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空手の礼

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 今日は日曜日、学校は休みで本来なら多くの配信時間もとれるはずなのだが、ホワイトペインターの希望で20:00からの配信となり、駿は空手の講座の為の準備をしていた。

「まあ、初心者向けの本だし、あまり大した内容は書けないからこんなものでいいかな」

 そして夕食を終えて、20:00近くになったので、駿も配信の準備を始める。

 マスクオンし、ダンジョンプリズマーに変身し、階層転移スキルを使用し、ダンジョンに入ると、スマートフォンのカメラを起動させ、配信の挨拶をする。

「こんばんは、諸君!ダンジョンプリズマーだ!これよりホワイトペインターと合流する!」
『おお、ダンプリキターーー!』
『待ってました!』
『昨日お休みだったけど、体調悪かったの?』

 ダンジョンを進んでいき、途中襲ってくる魔物を倒しながら、ホワイトペインターとの待ち合わせ場所へと向かう。

『あ、あれは⁉』
『ホワイトペインターキターーーーー!』

 視聴者もコメントしているが、ダンジョンプリズマーもホワイトペインターが目につき、声をかける。

「待たせたな、ホワイトペインター」
「いえ……全然待っていないわ……」
「ん?どうした、何か辛そうだが?」
「いえ、何でもないわ、それじゃあ打ち合わせ通りあそこのスタンドにカメラを設置して」

 ホワイトペインターはすでにスタンドにカメラを設置しており、ダンジョンプリズマーもスマートフォンをスタンドに設置し、カメラが自分達の方に向いているのを確認するとホワイトペインターがカメラに向かって挨拶をする。

「皆さん、こんばんは、ホワイトペインター、ダンジョンプリズマー、そして我らマスクドダンジョンを応援していただきありがとうございます。今日はダンジョン探索を中止し、特別企画を行いたいと思います」
『特別企画⁉』
『えええ!何々?』
『ゲーム対決?聞き茶?』
「前回の配信で視聴者の諸君が私が空手の達人だと見抜いたそうだな、それに敬意を表し、私からホワイトペインターに空手の指導をしている様子を諸君に届けようと思う」

 もちろん、駿は空手の達人ではないが、ダンジョンプリズマーの仮面の能力で身体能力が高まっているので達人を超えた力は有しているのだ。

「皆さんに、私が強くなっていく様子をご覧いただきたいと思いますので、どうか最後までご視聴お願いします」
「さてホワイトペインターよ、まずはケガを防ぐために準備運動からだ」
「ええ、お願いするわ」

 そう言って、ダンジョンプリズマーは地面に正座で座り、戸惑うホワイトペインターに声をかける。

「え、どういう事?」
「空手とは礼に始まり、まずは礼からだ、礼!」

 ダンジョンプリズマーが礼!と言いながら頭を下げるとホワイトペインターも正座して頭を下げる。いよいよ配信講座の開始だ。
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