「偽聖女の妹が良い」と婚約破棄された私、辺境の呪われ公爵様に拾われ溺愛されています~今さら国が滅びそうと泣きつかれても手遅れです~

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第2話 婚約破棄と国外追放のセットコース

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王都を出発してから、かれこれ三週間が経過していた。
私を乗せた馬車は、貴族が使うような優雅なものではない。罪人を護送するための、鉄格子が嵌められた粗末な箱馬車だ。
座席のクッションは薄く、木の板に直に座っているのと大差ない。車輪が石ころを一つ踏むたびに、ガタンと激しい衝撃が全身に走る。

「おい、飯だ」

馬車が止まり、小窓から無造作に放り込まれたのは、石のように硬い黒パンと、少しばかりの水が入った革袋だった。
護衛の騎士たちは、私と言葉を交わすことさえ穢らわしいと思っているらしい。

「……ありがとうございます」

私は誰に言うともなく呟き、パンを手に取った。
カチカチに乾燥したパンを少しずつ齧り、水で流し込む。味気ない食事だが、不思議と不満はなかった。

なぜなら、こうして「座って食事をする」時間があること自体、私にとっては久しぶりの贅沢だったからだ。

聖女としての最後の一年は、まさに地獄だった。
急速に濃くなる瘴気に対抗するため、私は聖堂の最奥にある「祈りの間」に軟禁状態にされていた。
食事は立ったまま、祈祷を中断しないように流動食を喉に流し込むだけ。
睡眠は一日に二時間とれれば良い方で、立ったまま気絶するように眠ることもしょっちゅうだった。
トイレに行く時間さえ惜しめと神官たちに急かされ、生理現象すら管理される日々。

それに比べれば、この護送馬車の旅は、なんと優雅なことだろう。
誰にも急かされず、座ってパンを噛みしめることができる。
ガタガタと揺れる馬車の中でさえ、祈りを強制されないだけで、天国のように思えた。

「……皮肉なものね」

私は自嘲気味に笑った。
王太子殿下――カイル様は、私を「北の果てで苦しんで死ね」と思って送り出したのだろう。
けれど、過労死寸前だった私にとって、この追放劇は強制的な休暇のようなものになっていた。

窓の外に目を向ける。
出発当初に見えていた青々とした草原や、豊かな小麦畑はもうない。
北へ向かうにつれて、風景は荒涼としたものへと変わっていった。
木々は葉を落とし、ねじ曲がった枝を空に突き出している。地面は赤茶けた荒野になり、冷たい風が砂埃を巻き上げている。

気温も急激に下がっていた。
私が身につけているのは、パーティー会場から連れ出された時のままの、薄手のドレス一枚だ。
聖女の法衣を兼ねたそのドレスは、見た目の清廉さを重視するあまり、防寒性など皆無に等しい。
肩にかけたショールをきつく巻き直すが、凍えるような冷気は容赦なく肌を刺してくる。

「寒い……」

呼気が白く濁る。
指先の感覚が次第になくなり始めていた。
私の魔力が万全なら、身体強化の魔法で体温を維持することもできただろう。
しかし、私の魔力タンクは、王都での結界維持で空っぽの状態だ。この三週間の休息で多少は回復したが、自然回復分だけでは、命を繋ぐための基礎代謝を支えるのがやっとだった。

(ミューアは今頃、温かい王城で、カイル様と優雅なティータイムでも楽しんでいるのかしら)

ふと、義妹の顔が脳裏をよぎる。
彼女が「新聖女」として崇められているという事実。
きっと今頃、王都の結界が揺らぎ始め、小さな騒ぎになっているはずだ。
だが、ミューアのことだ。「お姉様の残した負の遺産ですわ!」とでも言って、適当に誤魔化しているに違いない。
そして、あの愚かなカイル様も、それを信じ込んでいることだろう。

「……まあ、いいわ」

私は首を振って、思考を追い払った。
もう、あの国は私の責任ではない。
滅びようが、魔物に飲み込まれようが、私を捨てたのは彼らなのだから。

馬車はさらに北へと進む。
やがて、空から白いものがチラつき始めた。
雪だ。
最初は粉砂糖を振ったような細かな雪だったが、次第に牡丹雪へと変わり、視界を白く染め上げていく。

ここから先は、人の住む領域ではない。
王国の最北端、通称「ノースエンド」。
年中雪に閉ざされ、強力な魔獣が跋扈する極寒の地。
そして、そこを統べるのが、私が嫁ぐ(あるいは生贄となる)予定の、アイスバーン公爵領だ。

日が沈みかけ、周囲が薄暗い灰色に包まれ始めた頃、馬車が急停止した。
ガタン、と大きな音がして、私は前のめりになりかけた。

「おい、降りろ!」

御者台から怒鳴り声が聞こえ、扉が乱暴に開けられた。
吹き込む猛吹雪に、私は思わず目を細める。
護送を担当していた騎士たちが、青ざめた顔で立っていた。

「こ、ここからは歩いて行け」

「え……?」

私は状況が飲み込めず、彼らを見返した。
まだ目的地には着いていないはずだ。周囲には建物はおろか、道しるべすら見当たらない。ただ、見渡す限りの雪原が広がっているだけだ。

「公爵様の城は、この街道……いや、この雪道をまっすぐ行った先だ。俺たちはこれ以上先には進めねぇ」

騎士の一人が、震える指で前方を指差した。
その指先が、恐怖で小刻みに震えているのが分かる。

「な、なぜですか? 王命による護送のはずです。城まで送り届けるのが貴方たちの任務では……」

「馬鹿野郎! 死にたくねぇんだよ!」

騎士が叫んだ。

「この先は『氷の魔公爵』の領域だ! 許可なく踏み入れば、血も涙も凍らされて氷像にされちまうって噂だ! それに、この辺りはもう強力な魔獣の縄張りなんだよ!」

「そんな……ここで私を降ろすというのは、殺すことと同じではありませんか」

「うるさい! どうせお前は、その魔公爵への生贄なんだろ!? ここで死のうが、城で殺されようが同じことだ!」

彼らは私の唯一の荷物である小さなトランクを雪の上に放り投げると、私自身の腕を掴んで、馬車から引きずり下ろした。

「きゃっ!」

雪の上に倒れ込む。
想像を絶する冷たさが、ドレスを通して直接肌に触れた。
雪というより、氷の粒だ。痛いほどの冷気が全身を駆け巡る。

「じゃあな、元聖女様! 運が良ければ城に辿り着けるかもな!」

騎士たちは慌てて馬車に乗り込むと、来た道を全速力で逃げ帰っていった。
蹄の音と車輪の音が、吹雪の音にかき消されて遠ざかっていく。

残されたのは、私一人。
そして、どこまでも続く白い闇。

「……酷い扱いだこと」

私はゆっくりと立ち上がった。
膝まで埋まる雪。
吐く息が瞬時に凍りつき、まつ毛に霜が降りる。
気温は氷点下何度だろうか。マイナス二十度、いや三十度はあるかもしれない。
普通の人間なら、数分で意識を失うレベルの極寒だ。

トランクを持ち上げようとして、指がかじかんでうまく動かないことに気づく。
中には、最低限の着替えと、数冊の魔導書が入っているだけだが、今の私には鉛のように重かった。

「……行くしかない、か」

私は前を向いた。
騎士が指差した方角。
視界が悪くて何も見えないが、彼らが言うには、この先に公爵の城があるはずだ。

一歩、足を踏み出す。
ズボリと雪に足をとられる。
足の感覚はもうない。まるで他人の足を動かしているような感覚だ。

(寒い、痛い、苦しい……)

王都での過酷な日々とはまた違う、直接的な死の気配。
けれど、不思議と心は静かだった。
これが私の最期なのだろうか。
国のために全てを捧げ、最後は誰にも知られず、雪の中で凍えて死ぬ。
悲劇的すぎて、物語の題材にもなりやしない。

「……でも、悔しいわね」

ふつふつと、小さな感情が湧き上がってくる。
それは、生への執着というよりは、意地のようなものだった。

あんな男たちに捨てられて、野垂れ死ぬなんて真っ平ごめんだ。
どうせ死ぬなら、せめて温かいベッドの上で死にたい。
それに、噂の「呪われ公爵」の顔も拝まずに死ぬのは、なんとなく負けた気がする。

私は歯を食いしばり、重い足を進めた。
風が強まり、雪が礫のように頬を打つ。
一歩進むのに、どれだけの時間がかかっただろう。
十分、二十分、あるいは一時間。
感覚が麻痺して、時間の経過さえ曖昧になってくる。

その時だった。

『グルルルゥゥ……』

風の音に混じって、低く、地を這うような唸り声が聞こえた。
私はハッとして顔を上げる。

吹雪の向こう、闇の中に、二つの赤い光が浮かんでいた。
揺らめくその光は、明らかに人工の灯りではない。
獣の瞳だ。

雪を蹴立てて姿を現したのは、巨大な狼だった。
普通の狼ではない。体高は二メートルを超え、その毛並みは雪のように白く、一部が氷の結晶のように硬質化している。
「フロストウルフ」。
北の地方にのみ生息する、高ランクの魔獣だ。

「……っ!」

私は反射的に身構えた。
本来なら、聖女の結界術で弾き飛ばせる相手だ。
けれど、今の私には、指先一つ動かす魔力も残っていない。

狼が、ゆっくりと私との距離を詰めてくる。
口元から滴る涎が、地面に落ちる前に凍りついているのが見えた。
獲物を見つけた喜悦に、その瞳が赤く輝く。

(ああ……ここまで、なのね)

寒さで思考が鈍っていたせいか、恐怖は薄かった。
むしろ、あの鋭い牙で一思いに終わらせてくれるなら、この寒さから解放されるかもしれない、とすら思った。

私はトランクを落とし、静かに目を閉じた。

「カイル様、ミューア……。あなたたちが望んだ通りになったわよ」

最期に浮かんだ言葉は、やはり恨み言だった。
聖女失格だと言われても仕方ない。私は人間なのだから。

狼が地面を蹴る音が聞こえた。
死が、私に向かって跳躍する。

その瞬間。

キィィィィィィィン!!

耳をつんざくような鋭い音が響き渡った。
同時に、私の頬を、凄まじい突風が薙いでいった。

肉が裂ける音と、獣の断末魔。
ドサリ、という重い音が雪の上に響く。

「……え?」

私は恐る恐る目を開けた。

目の前には、巨大な氷の塊があった。
いや、違う。
それは先ほどのフロストウルフだ。
跳躍した姿勢のまま、一瞬にして全身を分厚い氷に覆われ、氷像と化していたのだ。
芸術的とさえ言えるその凍り方は、自然現象ではない。明らかに、高位の魔法によるものだ。

「……誰?」

震える唇で問いかける。
吹雪がふわりと晴れ、その向こうから、一人の男が歩いてくるのが見えた。

黒い軍服の上に、毛皮のついた厚手のマントを羽織っている。
夜の色をした髪に、氷河のように冷たく、美しい蒼色の瞳。
その整った顔立ちは、神が氷から削り出した彫像のように完璧で――そして、恐ろしいほどに無表情だった。

男の周囲だけ、空気がさらに一段階冷え込んでいるように感じる。
彼が歩くたびに、地面の雪がキシキシと悲鳴を上げているようだ。

(きれい……)

死神かと思った。
あるいは、冬の精霊か。
その圧倒的な存在感と美貌に、私は寒さも忘れて見惚れてしまった。

男は私の目の前まで来ると、氷像になった狼を一瞥もしないまま、私を見下ろした。

「……何者だ」

声まで、凍りつくように冷たかった。
低く、響くようなバリトンボイス。
問われているのに、威圧感で喉が張り付いて声が出ない。

「このような吹雪の日に、結界の外をうろつくなど正気の沙汰ではない。……貴様、死にたいのか?」

彼の蒼い瞳が、私を射抜く。
その瞳には、感情の色が見えなかった。
ただ、私という異物を値踏みするような、冷徹な光があるだけだ。

「わ、私は……」

ようやく絞り出した声は、掠れて聞き取れないほど小さい。

「……ふん。まあいい」

男は興味を失ったように視線を逸らそうとした。
その時、私の身体が限界を迎えた。
極度の寒さと、突然の緊張からの緩和。
視界がぐらりと揺れ、足の力が抜ける。

「あ……」

私はそのまま、雪の上へと崩れ落ちた。
冷たい地面に顔が埋まる直前、ふわりと身体が浮遊感に包まれた。

誰かの腕が、私を支えていた。
冷たい。
抱き留められたその腕からは、人間とは思えない冷気が発せられていた。
けれど、なぜだろう。
その冷たさが、今の私にはとても心地よく感じられたのだ。

「……おい、しっかりしろ」

遠くで声が聞こえる。
男の顔が近づいてくる。
間近で見ると、その瞳は宝石のように澄んでいて、吸い込まれそうだった。

私は霞む意識の中で、彼に手を伸ばした。
彼が噂の公爵なのか、それとも死にゆく私が見た幻なのか、確かめたかった。

「……探して、いた……」

私の口から漏れたのは、自分でも意味のわからない言葉だった。
それが誰に向けた言葉なのか、何を意味するのか。
ただ、彼に触れた瞬間、私の空っぽだった身体の奥底で、小さな魔力の灯火がパチリと弾けたような気がした。

「なっ……!?」

男が驚愕に目を見開くのが見えた。
いつも無表情だという彼の顔が、驚きに歪む。

「馬鹿な……私の呪いが……」

彼が何かを言っている。
でも、もう耳が音を拾わない。
意識が急速に闇へと沈んでいく。

(ああ、やっと……眠れる……)

私は安らかな気持ちで、その冷たくも優しい腕の中で意識を手放した。

これが、私と彼――レオンハルト・アイスバーン公爵との、運命の出会いだった。
後に彼が語るところによれば、この時、私はとんでもないことをしでかしていたらしいけれど。
それは、また目覚めた後のお話。

(第2話 完)
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