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第10話 聖女の力で、不毛の大地を畑に変えます!
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「……ん、レオン様、くすぐったいです」
「じっとしていてくれ。今、魔力を補充しているところだ」
朝の執務室。
私はいつものようにレオン様の隣に座り、書類仕事の手伝いをしていたのだが、彼は隙あらば私の首筋に顔を埋めたり、髪にキスをしたりと、スキンシップが止まらない。
魔力補充というのは便利な口実で、実際にはただイチャつきたいだけなのがバレバレだ。
まあ、私も嫌ではないので(むしろ嬉しいので)、つい許してしまうのだけれど。
「それで、この書類ですが……」
私は真っ赤になりながら、手元の報告書に視線を戻した。
それは領内の食料備蓄に関するレポートだった。
「今年の冬は例年よりも厳しく、備蓄庫の野菜が予想以上に減っている……ですか?」
「ああ。我が領の課題の一つだな」
レオン様は真面目な顔に戻り(それでも私の腰に手を回したままだが)、ため息をついた。
「北の地は寒冷で、作物が育つ期間が短い。特に冬場は完全に雪に閉ざされるため、他領からの輸入や保存食に頼らざるを得ないんだ。だが、今年は王都周辺の不作の影響で、輸入ルートが細くなっている」
王都の不作。
それは間違いなく、私が結界の維持を止めたことによる瘴気の影響だ。
皮肉なことに、王都の失策が巡り巡って、この辺境の食卓にも影を落としている。
「温室栽培はしていないのですか?」
「やっているが、規模に限界がある。地熱を利用した温室はあるものの、維持コストがかかるし、領民全員の胃袋を満たすには程遠い。……もっと、寒さに強く、成長の早い作物があればいいのだが」
レオン様は眉間に皺を寄せた。
領主として、民の生活を第一に考える彼らしい悩みだ。
先日、城下町で出会ったあの温かい人々の笑顔を思い出す。
彼らにひもじい思いはさせたくない。
「……レオン様。私に、その温室農場を見せていただけませんか?」
「農場を? 構わないが、泥だらけになるかもしれないぞ」
「平気です。私、土いじりは嫌いじゃありませんから」
私は微笑んだ。
聖女の修練時代、薬草園の管理を任されていたこともある。
それに何より、私には「あの力」がある。
第8話で、死の庭を一瞬にして花畑に変えた、あの力が。
***
私たちは馬車に乗り、城から少し離れた場所にある公営農場へと向かった。
そこには、巨大なガラス張りのドームがいくつか並んでいた。
地熱を利用した蒸気がパイプを通っており、ドームの周りだけ雪が溶けている。
「ようこそおいでくださいました、閣下! それに、エルナ様も!」
出迎えてくれたのは、農場長のハンスという初老の男性だった。
日焼けした肌に、土のこびりついた作業着。
彼は私の姿を見ると、目を輝かせて帽子を取った。
「噂は聞いております! 城の庭園を花畑に変えたとか、怪我を一瞬で治したとか。……まさか、うちの野菜にも魔法をかけてくださるのですか?」
「はい、そのつもりです。……少しでも、お役に立てればと思って」
「ありがてぇ! 実は今、深刻な問題がありましてな」
ハンスさんは私たちをドームの一つへと案内してくれた。
中はムッとするほどの湿気と暖気に満ちているが、肝心の作物は元気がなかった。
畝に植えられた葉物野菜は小さく萎れ、葉先が黄色く変色している。
「地熱のおかげで気温は保てているんですが、どうも土の力が弱っているようでして。連作障害なのか、それとも地下から滲み出る微弱な冷気の影響なのか……肥料をやっても育ちが悪いんです」
レオン様がしゃがみ込み、土を手に取った。
「……冷たいな。温めているはずなのに、土の芯が凍えているようだ。やはり、私の魔力の影響が土壌に残っているのかもしれない」
彼は悔しそうに唇を噛んだ。
自身の呪いが、間接的に領地の農業を阻害していると考えているのだろう。
「レオン様のせいではありません。……これは、ただ土が『眠っている』だけです」
私はレオン様の隣にしゃがみ、土に触れた。
確かに冷たい。そして、生命エネルギーが希薄だ。
でも、死んでいるわけではない。
厳しい寒さに耐えるために、活動を停止して殻に閉じこもっている状態に近い。
「眠っている?」
「はい。起こしてあげれば、きっと元気に育ちます」
私は立ち上がり、ハンスさんに尋ねた。
「ハンスさん、一番育ちが悪い区画はどこですか? それと、これから植えようとしている種があれば、それも用意してください」
「へ? は、はい。あちらの区画はもう放棄しようかと思っていた荒れ地ですが……」
案内されたのは、ドームの隅にある、土がカチカチに固まってしまった一角だった。
さらに、農場の外にある、雪に覆われた荒野も指差す。
「本当なら、ドームを拡張してあそこも畑にしたいんですが、永久凍土が分厚くて、耕すことすらできなくて」
「分かりました。……では、あの外の荒野を畑に変えましょう」
「ええっ!? 外ですか!? 今は氷点下ですよ!?」
ハンスさんが素っ頓狂な声を上げた。
レオン様も驚いたように私を見たが、すぐにニヤリと笑った。
「エルナがそう言うなら、できるのだろう。……見せてくれ、君の奇跡を」
「はい!」
私はドームを出て、雪原へと足を踏み出した。
ハンスさんと数名の農夫たちが、心配そうについてくる。
「寒い……」
農夫の一人が身震いした。
気温はマイナス十度を下回っているだろう。
普通なら農業など不可能な環境だ。
私は雪の上に立ち、深呼吸をした。
レオン様が後ろからそっと肩に手を置いてくれる。
その手から流れ込んでくる温かな魔力が、私の体内の聖女パワーと融合し、増幅されていく。
(土よ、目覚めなさい。
母なる大地の温もりを思い出し、
命を育む揺りかごとなりなさい)
私は両手を広げ、祈りを捧げた。
『――大地浄化(テラ・クレンズ)、及び、豊穣の祝福(ブレス・オブ・ハーベスト)!』
ドォォォォン……!
地鳴りのような低い音が響き渡った。
私の足元から、金色の光の波紋が広がる。
それは雪を溶かし、凍った大地へと染み込んでいく。
「な、なんだ!?」
「雪が……消えていくぞ!」
農夫たちが叫ぶ。
光が通過した場所から、雪が一瞬にして蒸発し、その下から黒々とした土が現れた。
それだけではない。
カチカチだった永久凍土が、まるで生き物のように蠢き、柔らかく耕されていく。
土からは湯気が立ち上り、真冬の空気の中で幻想的な光景を作り出した。
「ハンスさん、種を!」
「は、はいっ!」
ハンスさんが震える手で渡してくれたのは、小麦と根菜類の種が入った袋だった。
私はそれを受け取り、耕されたばかりの黒土にパラパラと撒いた。
「育て、命よ。……時間短縮(タイム・アクセル)!」
聖女の力の中でも、特に高位の術式である「成長促進」を発動させる。
本来なら膨大な魔力を消費するため、一人では数株の植物にしか使えない魔法だ。
しかし、今の私にはレオン様という無限の魔力タンクがついている。
ボッ、ボッ、ボッ!
土から緑の芽が一斉に顔を出した。
それは見る見るうちに背を伸ばし、葉を広げ、茎を太くしていく。
まるで早送り映像を見ているようだ。
一分も経たないうちに、そこには青々とした小麦畑と、立派な葉を茂らせた根菜畑が出現していた。
さらに、見えない結界が畑を覆い、内部を春のような温暖な気候に保っている。
「……嘘だろ」
ハンスさんが腰を抜かして座り込んだ。
他の農夫たちも、口をあんぐりと開けて固まっている。
「こ、こんなこと……ありえねぇ……」
「冬の屋外で、小麦が……しかも、もう穂をつけてるぞ!?」
「完成です」
私は額の汗を拭い、振り返って微笑んだ。
「これで、とりあえずの食料は確保できると思います。この結界は私の魔力が続く限り……そうですね、半年くらいは維持できますから、その間に次の作付けもできるはずです」
「エルナ……君という人は」
レオン様が歩み寄り、私を抱きしめた。
「すごすぎる。これは農業革命どころの話ではない。神の御業だ」
「レオン様の魔力があったからですよ。……二人で作った畑ですね」
「ああ。私たちの愛の結晶だ」
「それはちょっと言い方が誤解を招きます!」
私たちがイチャついていると、ハンスさんが涙目で這い寄ってきた。
「エルナ様ぁぁぁ! ありがとうございますぅぅ! これで! これで皆、腹いっぱい食えますぅぅ!」
彼は私のドレスの裾を拝まんばかりの勢いだ。
農夫たちも次々と駆け寄り、「女神様!」「奇跡だ!」と歓声を上げている。
「さあ、収穫しましょう! 採れたての野菜は美味しいですよ」
私はハンスさんを促した。
すぐに収穫作業が始まった。
土の中から引き抜かれた大根や人参は、丸々と太っていて艶やかだった。
小麦も黄金色に実り、ずっしりと重い。
その場で即席の試食会が行われた。
カブを薄く切ったものを渡され、レオン様と一緒に齧る。
「……甘い!」
レオン様が目を見開いた。
「果物のように甘くて、瑞々しい。……こんな野菜、王都の晩餐会でも食べたことがないぞ」
「聖女の魔力をたっぷり吸っていますから、栄養価も高いはずです。これを食べれば、風邪なんてすぐに治りますよ」
「素晴らしい。……ハンス、すぐに城へ運べ。そして領民にも配るんだ。『エルナ様からの贈り物だ』と言ってな」
「へいっ! 喜んで!」
農場は歓喜の渦に包まれた。
私はレオン様と顔を見合わせ、満足感に浸った。
私の力が、誰かの命を繋ぎ、笑顔を作ることができる。
聖女として、これほど嬉しいことはない。
***
その日の夜。
アイスバーン城の食卓には、農場で採れたばかりの野菜を使った料理が所狭しと並んだ。
新鮮なサラダ、根菜のポトフ、小麦の香りが高い焼きたてパン。
使用人たちも、特別に同じメニューが振る舞われ、城のあちこちから「美味しい!」という声が聞こえてくる。
「エルナ、あーん」
レオン様が、フォークに刺した蒸し野菜を差し出してくる。
またこれだ。
最近の彼は、食事のたびに私に食べさせようとするのが日課になっている。
「レオン様、自分で食べられます」
「いいから。君は今日、大仕事をしたんだ。甘やかされる権利がある」
彼は引かない。
私は観念して、パクリと食べた。
甘い人参の味が口いっぱいに広がる。
「美味しい……」
「だろう? 君が作った野菜だからな。……そして、それを食べる君の顔も、最高に美味しそうだ」
彼は妖艶な笑みを浮かべ、指先で私の唇についたソースを拭った。
そして、その指を自分の口に含んで舐める。
「っ……///」
心臓が破裂しそうだ。
この公爵様、天然なのか計算なのか、色気が駄々漏れである。
「そうだ、エルナ。君に報告がある」
レオン様は不意に真面目な顔になった。
「先ほどの農場の件だが、ハンスたちから『エルナ様野菜』の増産計画書が提出された。彼ら、やる気満々だぞ」
「エルナ様野菜……ネーミングが恥ずかしいです」
「いい名前じゃないか。ブランド化しよう。……それと、王都方面の商人が、血相を変えて接触してきた」
「商人?」
「ああ。どうやら王都では、深刻な食料不足が始まっているらしい。野菜の値段が十倍に跳ね上がり、パン一つ買うのにも暴動が起きかけているとか」
レオン様の声が少し低くなった。
「私の予想通り、君がいなくなった影響が出始めたな。……浄化の雨が降らず、大地が枯れ始めているのだろう」
王都の惨状。
想像するだけで胸が痛むが、それは彼らが招いたことだ。
私が必死に維持していたものを「不要だ」と切り捨てた結果なのだから。
「商人は、我が領の野菜を言い値で買いたいと言ってきた。だが、断ったよ」
「断ったのですか?」
「当然だ。まずは我が領民の腹を満たすのが先決だ。それに……君を追い出した国に、君が作った野菜を食わせる義理はない」
彼は冷ややかに言い放った。
「彼らには、自分たちの愚かさを噛み締めてもらう必要がある。空腹というのは、最高の教育になるからな」
厳しい言葉だが、領主としては正しい判断だ。
自領を守るためには、情に流されてはいけない。
「ただし、一般市民まで見殺しにするつもりはない。状況を見極めて、高値で売りつけてやるつもりだ。その利益は、すべて君のために使う」
「私のため?」
「ああ。春のパーティーの予算を倍増しよう。それに、君のための新しい研究室も作ろうか」
レオン様は楽しそうに計画を語り始めた。
彼の頭の中は、いかに私を喜ばせるかで一杯のようだ。
王都の危機と、辺境の繁栄。
明暗はくっきりと分かれ始めていた。
***
一方その頃、王都。
王宮のダイニングルームでは、カイル殿下が不機嫌そうにナイフを皿に叩きつけていた。
「なんだこの料理は! サラダがしなびているぞ! スープも味が薄い!」
「も、申し訳ありません殿下……。市場に新鮮な野菜が入ってこず、これが精一杯でして……」
料理長が震えながら弁明する。
「肉も硬い! もっと上等な肉はないのか!」
「牧草が枯れてしまい、家畜も痩せ細っておりまして……」
「ええい、言い訳ばかりしおって!」
カイル殿下はワイングラスを床に投げつけた。
赤い液体が絨毯に染みを作る。
その横で、ミューアが気まずそうにパンを齧っていた。
「ミューア! お前の祈りが足りないんじゃないのか!? なんで雨が降らないんだ!」
「そ、そんなこと言われても困りますわ……。私だって頑張ってますもの。それに、お祈りって疲れるし、ネイルが傷むんですもの」
ミューアは口を尖らせた。
彼女の関心は、国の危機よりも自分の美容に向いていた。
「ああ、もう! イライラする! エルナがいれば、こんなことには……」
カイル殿下が思わず漏らした言葉に、ミューアがピクリと眉を上げた。
「……カイル様? 今、お姉様がいればって仰いました?」
「う、うるさい! 言ってない!」
「言いましたわ! ひどいです、私という聖女がいながら! ……もういいです、部屋に戻ります!」
ミューアはヒステリックに叫び、部屋を飛び出していった。
残されたカイル殿下は、頭を抱えて椅子に沈み込んだ。
「くそっ……どうしてこうなった……」
窓の外には、乾ききった大地と、不気味に赤黒く染まった夕空が広がっていた。
瘴気濃度は日に日に増している。
だが、それを浄化できる唯一の存在は、遠い北の地で幸せに暮らしていることを、彼はまだ認めたくなかった。
「……調査団はどうした。まだエルナを連れ戻せないのか!」
彼の怒号だけが、空虚な王城に響き渡った。
***
北のアイスバーン城では、そんな王都の喧騒など知る由もなく。
私は温かいお風呂上がりに、レオン様に髪を乾かしてもらっていた。
「いい香りだ……。エルナ、このまま眠りたくないな」
「ダメです、ちゃんと寝てください。明日は農場の視察の続きがあるんですから」
「チェッ。……分かったよ。だが、朝までは一緒にいてくれるだろう?」
「……はい」
甘くて温かい夜。
窓の外の雪景色すら、私たちを祝福する銀の装飾のように見えた。
「不毛の大地」なんて、もう誰にも言わせない。
ここは今、世界で一番豊かで、愛に満ちた場所なのだから。
(第10話 完)
「じっとしていてくれ。今、魔力を補充しているところだ」
朝の執務室。
私はいつものようにレオン様の隣に座り、書類仕事の手伝いをしていたのだが、彼は隙あらば私の首筋に顔を埋めたり、髪にキスをしたりと、スキンシップが止まらない。
魔力補充というのは便利な口実で、実際にはただイチャつきたいだけなのがバレバレだ。
まあ、私も嫌ではないので(むしろ嬉しいので)、つい許してしまうのだけれど。
「それで、この書類ですが……」
私は真っ赤になりながら、手元の報告書に視線を戻した。
それは領内の食料備蓄に関するレポートだった。
「今年の冬は例年よりも厳しく、備蓄庫の野菜が予想以上に減っている……ですか?」
「ああ。我が領の課題の一つだな」
レオン様は真面目な顔に戻り(それでも私の腰に手を回したままだが)、ため息をついた。
「北の地は寒冷で、作物が育つ期間が短い。特に冬場は完全に雪に閉ざされるため、他領からの輸入や保存食に頼らざるを得ないんだ。だが、今年は王都周辺の不作の影響で、輸入ルートが細くなっている」
王都の不作。
それは間違いなく、私が結界の維持を止めたことによる瘴気の影響だ。
皮肉なことに、王都の失策が巡り巡って、この辺境の食卓にも影を落としている。
「温室栽培はしていないのですか?」
「やっているが、規模に限界がある。地熱を利用した温室はあるものの、維持コストがかかるし、領民全員の胃袋を満たすには程遠い。……もっと、寒さに強く、成長の早い作物があればいいのだが」
レオン様は眉間に皺を寄せた。
領主として、民の生活を第一に考える彼らしい悩みだ。
先日、城下町で出会ったあの温かい人々の笑顔を思い出す。
彼らにひもじい思いはさせたくない。
「……レオン様。私に、その温室農場を見せていただけませんか?」
「農場を? 構わないが、泥だらけになるかもしれないぞ」
「平気です。私、土いじりは嫌いじゃありませんから」
私は微笑んだ。
聖女の修練時代、薬草園の管理を任されていたこともある。
それに何より、私には「あの力」がある。
第8話で、死の庭を一瞬にして花畑に変えた、あの力が。
***
私たちは馬車に乗り、城から少し離れた場所にある公営農場へと向かった。
そこには、巨大なガラス張りのドームがいくつか並んでいた。
地熱を利用した蒸気がパイプを通っており、ドームの周りだけ雪が溶けている。
「ようこそおいでくださいました、閣下! それに、エルナ様も!」
出迎えてくれたのは、農場長のハンスという初老の男性だった。
日焼けした肌に、土のこびりついた作業着。
彼は私の姿を見ると、目を輝かせて帽子を取った。
「噂は聞いております! 城の庭園を花畑に変えたとか、怪我を一瞬で治したとか。……まさか、うちの野菜にも魔法をかけてくださるのですか?」
「はい、そのつもりです。……少しでも、お役に立てればと思って」
「ありがてぇ! 実は今、深刻な問題がありましてな」
ハンスさんは私たちをドームの一つへと案内してくれた。
中はムッとするほどの湿気と暖気に満ちているが、肝心の作物は元気がなかった。
畝に植えられた葉物野菜は小さく萎れ、葉先が黄色く変色している。
「地熱のおかげで気温は保てているんですが、どうも土の力が弱っているようでして。連作障害なのか、それとも地下から滲み出る微弱な冷気の影響なのか……肥料をやっても育ちが悪いんです」
レオン様がしゃがみ込み、土を手に取った。
「……冷たいな。温めているはずなのに、土の芯が凍えているようだ。やはり、私の魔力の影響が土壌に残っているのかもしれない」
彼は悔しそうに唇を噛んだ。
自身の呪いが、間接的に領地の農業を阻害していると考えているのだろう。
「レオン様のせいではありません。……これは、ただ土が『眠っている』だけです」
私はレオン様の隣にしゃがみ、土に触れた。
確かに冷たい。そして、生命エネルギーが希薄だ。
でも、死んでいるわけではない。
厳しい寒さに耐えるために、活動を停止して殻に閉じこもっている状態に近い。
「眠っている?」
「はい。起こしてあげれば、きっと元気に育ちます」
私は立ち上がり、ハンスさんに尋ねた。
「ハンスさん、一番育ちが悪い区画はどこですか? それと、これから植えようとしている種があれば、それも用意してください」
「へ? は、はい。あちらの区画はもう放棄しようかと思っていた荒れ地ですが……」
案内されたのは、ドームの隅にある、土がカチカチに固まってしまった一角だった。
さらに、農場の外にある、雪に覆われた荒野も指差す。
「本当なら、ドームを拡張してあそこも畑にしたいんですが、永久凍土が分厚くて、耕すことすらできなくて」
「分かりました。……では、あの外の荒野を畑に変えましょう」
「ええっ!? 外ですか!? 今は氷点下ですよ!?」
ハンスさんが素っ頓狂な声を上げた。
レオン様も驚いたように私を見たが、すぐにニヤリと笑った。
「エルナがそう言うなら、できるのだろう。……見せてくれ、君の奇跡を」
「はい!」
私はドームを出て、雪原へと足を踏み出した。
ハンスさんと数名の農夫たちが、心配そうについてくる。
「寒い……」
農夫の一人が身震いした。
気温はマイナス十度を下回っているだろう。
普通なら農業など不可能な環境だ。
私は雪の上に立ち、深呼吸をした。
レオン様が後ろからそっと肩に手を置いてくれる。
その手から流れ込んでくる温かな魔力が、私の体内の聖女パワーと融合し、増幅されていく。
(土よ、目覚めなさい。
母なる大地の温もりを思い出し、
命を育む揺りかごとなりなさい)
私は両手を広げ、祈りを捧げた。
『――大地浄化(テラ・クレンズ)、及び、豊穣の祝福(ブレス・オブ・ハーベスト)!』
ドォォォォン……!
地鳴りのような低い音が響き渡った。
私の足元から、金色の光の波紋が広がる。
それは雪を溶かし、凍った大地へと染み込んでいく。
「な、なんだ!?」
「雪が……消えていくぞ!」
農夫たちが叫ぶ。
光が通過した場所から、雪が一瞬にして蒸発し、その下から黒々とした土が現れた。
それだけではない。
カチカチだった永久凍土が、まるで生き物のように蠢き、柔らかく耕されていく。
土からは湯気が立ち上り、真冬の空気の中で幻想的な光景を作り出した。
「ハンスさん、種を!」
「は、はいっ!」
ハンスさんが震える手で渡してくれたのは、小麦と根菜類の種が入った袋だった。
私はそれを受け取り、耕されたばかりの黒土にパラパラと撒いた。
「育て、命よ。……時間短縮(タイム・アクセル)!」
聖女の力の中でも、特に高位の術式である「成長促進」を発動させる。
本来なら膨大な魔力を消費するため、一人では数株の植物にしか使えない魔法だ。
しかし、今の私にはレオン様という無限の魔力タンクがついている。
ボッ、ボッ、ボッ!
土から緑の芽が一斉に顔を出した。
それは見る見るうちに背を伸ばし、葉を広げ、茎を太くしていく。
まるで早送り映像を見ているようだ。
一分も経たないうちに、そこには青々とした小麦畑と、立派な葉を茂らせた根菜畑が出現していた。
さらに、見えない結界が畑を覆い、内部を春のような温暖な気候に保っている。
「……嘘だろ」
ハンスさんが腰を抜かして座り込んだ。
他の農夫たちも、口をあんぐりと開けて固まっている。
「こ、こんなこと……ありえねぇ……」
「冬の屋外で、小麦が……しかも、もう穂をつけてるぞ!?」
「完成です」
私は額の汗を拭い、振り返って微笑んだ。
「これで、とりあえずの食料は確保できると思います。この結界は私の魔力が続く限り……そうですね、半年くらいは維持できますから、その間に次の作付けもできるはずです」
「エルナ……君という人は」
レオン様が歩み寄り、私を抱きしめた。
「すごすぎる。これは農業革命どころの話ではない。神の御業だ」
「レオン様の魔力があったからですよ。……二人で作った畑ですね」
「ああ。私たちの愛の結晶だ」
「それはちょっと言い方が誤解を招きます!」
私たちがイチャついていると、ハンスさんが涙目で這い寄ってきた。
「エルナ様ぁぁぁ! ありがとうございますぅぅ! これで! これで皆、腹いっぱい食えますぅぅ!」
彼は私のドレスの裾を拝まんばかりの勢いだ。
農夫たちも次々と駆け寄り、「女神様!」「奇跡だ!」と歓声を上げている。
「さあ、収穫しましょう! 採れたての野菜は美味しいですよ」
私はハンスさんを促した。
すぐに収穫作業が始まった。
土の中から引き抜かれた大根や人参は、丸々と太っていて艶やかだった。
小麦も黄金色に実り、ずっしりと重い。
その場で即席の試食会が行われた。
カブを薄く切ったものを渡され、レオン様と一緒に齧る。
「……甘い!」
レオン様が目を見開いた。
「果物のように甘くて、瑞々しい。……こんな野菜、王都の晩餐会でも食べたことがないぞ」
「聖女の魔力をたっぷり吸っていますから、栄養価も高いはずです。これを食べれば、風邪なんてすぐに治りますよ」
「素晴らしい。……ハンス、すぐに城へ運べ。そして領民にも配るんだ。『エルナ様からの贈り物だ』と言ってな」
「へいっ! 喜んで!」
農場は歓喜の渦に包まれた。
私はレオン様と顔を見合わせ、満足感に浸った。
私の力が、誰かの命を繋ぎ、笑顔を作ることができる。
聖女として、これほど嬉しいことはない。
***
その日の夜。
アイスバーン城の食卓には、農場で採れたばかりの野菜を使った料理が所狭しと並んだ。
新鮮なサラダ、根菜のポトフ、小麦の香りが高い焼きたてパン。
使用人たちも、特別に同じメニューが振る舞われ、城のあちこちから「美味しい!」という声が聞こえてくる。
「エルナ、あーん」
レオン様が、フォークに刺した蒸し野菜を差し出してくる。
またこれだ。
最近の彼は、食事のたびに私に食べさせようとするのが日課になっている。
「レオン様、自分で食べられます」
「いいから。君は今日、大仕事をしたんだ。甘やかされる権利がある」
彼は引かない。
私は観念して、パクリと食べた。
甘い人参の味が口いっぱいに広がる。
「美味しい……」
「だろう? 君が作った野菜だからな。……そして、それを食べる君の顔も、最高に美味しそうだ」
彼は妖艶な笑みを浮かべ、指先で私の唇についたソースを拭った。
そして、その指を自分の口に含んで舐める。
「っ……///」
心臓が破裂しそうだ。
この公爵様、天然なのか計算なのか、色気が駄々漏れである。
「そうだ、エルナ。君に報告がある」
レオン様は不意に真面目な顔になった。
「先ほどの農場の件だが、ハンスたちから『エルナ様野菜』の増産計画書が提出された。彼ら、やる気満々だぞ」
「エルナ様野菜……ネーミングが恥ずかしいです」
「いい名前じゃないか。ブランド化しよう。……それと、王都方面の商人が、血相を変えて接触してきた」
「商人?」
「ああ。どうやら王都では、深刻な食料不足が始まっているらしい。野菜の値段が十倍に跳ね上がり、パン一つ買うのにも暴動が起きかけているとか」
レオン様の声が少し低くなった。
「私の予想通り、君がいなくなった影響が出始めたな。……浄化の雨が降らず、大地が枯れ始めているのだろう」
王都の惨状。
想像するだけで胸が痛むが、それは彼らが招いたことだ。
私が必死に維持していたものを「不要だ」と切り捨てた結果なのだから。
「商人は、我が領の野菜を言い値で買いたいと言ってきた。だが、断ったよ」
「断ったのですか?」
「当然だ。まずは我が領民の腹を満たすのが先決だ。それに……君を追い出した国に、君が作った野菜を食わせる義理はない」
彼は冷ややかに言い放った。
「彼らには、自分たちの愚かさを噛み締めてもらう必要がある。空腹というのは、最高の教育になるからな」
厳しい言葉だが、領主としては正しい判断だ。
自領を守るためには、情に流されてはいけない。
「ただし、一般市民まで見殺しにするつもりはない。状況を見極めて、高値で売りつけてやるつもりだ。その利益は、すべて君のために使う」
「私のため?」
「ああ。春のパーティーの予算を倍増しよう。それに、君のための新しい研究室も作ろうか」
レオン様は楽しそうに計画を語り始めた。
彼の頭の中は、いかに私を喜ばせるかで一杯のようだ。
王都の危機と、辺境の繁栄。
明暗はくっきりと分かれ始めていた。
***
一方その頃、王都。
王宮のダイニングルームでは、カイル殿下が不機嫌そうにナイフを皿に叩きつけていた。
「なんだこの料理は! サラダがしなびているぞ! スープも味が薄い!」
「も、申し訳ありません殿下……。市場に新鮮な野菜が入ってこず、これが精一杯でして……」
料理長が震えながら弁明する。
「肉も硬い! もっと上等な肉はないのか!」
「牧草が枯れてしまい、家畜も痩せ細っておりまして……」
「ええい、言い訳ばかりしおって!」
カイル殿下はワイングラスを床に投げつけた。
赤い液体が絨毯に染みを作る。
その横で、ミューアが気まずそうにパンを齧っていた。
「ミューア! お前の祈りが足りないんじゃないのか!? なんで雨が降らないんだ!」
「そ、そんなこと言われても困りますわ……。私だって頑張ってますもの。それに、お祈りって疲れるし、ネイルが傷むんですもの」
ミューアは口を尖らせた。
彼女の関心は、国の危機よりも自分の美容に向いていた。
「ああ、もう! イライラする! エルナがいれば、こんなことには……」
カイル殿下が思わず漏らした言葉に、ミューアがピクリと眉を上げた。
「……カイル様? 今、お姉様がいればって仰いました?」
「う、うるさい! 言ってない!」
「言いましたわ! ひどいです、私という聖女がいながら! ……もういいです、部屋に戻ります!」
ミューアはヒステリックに叫び、部屋を飛び出していった。
残されたカイル殿下は、頭を抱えて椅子に沈み込んだ。
「くそっ……どうしてこうなった……」
窓の外には、乾ききった大地と、不気味に赤黒く染まった夕空が広がっていた。
瘴気濃度は日に日に増している。
だが、それを浄化できる唯一の存在は、遠い北の地で幸せに暮らしていることを、彼はまだ認めたくなかった。
「……調査団はどうした。まだエルナを連れ戻せないのか!」
彼の怒号だけが、空虚な王城に響き渡った。
***
北のアイスバーン城では、そんな王都の喧騒など知る由もなく。
私は温かいお風呂上がりに、レオン様に髪を乾かしてもらっていた。
「いい香りだ……。エルナ、このまま眠りたくないな」
「ダメです、ちゃんと寝てください。明日は農場の視察の続きがあるんですから」
「チェッ。……分かったよ。だが、朝までは一緒にいてくれるだろう?」
「……はい」
甘くて温かい夜。
窓の外の雪景色すら、私たちを祝福する銀の装飾のように見えた。
「不毛の大地」なんて、もう誰にも言わせない。
ここは今、世界で一番豊かで、愛に満ちた場所なのだから。
(第10話 完)
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