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52話 難しい選択
しおりを挟む「どうするかと申しますとですね…」
と、ジョルジュは続ける。
「ティア様が、ティアの器に再び降りた際に、
そばでサポートできる人間の器に、リンド様が入って、直接幸せに寿命を真っ当できるお手伝いをすれば良いのですよ」
「そんなことできないだろ。
冥界から出すために最上級精霊になっちまったら、
器に入ることができなくなるじゃないか。
それくらい勉強不足の俺でも知ってるよ。
ただそばを漂うくらいしかできなくなるだろ?」
「通常は確かにそうです。
だからそこで、極秘プランなのですよ。
私、実は一度だけなら最上級精霊を器に降ろすことができる方法を知っているのです。
ただ、力不足で申し訳ないのですが、特別な方法ですから入ってすぐはこちらでの記憶を一緒に持っていくことがでないのが難点なんですよね」
「はぁ?せっかく降りてもそれだとティアのこともわからないし、ティアを助けられないじゃないか?なんの意味があるんだよ!」
「ええ、そうなんですが。
でもですね、記憶が戻る方法はございまして…
ティア様を目にすることさえできれば、記憶が戻るのです。
出会うことさえできれば問題ないのですよ。
ただ先程も申し上げましたように、一度きりのチャンスですので、一か八か…ということにはなりますね。
どうされますか?
一応簡単に確認しますと、順番としましては、
最上級精霊になるための修行を積む。
最上級精霊になれたら冥界からティア様を出す。
あなた様のことはずっと忘れられてしまう。
ティア様がティアの器に再び入ると同時に、リンド様も器に入る
偶然の出会いを待つ
もし出会えたら、全部思い出せるので、そこからはティア様を幸せにし、ティアの周回を終わらせる
以上の流れになりますね。
あっ、出会えなかったら…リンド様は普通にお亡くなりになって精霊界へ戻り、2度とティア様をそばで助けられる機会は巡ってこない、というパターンもお忘れなく。」
「…なんだよ、それ…無理ゲーだろ。絶対無理ゲーだろ、それ!そんな無茶苦茶な…」
「別に無理強いなど致しませんよ?こういう方法があるとお伝えしたまでです。落ち着いてゆっくり考えられたらいかがですが。」
「…くっ…落ち着いてなんていられるか!ティアは今も冥界で苦しんでるんだ!
早く、早く出してやらないと!
…わかったよ。
それしかないなら…やるよ。
修行だろうが、俺のこと忘れられようが、一か八かの賭けだろうが…なんだってやって、絶対…絶対にティアを幸せにしてやる‼︎」
「ふふっ、リンドさんならそう言うと思ってましたよ。
では、まずは最上級精霊になるための修行からですね。
これは色々な器を経験して位を上げていく他ありません。
できるだけ平凡でない器であれば、早く経験値を稼げるとは思いますが…
早く上げられそうな器を見繕って、私がご案内致しましょう。」
「頼む!ジョルジュ‼︎すぐいけるか?」
「ええ、そうですね。では、リンド様の案内人のお仕事は、私の方で引き継ぎをしておきましょう」
「助かる!恩に着るよ!ジョルジュ!」
「ふふ、いいんですよ。では、さっそく行ってらっしゃいませ。」
と言うと、リンドの薄い虹色の光がすうっと消えた。
画して、リンドの長い長い修行の日々が始まった。
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