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102話 望みをかけて

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リンドは全部、全部ティアに聞かせた。

ドラゴンの最大化した姿で追いかけてきたこと。

多くの民を驚かせたこと。

ティアを奪還するため、ドラゴンの姿で戦ったこと。

フェリスと対峙したこと。

人でないリンドからフェリスを守るために、第一皇女が出てきて、全てが収まったこと。

…そして、ここからはリンド自身の話、なぜ最上級精霊が人間の器に入れて、今ここでこうしているのか…


本当はもともと精霊界でティアの案内人をしていたこと。

リンドはその時からティアが好きだったこと。

ティアが冥界に落ちて、助けたくて、最上級精霊になったこと。

そのために何千年もティアを冥界で待たせてしまったこと。

冥界から出たら、冥界にいたこともリンドのこともティアの記憶から消されたこと。

そして、次に冥界に入ったら、もう二度と助けられないから、ループするティアの自死を阻止し、リンド自身がティアを幸せにするため、

案内人仲間だったジョルジュの、秘密の方法とやらで、人間の器に入れてもらえたこと。

でも、ティアに出会えるまでは記憶は消されていたこと。

…そして、最上級精霊の力や姿を人間に見られたら、

精霊界に戻され、関わった人間全ての記憶が消されて、人間界での精霊リンドの存在はなかったことにされること。

全部、全部伝えた。

次に精霊界へ戻ったティアが、思い出してくれる可能性にかけて…



———ティアは青ざめ、驚きのあまりに口を手で覆いながら、じっと話を聞いていた。

どれだけ自分がリンドに迷惑をかけてきたのか。

どれだけ自分がリンドに愛されてきたのか。

涙が溢れ出る。

申し訳なかった。

嬉しかった。

自分が情けなかった。

リンドの強さに憧れた。

リンドが愛しくて、愛しくて、愛しくて…途方もなく愛しく感じて…

とめどなく、色んな感情が湧き起こり、ティアの頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。

そんな…

そんなことって…

何千年⁈

そんなに途方もない時を…リンド様は…

なんてことなの‼︎

私はなんてことをしていたの‼︎

こんなにリンド様を苦しめた自分が許せない‼︎

そう思うと、次から次へと涙が溢れ出て、止まらなくなっていた。
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