LAST TORTURE 〜魔界の拷問吏と捕虜勇者〜

3333(トリささみ)

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拷問8日目 〜夜時間〜

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(あ~…暇だ。)

魔王から借りた自室。
リーモンは手慰みのように魔界道具のスイッチを押す。

『…すぅ。』

案の定ルタは疲れ切って熟睡している。

(っかぁ~…まあ仕方ねえ、俺のせいだ。
あそこ行くか。)

リーモンは酒場へと赴いた。

「……」

客にはカウンターで黙ってちびちびと酒を飲む男がひとり。

「マスター、あの兄ちゃんにコイツを。」

リーモンはその男に麦芽酒を奢る。

「ん?ああ、ありがとう。」
「どうしたんだ?そんな暗い顔して。」
「ああ…」

男は遠くを見るような目で宙を見上げる。

「…実は…私のボスだった幹部のヒュルリーが…勇者に殺されてしまったんだ。」

リーモンは思わず席を立ち上がった。

「……悪い。続けてくれ。」
「君も知ってるだろう。
炎のメラメーラ、水のアクアスフィード、風のヒュルリー、雷のピシャーン、土のアース。
この魔界では魔王陛下の次に強いと言われているほど強大な5大幹部。」
「ああ。」
「土のアースがあの伝説の勇者の息子に殺されたのが最初だったが…
炎のメラメーラと雷のピシャーン、そして風のヒュルリーを殺したのはどうやら同一の人物で、あの男の兄らしいんだ。」

やはりか。リーモンはひとりかぶりを振る。

「それでアンタはアクアスフィードんところに移されたってワケか。」
「いや、幹部の候補としてやっていくよう仰せつかった。
ヒュルリーのアジトまで受け継いで。」
「おお。すげえな。思わぬ出世じゃねえか。」
「ああ。だが何も嬉しくはない。」

男はちびちびと飲んでいた酒を呷り、空にする。

「魔界は今ピンチだ。
あの勇者は今後近いうちにアクアスフィードを倒し、そして陛下の首を狙うだろう。
私はそのときまでに、幹部として問題なく活動できるようになっている自信がない。」
「……」
「陛下が対策として遁術魔法を使えるしもべたちを呼び出し、この魔王城を丸々隠すことで安寧は保たれたが…それもいつまで持つかわからない。
しもべたちの魔力が切れるのが先か、奴がここ魔王城を見つけるのが先か。」

リーモンは注文した麦芽酒を一気に飲み干し、ジョッキを勢いよくカウンターに叩きつけた。

「うおっ。」
「俺に任せろ。
俺はいま陛下の御命令であの伝説の勇者の息子を拷問している。
俺がアイツを説き伏せて、骨抜きにして、奴の居所を白状させる。
そうすれば死んだ幹部たちは元に戻せないが、少なくとも魔界には元の平穏が戻る筈だ。」
「……」

男は目を丸くして呆けたようにリーモンを見つめる。

「それじゃあな。マスター、お勘定。」
「有難う御座いました。」

リーモンは改めた決意を胸に、帰路に就いた。
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