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第24話 「エルナ、戻れ。これは王命だぞ」
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「平和ですね、レオン様」
「ああ。君が隣にいるだけで、世界はこんなにも静かで美しい」
アイスバーン城のサンルーム。
柔らかな日差しが差し込む中、私はレオン様とアフタヌーンティーを楽しんでいた。
王都との因縁に決着をつけ、厄介な使節団も追い返した今、私たちを煩わせるものは何もない。
農場のハンスさんが届けてくれた新作の「聖女様イチゴ」のタルトを頬張りながら、私たちは穏やかな時間を噛み締めていた。
「このイチゴ、とても甘いです。……レオン様も一口いかがですか?」
「君の口から直接もらえるなら、喜んで」
「もう、真面目に食べてください」
私がフォークを差し出すと、レオン様は私の手ごと引き寄せ、指先についたクリームを舐め取った。
その妖艶な仕草に、私の顔がボンッと赤くなる。
平和になった途端、公爵様の溺愛スキルがカンストしていて、心臓が休まる暇がない。
「……旦那様、エルナ様」
甘い空気を切り裂くように、執事のセバスチャンが現れた。
その表情は、いつになく硬く、そして深い憂いを帯びていた。
「どうした、セバスチャン。またロベルトが何か壊したか?」
「いえ、筋肉辺境伯様は現在、城下町の子供たちと『マッスル鬼ごっこ』に興じておられますので、平和です」
それはそれで平和なのか疑問だが、セバスチャンが深刻な顔をしている理由は別にあるようだ。
「……お客様です。招かれざる、しかし追い返すことのできない、極めて厄介なお客様が到着されました」
「厄介な客? 王都の使節団なら、もう二度と来るなと言ったはずだが」
「王都からですが、使節団ではありません。……旦那様のお母上、イザベラ様です」
その名前を聞いた瞬間、レオン様の表情が凍りついた。
今まで見せたことのない、嫌悪と、そして微かな古傷の痛みを感じさせるような複雑な表情。
「……母上が、戻ってきただと?」
「はい。先ほど、王家の紋章を掲げた馬車で到着されました。『呪いが解けたと聞いたので、帰ってきてあげた』と仰せです」
レオン様の手の中で、ティーカップがピキリと音を立てて凍りついた。
「……今さら、何の用だ。私が呪われた時、真っ先に私を捨てて逃げ出したくせに」
レオン様のお母様。
公爵家の先代夫人であり、現国王の妹にあたる王族出身の方だと聞いたことがある。
しかし、レオン様が「呪われ公爵」となった十年前、彼女は「恐ろしい」「汚らわしい」と言って息子を置き去りにし、王都の別邸へ逃げ帰ったと噂されていた。
「通せとは言いたくないが……王族の方を門前払いすれば、また面倒なことになります」
セバスチャンが苦渋の表情で言う。
「……分かった。通せ。話だけは聞いてやる」
レオン様は冷たく言い放ち、私の方を向いた時は、心配そうな顔になった。
「エルナ、君は席を外していてもいい。……あの人は、あまり性格が良いとは言えない。君を不快にさせるかもしれない」
「いいえ、レオン様。私は貴方の婚約者です。お義母様になる方にご挨拶もしないわけにはいきません」
私は彼の手を握った。
彼が傷ついているのが分かったから、一人にはさせたくなかった。
「それに、私には最強の味方がついていますから」
「……ありがとう。君がいてくれるなら、百人力だ」
***
応接間にて。
私たちが待っていると、派手なドレスに身を包んだ中年女性が入ってきた。
年齢は四十代後半だろうか。
派手な化粧と、身体中につけた宝石のせいでギラギラとした印象を受けるが、顔立ちはレオン様に似て整っている。
しかし、その目には他者を見下す傲慢な光が宿っていた。
「あら、レオンハルト。久しぶりね。……まあ、本当に呪いが解けたの? あの気持ち悪い氷がなくなって、随分とマシな顔になったじゃない」
開口一番、息子に対する言葉がそれだった。
再会の喜びも、長年の不在への謝罪もない。
ただ品定めをするような視線。
「……お久しぶりです、母上。十年ぶりですね」
レオン様の声は冷え切っていた。
「元気そうで何よりです。王都の別邸での生活は、さぞ快適だったことでしょう」
「ええ、もちろんよ。あんな寒いだけの城にいたら、肌が荒れてしまうもの。……でも、貴方が呪いを解いたって聞いて、戻ってきてあげたのよ。感謝なさい」
イザベラ様は当然のようにソファの中央に座り、扇子を開いた。
そして、隣に立っていた私に目を留めた。
「……で? そこの地味な小娘は誰? 新しいメイド?」
「彼女はエルナ。私の婚約者です」
レオン様が私の肩を抱き寄せ、はっきりと紹介した。
「婚約者? ……ああ、噂の『捨てられた聖女』とかいう? フォレスティ家の落ちこぼれでしょう?」
彼女はフンと鼻で笑った。
「ダメよ、レオンハルト。公爵家の当主たるもの、もっと家柄の良い、華やかな女性を選びなさい。例えば、隣国の王女とか、私の紹介する伯爵令嬢とかね」
「母上の許可など求めていません。私はエルナを選んだ。彼女こそが、私の呪いを解き、この領地を救った恩人です」
「恩人だろうが何だろうが、血筋が悪ければ意味がないわ。……ねえ、貴女。いくら欲しいの? 手切れ金をあげるから、さっさと出て行きなさい」
彼女は扇子でシッシッと私を追い払う仕草をした。
あまりにも無礼な態度に、私は怒りよりも呆れを感じてしまった。
この人は、息子が誰を愛しているかなどどうでもよく、ただ自分のアクセサリーとしてふさわしい嫁が欲しいだけなのだ。
「お断りします」
私は静かに、しかし毅然と答えた。
「私はレオンハルト様を愛しております。金銭で動くような関係ではありません」
「はぁ? 愛? 生意気ね、平民上がりのくせに」
「平民ではありません。辺境伯令嬢として、正式に認められております」
「口答えをするんじゃないわよ!」
イザベラ様がヒステリックに声を上げた。
そして、懐から一枚の羊皮紙を取り出した。
そこには、王家の紋章が押されていた。
「いいこと? 私はただ戻ってきたわけじゃないの。……これを見なさい!」
彼女は羊皮紙をテーブルに叩きつけた。
「これは、カイル王太子殿下……ではなく、現在、国王代理を務めておられる評議会議長からの正式な書状よ。そこにはこう書かれているわ」
彼女は勝ち誇ったように読み上げた。
『聖女エルナ・フォレスティに対し、直ちに王都への帰還を命じる。これは王家の血を引くイザベラ公爵夫人の監視下において執行されるべき、王命である』
「王命……?」
レオン様が眉をひそめた。
「評議会が、まだそんなことを言っているのか? 先日、使節団にはっきりと断ったはずだ」
「ええ、聞いたわよ。鏡越しに生意気な口を利いたそうね。だからこそ、私が来たのよ」
イザベラ様はふんぞり返った。
「私は現国王の妹。つまり王族よ。私の言葉は、この国においては法に等しいの。……エルナ、戻れ。これは王命だぞ」
彼女はニヤリと笑った。
「貴女が戻らなければ、アイスバーン公爵家は『王命に背いた逆賊』として認定されるわ。そうなれば、レオンハルトの爵位も領地も没収。……貴女のせいで、彼を破滅させてもいいのかしら?」
卑劣な脅しだった。
私の愛を利用して、私を縛ろうとしている。
王都の評議会も、イザベラ様を利用して最後の賭けに出たのだろう。
「王族である母」を使えば、レオン様も無下にはできないと踏んだのだ。
「……下らない」
レオン様が吐き捨てた。
彼の周りから、制御しきれない冷気が溢れ出し、部屋の温度が急激に下がる。
「母上。……貴女は昔からそうだ。自分の保身と欲望のために、平気で他人を踏みにじる」
「な、何よ。私は貴方のために……」
「私のために? 笑わせないでください。貴女は私が呪われた時、『化け物を産んだ覚えはない』と言って私を地下牢に閉じ込めようとした。私が苦しんでいる間、貴女は王都で贅沢三昧だったそうですね」
レオン様の瞳に、深い悲しみと怒りが宿る。
「私は貴女を母だと思ったことはない。……出て行ってください。二度と私の前に顔を見せるな」
「なっ……! 親に向かってなんて口を! 私は王族よ! 王命に逆らう気!?」
「王命? そんな紙切れ、燃やしてしまえばいい」
レオン様が指を鳴らそうとした、その時だった。
「待ってください、レオン様」
私は彼の手を止めた。
「エルナ?」
「その書状、燃やすのはもったいないですわ」
私はテーブルの上の羊皮紙を手に取った。
そして、イザベラ様に向かってニッコリと微笑んだ。
「お義母様。……この書状には、『イザベラ公爵夫人の監視下において』と書かれていますね?」
「え、ええ。そうよ。だから私の言うことを……」
「つまり、貴女様が私を監視できなければ、この命令は成立しないということですね?」
「は? どういう意味?」
「簡単なことです。……貴女様が、この城にいられなくなればいいのです」
私は指輪に魔力を込めた。
「貴女様は、王都での生活がお好きでしたよね? 寒くて何もない北の地など、苦痛でしかないと仰っていました」
「そ、そうよ! だからエルナを連れて王都へ帰るのよ!」
「いいえ。……この城での生活が、どれほど過酷か、思い出していただきましょう」
私はセバスチャンに目配せをした。
彼もまた、長年レオン様をないがしろにしてきた先代夫人に対して、思うところがあったのだろう。
私の意図を察し、恭しく一礼した。
「イザベラ様。……歓迎いたします。当家では現在、『真冬の節約生活』を実施中でございまして」
「は? 節約?」
「ええ。復興支援のため、暖房の魔石を節約しております。お部屋の温度は氷点下に近いかと。お食事も、質素な保存食が中心となります」
もちろん嘘だ。
今のこの城は、世界一暖かく、美食に溢れている。
だが、イザベラ様のような「お客様」には、特別なおもてなしが必要だ。
「な、なによそれ! 私は王族よ! 特別扱いしなさいよ!」
「ええ、特別に。……一番北向きの、風通しの良いお部屋をご用意いたしました」
セバスチャンの合図で、屈強なメイドたちが現れた。
彼女たちは無表情でイザベラ様の荷物を持ち上げる。
「ちょ、ちょっと! 乱暴じゃない! レオンハルト、何とか言いなさいよ!」
「母上のご希望通り、この城に滞在させてあげるのです。感謝してください」
レオン様は冷ややかに見送った。
「ただし、エルナへの暴言は許しません。……次にあのような口を利けば、王族だろうが何だろうが、氷像にして庭に飾ります」
「ひぃっ……!」
イザベラ様は、息子の本気の殺気を感じ取り、青ざめて引き下がった。
捨て台詞を吐きながら、メイドたちに連行されていく。
「覚えてらっしゃい! 私が誰だと思ってるの! 王に言いつけてやるわ!」
嵐のような姑の登場。
しかし、私たちは動じなかった。
むしろ、共通の敵が現れたことで、結束はより強固になった。
「……すまない、エルナ。不快な思いをさせた」
イザベラ様が去った後、レオン様が深いため息をついた。
「いいえ。……でも、彼女も哀れな方ですね。息子の愛よりも、権威にすがるしかないなんて」
「ああ。……彼女は、私が呪われる前から、私を見ていなかった。いつも『王家の血筋』『公爵家の体面』ばかりを気にしていた」
レオン様は寂しげに笑った。
「だから、君に出会えて本当によかった。君は、私の肩書きでも呪いでもなく、私自身を見てくれたから」
「当然です。……レオン様の中身が素敵だから、好きになったんですもの」
私は彼の頬に手を添えた。
「さて、お義母様との同居生活の始まりですね。……彼女が根を上げて逃げ出すまで、とことんお付き合いしましょうか」
「ふっ……。君は本当に強くなったな。頼もしいよ、私の妻は」
***
その日から、イザベラ様に対する「特別待遇」が始まった。
彼女の部屋は、城の最北端にある塔の一室。
窓の隙間風がひどく、暖炉の薪は湿っていてなかなか火がつかない(魔法でそう調整している)。
食事は、硬い黒パンと、具のないスープ(実際には栄養満点だが、味気なく見えるように加工したスペシャルメニュー)。
お風呂のお湯はぬるく、ドレスは洗濯のたびに少し縮んで返ってくる。
「なによこれ! こんな硬いパン、食べられないわ!」
「寒いわ! もっと薪を持ってきなさい!」
彼女の悲鳴が、毎日塔から聞こえてくる。
しかし、使用人たちは「申し訳ございません、節約中でして」と涼しい顔で対応する。
彼らもまた、幼いレオン様を捨てた彼女を許していないのだ。
一方、私とレオン様は、わざと彼女の目につくところで、豪華な食事を楽しみ、イチャイチャと甘い時間を過ごした。
中庭でのティータイム。
温室育ちのメロンや、希少な紅茶を楽しみながら、レオン様が私に「あーん」をする。
「エルナ、このケーキも美味しいぞ」
「んっ……美味しいですわ、レオン様」
それを、塔の窓から悔しそうに見下ろすイザベラ様の姿が見える。
「キィィィ! 私には黒パンなのに! なんであの小娘ばかり!」
彼女のプライドは、日に日に削られていった。
王命だ何だと騒いでも、ここでは誰も彼女を敬わない。
王家の権威も、北の寒さと空腹の前には無力だった。
そして三日目。
ついに彼女の心が折れる時が来た。
「もう嫌ぁぁぁ! 帰る! 王都へ帰るわ!」
彼女は荷物をまとめ、エントランスホールへと駆け込んできた。
髪は乱れ、化粧も崩れ、やつれ果てた姿だ。
「あら、お義母様。もうお帰りですか? まだ『監視』の任務が終わっておりませんわよ?」
私が優雅に見送ると、彼女は鬼のような形相で睨みつけてきた。
「うるさい! こんな呪われた場所、一秒だって居たくないわ! 王命なんて知るもんですか! 私は暖かい王都で、エステを受けて美味しいものを食べるのよ!」
彼女は自分の欲望に忠実だった。
王命よりも、自分の快適さを選んだのだ。
まあ、予想通りの結末だ。
「そうですか。それは残念です。……では、どうぞお気をつけて」
「二度と来るもんですか! 親不孝者! 呪われ公爵!」
彼女は喚き散らしながら馬車に乗り込み、逃げるように去っていった。
その馬車も、来る時のような豪華なものではなく、荷馬車同然の粗末なもの(セバスチャンの手配)だったが、彼女は文句を言う余裕もなかったようだ。
「……行ったな」
レオン様が肩の力を抜いた。
「ええ。これで本当に、静かになりましたね」
「王命というカードも、彼女が放棄したことで無効になった。……評議会も、これ以上は手出しできないだろう」
レオン様は私の腰を引き寄せた。
「ありがとう、エルナ。……君のおかげで、私は過去の亡霊とも決別できた」
「ふふっ。……私はただ、意地悪なお嫁さんを演じただけですわ」
「世界一可愛い意地悪だったよ」
彼は私の鼻先にキスをした。
こうして、私たちは「王命」という最後の鎖も断ち切り、完全な自由を手に入れた。
もう、誰も私たちの邪魔をする者はいない。
……はずだった。
しかし、去り際のイザベラ様が残した「負の遺産」が、最後に小さな、しかし厄介なトラブルを引き起こすことになる。
彼女が連れてきていた「お供」の中に、とんでもない人物が紛れ込んでいたのだ。
第24話 完
「ああ。君が隣にいるだけで、世界はこんなにも静かで美しい」
アイスバーン城のサンルーム。
柔らかな日差しが差し込む中、私はレオン様とアフタヌーンティーを楽しんでいた。
王都との因縁に決着をつけ、厄介な使節団も追い返した今、私たちを煩わせるものは何もない。
農場のハンスさんが届けてくれた新作の「聖女様イチゴ」のタルトを頬張りながら、私たちは穏やかな時間を噛み締めていた。
「このイチゴ、とても甘いです。……レオン様も一口いかがですか?」
「君の口から直接もらえるなら、喜んで」
「もう、真面目に食べてください」
私がフォークを差し出すと、レオン様は私の手ごと引き寄せ、指先についたクリームを舐め取った。
その妖艶な仕草に、私の顔がボンッと赤くなる。
平和になった途端、公爵様の溺愛スキルがカンストしていて、心臓が休まる暇がない。
「……旦那様、エルナ様」
甘い空気を切り裂くように、執事のセバスチャンが現れた。
その表情は、いつになく硬く、そして深い憂いを帯びていた。
「どうした、セバスチャン。またロベルトが何か壊したか?」
「いえ、筋肉辺境伯様は現在、城下町の子供たちと『マッスル鬼ごっこ』に興じておられますので、平和です」
それはそれで平和なのか疑問だが、セバスチャンが深刻な顔をしている理由は別にあるようだ。
「……お客様です。招かれざる、しかし追い返すことのできない、極めて厄介なお客様が到着されました」
「厄介な客? 王都の使節団なら、もう二度と来るなと言ったはずだが」
「王都からですが、使節団ではありません。……旦那様のお母上、イザベラ様です」
その名前を聞いた瞬間、レオン様の表情が凍りついた。
今まで見せたことのない、嫌悪と、そして微かな古傷の痛みを感じさせるような複雑な表情。
「……母上が、戻ってきただと?」
「はい。先ほど、王家の紋章を掲げた馬車で到着されました。『呪いが解けたと聞いたので、帰ってきてあげた』と仰せです」
レオン様の手の中で、ティーカップがピキリと音を立てて凍りついた。
「……今さら、何の用だ。私が呪われた時、真っ先に私を捨てて逃げ出したくせに」
レオン様のお母様。
公爵家の先代夫人であり、現国王の妹にあたる王族出身の方だと聞いたことがある。
しかし、レオン様が「呪われ公爵」となった十年前、彼女は「恐ろしい」「汚らわしい」と言って息子を置き去りにし、王都の別邸へ逃げ帰ったと噂されていた。
「通せとは言いたくないが……王族の方を門前払いすれば、また面倒なことになります」
セバスチャンが苦渋の表情で言う。
「……分かった。通せ。話だけは聞いてやる」
レオン様は冷たく言い放ち、私の方を向いた時は、心配そうな顔になった。
「エルナ、君は席を外していてもいい。……あの人は、あまり性格が良いとは言えない。君を不快にさせるかもしれない」
「いいえ、レオン様。私は貴方の婚約者です。お義母様になる方にご挨拶もしないわけにはいきません」
私は彼の手を握った。
彼が傷ついているのが分かったから、一人にはさせたくなかった。
「それに、私には最強の味方がついていますから」
「……ありがとう。君がいてくれるなら、百人力だ」
***
応接間にて。
私たちが待っていると、派手なドレスに身を包んだ中年女性が入ってきた。
年齢は四十代後半だろうか。
派手な化粧と、身体中につけた宝石のせいでギラギラとした印象を受けるが、顔立ちはレオン様に似て整っている。
しかし、その目には他者を見下す傲慢な光が宿っていた。
「あら、レオンハルト。久しぶりね。……まあ、本当に呪いが解けたの? あの気持ち悪い氷がなくなって、随分とマシな顔になったじゃない」
開口一番、息子に対する言葉がそれだった。
再会の喜びも、長年の不在への謝罪もない。
ただ品定めをするような視線。
「……お久しぶりです、母上。十年ぶりですね」
レオン様の声は冷え切っていた。
「元気そうで何よりです。王都の別邸での生活は、さぞ快適だったことでしょう」
「ええ、もちろんよ。あんな寒いだけの城にいたら、肌が荒れてしまうもの。……でも、貴方が呪いを解いたって聞いて、戻ってきてあげたのよ。感謝なさい」
イザベラ様は当然のようにソファの中央に座り、扇子を開いた。
そして、隣に立っていた私に目を留めた。
「……で? そこの地味な小娘は誰? 新しいメイド?」
「彼女はエルナ。私の婚約者です」
レオン様が私の肩を抱き寄せ、はっきりと紹介した。
「婚約者? ……ああ、噂の『捨てられた聖女』とかいう? フォレスティ家の落ちこぼれでしょう?」
彼女はフンと鼻で笑った。
「ダメよ、レオンハルト。公爵家の当主たるもの、もっと家柄の良い、華やかな女性を選びなさい。例えば、隣国の王女とか、私の紹介する伯爵令嬢とかね」
「母上の許可など求めていません。私はエルナを選んだ。彼女こそが、私の呪いを解き、この領地を救った恩人です」
「恩人だろうが何だろうが、血筋が悪ければ意味がないわ。……ねえ、貴女。いくら欲しいの? 手切れ金をあげるから、さっさと出て行きなさい」
彼女は扇子でシッシッと私を追い払う仕草をした。
あまりにも無礼な態度に、私は怒りよりも呆れを感じてしまった。
この人は、息子が誰を愛しているかなどどうでもよく、ただ自分のアクセサリーとしてふさわしい嫁が欲しいだけなのだ。
「お断りします」
私は静かに、しかし毅然と答えた。
「私はレオンハルト様を愛しております。金銭で動くような関係ではありません」
「はぁ? 愛? 生意気ね、平民上がりのくせに」
「平民ではありません。辺境伯令嬢として、正式に認められております」
「口答えをするんじゃないわよ!」
イザベラ様がヒステリックに声を上げた。
そして、懐から一枚の羊皮紙を取り出した。
そこには、王家の紋章が押されていた。
「いいこと? 私はただ戻ってきたわけじゃないの。……これを見なさい!」
彼女は羊皮紙をテーブルに叩きつけた。
「これは、カイル王太子殿下……ではなく、現在、国王代理を務めておられる評議会議長からの正式な書状よ。そこにはこう書かれているわ」
彼女は勝ち誇ったように読み上げた。
『聖女エルナ・フォレスティに対し、直ちに王都への帰還を命じる。これは王家の血を引くイザベラ公爵夫人の監視下において執行されるべき、王命である』
「王命……?」
レオン様が眉をひそめた。
「評議会が、まだそんなことを言っているのか? 先日、使節団にはっきりと断ったはずだ」
「ええ、聞いたわよ。鏡越しに生意気な口を利いたそうね。だからこそ、私が来たのよ」
イザベラ様はふんぞり返った。
「私は現国王の妹。つまり王族よ。私の言葉は、この国においては法に等しいの。……エルナ、戻れ。これは王命だぞ」
彼女はニヤリと笑った。
「貴女が戻らなければ、アイスバーン公爵家は『王命に背いた逆賊』として認定されるわ。そうなれば、レオンハルトの爵位も領地も没収。……貴女のせいで、彼を破滅させてもいいのかしら?」
卑劣な脅しだった。
私の愛を利用して、私を縛ろうとしている。
王都の評議会も、イザベラ様を利用して最後の賭けに出たのだろう。
「王族である母」を使えば、レオン様も無下にはできないと踏んだのだ。
「……下らない」
レオン様が吐き捨てた。
彼の周りから、制御しきれない冷気が溢れ出し、部屋の温度が急激に下がる。
「母上。……貴女は昔からそうだ。自分の保身と欲望のために、平気で他人を踏みにじる」
「な、何よ。私は貴方のために……」
「私のために? 笑わせないでください。貴女は私が呪われた時、『化け物を産んだ覚えはない』と言って私を地下牢に閉じ込めようとした。私が苦しんでいる間、貴女は王都で贅沢三昧だったそうですね」
レオン様の瞳に、深い悲しみと怒りが宿る。
「私は貴女を母だと思ったことはない。……出て行ってください。二度と私の前に顔を見せるな」
「なっ……! 親に向かってなんて口を! 私は王族よ! 王命に逆らう気!?」
「王命? そんな紙切れ、燃やしてしまえばいい」
レオン様が指を鳴らそうとした、その時だった。
「待ってください、レオン様」
私は彼の手を止めた。
「エルナ?」
「その書状、燃やすのはもったいないですわ」
私はテーブルの上の羊皮紙を手に取った。
そして、イザベラ様に向かってニッコリと微笑んだ。
「お義母様。……この書状には、『イザベラ公爵夫人の監視下において』と書かれていますね?」
「え、ええ。そうよ。だから私の言うことを……」
「つまり、貴女様が私を監視できなければ、この命令は成立しないということですね?」
「は? どういう意味?」
「簡単なことです。……貴女様が、この城にいられなくなればいいのです」
私は指輪に魔力を込めた。
「貴女様は、王都での生活がお好きでしたよね? 寒くて何もない北の地など、苦痛でしかないと仰っていました」
「そ、そうよ! だからエルナを連れて王都へ帰るのよ!」
「いいえ。……この城での生活が、どれほど過酷か、思い出していただきましょう」
私はセバスチャンに目配せをした。
彼もまた、長年レオン様をないがしろにしてきた先代夫人に対して、思うところがあったのだろう。
私の意図を察し、恭しく一礼した。
「イザベラ様。……歓迎いたします。当家では現在、『真冬の節約生活』を実施中でございまして」
「は? 節約?」
「ええ。復興支援のため、暖房の魔石を節約しております。お部屋の温度は氷点下に近いかと。お食事も、質素な保存食が中心となります」
もちろん嘘だ。
今のこの城は、世界一暖かく、美食に溢れている。
だが、イザベラ様のような「お客様」には、特別なおもてなしが必要だ。
「な、なによそれ! 私は王族よ! 特別扱いしなさいよ!」
「ええ、特別に。……一番北向きの、風通しの良いお部屋をご用意いたしました」
セバスチャンの合図で、屈強なメイドたちが現れた。
彼女たちは無表情でイザベラ様の荷物を持ち上げる。
「ちょ、ちょっと! 乱暴じゃない! レオンハルト、何とか言いなさいよ!」
「母上のご希望通り、この城に滞在させてあげるのです。感謝してください」
レオン様は冷ややかに見送った。
「ただし、エルナへの暴言は許しません。……次にあのような口を利けば、王族だろうが何だろうが、氷像にして庭に飾ります」
「ひぃっ……!」
イザベラ様は、息子の本気の殺気を感じ取り、青ざめて引き下がった。
捨て台詞を吐きながら、メイドたちに連行されていく。
「覚えてらっしゃい! 私が誰だと思ってるの! 王に言いつけてやるわ!」
嵐のような姑の登場。
しかし、私たちは動じなかった。
むしろ、共通の敵が現れたことで、結束はより強固になった。
「……すまない、エルナ。不快な思いをさせた」
イザベラ様が去った後、レオン様が深いため息をついた。
「いいえ。……でも、彼女も哀れな方ですね。息子の愛よりも、権威にすがるしかないなんて」
「ああ。……彼女は、私が呪われる前から、私を見ていなかった。いつも『王家の血筋』『公爵家の体面』ばかりを気にしていた」
レオン様は寂しげに笑った。
「だから、君に出会えて本当によかった。君は、私の肩書きでも呪いでもなく、私自身を見てくれたから」
「当然です。……レオン様の中身が素敵だから、好きになったんですもの」
私は彼の頬に手を添えた。
「さて、お義母様との同居生活の始まりですね。……彼女が根を上げて逃げ出すまで、とことんお付き合いしましょうか」
「ふっ……。君は本当に強くなったな。頼もしいよ、私の妻は」
***
その日から、イザベラ様に対する「特別待遇」が始まった。
彼女の部屋は、城の最北端にある塔の一室。
窓の隙間風がひどく、暖炉の薪は湿っていてなかなか火がつかない(魔法でそう調整している)。
食事は、硬い黒パンと、具のないスープ(実際には栄養満点だが、味気なく見えるように加工したスペシャルメニュー)。
お風呂のお湯はぬるく、ドレスは洗濯のたびに少し縮んで返ってくる。
「なによこれ! こんな硬いパン、食べられないわ!」
「寒いわ! もっと薪を持ってきなさい!」
彼女の悲鳴が、毎日塔から聞こえてくる。
しかし、使用人たちは「申し訳ございません、節約中でして」と涼しい顔で対応する。
彼らもまた、幼いレオン様を捨てた彼女を許していないのだ。
一方、私とレオン様は、わざと彼女の目につくところで、豪華な食事を楽しみ、イチャイチャと甘い時間を過ごした。
中庭でのティータイム。
温室育ちのメロンや、希少な紅茶を楽しみながら、レオン様が私に「あーん」をする。
「エルナ、このケーキも美味しいぞ」
「んっ……美味しいですわ、レオン様」
それを、塔の窓から悔しそうに見下ろすイザベラ様の姿が見える。
「キィィィ! 私には黒パンなのに! なんであの小娘ばかり!」
彼女のプライドは、日に日に削られていった。
王命だ何だと騒いでも、ここでは誰も彼女を敬わない。
王家の権威も、北の寒さと空腹の前には無力だった。
そして三日目。
ついに彼女の心が折れる時が来た。
「もう嫌ぁぁぁ! 帰る! 王都へ帰るわ!」
彼女は荷物をまとめ、エントランスホールへと駆け込んできた。
髪は乱れ、化粧も崩れ、やつれ果てた姿だ。
「あら、お義母様。もうお帰りですか? まだ『監視』の任務が終わっておりませんわよ?」
私が優雅に見送ると、彼女は鬼のような形相で睨みつけてきた。
「うるさい! こんな呪われた場所、一秒だって居たくないわ! 王命なんて知るもんですか! 私は暖かい王都で、エステを受けて美味しいものを食べるのよ!」
彼女は自分の欲望に忠実だった。
王命よりも、自分の快適さを選んだのだ。
まあ、予想通りの結末だ。
「そうですか。それは残念です。……では、どうぞお気をつけて」
「二度と来るもんですか! 親不孝者! 呪われ公爵!」
彼女は喚き散らしながら馬車に乗り込み、逃げるように去っていった。
その馬車も、来る時のような豪華なものではなく、荷馬車同然の粗末なもの(セバスチャンの手配)だったが、彼女は文句を言う余裕もなかったようだ。
「……行ったな」
レオン様が肩の力を抜いた。
「ええ。これで本当に、静かになりましたね」
「王命というカードも、彼女が放棄したことで無効になった。……評議会も、これ以上は手出しできないだろう」
レオン様は私の腰を引き寄せた。
「ありがとう、エルナ。……君のおかげで、私は過去の亡霊とも決別できた」
「ふふっ。……私はただ、意地悪なお嫁さんを演じただけですわ」
「世界一可愛い意地悪だったよ」
彼は私の鼻先にキスをした。
こうして、私たちは「王命」という最後の鎖も断ち切り、完全な自由を手に入れた。
もう、誰も私たちの邪魔をする者はいない。
……はずだった。
しかし、去り際のイザベラ様が残した「負の遺産」が、最後に小さな、しかし厄介なトラブルを引き起こすことになる。
彼女が連れてきていた「お供」の中に、とんでもない人物が紛れ込んでいたのだ。
第24話 完
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