愛し子は鈍感で、愛に気付きません。

momo6

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7 シュラン街ギルド1

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「う~ん、朝陽が眩しい・・・えっ、どこ、ここ?」
目が覚めると見知らぬ場所にいました。
えっ?デジャブ?また、バーがいたりして。クスリと笑みがこぼれる。

ってー!!!見知らぬ人がいますけど!!?
えっえっ?何!??私、ヤラれたの?!
ーーーうん。大丈夫。衣服も乱れていない…何もされてない。って違うから!どこよ!ここ!

椅子にもたれて、コックリコックリ寝ている男性に千鶴は恐る恐る声をかけた。
「あの、すみません。あの、」
起きない男性の肩に触るとカッと見開き千鶴の手をガシっと掴む「いたっ」ハッとした男性は、すぐに手を離し「すまない」と謝罪してきた。どうやら、無意識に自己防衛で反応したらしい。なにそれ、怖い。怖い。

「あの、ここは?」
「ん?覚えてないのか?ここは、シュンラン街。君は、ここに来る道でウルフに襲われていたんだが。」
「ウルフ?あぁ、あの時のーーー」
そうだ。あの時真っ二つになったのって、チロリと男性を見ると剣を下げていた。
「助けていただき、ありがとうございます。」
「いや、礼には及ばない。」
クールに話す男性をまぢまぢと見ると背が高く、サラリと伸びた金髪に整った顔立ちで、灰色の瞳をしていた。首にはネックレスのような物をつけている。

「ところで、君は何しにこの街に?」
「あっ、千鶴って言います。名乗らず失礼しました。この街は、通り道でして。りゅうえんこく?に行くには、この街から馬車に乗るように言われましてーー」
「竜涎国だと!?あそこは女1人では無茶だ!」
「え、この街からなら大丈夫だと。」
「確かに行ける。だが、道中が心配なんだ。手練れでも手強い魔物がいるんだぞ!?」

(そんな話聞いてないよ!バーったら、だからニヤニヤしてたのか!!)
そんな理由ではないが、千鶴は勘違いでバーを怒っていた。

「でも、困ったな。この手紙を届けないとーー」
「誰宛なんだ?」
「えっと。ソウ・リューオンって人ですね。バーのお孫さんです。」
「は?ーーちょっと待て、リューオン?ソウ・リューオンって、今の竜涎国の王の名前だぞ!?間違いないのか?」
「えっ!!!そうなんですか!?」
「知らないで手紙を預かったのか?!確かにそうだが、ちょっと見ていいか?」

リュカは、千鶴から手紙を借りて名前を見ると確かに書いてある。
送り主は、“可愛い孫へバーより”と書かれていた。
「バー?バーって誰だ?」
「バーは、たしか、、バファイ?とか言ってましたけど。」
「バファイ、バファイ・・・あの!ソウ・バファイ師か!まだ健在だったんだな。そうか、バファイ師に頼まれたのか。ーーーよし!俺が一緒に着いていくぞ!」

急に何やら状況が飲み込めた男性は、すくっと立ち上がり千鶴に向き合い「よろしくな!」と素敵な笑顔を見せてくれた。これは断れないやつ。内心冷や汗をかきながら引きつった笑顔で対応する。

「よ、よろしくです。えっと、お名前は?」
「俺か?リュカだ。白銀のリュカ。そう呼ばれている。」
ドヤ顔で言われたが、白銀の意味が分からないので「ははっ」と愛想笑いしたら、驚かれた。

トントン
「失礼します。白銀のリュカ様、お連れ様の身分証をお願いします。」
「あぁ、そうだったな。千鶴、身分証を出してくれ」
ついに来た。千鶴は、異世界から来たので身分証なんて持っていない。バーにステータスを見せたら、誰にも見せるなと隠蔽魔法をしてもらったんだけど、果たして通用するのか心配である。

「あの、田舎から出てきたので身分証を持っていないんです。どこにいけば作れますか?」
「では、先に犯罪履歴を調べます。水晶に手をかざして下さい」
「はい」

水晶には、白い煙が見えただけだった。これは、何も無いって事らしい。犯罪履歴があった場合は赤黒くなるみたい。
何もしてないけど、初めてだからドキドキしてしまった。

「身分証は、ギルドで作れますが通行料は頂きます。」
「あ、はい。分かりました。」

バーから頂いたお金を支払い、街の中に入れた。
活気盛んな街に驚く。何より三国志の様な中国の街並みに似ていた。教えてもらったギルドに向かうと何故か一緒に着いてくるリュカが気になる。

「あの、1人で行けるので。着いてこなくても大丈夫ですけど」
「女の子1人でギルドなんて入ったら危ないだろ?俺の事は気にするな。」
そういうと、ご機嫌に横を並んで歩く。
私の身長は150センチ。リュカは180センチはあるだろうか、この身長差は、正直 圧が半端ない。
でも、知らない街に1人よりかは心細く無いから良かった。

街の中心部に行くとギルドが見えた。
大きな建物だからすぐに分かった。

中に入ると、受付には人が並んでいた。列に並ぼうとしたら、1つ空いている受付があったのでそこに近づく。
リュカは、仕事依頼の掲示板を見てるので別にいっかな?と声をかけなかった。

「あの、身分証を作りたいんですけど。」
私の声に騒ついていた部屋が静まり返った。
「えっ?私に言ったの?」
「はい!身分証を作れますか?」
「えっ?あっ、はい。今、用意致します。」

いそいそと準備を始めるお姉さん。尻尾が見えたから獣人かな?と初めてみる獣人にソワソワしてしまう。
そんな私の後ろでリュカが凄い顔をしていた。「まーたー勝手に、ちゃんとあの列に並ぶんだぞ!」
何故か私の保護者面になったリュカに言われたが、準備をするお姉さんに悪いので「ここでいいよ。もう、準備してもらってるんだから!」と言い切ったら、何故か周りが騒つき始めた。

するとリュカが、耳元で「この受付だけはやめとけ。ここで登録した奴は皆…死んでるんだ。」
ーーーそれを早く言って下さいよ。

「こちらが、用紙になります。」
もう後には引けず、「あはは」と愛想笑いが出てしまう。
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