102 / 179
102話 望みをかけて
しおりを挟むリンドは全部、全部ティアに聞かせた。
ドラゴンの最大化した姿で追いかけてきたこと。
多くの民を驚かせたこと。
ティアを奪還するため、ドラゴンの姿で戦ったこと。
フェリスと対峙したこと。
人でないリンドからフェリスを守るために、第一皇女が出てきて、全てが収まったこと。
…そして、ここからはリンド自身の話、なぜ最上級精霊が人間の器に入れて、今ここでこうしているのか…
本当はもともと精霊界でティアの案内人をしていたこと。
リンドはその時からティアが好きだったこと。
ティアが冥界に落ちて、助けたくて、最上級精霊になったこと。
そのために何千年もティアを冥界で待たせてしまったこと。
冥界から出たら、冥界にいたこともリンドのこともティアの記憶から消されたこと。
そして、次に冥界に入ったら、もう二度と助けられないから、ループするティアの自死を阻止し、リンド自身がティアを幸せにするため、
案内人仲間だったジョルジュの、秘密の方法とやらで、人間の器に入れてもらえたこと。
でも、ティアに出会えるまでは記憶は消されていたこと。
…そして、最上級精霊の力や姿を人間に見られたら、
精霊界に戻され、関わった人間全ての記憶が消されて、人間界での精霊リンドの存在はなかったことにされること。
全部、全部伝えた。
次に精霊界へ戻ったティアが、思い出してくれる可能性にかけて…
———ティアは青ざめ、驚きのあまりに口を手で覆いながら、じっと話を聞いていた。
どれだけ自分がリンドに迷惑をかけてきたのか。
どれだけ自分がリンドに愛されてきたのか。
涙が溢れ出る。
申し訳なかった。
嬉しかった。
自分が情けなかった。
リンドの強さに憧れた。
リンドが愛しくて、愛しくて、愛しくて…途方もなく愛しく感じて…
とめどなく、色んな感情が湧き起こり、ティアの頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
そんな…
そんなことって…
何千年⁈
そんなに途方もない時を…リンド様は…
なんてことなの‼︎
私はなんてことをしていたの‼︎
こんなにリンド様を苦しめた自分が許せない‼︎
そう思うと、次から次へと涙が溢れ出て、止まらなくなっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
448
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる