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第29話 偽聖女の正体が暴かれる時
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小鳥のさえずりと共に、私は深い微睡みから目を覚ました。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋の中を柔らかく照らしている。
ここはアイスバーン城の主寝室。
そして、今の私は公爵夫人――エルナ・アイスバーンだ。
「……ん」
身じろぎすると、腰に回された重くて温かい腕の感触に気づく。
隣を見れば、レオン様が私を抱きしめたまま、穏やかな寝息を立てていた。
整った顔立ちは無防備で、長い睫毛が頬に影を落としている。
昨夜の情熱的で、溶けるような甘い時間の記憶が蘇り、私はカッと顔が熱くなるのを感じた。
『愛している、エルナ。……君のすべてを、私に刻み込ませてくれ』
耳元で囁かれた言葉と、熱い吐息。
私の身体には、彼に愛された証がそこかしこに残っている。
恥ずかしさと、それ以上の幸福感で胸がいっぱいになった。
「……おはよう、私の可愛い奥様」
不意に、レオン様が目を開けた。
寝起きだというのに、その蒼い瞳は澄んでいて、愛おしげに私を捕らえている。
「お、おはようございます……レオン様」
「『あなた』だろう?」
彼は悪戯っぽく笑い、私の唇に朝の挨拶を落とした。
甘くて、優しいキス。
「昨夜はよく眠れたか? ……少し張り切りすぎてしまったから、身体が辛くないか心配だったんだ」
「だ、大丈夫です。……レオン様が、何度も治癒魔法をかけてくださったので」
「当然だ。君を傷つけるつもりはない。……ただ、どうしても愛しさが溢れて止まらなくてな」
彼は私をさらに強く抱き寄せ、首筋に顔を埋めた。
「ああ、いい匂いだ。……このまま一日中、ベッドの中で過ごしたい」
「ダメですよ。今日は他国からの来賓の方々への挨拶回りがありますし……それに、朝食の時間です」
「チッ、公務か。……新婚くらいゆっくりさせてほしいものだ」
レオン様は不満げに拗ねたが、私が「夜になったら、また一緒ですわ」と耳打ちすると、パァッと顔を輝かせて起き上がった。
本当に、分かりやすい旦那様だ。
***
身支度を整え、私たちはダイニングルームへと向かった。
廊下ですれ違う使用人たちが、私たちを見て顔を赤らめ、「おめでとうございます」「お熱いですね」と冷やかす。
どうやら、新婚夫婦の甘い雰囲気は隠しようがないらしい。
ダイニングルームに入ると、すでに一人の先客がいた。
元・偽聖女であり、現・見習いシスターのミューアだ。
彼女は昨日の結婚式の後、修道院へ帰る予定だったのだが、「筋肉痛で動けません(ロベルト様のスクワットのせい)」と主張し、数日間の滞在を許可されていたのだ。
「……おはようございます、お姉様。公爵様」
ミューアはパンを齧りながら、どんよりとした声で挨拶した。
その顔色は悪く、目の下にはくっきりとしたクマができている。
「おはよう、ミューア。……顔色が悪いわよ? よく眠れなかったの?」
「眠れるわけありませんわ! お姉様たちの部屋から、甘い気配が漏れ出してきて……! 悔しくて枕を噛んでいたら朝になっていましたの!」
どうやら私たちの初夜は、妹に多大なる精神的ダメージを与えてしまったらしい。
「それに……なんだか身体が熱くて、胸がムカムカするんですの」
ミューアは胸元を押さえ、苦しげに息を吐いた。
「風邪か? なら部屋で寝ていろ」
レオン様が冷たくあしらう。
しかし、私は違和感を覚えた。
聖女としての感覚が、ミューアから発せられる「異質な魔力」を捉えていたのだ。
「待ってください、レオン様。……ミューア、ちょっと見せて」
私が彼女の額に手を伸ばそうとした、その時だった。
ドクンッ!
ミューアの身体が大きく跳ねた。
次の瞬間、彼女の全身から、毒々しいほどのピンク色の光が爆発的に溢れ出したのだ。
「きゃぁぁぁっ! な、なによこれぇぇぇ!?」
ミューアが悲鳴を上げる。
光は霧のように部屋中に充満し、甘ったるい香りを漂わせた。
それは、以前の図書室で嗅いだ麻痺香に似ているが、もっと脳髄に直接響くような、抗いがたい誘惑の香りだった。
「うっ……なんだ、この匂いは……」
控えていたセバスチャンが、ふらりとよろめいた。
彼の瞳が、とろんと濁り、焦点が定まらなくなる。
給仕のメイドたちも、頬を染めてその場に座り込んでしまった。
「あぁ……ミューア様……なんて可愛い……」
「守ってあげたい……私の全てを捧げたい……」
使用人たちが、うわ言のように呟きながら、ミューアに這い寄ろうとする。
その目は完全に理性を失っていた。
「な、なによ!? みんな気持ち悪い! 寄らないで!」
ミューアはパニックになり、椅子の上に飛び乗った。
しかし、彼女の動揺に呼応するように、ピンク色の光はさらに強さを増していく。
「……これは、『魅了(チャーム)』か?」
レオン様が鼻を押さえ、氷の結界を展開して私と自分を覆った。
彼の蒼い瞳は、冷静に状況を分析している。
「魅了……?」
「ああ。精神に作用し、対象を強制的に好意的にさせる闇魔法の一種だ。……だが、これほど強力で、無差別なものは見たことがない」
レオン様は冷ややかにミューアを見据えた。
「おい、ミューア。貴様、どこでそんな呪物を手に入れた? まさかまた、バルドスの隠し財産でも見つけたか?」
「ち、違いますわ! 何も持っていません! 勝手に身体から溢れてくるんですの!」
ミューアは泣き叫んだ。
彼女の背後で、ピンク色の霧が揺らめき、禍々しい影のような形を作り出していく。
それは、彼女自身の魔力が暴走している証拠だった。
「……まさか」
私は一つの可能性に思い当たった。
かつて王都で、なぜカイル殿下があれほど簡単にミューアに心変わりしたのか。
なぜ父が、優秀な私ではなく、無能なミューアを溺愛したのか。
そして、なぜ国民の一部が、彼女の拙い演技に熱狂したのか。
単なる「可愛さ」や「愛嬌」だけでは説明がつかないほどの、異常な執着。
「レオン様。……彼女は、生まれつき『魅了』の魔力を持っていたのかもしれません」
「生まれつきだと? ……ふむ、なるほど。突然変異の『魔性の血』か」
レオン様が納得したように頷いた。
「聖女としての浄化の力ではなく、人の心を惑わす力。……それが彼女の『聖女』としての正体だったというわけか」
王都では、彼女の力は微弱で、無意識のうちに発動していたのだろう。
しかし、聖女のフリをする重圧や、修道院でのストレス、そして昨夜の「嫉妬」という激しい感情が引き金となり、抑え込んでいた魔力が覚醒・暴走したのだ。
「いやぁぁぁ! 止まって! 誰か止めてぇぇ!」
ミューアの悲鳴と共に、魅了の波動が衝撃波となって広がった。
使用人たちが完全に操り人形のように立ち上がり、ミューアを守ろうと壁を作り始める。
このままでは、城中の人間が彼女の虜になり、大混乱に陥ってしまう。
「……厄介だな。物理攻撃で気絶させるわけにもいかん」
レオン様が氷の剣を構えようとする。
「待ってください! 私がやります!」
私は前に出た。
聖女の力は、あらゆる「魔」を浄化する。
魅了という精神汚染も、その例外ではないはずだ。
「ミューア、こっちを見なさい!」
「お、お姉様ぁ! 助けてぇ!」
私は左手の指輪と、首のチョーカーに魔力を込めた。
レオン様からの愛の力が、私の中で聖なる炎となって燃え上がる。
『――精神浄化(マインド・クリアランス)・聖なる目覚め(ホーリー・アウェイク)!』
カッ!
私の手から放たれた純白の光が、ピンク色の霧を切り裂いた。
光はミューアを包み込み、彼女から溢れ出る暴走した魔力を中和していく。
「あ、あつ……いや、温かい……?」
ミューアの身体から力が抜けていく。
背後に浮かんでいた影が悲鳴を上げて消滅し、部屋に充満していた甘ったるい香りが、清涼な空気に変わった。
「はっ……私は何を……?」
「あれ、なんで床に座ってるんだ?」
使用人たちも正気を取り戻し、キョトンとしている。
魅了の効果が解けたのだ。
ミューアはその場にへたり込み、荒い息をついていた。
私は彼女に駆け寄り、背中をさすった。
「大丈夫、ミューア? ……もう終わったわ」
「お、お姉様……私、私……」
彼女は震える手で自分の胸を押さえた。
「怖かった……。自分じゃないみたいだった……。今までも、時々あったんです。……私が泣いたり、お願いしたりすると、みんなが急に優しくなることが……」
彼女は告白した。
それは、彼女自身も気づいていなかった「呪い」の正体だった。
「父様も、カイル様も、みんな私のこの力のせいで……?」
「……恐らくな」
レオン様が静かに近づいてきた。
「貴様の魔力は、『愛されたい』という渇望に反応して発動する特異体質だ。周りの人間は、その魔力にあてられて判断力を失っていたのだろう」
「そんな……じゃあ、誰も私のことなんて、本当は好きじゃなかったの……?」
ミューアの目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
自分の魅力だと思っていたものが、実は魔法による強制的な洗脳だった。
その事実は、彼女にとって何よりも残酷な真実だっただろう。
「カイル様が最後に私を捨てたのも……私が『聖女じゃない』とバレて、私の心が折れて、魅了が弱まったから……?」
「辻褄は合うな」
レオン様は容赦なく事実を突きつける。
ミューアは顔を覆って泣き崩れた。
「私、空っぽじゃない……。聖女の力もない、本当の愛も手に入れてない、ただの化け物だったなんて……!」
「ミューア」
私は彼女の肩を強く掴んだ。
「泣くのはおよしなさい。……確かに、貴方の力は周囲を狂わせたかもしれない。でも、それは貴方が意図してやったことではないわ」
「で、でも……!」
「それに、見て」
私は部屋の入り口を指差した。
そこには、騒ぎを聞きつけて飛び込んできた、ロベルト様が立っていた。
彼は上半身裸(なぜ?)で、汗だくになりながら仁王立ちしていた。
「ぬん! 何事だ! 甘い匂いがしたが、マッスルセンサーが危険を察知したぞ!」
彼はピンク色の霧が充満していた部屋に飛び込んできたにも関わらず、全く影響を受けていないようだった。
「……あの筋肉には、魔法が通じないのかしら」
私が呆れていると、ロベルト様は泣いているミューアを見て、眉をひそめた。
「なんだ、嬢ちゃん。また泣いてんのか? スクワットが足りないんじゃないか?」
「う、うるさいわね筋肉ダルマ! ……私なんか、化け物なのよ! 誰も私のことなんて好きになってくれないのよ!」
ミューアが叫ぶと、ロベルト様はキョトンとして、それからガハハと笑った。
「何言ってやがる! 俺の部下たちは、『あの嬢ちゃん、根性あるな』って褒めてたぞ!」
「え……?」
「修道院でのジャガイモ剥きも、昨日のスクワットも、泣き言いいながら最後までやり遂げたじゃねぇか。魔法だなんだは知らねぇが、お前のその『負けず嫌いな根性』は、俺は嫌いじゃねぇぞ!」
ロベルト様はニカッと笑い、親指を立てた。
その言葉には、魅了も魔法も関係ない、純粋な評価があった。
「……嫌いじゃ、ない……?」
ミューアは呆然とロベルト様を見つめた。
魔法なしで、ありのままの自分を認めてくれた初めての言葉。
「……ふん。悪くないタイミングだ」
レオン様が微かに笑った。
「ミューア。貴様の『魅了』の魔力は、エルナの浄化によって封印された。もう無意識に暴走することはないだろう」
彼はミューアを見下ろした。
「これからは、魔法に頼らず、自分自身の魅力で勝負しろ。……ロベルトのような物好きもいることだしな」
「も、物好きですって!? 失礼ね!」
ミューアは涙を拭い、立ち上がった。
その目には、いつもの強気な光が戻っていた。
「上等よ! 魔法なんてなくたって、私は可愛いですもの! 一からやり直して、今度こそ本物の愛を手に入れてみせるわ!」
彼女はロベルト様の方を向き、ビシッと指差した。
「ねえ、筋肉! 貴方、私のトレーニングに付き合いなさいよ! まずはその暑苦しい筋肉を、私好みの細マッチョに改造してあげるわ!」
「ぬん!? 俺の筋肉を減らすだと!? それは聞き捨てならん! ……だが、勝負というなら受けて立つ!」
「望むところよ!」
二人はなぜか意気投合し、言い争いながら部屋を出て行った。
……あんな凸凹コンビが成立するとは、世の中分からないものだ。
「やれやれ。……ようやく静かになったか」
レオン様がため息をつき、私に向き直った。
「エルナ。……大丈夫か? 魔力を使いすぎたんじゃないか?」
「平気です。……でも、少し驚きました。まさかミューアの正体が、あんなことだったなんて」
「『偽聖女』の正体は、愛を乞う『魅了の魔女』だった、というわけか。……皮肉な話だが、これで全ての謎が解けたな」
カイル殿下や父が狂った理由も判明し、ミューア自身も自分の呪縛から解放された。
これで本当に、過去の因縁は全て清算されたと言えるだろう。
「それにしても……」
レオン様が私の腰を引き寄せ、耳元で囁いた。
「ロベルトは魔法が効かないと言っていたが……私も、彼女の魅了は全く効かなかったぞ」
「あら、レオン様も筋肉質だからですか?」
「違う」
彼は私の目を真っ直ぐに見つめた。
「私の心は、もう君で満たされているからだ。……どんな強力な魅了魔法も、君への愛には勝てない」
「レオン様……」
朝から甘い言葉攻めだ。
でも、その言葉が何よりの真実だと、私は知っている。
彼の氷の心を溶かしたのは、魔法ではなく、私自身の愛だったのだから。
「さあ、朝食も冷めてしまった。……作り直させようか」
「いいえ、もったいないです。温め直して食べましょう」
「君は庶民的だな。……だが、そういうところも愛してる」
私たちは再び席につき、冷めたパンを分け合った。
それはどんな豪華な料理よりも、美味しく感じられた。
偽聖女の正体が暴かれ、騒動は幕を閉じた。
ミューアはその後、ロベルト様の領地へ「武者修行(という名の花嫁修業?)」に行くと言い出し、嵐のように去っていった。
彼女の未来がどうなるかは分からないけれど、きっと逞しく生きていくに違いない。
そして、残された私たちには、本当の平和と、そしてこれから訪れるであろう「国の終焉」のニュースが待っていた。
王都から届いた新たな報告書。
それは、聖女の加護を失い、さらに王族の求心力を失った王国の、悲惨な末路を予感させるものだった。
次回、崩壊する祖国と、新たな時代の幕開け。
(第29話 完)
カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋の中を柔らかく照らしている。
ここはアイスバーン城の主寝室。
そして、今の私は公爵夫人――エルナ・アイスバーンだ。
「……ん」
身じろぎすると、腰に回された重くて温かい腕の感触に気づく。
隣を見れば、レオン様が私を抱きしめたまま、穏やかな寝息を立てていた。
整った顔立ちは無防備で、長い睫毛が頬に影を落としている。
昨夜の情熱的で、溶けるような甘い時間の記憶が蘇り、私はカッと顔が熱くなるのを感じた。
『愛している、エルナ。……君のすべてを、私に刻み込ませてくれ』
耳元で囁かれた言葉と、熱い吐息。
私の身体には、彼に愛された証がそこかしこに残っている。
恥ずかしさと、それ以上の幸福感で胸がいっぱいになった。
「……おはよう、私の可愛い奥様」
不意に、レオン様が目を開けた。
寝起きだというのに、その蒼い瞳は澄んでいて、愛おしげに私を捕らえている。
「お、おはようございます……レオン様」
「『あなた』だろう?」
彼は悪戯っぽく笑い、私の唇に朝の挨拶を落とした。
甘くて、優しいキス。
「昨夜はよく眠れたか? ……少し張り切りすぎてしまったから、身体が辛くないか心配だったんだ」
「だ、大丈夫です。……レオン様が、何度も治癒魔法をかけてくださったので」
「当然だ。君を傷つけるつもりはない。……ただ、どうしても愛しさが溢れて止まらなくてな」
彼は私をさらに強く抱き寄せ、首筋に顔を埋めた。
「ああ、いい匂いだ。……このまま一日中、ベッドの中で過ごしたい」
「ダメですよ。今日は他国からの来賓の方々への挨拶回りがありますし……それに、朝食の時間です」
「チッ、公務か。……新婚くらいゆっくりさせてほしいものだ」
レオン様は不満げに拗ねたが、私が「夜になったら、また一緒ですわ」と耳打ちすると、パァッと顔を輝かせて起き上がった。
本当に、分かりやすい旦那様だ。
***
身支度を整え、私たちはダイニングルームへと向かった。
廊下ですれ違う使用人たちが、私たちを見て顔を赤らめ、「おめでとうございます」「お熱いですね」と冷やかす。
どうやら、新婚夫婦の甘い雰囲気は隠しようがないらしい。
ダイニングルームに入ると、すでに一人の先客がいた。
元・偽聖女であり、現・見習いシスターのミューアだ。
彼女は昨日の結婚式の後、修道院へ帰る予定だったのだが、「筋肉痛で動けません(ロベルト様のスクワットのせい)」と主張し、数日間の滞在を許可されていたのだ。
「……おはようございます、お姉様。公爵様」
ミューアはパンを齧りながら、どんよりとした声で挨拶した。
その顔色は悪く、目の下にはくっきりとしたクマができている。
「おはよう、ミューア。……顔色が悪いわよ? よく眠れなかったの?」
「眠れるわけありませんわ! お姉様たちの部屋から、甘い気配が漏れ出してきて……! 悔しくて枕を噛んでいたら朝になっていましたの!」
どうやら私たちの初夜は、妹に多大なる精神的ダメージを与えてしまったらしい。
「それに……なんだか身体が熱くて、胸がムカムカするんですの」
ミューアは胸元を押さえ、苦しげに息を吐いた。
「風邪か? なら部屋で寝ていろ」
レオン様が冷たくあしらう。
しかし、私は違和感を覚えた。
聖女としての感覚が、ミューアから発せられる「異質な魔力」を捉えていたのだ。
「待ってください、レオン様。……ミューア、ちょっと見せて」
私が彼女の額に手を伸ばそうとした、その時だった。
ドクンッ!
ミューアの身体が大きく跳ねた。
次の瞬間、彼女の全身から、毒々しいほどのピンク色の光が爆発的に溢れ出したのだ。
「きゃぁぁぁっ! な、なによこれぇぇぇ!?」
ミューアが悲鳴を上げる。
光は霧のように部屋中に充満し、甘ったるい香りを漂わせた。
それは、以前の図書室で嗅いだ麻痺香に似ているが、もっと脳髄に直接響くような、抗いがたい誘惑の香りだった。
「うっ……なんだ、この匂いは……」
控えていたセバスチャンが、ふらりとよろめいた。
彼の瞳が、とろんと濁り、焦点が定まらなくなる。
給仕のメイドたちも、頬を染めてその場に座り込んでしまった。
「あぁ……ミューア様……なんて可愛い……」
「守ってあげたい……私の全てを捧げたい……」
使用人たちが、うわ言のように呟きながら、ミューアに這い寄ろうとする。
その目は完全に理性を失っていた。
「な、なによ!? みんな気持ち悪い! 寄らないで!」
ミューアはパニックになり、椅子の上に飛び乗った。
しかし、彼女の動揺に呼応するように、ピンク色の光はさらに強さを増していく。
「……これは、『魅了(チャーム)』か?」
レオン様が鼻を押さえ、氷の結界を展開して私と自分を覆った。
彼の蒼い瞳は、冷静に状況を分析している。
「魅了……?」
「ああ。精神に作用し、対象を強制的に好意的にさせる闇魔法の一種だ。……だが、これほど強力で、無差別なものは見たことがない」
レオン様は冷ややかにミューアを見据えた。
「おい、ミューア。貴様、どこでそんな呪物を手に入れた? まさかまた、バルドスの隠し財産でも見つけたか?」
「ち、違いますわ! 何も持っていません! 勝手に身体から溢れてくるんですの!」
ミューアは泣き叫んだ。
彼女の背後で、ピンク色の霧が揺らめき、禍々しい影のような形を作り出していく。
それは、彼女自身の魔力が暴走している証拠だった。
「……まさか」
私は一つの可能性に思い当たった。
かつて王都で、なぜカイル殿下があれほど簡単にミューアに心変わりしたのか。
なぜ父が、優秀な私ではなく、無能なミューアを溺愛したのか。
そして、なぜ国民の一部が、彼女の拙い演技に熱狂したのか。
単なる「可愛さ」や「愛嬌」だけでは説明がつかないほどの、異常な執着。
「レオン様。……彼女は、生まれつき『魅了』の魔力を持っていたのかもしれません」
「生まれつきだと? ……ふむ、なるほど。突然変異の『魔性の血』か」
レオン様が納得したように頷いた。
「聖女としての浄化の力ではなく、人の心を惑わす力。……それが彼女の『聖女』としての正体だったというわけか」
王都では、彼女の力は微弱で、無意識のうちに発動していたのだろう。
しかし、聖女のフリをする重圧や、修道院でのストレス、そして昨夜の「嫉妬」という激しい感情が引き金となり、抑え込んでいた魔力が覚醒・暴走したのだ。
「いやぁぁぁ! 止まって! 誰か止めてぇぇ!」
ミューアの悲鳴と共に、魅了の波動が衝撃波となって広がった。
使用人たちが完全に操り人形のように立ち上がり、ミューアを守ろうと壁を作り始める。
このままでは、城中の人間が彼女の虜になり、大混乱に陥ってしまう。
「……厄介だな。物理攻撃で気絶させるわけにもいかん」
レオン様が氷の剣を構えようとする。
「待ってください! 私がやります!」
私は前に出た。
聖女の力は、あらゆる「魔」を浄化する。
魅了という精神汚染も、その例外ではないはずだ。
「ミューア、こっちを見なさい!」
「お、お姉様ぁ! 助けてぇ!」
私は左手の指輪と、首のチョーカーに魔力を込めた。
レオン様からの愛の力が、私の中で聖なる炎となって燃え上がる。
『――精神浄化(マインド・クリアランス)・聖なる目覚め(ホーリー・アウェイク)!』
カッ!
私の手から放たれた純白の光が、ピンク色の霧を切り裂いた。
光はミューアを包み込み、彼女から溢れ出る暴走した魔力を中和していく。
「あ、あつ……いや、温かい……?」
ミューアの身体から力が抜けていく。
背後に浮かんでいた影が悲鳴を上げて消滅し、部屋に充満していた甘ったるい香りが、清涼な空気に変わった。
「はっ……私は何を……?」
「あれ、なんで床に座ってるんだ?」
使用人たちも正気を取り戻し、キョトンとしている。
魅了の効果が解けたのだ。
ミューアはその場にへたり込み、荒い息をついていた。
私は彼女に駆け寄り、背中をさすった。
「大丈夫、ミューア? ……もう終わったわ」
「お、お姉様……私、私……」
彼女は震える手で自分の胸を押さえた。
「怖かった……。自分じゃないみたいだった……。今までも、時々あったんです。……私が泣いたり、お願いしたりすると、みんなが急に優しくなることが……」
彼女は告白した。
それは、彼女自身も気づいていなかった「呪い」の正体だった。
「父様も、カイル様も、みんな私のこの力のせいで……?」
「……恐らくな」
レオン様が静かに近づいてきた。
「貴様の魔力は、『愛されたい』という渇望に反応して発動する特異体質だ。周りの人間は、その魔力にあてられて判断力を失っていたのだろう」
「そんな……じゃあ、誰も私のことなんて、本当は好きじゃなかったの……?」
ミューアの目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
自分の魅力だと思っていたものが、実は魔法による強制的な洗脳だった。
その事実は、彼女にとって何よりも残酷な真実だっただろう。
「カイル様が最後に私を捨てたのも……私が『聖女じゃない』とバレて、私の心が折れて、魅了が弱まったから……?」
「辻褄は合うな」
レオン様は容赦なく事実を突きつける。
ミューアは顔を覆って泣き崩れた。
「私、空っぽじゃない……。聖女の力もない、本当の愛も手に入れてない、ただの化け物だったなんて……!」
「ミューア」
私は彼女の肩を強く掴んだ。
「泣くのはおよしなさい。……確かに、貴方の力は周囲を狂わせたかもしれない。でも、それは貴方が意図してやったことではないわ」
「で、でも……!」
「それに、見て」
私は部屋の入り口を指差した。
そこには、騒ぎを聞きつけて飛び込んできた、ロベルト様が立っていた。
彼は上半身裸(なぜ?)で、汗だくになりながら仁王立ちしていた。
「ぬん! 何事だ! 甘い匂いがしたが、マッスルセンサーが危険を察知したぞ!」
彼はピンク色の霧が充満していた部屋に飛び込んできたにも関わらず、全く影響を受けていないようだった。
「……あの筋肉には、魔法が通じないのかしら」
私が呆れていると、ロベルト様は泣いているミューアを見て、眉をひそめた。
「なんだ、嬢ちゃん。また泣いてんのか? スクワットが足りないんじゃないか?」
「う、うるさいわね筋肉ダルマ! ……私なんか、化け物なのよ! 誰も私のことなんて好きになってくれないのよ!」
ミューアが叫ぶと、ロベルト様はキョトンとして、それからガハハと笑った。
「何言ってやがる! 俺の部下たちは、『あの嬢ちゃん、根性あるな』って褒めてたぞ!」
「え……?」
「修道院でのジャガイモ剥きも、昨日のスクワットも、泣き言いいながら最後までやり遂げたじゃねぇか。魔法だなんだは知らねぇが、お前のその『負けず嫌いな根性』は、俺は嫌いじゃねぇぞ!」
ロベルト様はニカッと笑い、親指を立てた。
その言葉には、魅了も魔法も関係ない、純粋な評価があった。
「……嫌いじゃ、ない……?」
ミューアは呆然とロベルト様を見つめた。
魔法なしで、ありのままの自分を認めてくれた初めての言葉。
「……ふん。悪くないタイミングだ」
レオン様が微かに笑った。
「ミューア。貴様の『魅了』の魔力は、エルナの浄化によって封印された。もう無意識に暴走することはないだろう」
彼はミューアを見下ろした。
「これからは、魔法に頼らず、自分自身の魅力で勝負しろ。……ロベルトのような物好きもいることだしな」
「も、物好きですって!? 失礼ね!」
ミューアは涙を拭い、立ち上がった。
その目には、いつもの強気な光が戻っていた。
「上等よ! 魔法なんてなくたって、私は可愛いですもの! 一からやり直して、今度こそ本物の愛を手に入れてみせるわ!」
彼女はロベルト様の方を向き、ビシッと指差した。
「ねえ、筋肉! 貴方、私のトレーニングに付き合いなさいよ! まずはその暑苦しい筋肉を、私好みの細マッチョに改造してあげるわ!」
「ぬん!? 俺の筋肉を減らすだと!? それは聞き捨てならん! ……だが、勝負というなら受けて立つ!」
「望むところよ!」
二人はなぜか意気投合し、言い争いながら部屋を出て行った。
……あんな凸凹コンビが成立するとは、世の中分からないものだ。
「やれやれ。……ようやく静かになったか」
レオン様がため息をつき、私に向き直った。
「エルナ。……大丈夫か? 魔力を使いすぎたんじゃないか?」
「平気です。……でも、少し驚きました。まさかミューアの正体が、あんなことだったなんて」
「『偽聖女』の正体は、愛を乞う『魅了の魔女』だった、というわけか。……皮肉な話だが、これで全ての謎が解けたな」
カイル殿下や父が狂った理由も判明し、ミューア自身も自分の呪縛から解放された。
これで本当に、過去の因縁は全て清算されたと言えるだろう。
「それにしても……」
レオン様が私の腰を引き寄せ、耳元で囁いた。
「ロベルトは魔法が効かないと言っていたが……私も、彼女の魅了は全く効かなかったぞ」
「あら、レオン様も筋肉質だからですか?」
「違う」
彼は私の目を真っ直ぐに見つめた。
「私の心は、もう君で満たされているからだ。……どんな強力な魅了魔法も、君への愛には勝てない」
「レオン様……」
朝から甘い言葉攻めだ。
でも、その言葉が何よりの真実だと、私は知っている。
彼の氷の心を溶かしたのは、魔法ではなく、私自身の愛だったのだから。
「さあ、朝食も冷めてしまった。……作り直させようか」
「いいえ、もったいないです。温め直して食べましょう」
「君は庶民的だな。……だが、そういうところも愛してる」
私たちは再び席につき、冷めたパンを分け合った。
それはどんな豪華な料理よりも、美味しく感じられた。
偽聖女の正体が暴かれ、騒動は幕を閉じた。
ミューアはその後、ロベルト様の領地へ「武者修行(という名の花嫁修業?)」に行くと言い出し、嵐のように去っていった。
彼女の未来がどうなるかは分からないけれど、きっと逞しく生きていくに違いない。
そして、残された私たちには、本当の平和と、そしてこれから訪れるであろう「国の終焉」のニュースが待っていた。
王都から届いた新たな報告書。
それは、聖女の加護を失い、さらに王族の求心力を失った王国の、悲惨な末路を予感させるものだった。
次回、崩壊する祖国と、新たな時代の幕開け。
(第29話 完)
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