上 下
6 / 179

6話 次の選択

しおりを挟む

「精霊界へようこそ、ロズウェルさま。」

「あっ!あら!ジョルジュ⁉︎あなたジョルジュでしょう⁇違う?」

「あたり、でございますよ。

今回はお珍しい、すぐに記憶が戻られたのですね。

いかがでしたか、ロズウェルとしての人生は。

とは申しましても、この結果ですからお察しは致しますが…」

「それもそうなんだけど、

精霊にもどると私は基本的にリズティアの意識に支配されるのが不思議なのよ。

どうしてかしら。」

「ああ、それでしたら、

ティアとして1番回数を重ねておいでですから、

その記憶が強くなり続けているせいでございましょうね。

その状態が基本となって、他の経験値が重なっていくのだと考えられます。

まぁ精霊界の全てを知るにはそれなりの位になるまではわからないので、

私では正確にお答えできず申し訳ないのですが。

例えば私も長くこの私を続けておりますので、

変わらずジョルジュという存在を保っていることが何よりの証明かと。」

「なるほど。」

「それで、ご感想はお聞かせ願えますか?」

「そう…ね。

私お兄様にずっと嫉妬して生きてきたけど、

お兄様の気持ちをやっと知ることができて、

私、お兄様に今までなんてことしてたんだろうって…本当につらかった。

ロズウェルとしてもリズティアとしても、

どちらにしても、どうしてこんなことになってしまうのかしら。

お兄様があんなに愛してくださっていたなんて。

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいよ。」

「…どうやら、すでにあなた様は次にどうしたいか、もうお決まりのようですね。」

「そうね、これで全てがわかるのかしら。

こわい気もするけれど、1番知る必要があると思うの…

…お願いできる?

あっ、今回も記憶は残さずに行かせて欲しいの。」

「承知致しました。ではどうぞお気をつけて。幸せな人生をお祈り致しております。」

そう言うと同時に、またすうっとどこかに引き寄せられる感覚がきて、

徐々に白い光が薄くなっていく。

「また今回も思いは届きませんでしたね。

でもきっとそろそろでしょうから、次に期待致しましょう…ね?」

またジョルジュが何か言っているが、

消えゆく中では海の底から外の音を聞くような感覚なので、

結局聞き取れずに消えてしまった。

私に言いたいことがあるなら、消え始める前に言ってくれればいいのに。

毎回気になるんだから、ギリギリで何か言うの本当にやめてよね。

次におぼえてたら、絶対に言ってやるんだから!
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:51,254pt お気に入り:6,937

最愛の人がいるのでさようなら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:64,176pt お気に入り:650

踏み出した一歩の行方

BL / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:66

獣人の恋人とイチャついた翌朝の話

BL / 完結 24h.ポイント:1,611pt お気に入り:32

今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:32,448pt お気に入り:3,450

言ってはいけない言葉だったと理解するには遅すぎた。

BL / 完結 24h.ポイント:1,065pt お気に入り:460

幼馴染の企み

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,334pt お気に入り:34

【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,618pt お気に入り:4,697

処理中です...