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第23話 国境にて。元婚約者との再会はお断りします
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王都での騒乱を鎮め、私たちがあのアイスバーン城に帰還してから、二週間が経過した。
北の地は、相変わらずの極寒だ。
けれど、城の中は春のように暖かい。
物理的な暖房設備のおかげもあるけれど、それ以上に、ここに住む人々の笑顔と、隣にいる愛しい人の存在が、私の心をポカポカに温めてくれているからだ。
「……エルナ、こっちへ」
朝食を終えた後のサンルーム。
私が紅茶を飲んでいると、向かいのソファで読書をしていたレオン様が、本を置いて手招きをした。
私がそばに行くと、彼は当然のように私の腰を引き寄せ、膝の上に乗せた。
最近の公爵様は、私のことを椅子か抱き枕だと思っている節がある。
「レオン様、行儀が悪いですわ。誰かが見たらどうするのですか」
「構わん。ここは私の城で、君は私の婚約者だ。……それに、今日はまだ『エルナ成分』が足りていない」
彼は私の首筋に顔を埋め、深々と息を吸い込んだ。
氷の呪いが解けて以来、彼のスキンシップ欲求は留まるところを知らない。
以前は「触れれば凍らせてしまう」という恐怖から自制していた反動なのだろうか。
甘えられるのは嬉しいけれど、このままでは私がダメ人間になってしまいそうだ。
「そういえば、レオン様。農場のハンスさんから報告がありました。新しい温室の増設が完了したそうです。『聖女様トマト』の出荷も順調だと」
「ああ、聞いている。……あのトマト、王都の商人たちが金貨の山を積んで買いに来ているらしいな」
「ええ。美容と健康に良いと評判ですから」
平和な会話。
王都での激しい戦いが嘘のような、穏やかな日常。
バルドス元宰相やカイル殿下たちが捕まり、国が正常化に向かっているという報告は受けている。
もう、私たちを脅かすものは何もない――はずだった。
「失礼いたします」
穏やかな空気を破るように、執事のセバスチャンが現れた。
その表情は、いつもの冷静沈着なものではなく、少しばかり「呆れ」と「不快感」が混じったような、微妙なものだった。
「旦那様、エルナ様。……少々、耳障りな報告がございます」
「なんだ? またロベルトが城壁で懸垂でも始めたか?」
「いえ、筋肉辺境伯様ではありません。……領地の南端、王都へと続く国境検問所より、早馬が届きました」
セバスチャンは一枚の書状を差し出した。
そこには、見覚えのある王家の紋章と、教会の聖印が押されていた。
「王都からの使節団が、国境に到着したそうです。『聖女エルナの即時返還』を求めて、座り込みを行っているとか」
「……は?」
私とレオン様は同時に声を上げた。
「返還、だと? エルナはモノではないぞ」
レオン様の瞳から、スッと甘い色が消え、氷の冷たさが戻る。
部屋の温度が数度下がった気がした。
「彼らの言い分によりますと、『前回の王都訪問は非公式なものであり、正式な手続きを経ていない。国王陛下の御名において、聖女エルナとの面会と、王都への帰還を命じる』とのことです」
「……まだ懲りていないのか、あの連中は」
レオン様は吐き捨てるように言った。
確かに、私たちは王都を救った後、さっさと帰ってきてしまった。
事後処理は貴族評議会に丸投げした形だ。
彼らにとってみれば、「最強の兵器(聖女)」をみすみす手放したことが、惜しくてたまらないのだろう。
「使節団の代表は?」
「教会本部の枢機卿と、近衛騎士団の新団長です。……それと、何やら『特別な魔導具』を持参しているようで、『これを使えばエルナ様も戻る気になるはずだ』と豪語しているそうです」
特別な魔導具?
嫌な予感がする。
ろくなものではないに決まっている。
「……追い返せ。氷漬けにされたくなければ失せろと伝えろ」
レオン様が即決したが、私は少し考え込んだ。
「待ってください、レオン様」
「エルナ? まさか、会うつもりか?」
「ええ。……彼らが諦めない限り、何度でも来るでしょう。それに、その『魔導具』とやらが気になります」
私は立ち上がり、スカートの埃を払った。
「ハッキリと断絶を宣言して差し上げましょう。……ここが私の居場所であり、二度とあちら側へは戻らないと」
私の決意に、レオン様は少し眩しそうな目を向け、それからニヤリと笑った。
「分かった。君がそう言うなら付き合おう。……ただし、私の目の届く範囲でな。変な虫がつかないように」
***
私たちは再び氷竜に乗り、領地の南端にある国境検問所へと向かった。
そこは、北の山脈を越える峠道にある要塞で、普段は商人たちの往来で賑わう場所だ。
しかし今日は、物々しい雰囲気に包まれていた。
検問所の前には、王家の紋章を掲げた豪華な馬車と、数十名の騎士たちが陣取っていた。
それを取り囲むように、アイスバーン領の警備兵たちが槍を構えている。
一触即発の空気だ。
私たちが空から降り立つと、王都の使節団たちは一斉にざわめいた。
「おお! 見ろ! 聖女様だ!」
「氷竜に乗って現れるとは、なんと神々しい……」
彼らの目は、かつて私に向けられていた侮蔑のそれではない。
崇拝と、そして欲望――「利用価値のある道具」を見る目だった。
「お待ちしておりました、エルナ様!」
進み出てきたのは、金糸の刺繍が入った法衣を着た初老の男だった。
教会本部の枢機卿、メイスンだ。
王都にいた頃は、私のことなど歯牙にもかけず、ミューアばかりを可愛がっていた人物である。
「ご無沙汰しております、メイスン枢機卿。……こんな辺境まで、何の御用でしょうか?」
私が冷ややかに尋ねると、彼は満面の(胡散臭い)笑みを浮かべてお辞儀をした。
「ご無沙汰などと! 我々は一日千秋の思いで、貴女様の帰還をお待ちしておりましたぞ! 先日の王都浄化の奇跡、まことに素晴らしかった! あれこそ真の聖女の御業!」
彼は大げさに手を広げた。
「さあ、エルナ様。帰りましょう。王都の民が、教会が、そして国が貴女様を求めております! 今戻られれば、これまでの非礼を詫び、最高位の『大聖女』の称号をご用意いたしますぞ!」
「……お断りします」
私は即答した。
間髪入れない拒絶に、メイスン枢機卿の笑顔が凍りついた。
「は、はい? い、今なんと……」
「お断りすると申し上げました。私はアイスバーン公爵家の婚約者です。王都へ戻るつもりはありません」
「そ、そんな! ですが、貴女様は国の宝! このような何もない雪国で一生を終えるなど、才能の損失です!」
「何もない?」
隣に立っていたレオン様が、低い声で割り込んだ。
周囲の気温が急激に下がる。
「私の領地が『何もない』だと? ……貴様らの腐った王都より、よほど豊かで美しい場所だが」
「ひっ……! こ、公爵閣下……!」
メイスン枢機卿はレオン様の威圧感に縮み上がったが、それでも食い下がった。
彼らにも、手ぶらで帰れない事情があるのだろう。
聖女を連れ戻せなければ、彼らの地位も危ういのだ。
「も、もちろん公爵閣下の領地も素晴らしいですが! しかし、エルナ様にはもっとふさわしい場所があるのです! それに……」
彼は懐から、豪奢な装飾が施された手鏡のようなものを取り出した。
これが、セバスチャンの言っていた「魔導具」だろうか。
「エルナ様。貴女様が頑ななのは、過去の出来事に心を痛めておられるからでしょう。……ですが、人は過ちを犯すものです。そして、それを悔い改める心も持っています」
彼は芝居がかった口調で言った。
「この『真実の鏡』を通して、ある方からのメッセージをお持ちしました。……貴女様が、かつて心から愛したあの方からの、魂の叫びを」
「あの方……?」
嫌な予感しかしない。
メイスン枢機卿が鏡に魔力を流すと、鏡面が波打ち、そこに映像が浮かび上がった。
映し出されたのは、薄暗い部屋――牢獄だった。
鉄格子の向こうに、一人の男が座っている。
やつれて、髭も伸び放題だが、その顔立ちは見覚えがありすぎた。
「……カイル殿下」
そう、元婚約者、カイル・ルミナスだった。
彼はカメラ(魔法の視点)に気づくと、縋るように鉄格子に駆け寄ってきた。
『エ、エルナ! そこにいるのか!? エルナ!』
鏡の中から、彼の必死な声が響く。
レオン様が不快そうに眉をひそめ、私の肩を抱く手に力を込めた。
『エルナ、すまなかった! 私が悪かった! 魔が差していたんだ! ミューアに騙されていたんだよ!』
カイル殿下は涙ながらに訴え始めた。
『あの牢獄の中で、私は毎日反省している! 君が作ってくれた刺繍入りのハンカチを握りしめて、君との楽しかった日々を思い出しているんだ! ああ、どうして私は君を捨てたりしたんだろう!』
白々しい。
刺繍入りのハンカチ?
そんなもの、あげた覚えはない。
おそらく、私が公務で忙しい時に、侍女に作らせたものを適当に渡しただけだろう。
彼はそれすら覚えていないのだ。
『エルナ、戻ってきてくれ! 君がいないとダメなんだ! 評議会の連中がうるさいし、食事は不味いし、寒くて眠れない! 君が戻ってきて、私をここから出してくれれば、すぐに君を王妃にする!』
彼は一方的に捲し立てる。
『愛しているんだ、エルナ! 君もまだ、私を愛しているだろう!? あんな田舎の化け物公爵なんかより、煌びやかな王城での生活の方がいいに決まっている! さあ、今すぐ頷いてくれ! そうすれば全て元通りだ!』
「……」
私は無言で鏡を見つめていた。
怒り? 悲しみ?
いいえ。私が感じたのは、ただひたすらに「無」だった。
かつて、この人の言葉一つに一喜一憂していた自分が、遠い他人のように思える。
今の私にとって、彼の言葉は、風の音よりも意味を持たない雑音でしかなかった。
「……終わりましたか?」
私が静かに尋ねると、メイスン枢機卿は「へ?」と間抜けな声を出した。
「い、いかがですかエルナ様! 殿下のこの憔悴ぶり! そして愛の告白! 女心に響くものがございましょう!?」
「響きませんね。騒音でしかありません」
私は冷たく切り捨てた。
「それに、勘違いなさっているようですが……私は彼を愛していたのではありません。王家の定めた婚約者として、義務を果たそうとしていただけです」
『な、なんだと……!?』
鏡の中のカイル殿下が絶句する。
「私を愛している? 笑わせないでください。貴方が愛しているのは、『自分に尽くしてくれる便利な道具』としての私でしょう? 私が聖女でなくなれば、またすぐに捨てるくせに」
「そ、そんなことは……!」
「ありますよ。貴方はそういう人です。……そして、私はもう貴方の道具ではありません」
私はレオン様を見上げ、彼の手を握った。
「私は、レオンハルト様の婚約者です。彼だけが、私を『エルナ』として愛してくれました。聖女の力があろうとなかろうと、私という人間を見てくれました」
レオン様が優しく微笑み、私の手を握り返す。
その温もりだけが、私にとっての真実だ。
「……というわけです、メイスン枢機卿。その鏡、お返しします」
「ま、待ってください! 王命なのですぞ! 陛下も『エルナを連れ戻せ』と……!」
枢機卿は焦って、さらなるカードを切ろうとした。
「国王陛下のお言葉ですか? ……病床の陛下が、本当にそのようなことを?」
「そ、そうですとも! 意識を取り戻された陛下が、涙ながらに……」
「嘘をつくな」
レオン様が冷徹に告げた。
その声には、絶対的な確信があった。
「王都のセバスチャンの情報網によれば、国王はまだ意識不明のままだ。……評議会と教会が、勝手に王の名を騙っているだけだろう」
「うぐっ……!」
図星だったようだ。
枢機卿は脂汗を流して狼狽えた。
「王の名を騙り、私の婚約者を誘拐しようとした罪。……聖職者といえど、ただでは済まさんぞ」
レオン様が一歩前に出た。
地面から氷の棘が突き出し、使節団を取り囲む。
「ひぃぃぃ! お、お許しを! 我々も必死だったのです! 国が……国が立ち行かないのです!」
枢機卿はその場に土下座した。
騎士たちも武器を捨てて震えている。
「エルナ様がいなくなってから、浄化されたはずの水が、また少し濁り始めました……。結界は維持されていますが、人々の不安は消えません。やはり、生きた聖女様がいなければ、この国は……!」
彼らの訴えは、身勝手極まりない。
けれど、そこには切実な弱さもあった。
私は深いため息をついた。
「……レオン様」
「なんだ、エルナ。情けをかけるつもりか?」
「いいえ。……ただ、彼らに引導を渡してあげようと思いまして」
私はメイスン枢機卿の前に立った。
「戻ることはありません。ですが、慈悲として一つだけ提案をしましょう」
「て、提案?」
「聖女に頼るのをやめなさい」
私はキッパリと言った。
「貴方たちは、いつまで誰かに守ってもらうつもりですか? 水が濁るなら、濾過の技術を磨きなさい。作物が育たないなら、土壌改良を研究しなさい。魔物が怖いなら、自分たちで剣を取りなさい」
「そ、そんな……魔法に頼らずに、どうやって……」
「北の民を見てみなさい。彼らは極寒の地で、魔法に頼りすぎることなく、知恵と努力で生きています。……貴方たちにもできるはずです」
私は北の空を指差した。
「聖女という『便利な蓋』がなくなった今こそ、貴方たちが自立する時です。……どうしても困った時は、対価を払って依頼なさい。商売としてなら、レオン様の許可を得て、力を貸してあげないこともありません」
「商売……!」
「ええ。安売りはしませんよ? 『エルナ様野菜』だって、高級品なんですからは」
私が悪戯っぽく笑うと、レオン様も楽しそうに吹き出した。
「ははっ! 言うようになったな、エルナ。……そうだ、我々は慈善事業団体ではない。救いが欲しければ、相応の対価を用意して出直してこい」
レオン様は指を鳴らした。
氷の棘が消え、代わりに冷たい突風が吹く。
「さあ、帰れ。……そしてカイルに伝えろ。『二度と私の妻の名を呼ぶな。次は鏡ごしでも凍らせる』とな」
『ひぃっ!』
鏡の中のカイル殿下が、怯えて画面から消えた(おそらく逃げた)。
魔導具の通信が切れる。
「……承知、いたしました」
メイスン枢機卿は、力なく項垂れた。
彼は悟ったのだ。
かつての従順な聖女はもういない。
ここにいるのは、北の地で強く美しく生まれ変わった、気高き公爵夫人なのだと。
使節団はすごすごと引き上げていった。
彼らの背中は小さく、そしてどこか吹っ切れたようにも見えた。
もう聖女には頼れない。自分たちでやるしかない。
その絶望が、いつか希望に変わることを、少しだけ祈ってあげよう。
「……終わったな」
レオン様が私の肩を抱いた。
「ええ。……これでもう、本当に未練はありません」
「よく言ったな。『聖女に頼るのをやめろ』か。……君らしい、厳しい優しさだ」
「優しさじゃありません。……ただ、私がいなくても生きていけるようになってくれないと、私が安心して幸せになれませんから」
私はレオン様の胸に顔を埋めた。
「私は、ここで貴方と生きていくんです。……過去に足を引っ張られたくありません」
「ああ。……私が君を離さない。過去からも、未来の不安からも、君を守り抜く」
レオン様は私の顎を持ち上げ、優しくキスをした。
国境の風は冷たいけれど、私たちの間には温かな春があった。
「帰ろう、エルナ。……ハンスが新しい野菜料理を試作して待っているそうだ」
「ふふっ、楽しみですね。……今夜はシチューにしましょうか」
私たちは手を繋ぎ、北へと歩き出した。
もう振り返ることはない。
私の前には、愛する人と、温かい我が家があるのだから。
こうして、元婚約者との(鏡越しの)再会劇は、私の完全勝利で幕を閉じた。
王都からの干渉も、これできっぱりと終わるだろう。
あとは、この北の地で、本当の幸せを育んでいくだけだ。
……と思っていたのだけれど。
人生というのは、そう簡単には平穏を許してくれないらしい。
数日後。
今度は王都からではなく、予想もしない方向から、新たな「珍客」がやってくることになる。
それは、レオン様の過去に関わる、ある人物で……?
(第23話 完)
北の地は、相変わらずの極寒だ。
けれど、城の中は春のように暖かい。
物理的な暖房設備のおかげもあるけれど、それ以上に、ここに住む人々の笑顔と、隣にいる愛しい人の存在が、私の心をポカポカに温めてくれているからだ。
「……エルナ、こっちへ」
朝食を終えた後のサンルーム。
私が紅茶を飲んでいると、向かいのソファで読書をしていたレオン様が、本を置いて手招きをした。
私がそばに行くと、彼は当然のように私の腰を引き寄せ、膝の上に乗せた。
最近の公爵様は、私のことを椅子か抱き枕だと思っている節がある。
「レオン様、行儀が悪いですわ。誰かが見たらどうするのですか」
「構わん。ここは私の城で、君は私の婚約者だ。……それに、今日はまだ『エルナ成分』が足りていない」
彼は私の首筋に顔を埋め、深々と息を吸い込んだ。
氷の呪いが解けて以来、彼のスキンシップ欲求は留まるところを知らない。
以前は「触れれば凍らせてしまう」という恐怖から自制していた反動なのだろうか。
甘えられるのは嬉しいけれど、このままでは私がダメ人間になってしまいそうだ。
「そういえば、レオン様。農場のハンスさんから報告がありました。新しい温室の増設が完了したそうです。『聖女様トマト』の出荷も順調だと」
「ああ、聞いている。……あのトマト、王都の商人たちが金貨の山を積んで買いに来ているらしいな」
「ええ。美容と健康に良いと評判ですから」
平和な会話。
王都での激しい戦いが嘘のような、穏やかな日常。
バルドス元宰相やカイル殿下たちが捕まり、国が正常化に向かっているという報告は受けている。
もう、私たちを脅かすものは何もない――はずだった。
「失礼いたします」
穏やかな空気を破るように、執事のセバスチャンが現れた。
その表情は、いつもの冷静沈着なものではなく、少しばかり「呆れ」と「不快感」が混じったような、微妙なものだった。
「旦那様、エルナ様。……少々、耳障りな報告がございます」
「なんだ? またロベルトが城壁で懸垂でも始めたか?」
「いえ、筋肉辺境伯様ではありません。……領地の南端、王都へと続く国境検問所より、早馬が届きました」
セバスチャンは一枚の書状を差し出した。
そこには、見覚えのある王家の紋章と、教会の聖印が押されていた。
「王都からの使節団が、国境に到着したそうです。『聖女エルナの即時返還』を求めて、座り込みを行っているとか」
「……は?」
私とレオン様は同時に声を上げた。
「返還、だと? エルナはモノではないぞ」
レオン様の瞳から、スッと甘い色が消え、氷の冷たさが戻る。
部屋の温度が数度下がった気がした。
「彼らの言い分によりますと、『前回の王都訪問は非公式なものであり、正式な手続きを経ていない。国王陛下の御名において、聖女エルナとの面会と、王都への帰還を命じる』とのことです」
「……まだ懲りていないのか、あの連中は」
レオン様は吐き捨てるように言った。
確かに、私たちは王都を救った後、さっさと帰ってきてしまった。
事後処理は貴族評議会に丸投げした形だ。
彼らにとってみれば、「最強の兵器(聖女)」をみすみす手放したことが、惜しくてたまらないのだろう。
「使節団の代表は?」
「教会本部の枢機卿と、近衛騎士団の新団長です。……それと、何やら『特別な魔導具』を持参しているようで、『これを使えばエルナ様も戻る気になるはずだ』と豪語しているそうです」
特別な魔導具?
嫌な予感がする。
ろくなものではないに決まっている。
「……追い返せ。氷漬けにされたくなければ失せろと伝えろ」
レオン様が即決したが、私は少し考え込んだ。
「待ってください、レオン様」
「エルナ? まさか、会うつもりか?」
「ええ。……彼らが諦めない限り、何度でも来るでしょう。それに、その『魔導具』とやらが気になります」
私は立ち上がり、スカートの埃を払った。
「ハッキリと断絶を宣言して差し上げましょう。……ここが私の居場所であり、二度とあちら側へは戻らないと」
私の決意に、レオン様は少し眩しそうな目を向け、それからニヤリと笑った。
「分かった。君がそう言うなら付き合おう。……ただし、私の目の届く範囲でな。変な虫がつかないように」
***
私たちは再び氷竜に乗り、領地の南端にある国境検問所へと向かった。
そこは、北の山脈を越える峠道にある要塞で、普段は商人たちの往来で賑わう場所だ。
しかし今日は、物々しい雰囲気に包まれていた。
検問所の前には、王家の紋章を掲げた豪華な馬車と、数十名の騎士たちが陣取っていた。
それを取り囲むように、アイスバーン領の警備兵たちが槍を構えている。
一触即発の空気だ。
私たちが空から降り立つと、王都の使節団たちは一斉にざわめいた。
「おお! 見ろ! 聖女様だ!」
「氷竜に乗って現れるとは、なんと神々しい……」
彼らの目は、かつて私に向けられていた侮蔑のそれではない。
崇拝と、そして欲望――「利用価値のある道具」を見る目だった。
「お待ちしておりました、エルナ様!」
進み出てきたのは、金糸の刺繍が入った法衣を着た初老の男だった。
教会本部の枢機卿、メイスンだ。
王都にいた頃は、私のことなど歯牙にもかけず、ミューアばかりを可愛がっていた人物である。
「ご無沙汰しております、メイスン枢機卿。……こんな辺境まで、何の御用でしょうか?」
私が冷ややかに尋ねると、彼は満面の(胡散臭い)笑みを浮かべてお辞儀をした。
「ご無沙汰などと! 我々は一日千秋の思いで、貴女様の帰還をお待ちしておりましたぞ! 先日の王都浄化の奇跡、まことに素晴らしかった! あれこそ真の聖女の御業!」
彼は大げさに手を広げた。
「さあ、エルナ様。帰りましょう。王都の民が、教会が、そして国が貴女様を求めております! 今戻られれば、これまでの非礼を詫び、最高位の『大聖女』の称号をご用意いたしますぞ!」
「……お断りします」
私は即答した。
間髪入れない拒絶に、メイスン枢機卿の笑顔が凍りついた。
「は、はい? い、今なんと……」
「お断りすると申し上げました。私はアイスバーン公爵家の婚約者です。王都へ戻るつもりはありません」
「そ、そんな! ですが、貴女様は国の宝! このような何もない雪国で一生を終えるなど、才能の損失です!」
「何もない?」
隣に立っていたレオン様が、低い声で割り込んだ。
周囲の気温が急激に下がる。
「私の領地が『何もない』だと? ……貴様らの腐った王都より、よほど豊かで美しい場所だが」
「ひっ……! こ、公爵閣下……!」
メイスン枢機卿はレオン様の威圧感に縮み上がったが、それでも食い下がった。
彼らにも、手ぶらで帰れない事情があるのだろう。
聖女を連れ戻せなければ、彼らの地位も危ういのだ。
「も、もちろん公爵閣下の領地も素晴らしいですが! しかし、エルナ様にはもっとふさわしい場所があるのです! それに……」
彼は懐から、豪奢な装飾が施された手鏡のようなものを取り出した。
これが、セバスチャンの言っていた「魔導具」だろうか。
「エルナ様。貴女様が頑ななのは、過去の出来事に心を痛めておられるからでしょう。……ですが、人は過ちを犯すものです。そして、それを悔い改める心も持っています」
彼は芝居がかった口調で言った。
「この『真実の鏡』を通して、ある方からのメッセージをお持ちしました。……貴女様が、かつて心から愛したあの方からの、魂の叫びを」
「あの方……?」
嫌な予感しかしない。
メイスン枢機卿が鏡に魔力を流すと、鏡面が波打ち、そこに映像が浮かび上がった。
映し出されたのは、薄暗い部屋――牢獄だった。
鉄格子の向こうに、一人の男が座っている。
やつれて、髭も伸び放題だが、その顔立ちは見覚えがありすぎた。
「……カイル殿下」
そう、元婚約者、カイル・ルミナスだった。
彼はカメラ(魔法の視点)に気づくと、縋るように鉄格子に駆け寄ってきた。
『エ、エルナ! そこにいるのか!? エルナ!』
鏡の中から、彼の必死な声が響く。
レオン様が不快そうに眉をひそめ、私の肩を抱く手に力を込めた。
『エルナ、すまなかった! 私が悪かった! 魔が差していたんだ! ミューアに騙されていたんだよ!』
カイル殿下は涙ながらに訴え始めた。
『あの牢獄の中で、私は毎日反省している! 君が作ってくれた刺繍入りのハンカチを握りしめて、君との楽しかった日々を思い出しているんだ! ああ、どうして私は君を捨てたりしたんだろう!』
白々しい。
刺繍入りのハンカチ?
そんなもの、あげた覚えはない。
おそらく、私が公務で忙しい時に、侍女に作らせたものを適当に渡しただけだろう。
彼はそれすら覚えていないのだ。
『エルナ、戻ってきてくれ! 君がいないとダメなんだ! 評議会の連中がうるさいし、食事は不味いし、寒くて眠れない! 君が戻ってきて、私をここから出してくれれば、すぐに君を王妃にする!』
彼は一方的に捲し立てる。
『愛しているんだ、エルナ! 君もまだ、私を愛しているだろう!? あんな田舎の化け物公爵なんかより、煌びやかな王城での生活の方がいいに決まっている! さあ、今すぐ頷いてくれ! そうすれば全て元通りだ!』
「……」
私は無言で鏡を見つめていた。
怒り? 悲しみ?
いいえ。私が感じたのは、ただひたすらに「無」だった。
かつて、この人の言葉一つに一喜一憂していた自分が、遠い他人のように思える。
今の私にとって、彼の言葉は、風の音よりも意味を持たない雑音でしかなかった。
「……終わりましたか?」
私が静かに尋ねると、メイスン枢機卿は「へ?」と間抜けな声を出した。
「い、いかがですかエルナ様! 殿下のこの憔悴ぶり! そして愛の告白! 女心に響くものがございましょう!?」
「響きませんね。騒音でしかありません」
私は冷たく切り捨てた。
「それに、勘違いなさっているようですが……私は彼を愛していたのではありません。王家の定めた婚約者として、義務を果たそうとしていただけです」
『な、なんだと……!?』
鏡の中のカイル殿下が絶句する。
「私を愛している? 笑わせないでください。貴方が愛しているのは、『自分に尽くしてくれる便利な道具』としての私でしょう? 私が聖女でなくなれば、またすぐに捨てるくせに」
「そ、そんなことは……!」
「ありますよ。貴方はそういう人です。……そして、私はもう貴方の道具ではありません」
私はレオン様を見上げ、彼の手を握った。
「私は、レオンハルト様の婚約者です。彼だけが、私を『エルナ』として愛してくれました。聖女の力があろうとなかろうと、私という人間を見てくれました」
レオン様が優しく微笑み、私の手を握り返す。
その温もりだけが、私にとっての真実だ。
「……というわけです、メイスン枢機卿。その鏡、お返しします」
「ま、待ってください! 王命なのですぞ! 陛下も『エルナを連れ戻せ』と……!」
枢機卿は焦って、さらなるカードを切ろうとした。
「国王陛下のお言葉ですか? ……病床の陛下が、本当にそのようなことを?」
「そ、そうですとも! 意識を取り戻された陛下が、涙ながらに……」
「嘘をつくな」
レオン様が冷徹に告げた。
その声には、絶対的な確信があった。
「王都のセバスチャンの情報網によれば、国王はまだ意識不明のままだ。……評議会と教会が、勝手に王の名を騙っているだけだろう」
「うぐっ……!」
図星だったようだ。
枢機卿は脂汗を流して狼狽えた。
「王の名を騙り、私の婚約者を誘拐しようとした罪。……聖職者といえど、ただでは済まさんぞ」
レオン様が一歩前に出た。
地面から氷の棘が突き出し、使節団を取り囲む。
「ひぃぃぃ! お、お許しを! 我々も必死だったのです! 国が……国が立ち行かないのです!」
枢機卿はその場に土下座した。
騎士たちも武器を捨てて震えている。
「エルナ様がいなくなってから、浄化されたはずの水が、また少し濁り始めました……。結界は維持されていますが、人々の不安は消えません。やはり、生きた聖女様がいなければ、この国は……!」
彼らの訴えは、身勝手極まりない。
けれど、そこには切実な弱さもあった。
私は深いため息をついた。
「……レオン様」
「なんだ、エルナ。情けをかけるつもりか?」
「いいえ。……ただ、彼らに引導を渡してあげようと思いまして」
私はメイスン枢機卿の前に立った。
「戻ることはありません。ですが、慈悲として一つだけ提案をしましょう」
「て、提案?」
「聖女に頼るのをやめなさい」
私はキッパリと言った。
「貴方たちは、いつまで誰かに守ってもらうつもりですか? 水が濁るなら、濾過の技術を磨きなさい。作物が育たないなら、土壌改良を研究しなさい。魔物が怖いなら、自分たちで剣を取りなさい」
「そ、そんな……魔法に頼らずに、どうやって……」
「北の民を見てみなさい。彼らは極寒の地で、魔法に頼りすぎることなく、知恵と努力で生きています。……貴方たちにもできるはずです」
私は北の空を指差した。
「聖女という『便利な蓋』がなくなった今こそ、貴方たちが自立する時です。……どうしても困った時は、対価を払って依頼なさい。商売としてなら、レオン様の許可を得て、力を貸してあげないこともありません」
「商売……!」
「ええ。安売りはしませんよ? 『エルナ様野菜』だって、高級品なんですからは」
私が悪戯っぽく笑うと、レオン様も楽しそうに吹き出した。
「ははっ! 言うようになったな、エルナ。……そうだ、我々は慈善事業団体ではない。救いが欲しければ、相応の対価を用意して出直してこい」
レオン様は指を鳴らした。
氷の棘が消え、代わりに冷たい突風が吹く。
「さあ、帰れ。……そしてカイルに伝えろ。『二度と私の妻の名を呼ぶな。次は鏡ごしでも凍らせる』とな」
『ひぃっ!』
鏡の中のカイル殿下が、怯えて画面から消えた(おそらく逃げた)。
魔導具の通信が切れる。
「……承知、いたしました」
メイスン枢機卿は、力なく項垂れた。
彼は悟ったのだ。
かつての従順な聖女はもういない。
ここにいるのは、北の地で強く美しく生まれ変わった、気高き公爵夫人なのだと。
使節団はすごすごと引き上げていった。
彼らの背中は小さく、そしてどこか吹っ切れたようにも見えた。
もう聖女には頼れない。自分たちでやるしかない。
その絶望が、いつか希望に変わることを、少しだけ祈ってあげよう。
「……終わったな」
レオン様が私の肩を抱いた。
「ええ。……これでもう、本当に未練はありません」
「よく言ったな。『聖女に頼るのをやめろ』か。……君らしい、厳しい優しさだ」
「優しさじゃありません。……ただ、私がいなくても生きていけるようになってくれないと、私が安心して幸せになれませんから」
私はレオン様の胸に顔を埋めた。
「私は、ここで貴方と生きていくんです。……過去に足を引っ張られたくありません」
「ああ。……私が君を離さない。過去からも、未来の不安からも、君を守り抜く」
レオン様は私の顎を持ち上げ、優しくキスをした。
国境の風は冷たいけれど、私たちの間には温かな春があった。
「帰ろう、エルナ。……ハンスが新しい野菜料理を試作して待っているそうだ」
「ふふっ、楽しみですね。……今夜はシチューにしましょうか」
私たちは手を繋ぎ、北へと歩き出した。
もう振り返ることはない。
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こうして、元婚約者との(鏡越しの)再会劇は、私の完全勝利で幕を閉じた。
王都からの干渉も、これできっぱりと終わるだろう。
あとは、この北の地で、本当の幸せを育んでいくだけだ。
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(第23話 完)
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