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第11話 レオンハルト様の不器用なプレゼント
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公営農場での「奇跡の豊作」から数日。
アイスバーン城は、かつてないほどの活気に包まれていた。
収穫されたばかりの新鮮な野菜や穀物が運び込まれ、厨房からは一日中、美味しそうな匂いが漂っている。
使用人たちの表情も明るく、すれ違うたびに「エルナ様、ありがとうございます!」「今朝のサラダも最高でした!」と声をかけてくれる。
城下町でも「エルナ様野菜」は大評判で、わざわざ遠方の村から買いに来る人もいるほどだという。
私のやったことが、こうして目に見える形で人々の幸せに繋がっている。
それは聖女として、何よりの喜びだった。
ただ、一つだけ気がかりなことがあった。
「……レオン様、また工房に籠もっていらっしゃるの?」
昼下がり、私は執事のセバスチャンに尋ねた。
ここ数日、レオン様の姿を見る時間が減っていたのだ。
朝食と夕食は必ず一緒にとるし、夜寝る前の「魔力補充タイム(という名のイチャイチャ)」も欠かさないのだが、日中の執務時間になると、彼はそそくさと城の地下にある工房へと消えてしまう。
「はい、エルナ様。旦那様は『極めて重要な任務がある』と仰って、関係者以外立ち入り禁止にしておられます」
セバスチャンは困ったように眉を下げた。
「重要な任務……領地の防衛に関することでしょうか? 王都の動きも不穏ですし」
「さあ、私にも詳しくは……。ただ、時折工房から、何かを削るような音や、小さな爆発音が聞こえてくるのですが」
「爆発音!?」
「ご安心ください、小規模なものです。お怪我はないようですが、何やら熱心に取り組んでおられるご様子で」
私は不安になった。
もしかして、王都からの干渉に対抗するために、危険な兵器でも開発しているのではないだろうか。
カイル殿下が調査団を派遣したという情報は入っているし、レオン様が過剰防衛に走る可能性は否定できない。
「……少し、様子を見てきてもいいかしら」
「エルナ様が行かれるのでしたら、旦那様もお喜びになるでしょう。差し入れの紅茶をお持ちしますか?」
「ええ、お願いします」
***
私はセバスチャンから紅茶のセットを受け取り、地下への階段を降りた。
ひんやりとした空気が漂う地下通路の奥に、重厚な鉄の扉がある。
そこが、レオン様のプライベート工房だ。
普段は魔道具のメンテナンスや、氷魔法の研究に使っている場所らしい。
扉の前まで来ると、中から「くそっ、また割れたか……」「繊細すぎるんだよ、この素材は……」という、レオン様のブツブツ言う声が聞こえてきた。
やはり、何か手こずっているようだ。
コンコン、とノックをする。
「レオン様、エルナです。紅茶をお持ちしました」
「うわっ!?」
中でガシャン!と何かが落ちる音がした。
続いて、ドタバタと慌てる足音が響き、扉が少しだけ開いた。
「エ、エルナか。どうした、こんなところまで」
隙間から顔を出したレオン様は、いつもの涼やかな公爵様の姿ではなかった。
髪は少しボサボサで、頬には煤のような黒い汚れがついている。
シャツの袖を捲り上げ、手にはヤスリのような工具を持っていた。
「レオン様、お顔が汚れていますよ。……一体、何をなさっているのですか?」
「い、いや、なんでもない。ちょっとした実験だ。危ないから、君は入ってはいけない」
彼は頑なに扉を開けようとしない。
その態度は、どう見ても怪しい。
まさか、本当に危険な兵器を? それとも、私には見せられないような禁断の魔術実験でも?
「……隠し事ですか? 私たちは共犯者ではなかったのですか?」
私は少し寂しそうな顔を作ってみせた。
これはミューアがよく使っていた手口だが、レオン様には効果てきめんだと分かっている。
「っ……! ち、違うんだ、エルナ。君を仲間外れにしようとしているわけではない」
彼は狼狽え、視線を泳がせた。
「ただ、これは……まだ完成していないんだ。未完成のものを見せるのは、アイスバーン家の美学に反する」
「完成したら、見せてくださいますか?」
「ああ、もちろん。一番最初に君に見せる」
「……分かりました。では、お茶だけ置いていきますね。あまり根を詰めすぎないでください」
私は無理に踏み込まず、紅茶のトレイを手渡した。
彼がそこまで言うなら、信じて待とう。
レオン様が私の不利益になることをするはずがないのだから。
「ありがとう、エルナ。……愛しているよ」
彼は扉の隙間から、私の頬に素早くキスをした。
そして、逃げるようにバタンと扉を閉めた。
「……もう」
私は閉ざされた扉を見つめ、小さく笑ってしまった。
頬についた煤を拭いながら、思う。
あの汚れ方、そして必死な表情。
兵器開発というよりは、まるで工作に熱中する少年のようだった。
***
それから三日後。
夕食を終えた後、私はレオン様に誘われて、城の最上階にあるバルコニーへ出ていた。
今夜は雲ひとつない快晴で、満天の星空が広がっている。
空気は冷たいけれど、レオン様が事前に張ってくれた保温結界のおかげで、バルコニーは春の夜風のように快適だった。
「星が綺麗ですね」
私が手すりにもたれて空を見上げると、隣に立ったレオン様が同意した。
「ああ。北の空は空気が澄んでいるから、星がよく見える。……君の瞳のようだ」
「また、そんな歯の浮くようなセリフを」
「本心だ。君を見ていると、宇宙の神秘を感じる」
彼は真顔で言うので、照れるのを通り越して感心してしまう。
この人の溺愛フィルターは、どの星よりも分厚いに違いない。
「エルナ、手を出してくれ」
不意に、彼が言った。
その声が少し震えていることに気づき、私は彼の方を向いた。
月明かりの下、レオン様の表情は緊張で強張っていた。
あの、ガストンや魔獣を前にしても眉一つ動かさなかった氷の公爵様が、まるで告白前の少年のように固くなっている。
「はい……」
私が右手を差し出すと、彼は自分のポケットから、小さなベルベットの箱を取り出した。
パカッ、と箱が開かれる。
中に入っていたのは、指輪だった。
しかし、それは王都の宝石店で売られているような、洗練されたデザインのものではなかった。
台座は銀色だが、少し歪な形をしている。
そして、中央に嵌め込まれているのは、ダイヤモンドやルビーではない。
透き通るような水色をした、不思議な輝きを放つ石だった。
その石の中には、まるで雪の結晶が閉じ込められているかのような、繊細な模様が浮かんでいる。
「これは……?」
「受け取ってほしい。……私が作った」
「えっ? レオン様が?」
「ああ。この数日、工房に籠もっていたのは、これを作っていたからだ」
彼は箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指にそっと通した。
サイズは驚くほどぴったりだった。
指にはめた瞬間、ヒヤリとした感触の後に、じんわりとした温もりが広がり、私の身体を薄い膜で包み込むような感覚があった。
「その石は、『氷魔石』と言ってな。私の魔力を極限まで圧縮して結晶化させたものだ。本来なら触れたものを凍らせる危険な石だが、君の魔力と調和するように調整してある」
彼は自分の作品を説明しながら、私の指を見つめた。
「この指輪には、二つの機能を組み込んだ。一つは、強力な防御結界だ。君に物理的な衝撃や、悪意ある魔法が向けられた時、自動的に氷の盾が展開される」
「すごい……」
「もう一つは、通信機能だ。君がこの石に触れて私の名を呼べば、どこにいても私の声が届くし、君の居場所も分かる。……つまり、君がピンチの時は、私が即座に駆けつけられるということだ」
「レオン様……」
私は胸がいっぱいになった。
彼が工房に籠もって作っていたのは、兵器なんかじゃなかった。
私を守るための、私専用の最強の護符だったのだ。
「正直、デザインは不格好だろう? 彫金など初めてやったもので、思うようにいかなくてな。王都の一流職人が作ったものに比べれば、見劣りするのは分かっている。ロゼに頼めばもっと美しいものができただろうが……」
彼は恥ずかしそうに頬を掻いた。
確かに、台座の装飾は少し歪んでいるし、表面の磨きも完璧とは言えないかもしれない。
でも、私にはこれが、世界中のどんな宝石よりも美しく見えた。
彼が、慣れない手つきでヤスリをかけ、何度も失敗しながら、私のためだけに削り出してくれた指輪。
その時間と想いが、何よりも愛おしい。
「いいえ、レオン様。……これがいいです」
私は指輪を胸に抱きしめた。
「世界で一番、素敵な指輪です。だって、貴方の愛が詰まっているんですもの」
「エルナ……」
「形が歪んでいるところも、全部好きです。貴方が私のことを想って、一生懸命作ってくださった証拠ですから」
私が微笑むと、レオン様の緊張が解け、安堵の笑みが広がった。
そして、彼は私を強く抱きしめた。
「よかった……。気に入ってもらえるか、不安だったんだ」
「ふふっ、公爵様ともあろうお方が、そんなに自信がなかったのですか?」
「君に関することになると、私はただの臆病な男になってしまうらしい」
彼は私の耳元で囁いた。
「この指輪は、誓いだ。エルナ、君を一生守り抜くという、私の魂を込めた契約だ。……どうか、ずっと着けていてほしい」
「はい。外しません。お風呂の時も、寝る時も」
「あー……寝る時は外してもいいぞ? 寝返りを打って顔に当たったら痛いからな」
「もう、ムードがないんですから」
私たちは笑い合い、そして自然に唇を重ねた。
冷たい夜風の中で交わす口付けは、指輪の石のように透き通っていて、それでいて溶けるほどに熱かった。
左手の薬指で、水色の石がキラリと光る。
それは私の、新しい誇りだった。
***
翌日。
私はさっそく、城の使用人たちに指輪を自慢して回ってしまった。
普段は控えめな私だが、今回ばかりは嬉しさを抑えきれなかったのだ。
「まあ! 素敵ですわ、エルナ様!」
「旦那様の手作り!? あの不器用そうな旦那様が!?」
「愛ですねぇ……ヒューヒュー!」
メイドたちは黄色い声を上げて祝福してくれた。
特にマーサさんは、「あの旦那様が、人を喜ばせるために物作りをするなんて……成長なさいましたね」と、まるで母親のように目を細めていた。
そんな幸せな空気に浸っていると、セバスチャンが少し慌てた様子でやってきた。
「旦那様、エルナ様。……少々、厄介なお客様がいらっしゃいました」
「厄介な客?」
レオン様が眉をひそめる。
ガストンたちを追い返してからまだ数日だ。
また王都からの使者だろうか。
「いえ、王都からではありません。……隣領の、バーンスタイン辺境伯のご子息です」
「バーンスタイン? ああ、あの『筋肉馬鹿』か」
レオン様が心底嫌そうな顔をした。
筋肉馬鹿? 辺境伯のご子息にそんなあだ名をつけるなんて。
「彼が、エルナ様の噂を聞きつけて、ぜひ一目お会いしたいと」
「断れ。エルナは忙しい」
「それが……『会わせてくれるまで城門の前でスクワットをし続ける』と言って聞かないのです。すでに三百回を超えており、衛兵たちが困惑しております」
「……は?」
私も耳を疑った。
スクワット? 城門の前で?
「放っておけ。疲れたら帰るだろう」
「いえ、彼は『一万回まではウォーミングアップだ』と豪語しておりまして……。このままでは城門前の景観が損なわれますし、他の来客の妨げにもなります」
セバスチャンの報告に、レオン様は深いため息をついた。
「あの暑苦しい男が……。私の静かな城をジムにするつもりか」
「レオン様、お知り合いなのですか?」
「幼馴染だ。……腐れ縁というやつだな。脳みそまで筋肉でできているような男だが、悪人ではない。ただ、猛烈に暑苦しい」
レオン様は立ち上がった。
「仕方ない。追い払いに行くぞ。エルナ、君は後ろに下がっていてくれ。彼の熱気にあてられると火傷する」
***
城門へ向かうと、そこには異様な光景が広がっていた。
吹雪が吹き荒れる中、上半身裸のマッチョな男性が、ものすごいスピードでスクワットを繰り返していたのだ。
彼の周囲だけ雪が溶け、湯気が立ち上っている。
「ぬん! ふん! ぬん! あと五千回!」
褐色の肌、燃えるような赤髪、そして丸太のように太い腕。
見るからに「剛の者」という風貌だ。
「おい、ロベルト! 私の城の前で服を脱ぐな! 変質者だと思われるだろうが!」
レオン様が怒鳴ると、その男――ロベルトはピタリと動きを止め、爽やかな笑顔(歯がキラーンと光った気がする)で振り返った。
「おお! レオンハルト! 久しぶりだな! 元気そうで何よりだ! どうだ、一緒にマッスルしないか?」
「するわけがあるか。何の用だ」
「いやあ、噂を聞いてな! お前の城に『女神』が舞い降りたと! お前の凍りついた心を溶かし、死の大地を楽園に変えた奇跡の聖女! 俺もぜひ拝ませてもらおうと思ってな!」
ロベルトの声量は凄まじく、空気がビリビリと震えるほどだ。
彼は私の姿を見つけると、目を輝かせて駆け寄ってきた。
「む! そちらの可憐なお嬢さんがそうか!?」
「ひっ……」
あまりの迫力に、私は思わずレオン様の後ろに隠れてしまった。
この人、レオン様とは別のベクトルで「圧」がすごい。
「ロベルト、近づくな。エルナが怖がっている」
レオン様が氷の壁を作って彼を遮る。
「おおっと、すまない! 俺のパッションが溢れ出てしまったようだ! 俺はロベルト・バーンスタイン! 隣の領地を守る『炎の守護者』だ! よろしく頼む!」
彼は氷の壁越しに、暑苦しいほどの笑顔で自己紹介した。
「は、はい……エルナです。よろしくお願いいたします」
「うむ! いい声だ! 腹から声が出ている証拠だ!」
出てないと思います。
「それで、用件は挨拶だけか? なら帰れ」
レオン様が冷たくあしらう。
しかし、ロベルトは真面目な顔になり、氷の壁をゴンと叩いた。
「いや、実は忠告に来たんだ」
「忠告?」
「ああ。……王都の方から、嫌な『臭い』がしてな。俺の野生の勘が言っている。お前のところに、デカい厄介事が向かってきてるぞ」
ロベルトの表情から、先ほどまでの陽気さが消えていた。
野生の勘、という言葉は非科学的だが、彼のような実力者が言うと妙な説得力がある。
「王都軍の動きが怪しい。国境付近に兵を集めているようだ。名目は『魔獣討伐』だが、どう見ても矛先は北……つまりここだ」
レオン様の目が鋭く細められた。
ついに、カイル殿下は軍を動かそうとしているのか。
「お前一人なら心配はしねぇが、今は守るべき姫さんがいるんだろ? ……何かあったら呼べよ。俺の筋肉はいつでも貸してやる」
ロベルトはニッと笑い、親指を立てた。
「筋肉はともかく、その戦力は当てにさせてもらおうか」
レオン様も口元を緩めた。
どうやら二人の間には、言葉以上の信頼関係があるようだ。
「氷の魔公爵」と「炎の筋肉辺境伯」。
属性は真逆だが、意外といいコンビなのかもしれない。
「よし! 用件は伝えた! 俺は帰る! 帰りはランニングだ!」
ロベルトはそう言うと、猛然と雪の中を走り去っていった。
嵐のように現れ、嵐のように去っていく男だ。
「……騒がしい奴だ」
レオン様はため息をついたが、その手は私の肩を優しく抱いていた。
「だが、情報は有益だったな。王都が武力行使に出るつもりなら、こちらも相応の準備が必要だ」
彼は私の左手を取り、指輪に口付けた。
「エルナ。この指輪の出番が来ないことを祈るが……もしもの時は、迷わず私を呼べ。いいな?」
「はい、レオン様」
指輪の石が、心なしか強く輝いた気がした。
迫りくる脅威の足音。
けれど、私にはレオン様がいる。
そして、この最強の指輪と、頼もしい(暑苦しいけれど)味方もいそうだ。
私は不安を飲み込み、彼の手を強く握り返した。
私たちの幸せなスローライフを守るための戦いが、静かに近づいていた。
(第11話 完)
アイスバーン城は、かつてないほどの活気に包まれていた。
収穫されたばかりの新鮮な野菜や穀物が運び込まれ、厨房からは一日中、美味しそうな匂いが漂っている。
使用人たちの表情も明るく、すれ違うたびに「エルナ様、ありがとうございます!」「今朝のサラダも最高でした!」と声をかけてくれる。
城下町でも「エルナ様野菜」は大評判で、わざわざ遠方の村から買いに来る人もいるほどだという。
私のやったことが、こうして目に見える形で人々の幸せに繋がっている。
それは聖女として、何よりの喜びだった。
ただ、一つだけ気がかりなことがあった。
「……レオン様、また工房に籠もっていらっしゃるの?」
昼下がり、私は執事のセバスチャンに尋ねた。
ここ数日、レオン様の姿を見る時間が減っていたのだ。
朝食と夕食は必ず一緒にとるし、夜寝る前の「魔力補充タイム(という名のイチャイチャ)」も欠かさないのだが、日中の執務時間になると、彼はそそくさと城の地下にある工房へと消えてしまう。
「はい、エルナ様。旦那様は『極めて重要な任務がある』と仰って、関係者以外立ち入り禁止にしておられます」
セバスチャンは困ったように眉を下げた。
「重要な任務……領地の防衛に関することでしょうか? 王都の動きも不穏ですし」
「さあ、私にも詳しくは……。ただ、時折工房から、何かを削るような音や、小さな爆発音が聞こえてくるのですが」
「爆発音!?」
「ご安心ください、小規模なものです。お怪我はないようですが、何やら熱心に取り組んでおられるご様子で」
私は不安になった。
もしかして、王都からの干渉に対抗するために、危険な兵器でも開発しているのではないだろうか。
カイル殿下が調査団を派遣したという情報は入っているし、レオン様が過剰防衛に走る可能性は否定できない。
「……少し、様子を見てきてもいいかしら」
「エルナ様が行かれるのでしたら、旦那様もお喜びになるでしょう。差し入れの紅茶をお持ちしますか?」
「ええ、お願いします」
***
私はセバスチャンから紅茶のセットを受け取り、地下への階段を降りた。
ひんやりとした空気が漂う地下通路の奥に、重厚な鉄の扉がある。
そこが、レオン様のプライベート工房だ。
普段は魔道具のメンテナンスや、氷魔法の研究に使っている場所らしい。
扉の前まで来ると、中から「くそっ、また割れたか……」「繊細すぎるんだよ、この素材は……」という、レオン様のブツブツ言う声が聞こえてきた。
やはり、何か手こずっているようだ。
コンコン、とノックをする。
「レオン様、エルナです。紅茶をお持ちしました」
「うわっ!?」
中でガシャン!と何かが落ちる音がした。
続いて、ドタバタと慌てる足音が響き、扉が少しだけ開いた。
「エ、エルナか。どうした、こんなところまで」
隙間から顔を出したレオン様は、いつもの涼やかな公爵様の姿ではなかった。
髪は少しボサボサで、頬には煤のような黒い汚れがついている。
シャツの袖を捲り上げ、手にはヤスリのような工具を持っていた。
「レオン様、お顔が汚れていますよ。……一体、何をなさっているのですか?」
「い、いや、なんでもない。ちょっとした実験だ。危ないから、君は入ってはいけない」
彼は頑なに扉を開けようとしない。
その態度は、どう見ても怪しい。
まさか、本当に危険な兵器を? それとも、私には見せられないような禁断の魔術実験でも?
「……隠し事ですか? 私たちは共犯者ではなかったのですか?」
私は少し寂しそうな顔を作ってみせた。
これはミューアがよく使っていた手口だが、レオン様には効果てきめんだと分かっている。
「っ……! ち、違うんだ、エルナ。君を仲間外れにしようとしているわけではない」
彼は狼狽え、視線を泳がせた。
「ただ、これは……まだ完成していないんだ。未完成のものを見せるのは、アイスバーン家の美学に反する」
「完成したら、見せてくださいますか?」
「ああ、もちろん。一番最初に君に見せる」
「……分かりました。では、お茶だけ置いていきますね。あまり根を詰めすぎないでください」
私は無理に踏み込まず、紅茶のトレイを手渡した。
彼がそこまで言うなら、信じて待とう。
レオン様が私の不利益になることをするはずがないのだから。
「ありがとう、エルナ。……愛しているよ」
彼は扉の隙間から、私の頬に素早くキスをした。
そして、逃げるようにバタンと扉を閉めた。
「……もう」
私は閉ざされた扉を見つめ、小さく笑ってしまった。
頬についた煤を拭いながら、思う。
あの汚れ方、そして必死な表情。
兵器開発というよりは、まるで工作に熱中する少年のようだった。
***
それから三日後。
夕食を終えた後、私はレオン様に誘われて、城の最上階にあるバルコニーへ出ていた。
今夜は雲ひとつない快晴で、満天の星空が広がっている。
空気は冷たいけれど、レオン様が事前に張ってくれた保温結界のおかげで、バルコニーは春の夜風のように快適だった。
「星が綺麗ですね」
私が手すりにもたれて空を見上げると、隣に立ったレオン様が同意した。
「ああ。北の空は空気が澄んでいるから、星がよく見える。……君の瞳のようだ」
「また、そんな歯の浮くようなセリフを」
「本心だ。君を見ていると、宇宙の神秘を感じる」
彼は真顔で言うので、照れるのを通り越して感心してしまう。
この人の溺愛フィルターは、どの星よりも分厚いに違いない。
「エルナ、手を出してくれ」
不意に、彼が言った。
その声が少し震えていることに気づき、私は彼の方を向いた。
月明かりの下、レオン様の表情は緊張で強張っていた。
あの、ガストンや魔獣を前にしても眉一つ動かさなかった氷の公爵様が、まるで告白前の少年のように固くなっている。
「はい……」
私が右手を差し出すと、彼は自分のポケットから、小さなベルベットの箱を取り出した。
パカッ、と箱が開かれる。
中に入っていたのは、指輪だった。
しかし、それは王都の宝石店で売られているような、洗練されたデザインのものではなかった。
台座は銀色だが、少し歪な形をしている。
そして、中央に嵌め込まれているのは、ダイヤモンドやルビーではない。
透き通るような水色をした、不思議な輝きを放つ石だった。
その石の中には、まるで雪の結晶が閉じ込められているかのような、繊細な模様が浮かんでいる。
「これは……?」
「受け取ってほしい。……私が作った」
「えっ? レオン様が?」
「ああ。この数日、工房に籠もっていたのは、これを作っていたからだ」
彼は箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指にそっと通した。
サイズは驚くほどぴったりだった。
指にはめた瞬間、ヒヤリとした感触の後に、じんわりとした温もりが広がり、私の身体を薄い膜で包み込むような感覚があった。
「その石は、『氷魔石』と言ってな。私の魔力を極限まで圧縮して結晶化させたものだ。本来なら触れたものを凍らせる危険な石だが、君の魔力と調和するように調整してある」
彼は自分の作品を説明しながら、私の指を見つめた。
「この指輪には、二つの機能を組み込んだ。一つは、強力な防御結界だ。君に物理的な衝撃や、悪意ある魔法が向けられた時、自動的に氷の盾が展開される」
「すごい……」
「もう一つは、通信機能だ。君がこの石に触れて私の名を呼べば、どこにいても私の声が届くし、君の居場所も分かる。……つまり、君がピンチの時は、私が即座に駆けつけられるということだ」
「レオン様……」
私は胸がいっぱいになった。
彼が工房に籠もって作っていたのは、兵器なんかじゃなかった。
私を守るための、私専用の最強の護符だったのだ。
「正直、デザインは不格好だろう? 彫金など初めてやったもので、思うようにいかなくてな。王都の一流職人が作ったものに比べれば、見劣りするのは分かっている。ロゼに頼めばもっと美しいものができただろうが……」
彼は恥ずかしそうに頬を掻いた。
確かに、台座の装飾は少し歪んでいるし、表面の磨きも完璧とは言えないかもしれない。
でも、私にはこれが、世界中のどんな宝石よりも美しく見えた。
彼が、慣れない手つきでヤスリをかけ、何度も失敗しながら、私のためだけに削り出してくれた指輪。
その時間と想いが、何よりも愛おしい。
「いいえ、レオン様。……これがいいです」
私は指輪を胸に抱きしめた。
「世界で一番、素敵な指輪です。だって、貴方の愛が詰まっているんですもの」
「エルナ……」
「形が歪んでいるところも、全部好きです。貴方が私のことを想って、一生懸命作ってくださった証拠ですから」
私が微笑むと、レオン様の緊張が解け、安堵の笑みが広がった。
そして、彼は私を強く抱きしめた。
「よかった……。気に入ってもらえるか、不安だったんだ」
「ふふっ、公爵様ともあろうお方が、そんなに自信がなかったのですか?」
「君に関することになると、私はただの臆病な男になってしまうらしい」
彼は私の耳元で囁いた。
「この指輪は、誓いだ。エルナ、君を一生守り抜くという、私の魂を込めた契約だ。……どうか、ずっと着けていてほしい」
「はい。外しません。お風呂の時も、寝る時も」
「あー……寝る時は外してもいいぞ? 寝返りを打って顔に当たったら痛いからな」
「もう、ムードがないんですから」
私たちは笑い合い、そして自然に唇を重ねた。
冷たい夜風の中で交わす口付けは、指輪の石のように透き通っていて、それでいて溶けるほどに熱かった。
左手の薬指で、水色の石がキラリと光る。
それは私の、新しい誇りだった。
***
翌日。
私はさっそく、城の使用人たちに指輪を自慢して回ってしまった。
普段は控えめな私だが、今回ばかりは嬉しさを抑えきれなかったのだ。
「まあ! 素敵ですわ、エルナ様!」
「旦那様の手作り!? あの不器用そうな旦那様が!?」
「愛ですねぇ……ヒューヒュー!」
メイドたちは黄色い声を上げて祝福してくれた。
特にマーサさんは、「あの旦那様が、人を喜ばせるために物作りをするなんて……成長なさいましたね」と、まるで母親のように目を細めていた。
そんな幸せな空気に浸っていると、セバスチャンが少し慌てた様子でやってきた。
「旦那様、エルナ様。……少々、厄介なお客様がいらっしゃいました」
「厄介な客?」
レオン様が眉をひそめる。
ガストンたちを追い返してからまだ数日だ。
また王都からの使者だろうか。
「いえ、王都からではありません。……隣領の、バーンスタイン辺境伯のご子息です」
「バーンスタイン? ああ、あの『筋肉馬鹿』か」
レオン様が心底嫌そうな顔をした。
筋肉馬鹿? 辺境伯のご子息にそんなあだ名をつけるなんて。
「彼が、エルナ様の噂を聞きつけて、ぜひ一目お会いしたいと」
「断れ。エルナは忙しい」
「それが……『会わせてくれるまで城門の前でスクワットをし続ける』と言って聞かないのです。すでに三百回を超えており、衛兵たちが困惑しております」
「……は?」
私も耳を疑った。
スクワット? 城門の前で?
「放っておけ。疲れたら帰るだろう」
「いえ、彼は『一万回まではウォーミングアップだ』と豪語しておりまして……。このままでは城門前の景観が損なわれますし、他の来客の妨げにもなります」
セバスチャンの報告に、レオン様は深いため息をついた。
「あの暑苦しい男が……。私の静かな城をジムにするつもりか」
「レオン様、お知り合いなのですか?」
「幼馴染だ。……腐れ縁というやつだな。脳みそまで筋肉でできているような男だが、悪人ではない。ただ、猛烈に暑苦しい」
レオン様は立ち上がった。
「仕方ない。追い払いに行くぞ。エルナ、君は後ろに下がっていてくれ。彼の熱気にあてられると火傷する」
***
城門へ向かうと、そこには異様な光景が広がっていた。
吹雪が吹き荒れる中、上半身裸のマッチョな男性が、ものすごいスピードでスクワットを繰り返していたのだ。
彼の周囲だけ雪が溶け、湯気が立ち上っている。
「ぬん! ふん! ぬん! あと五千回!」
褐色の肌、燃えるような赤髪、そして丸太のように太い腕。
見るからに「剛の者」という風貌だ。
「おい、ロベルト! 私の城の前で服を脱ぐな! 変質者だと思われるだろうが!」
レオン様が怒鳴ると、その男――ロベルトはピタリと動きを止め、爽やかな笑顔(歯がキラーンと光った気がする)で振り返った。
「おお! レオンハルト! 久しぶりだな! 元気そうで何よりだ! どうだ、一緒にマッスルしないか?」
「するわけがあるか。何の用だ」
「いやあ、噂を聞いてな! お前の城に『女神』が舞い降りたと! お前の凍りついた心を溶かし、死の大地を楽園に変えた奇跡の聖女! 俺もぜひ拝ませてもらおうと思ってな!」
ロベルトの声量は凄まじく、空気がビリビリと震えるほどだ。
彼は私の姿を見つけると、目を輝かせて駆け寄ってきた。
「む! そちらの可憐なお嬢さんがそうか!?」
「ひっ……」
あまりの迫力に、私は思わずレオン様の後ろに隠れてしまった。
この人、レオン様とは別のベクトルで「圧」がすごい。
「ロベルト、近づくな。エルナが怖がっている」
レオン様が氷の壁を作って彼を遮る。
「おおっと、すまない! 俺のパッションが溢れ出てしまったようだ! 俺はロベルト・バーンスタイン! 隣の領地を守る『炎の守護者』だ! よろしく頼む!」
彼は氷の壁越しに、暑苦しいほどの笑顔で自己紹介した。
「は、はい……エルナです。よろしくお願いいたします」
「うむ! いい声だ! 腹から声が出ている証拠だ!」
出てないと思います。
「それで、用件は挨拶だけか? なら帰れ」
レオン様が冷たくあしらう。
しかし、ロベルトは真面目な顔になり、氷の壁をゴンと叩いた。
「いや、実は忠告に来たんだ」
「忠告?」
「ああ。……王都の方から、嫌な『臭い』がしてな。俺の野生の勘が言っている。お前のところに、デカい厄介事が向かってきてるぞ」
ロベルトの表情から、先ほどまでの陽気さが消えていた。
野生の勘、という言葉は非科学的だが、彼のような実力者が言うと妙な説得力がある。
「王都軍の動きが怪しい。国境付近に兵を集めているようだ。名目は『魔獣討伐』だが、どう見ても矛先は北……つまりここだ」
レオン様の目が鋭く細められた。
ついに、カイル殿下は軍を動かそうとしているのか。
「お前一人なら心配はしねぇが、今は守るべき姫さんがいるんだろ? ……何かあったら呼べよ。俺の筋肉はいつでも貸してやる」
ロベルトはニッと笑い、親指を立てた。
「筋肉はともかく、その戦力は当てにさせてもらおうか」
レオン様も口元を緩めた。
どうやら二人の間には、言葉以上の信頼関係があるようだ。
「氷の魔公爵」と「炎の筋肉辺境伯」。
属性は真逆だが、意外といいコンビなのかもしれない。
「よし! 用件は伝えた! 俺は帰る! 帰りはランニングだ!」
ロベルトはそう言うと、猛然と雪の中を走り去っていった。
嵐のように現れ、嵐のように去っていく男だ。
「……騒がしい奴だ」
レオン様はため息をついたが、その手は私の肩を優しく抱いていた。
「だが、情報は有益だったな。王都が武力行使に出るつもりなら、こちらも相応の準備が必要だ」
彼は私の左手を取り、指輪に口付けた。
「エルナ。この指輪の出番が来ないことを祈るが……もしもの時は、迷わず私を呼べ。いいな?」
「はい、レオン様」
指輪の石が、心なしか強く輝いた気がした。
迫りくる脅威の足音。
けれど、私にはレオン様がいる。
そして、この最強の指輪と、頼もしい(暑苦しいけれど)味方もいそうだ。
私は不安を飲み込み、彼の手を強く握り返した。
私たちの幸せなスローライフを守るための戦いが、静かに近づいていた。
(第11話 完)
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