場にいた誰しもが、一言も話す事無くモンスターが来るであろう防壁の向こうを見つめていた。
こうして、ウエストレイドを魔王軍から守る最後の戦いが刻一刻と迫っていくのだった。
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