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第33話 祖国の民への救済措置(ただし条件付き)
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アイスバーン公国と、旧ルミナス王国を隔てる国境。
そこには、私が作り出した巨大な「絶氷の城壁」が、朝日に照らされて青白く輝きながらそびえ立っていた。
かつては簡単に行き来できた街道も、今は厳重な検問所が設けられ、許可なき者の通行を拒んでいる。
その城壁の向こう側――王国側の広場には、異様な光景が広がっていた。
「頼む! 公爵閣下にお目通りを願いたい!」
「我々は王都の評議会の使者だ! 食料の支援要請に来たのだ!」
「子供たちが飢えているんだ! 聖女様なら、聖女様なら助けてくれるはずだ!」
数百、いや数千の人々がひしめき合っている。
身なりのいい貴族から、薄汚れた平民まで。
彼らの共通点は、頬がこけ、目が血走り、絶望的な疲労の色を浮かべていることだった。
王都の備蓄が尽き、いよいよ国としての機能が停止し始めたのだろう。
城壁の上からその様子を見下ろしていたレオン様が、私に視線を向けた。
「……予想以上だな。まるでゾンビの群れだ」
「ゾンビだなんて。……でも、確かに生気を感じませんね」
私もまた、痛ましさと、そして冷静な観察眼を持って彼らを見つめていた。
かつて私が守り、そして私を捨てた国の人々。
感情に流されて門を開けることは簡単だ。
でも、それでは彼らはまた「誰かにすがって生きる」道を選ぶだけだ。
「行きましょう、レオン様。……交渉の時間です」
「ああ。君の『ビジネス』の手腕、見せてもらおうか」
***
ズズズズ……!
城壁の一部がスライドし、巨大な氷のゲートが開かれた。
群衆がどよめき、一斉に押し寄せようとする。
「動くな!」
一喝したのは、警備隊長のロベルト・バーンスタイン辺境伯だ。
彼は筋肉を隆起させ、人間バリケードとなって群衆の前に立ちはだかった。
「ここから先はアイスバーン公国の領土だ! 許可なく一歩でも踏み込めば、俺のマッスル・ラリアットが炸裂するぞ!」
その物理的な威圧感に、人々はたじろいで足を止めた。
そこへ、私とレオン様が、白銀の馬車に乗って現れた。
「公爵様だ!」
「隣にいるのは……エルナ様! 聖女様だ!」
「おお、聖女様! どうかお慈悲を!」
「我々をお救いください!」
人々が地面にひれ伏し、祈りを捧げ始める。
その姿は哀れで、そしてどこか滑稽だった。
彼らは私が「聖女」であることを思い出し、崇めれば救われると思っているのだ。
自分たちが私にした仕打ちを棚に上げて。
馬車から降りた私は、レオン様にエスコートされながら、群衆の前に進み出た。
今日の私は、聖女の白いローブではない。
公爵夫人としての威厳を示す、漆黒のドレスに身を包んでいる。
「頭を上げなさい」
私の声が、拡声魔法に乗って響き渡る。
「私はルミナス王国の聖女、エルナ・フォレスティではありません。……アイスバーン公国大公妃、エルナ・アイスバーンです」
その宣言に、群衆がざわめく。
「そ、そんな……聖女様……」
「我々を見捨てるのですか!?」
進み出てきたのは、暫定評議会の議長を務める老侯爵だった。
彼はやつれた顔で、しかし貴族としてのプライドを捨てきれない様子で口を開いた。
「エルナ様……いえ、大公妃殿下。我々は困窮しております。王都の倉庫は空っぽで、明日をも知れぬ命なのです。貴女様はかつて、この国を愛しておられたはず。どうか、無償の援助をお願いできないでしょうか」
「無償、ですか?」
私は冷ややかに微笑んだ。
「侯爵。貴方は私が追放される時、『役立たずの聖女に払う金などない』と仰って賛成票を投じましたね?」
「っ……! そ、それは……バルドスに唆されて……」
「言い訳は結構です。……私はもう、貴方たちの『都合のいい聖女』ではありません。一国の妃として、自国の利益を守る義務があります」
私はレオン様と視線を交わした。
レオン様が頷き、一歩前に出る。
「単刀直入に言おう。……我々は、貴国への食料支援を行う用意がある」
「おぉ……!」
「さすが公爵様!」
群衆から歓声が上がる。
しかし、レオン様は冷酷に続けた。
「ただし、これは『施し』ではない。『取引』だ。……食料が欲しければ、それに見合う対価を支払ってもらう」
「た、対価……?」
老侯爵が顔を引きつらせた。
「し、しかし我々には金がありません! バルドスに持ち逃げされ、国庫は空です!」
「金などいらん。紙切れに価値はない」
レオン様はセバスチャンに合図をした。
セバスチャンが広げたのは、私たちが事前に作成した『通商条約案』――実質的な『救済条件書』だった。
「条件は三つだ」
レオン様が指を立てる。
「一つ。……王家に伝わる『王立図書館』の全蔵書、および宝物庫に眠る『古代魔道具』のすべてを、アイスバーン公国へ譲渡すること」
「なっ……!? 国宝を差し出せと言うのですか!?」
老侯爵が叫んだ。
王立図書館には、古代魔法の知識や歴史書が眠っている。
魔道具もまた、使い方は失われていても貴重な資源だ。
カイル殿下が持ち出した聖剣のような危険物も含まれているが、レオン様なら管理できるだろう。
「命と本、どちらが大事だ? ……それに、貴様らにはどうせ使いこなせん。カイルのように暴走させるのがオチだ」
ぐうの音も出ない正論だ。
「二つ目。……今後十年間、ルミナス王国の鉱山および森林の採掘・伐採権を、我が国に譲渡すること。また、そこから産出される資源の七割を、我が国へ納めること」
「な、七割!? それでは属国と同じではありませんか!」
「嫌なら断ればいい。……その代わり、冬を越せずに餓死するだけだが」
レオン様の瞳は絶対零度だ。
彼は本気だ。
この国を生かさず殺さず、公国のための資源供給地として利用するつもりなのだ。
「そして、三つ目。……これが、エルナからの条件だ」
レオン様が私にバトンを渡した。
私は一歩前に進み、群衆を見渡した。
「三つ目の条件。……それは、『人材の提供』です」
「人材?」
「ええ。貴族、平民を問わず、我が国が必要とする『技術者』『職人』『魔法使い』そして『健康な労働者』を、希望制で我が国へ移住させること。……王国側は、彼らの移動を妨害してはなりません」
これは、王国の「血」を抜く政策だ。
優秀な人間、働く意志のある人間を吸い上げ、公国をさらに発展させる。
残るのは、特権にしがみつく無能な貴族と、変化を拒む者たちだけになるだろう。
「そ、そんなことをすれば、王国には老人と病人しか残らなくなります!」
「そうですね。……でも、それが貴方たちが選んだ結果です」
私は厳しく言った。
「有能な者を冷遇し、無能な者を重用した結果が今の惨状でしょう? ……私は、努力する人にチャンスを与えたいのです。この腐った国で埋もれていく才能を、救い出したいのです」
群衆の中から、若者や職人たちが顔を上げた。
彼らの目には、絶望ではなく、希望の光が宿り始めていた。
北へ行けば、正当に評価されるかもしれない。
食料があり、仕事があり、未来があるかもしれない。
「……条件は以上だ」
レオン様が締めくくった。
「飲むか、飲まぬか。……今ここで決めろ」
老侯爵は震えていた。
条件を飲めば、ルミナス王国は実質的にアイスバーン公国の経済植民地となる。
プライドはずたずただ。
しかし、拒否すれば待っているのは確実な死。
「……のみ、ます」
彼は膝をつき、頭を垂れた。
「条件を……全て受け入れます。どうか、食料を……」
屈服の瞬間だった。
歓声は上がらなかった。
ただ、重苦しい安堵の溜息が、広場全体に広がっていった。
「契約成立だ」
レオン様がサインをさせると、セバスチャンが合図を送った。
城壁のゲートから、次々と馬車が出てくる。
積まれているのは、公国の農場で収穫されたばかりの野菜や穀物、そして保存食だ。
「さあ、配給を始めます! ただし、列を乱した者には配りませんよ!」
ハンスさんが指揮を執り、炊き出しが始まった。
湯気を立てる大鍋には、私の魔力をたっぷり受けて育った「聖女様野菜」のごろごろ入ったスープが煮えている。
「うまい……! うまいぞぉぉ!」
「身体が温まる……力が湧いてくる!」
スープを口にした人々が、涙を流して喜んでいる。
その野菜の味は、彼らが今まで食べていた萎びた野菜とは比べ物にならないほど濃厚で、生命力に満ちていた。
「……これが、エルナ様が作った野菜か」
老侯爵もスープを受け取り、一口飲んで震えた。
「我々は……なんというものを手放してしまったのだ……」
後悔先に立たず。
彼らはスープの温かさと共に、失ったものの大きさを痛感していることだろう。
***
その夜。
公国の城に戻った私たちは、祝杯を挙げていた。
「……少し、意地悪だったでしょうか」
私はグラスを揺らしながら呟いた。
「いいや。最高の取引だった」
レオン様は満足げに笑った。
「王国の国宝級アイテムと、豊富な地下資源、そして優秀な人材。……これらを手に入れたことで、我が国の発展は数十年早まったと言える」
彼は私の手を取り、指先にキスをした。
「君の『人材引き抜き』の案は素晴らしかった。……特に、魔法使いや職人たちは、王都の古い体質に嫌気が差していたはずだ。彼らを保護すれば、我が国の技術力は飛躍的に向上する」
「はい。……それに、彼らがこちらに来れば、王都に残った貴族たちも、自分たちで何とかするしかなくなります」
洗濯をするメイドも、馬を世話する御者も、美味しいパンを焼く職人もいなくなれば、貴族たちは自分たちで動くしかない。
それが、彼らにとって一番の「教育」になるはずだ。
「君は、本当にいい領主になったな」
レオン様が目を細める。
「聖女としての慈悲と、公爵夫人としての冷徹さ。……そのバランスが絶妙だ」
「レオン様の教育の賜物ですわ」
「ははっ。……褒め言葉として受け取っておこう」
私たちは窓の外を見た。
国境の向こう、王都へと続く街道には、食料を積んだ馬車が列をなしている。
そして、その逆方向――こちらへ向かう道には、移住を希望する人々の長い列ができ始めていた。
国の形が変わっていく。
かつての大国は衰退し、北の公国が新たな光となって輝き始める。
その中心にいるのが私たちだという事実に、身が引き締まる思いがした。
「……そうだ、エルナ。例の『図書館』の件だが」
レオン様が思い出したように言った。
「王立図書館から運ばれてくる蔵書の中に、興味深いものリストが含まれていた」
「興味深いもの?」
「ああ。……『古代魔法文明における、聖女の魔力と妊娠の関係性について』という論文だ」
「ぶっ……!」
私は飲んでいたワインを吹き出しそうになった。
「な、なんですかそのピンポイントな論文は!?」
「偶然だ。……だが、読んでおく価値はあるだろう? これからの私たちにとって」
彼はニヤリと笑い、私の腰を引き寄せた。
「優秀な聖女の血筋は、魔力の高いパートナーとの間に、稀代の魔法使いを産むらしい。……私と君の子なら、世界を征服できるかもしれないな」
「世界征服なんてしなくていいです! 元気に育ってくれれば!」
「冗談だ。……だが、楽しみだな」
彼は私のお腹に手を当て、愛おしそうに撫でた。
「新しい国を作り、新しい民を迎え入れ……そして、新しい家族を迎える。……私の人生がこれほど充実するとは、夢にも思わなかった」
「レオン様……」
「すべて君のおかげだ。愛している、エルナ」
「私もです。……あなた」
私たちは甘い口付けを交わした。
公務は終わった。ここからは、夫婦の時間だ。
「……今日は、寝かせないぞ」
「……はい。望むところです」
夜は更けていく。
北の空には、未来を祝福するようにオーロラが輝いていた。
***
それから数ヶ月。
アイスバーン公国は、予想通りの、いや予想以上の発展を遂げていた。
王都から移住してきた職人たちは、レオン様の支援を受けて新しい工房を開き、次々と画期的な製品を生み出した。
魔法使いたちは、北の豊富な魔石を使って研究に没頭し、生活を便利にする魔道具を開発した。
農民たちは、ハンスさんの指導の下、寒冷地でも育つ品種改良に取り組み、公国は食料輸出国へと変貌を遂げた。
一方、ルミナス王国は……。
貴族たちが「召使いがいない!」「パンが不味い!」と悲鳴を上げながら、不慣れな家事に悪戦苦闘しているという噂が聞こえてくる。
カイル殿下がいる鉱山の方が、よほど組織化されていて暮らしやすいという皮肉な状況も続いているらしい。
そんなある日。
城のサンルームで、私は一通の手紙を受け取った。
差出人は、ロベルト・バーンスタイン辺境伯の領地にいる、ミューアからだった。
『お姉様へ。
元気ですか? 私は元気すぎて筋肉痛が治りません!
最近、ここの領地でも「ミューア教官式・美容エクササイズ」が大流行していて、貴族の奥様方から引っ張りだこなんですの。
お金も稼げるようになって、自分のドレスは自分で買えるようになりましたわ!
自分で稼いだお金で買うドレスって、カイル様に買ってもらったものより百倍素敵に見えますのよ。不思議ですね!』
手紙からは、彼女の充実した様子が伝わってきた。
かつての「与えられること」しか知らなかった少女が、「自ら掴み取ること」の喜びを知ったのだ。
『追伸:
ロベルト様が最近、私を見る目がちょっと怪しいんですの。
「お前の根性は気に入った。俺の筋肉の嫁になれ」とか訳の分からないことを言っています。
筋肉の嫁ってなんですの? 断固拒否しますわ!
……でも、プロテイン入りのクッキーを焼いてくれたりして、意外とマメなんですのよね。
まあ、キープくらいはしておいてあげますわ!』
「ふふっ……」
私は手紙を読みながら吹き出した。
どうやら、南の辺境でも新しい春が訪れようとしているらしい。
あんなに「筋肉は嫌」と言っていたミューアが、満更でもなさそうなのが可笑しい。
「何がそんなに面白いんだ?」
執務から戻ったレオン様が、私の後ろから覗き込んだ。
「ミューアからの手紙です。……ロベルト様と、いい感じみたいですよ」
「ほう。あの野獣と猛獣使いか。……お似合いだな」
レオン様も苦笑した。
「だが、人の恋路を笑っている場合ではないぞ」
「え?」
レオン様は真面目な顔になり、私の前に跪いた。
そして、そっと私のお腹に耳を当てた。
「……聞こえるか? 未来の足音が」
「レオン様……?」
私は自分の腹部に手を重ねた。
まだ確信は持てないけれど、最近、身体の変化を感じていた。
聖女としての勘が、新しい命の芽吹きを告げている。
「……はい。聞こえる気がします」
私が微笑むと、レオン様は感極まったように私を抱きしめた。
「ありがとう、エルナ。……君は私に、また一つ奇跡をくれた」
「奇跡ではありません。……二人の愛の結晶です」
「ああ、そうだな。……急いで準備をしなければ。子供部屋のデザインはどうする? 名前は? 家庭教師は私が厳選するとして……」
「気が早すぎますってば!」
公爵様の親バカモードが発動しそうだ。
でも、そんな慌ただしくも幸せな未来が、楽しみで仕方がない。
私たちの「国」は、まだ完成していない。
これからも多くの課題があるだろうし、困難も訪れるだろう。
でも、大丈夫。
隣には彼がいて、周りには頼もしい仲間たちがいる。
そして、私のお腹には、新しい希望が宿っているのだから。
「さあ、行きましょうレオン様。……私たちの物語の、次のページへ」
「ああ。……どこまでも、君と共に」
私たちは手を取り合い、光に満ちた廊下を歩き出した。
その先には、誰もが羨むような、最高のハッピーエンドの続きが待っているはずだ。
(第33話 完)
そこには、私が作り出した巨大な「絶氷の城壁」が、朝日に照らされて青白く輝きながらそびえ立っていた。
かつては簡単に行き来できた街道も、今は厳重な検問所が設けられ、許可なき者の通行を拒んでいる。
その城壁の向こう側――王国側の広場には、異様な光景が広がっていた。
「頼む! 公爵閣下にお目通りを願いたい!」
「我々は王都の評議会の使者だ! 食料の支援要請に来たのだ!」
「子供たちが飢えているんだ! 聖女様なら、聖女様なら助けてくれるはずだ!」
数百、いや数千の人々がひしめき合っている。
身なりのいい貴族から、薄汚れた平民まで。
彼らの共通点は、頬がこけ、目が血走り、絶望的な疲労の色を浮かべていることだった。
王都の備蓄が尽き、いよいよ国としての機能が停止し始めたのだろう。
城壁の上からその様子を見下ろしていたレオン様が、私に視線を向けた。
「……予想以上だな。まるでゾンビの群れだ」
「ゾンビだなんて。……でも、確かに生気を感じませんね」
私もまた、痛ましさと、そして冷静な観察眼を持って彼らを見つめていた。
かつて私が守り、そして私を捨てた国の人々。
感情に流されて門を開けることは簡単だ。
でも、それでは彼らはまた「誰かにすがって生きる」道を選ぶだけだ。
「行きましょう、レオン様。……交渉の時間です」
「ああ。君の『ビジネス』の手腕、見せてもらおうか」
***
ズズズズ……!
城壁の一部がスライドし、巨大な氷のゲートが開かれた。
群衆がどよめき、一斉に押し寄せようとする。
「動くな!」
一喝したのは、警備隊長のロベルト・バーンスタイン辺境伯だ。
彼は筋肉を隆起させ、人間バリケードとなって群衆の前に立ちはだかった。
「ここから先はアイスバーン公国の領土だ! 許可なく一歩でも踏み込めば、俺のマッスル・ラリアットが炸裂するぞ!」
その物理的な威圧感に、人々はたじろいで足を止めた。
そこへ、私とレオン様が、白銀の馬車に乗って現れた。
「公爵様だ!」
「隣にいるのは……エルナ様! 聖女様だ!」
「おお、聖女様! どうかお慈悲を!」
「我々をお救いください!」
人々が地面にひれ伏し、祈りを捧げ始める。
その姿は哀れで、そしてどこか滑稽だった。
彼らは私が「聖女」であることを思い出し、崇めれば救われると思っているのだ。
自分たちが私にした仕打ちを棚に上げて。
馬車から降りた私は、レオン様にエスコートされながら、群衆の前に進み出た。
今日の私は、聖女の白いローブではない。
公爵夫人としての威厳を示す、漆黒のドレスに身を包んでいる。
「頭を上げなさい」
私の声が、拡声魔法に乗って響き渡る。
「私はルミナス王国の聖女、エルナ・フォレスティではありません。……アイスバーン公国大公妃、エルナ・アイスバーンです」
その宣言に、群衆がざわめく。
「そ、そんな……聖女様……」
「我々を見捨てるのですか!?」
進み出てきたのは、暫定評議会の議長を務める老侯爵だった。
彼はやつれた顔で、しかし貴族としてのプライドを捨てきれない様子で口を開いた。
「エルナ様……いえ、大公妃殿下。我々は困窮しております。王都の倉庫は空っぽで、明日をも知れぬ命なのです。貴女様はかつて、この国を愛しておられたはず。どうか、無償の援助をお願いできないでしょうか」
「無償、ですか?」
私は冷ややかに微笑んだ。
「侯爵。貴方は私が追放される時、『役立たずの聖女に払う金などない』と仰って賛成票を投じましたね?」
「っ……! そ、それは……バルドスに唆されて……」
「言い訳は結構です。……私はもう、貴方たちの『都合のいい聖女』ではありません。一国の妃として、自国の利益を守る義務があります」
私はレオン様と視線を交わした。
レオン様が頷き、一歩前に出る。
「単刀直入に言おう。……我々は、貴国への食料支援を行う用意がある」
「おぉ……!」
「さすが公爵様!」
群衆から歓声が上がる。
しかし、レオン様は冷酷に続けた。
「ただし、これは『施し』ではない。『取引』だ。……食料が欲しければ、それに見合う対価を支払ってもらう」
「た、対価……?」
老侯爵が顔を引きつらせた。
「し、しかし我々には金がありません! バルドスに持ち逃げされ、国庫は空です!」
「金などいらん。紙切れに価値はない」
レオン様はセバスチャンに合図をした。
セバスチャンが広げたのは、私たちが事前に作成した『通商条約案』――実質的な『救済条件書』だった。
「条件は三つだ」
レオン様が指を立てる。
「一つ。……王家に伝わる『王立図書館』の全蔵書、および宝物庫に眠る『古代魔道具』のすべてを、アイスバーン公国へ譲渡すること」
「なっ……!? 国宝を差し出せと言うのですか!?」
老侯爵が叫んだ。
王立図書館には、古代魔法の知識や歴史書が眠っている。
魔道具もまた、使い方は失われていても貴重な資源だ。
カイル殿下が持ち出した聖剣のような危険物も含まれているが、レオン様なら管理できるだろう。
「命と本、どちらが大事だ? ……それに、貴様らにはどうせ使いこなせん。カイルのように暴走させるのがオチだ」
ぐうの音も出ない正論だ。
「二つ目。……今後十年間、ルミナス王国の鉱山および森林の採掘・伐採権を、我が国に譲渡すること。また、そこから産出される資源の七割を、我が国へ納めること」
「な、七割!? それでは属国と同じではありませんか!」
「嫌なら断ればいい。……その代わり、冬を越せずに餓死するだけだが」
レオン様の瞳は絶対零度だ。
彼は本気だ。
この国を生かさず殺さず、公国のための資源供給地として利用するつもりなのだ。
「そして、三つ目。……これが、エルナからの条件だ」
レオン様が私にバトンを渡した。
私は一歩前に進み、群衆を見渡した。
「三つ目の条件。……それは、『人材の提供』です」
「人材?」
「ええ。貴族、平民を問わず、我が国が必要とする『技術者』『職人』『魔法使い』そして『健康な労働者』を、希望制で我が国へ移住させること。……王国側は、彼らの移動を妨害してはなりません」
これは、王国の「血」を抜く政策だ。
優秀な人間、働く意志のある人間を吸い上げ、公国をさらに発展させる。
残るのは、特権にしがみつく無能な貴族と、変化を拒む者たちだけになるだろう。
「そ、そんなことをすれば、王国には老人と病人しか残らなくなります!」
「そうですね。……でも、それが貴方たちが選んだ結果です」
私は厳しく言った。
「有能な者を冷遇し、無能な者を重用した結果が今の惨状でしょう? ……私は、努力する人にチャンスを与えたいのです。この腐った国で埋もれていく才能を、救い出したいのです」
群衆の中から、若者や職人たちが顔を上げた。
彼らの目には、絶望ではなく、希望の光が宿り始めていた。
北へ行けば、正当に評価されるかもしれない。
食料があり、仕事があり、未来があるかもしれない。
「……条件は以上だ」
レオン様が締めくくった。
「飲むか、飲まぬか。……今ここで決めろ」
老侯爵は震えていた。
条件を飲めば、ルミナス王国は実質的にアイスバーン公国の経済植民地となる。
プライドはずたずただ。
しかし、拒否すれば待っているのは確実な死。
「……のみ、ます」
彼は膝をつき、頭を垂れた。
「条件を……全て受け入れます。どうか、食料を……」
屈服の瞬間だった。
歓声は上がらなかった。
ただ、重苦しい安堵の溜息が、広場全体に広がっていった。
「契約成立だ」
レオン様がサインをさせると、セバスチャンが合図を送った。
城壁のゲートから、次々と馬車が出てくる。
積まれているのは、公国の農場で収穫されたばかりの野菜や穀物、そして保存食だ。
「さあ、配給を始めます! ただし、列を乱した者には配りませんよ!」
ハンスさんが指揮を執り、炊き出しが始まった。
湯気を立てる大鍋には、私の魔力をたっぷり受けて育った「聖女様野菜」のごろごろ入ったスープが煮えている。
「うまい……! うまいぞぉぉ!」
「身体が温まる……力が湧いてくる!」
スープを口にした人々が、涙を流して喜んでいる。
その野菜の味は、彼らが今まで食べていた萎びた野菜とは比べ物にならないほど濃厚で、生命力に満ちていた。
「……これが、エルナ様が作った野菜か」
老侯爵もスープを受け取り、一口飲んで震えた。
「我々は……なんというものを手放してしまったのだ……」
後悔先に立たず。
彼らはスープの温かさと共に、失ったものの大きさを痛感していることだろう。
***
その夜。
公国の城に戻った私たちは、祝杯を挙げていた。
「……少し、意地悪だったでしょうか」
私はグラスを揺らしながら呟いた。
「いいや。最高の取引だった」
レオン様は満足げに笑った。
「王国の国宝級アイテムと、豊富な地下資源、そして優秀な人材。……これらを手に入れたことで、我が国の発展は数十年早まったと言える」
彼は私の手を取り、指先にキスをした。
「君の『人材引き抜き』の案は素晴らしかった。……特に、魔法使いや職人たちは、王都の古い体質に嫌気が差していたはずだ。彼らを保護すれば、我が国の技術力は飛躍的に向上する」
「はい。……それに、彼らがこちらに来れば、王都に残った貴族たちも、自分たちで何とかするしかなくなります」
洗濯をするメイドも、馬を世話する御者も、美味しいパンを焼く職人もいなくなれば、貴族たちは自分たちで動くしかない。
それが、彼らにとって一番の「教育」になるはずだ。
「君は、本当にいい領主になったな」
レオン様が目を細める。
「聖女としての慈悲と、公爵夫人としての冷徹さ。……そのバランスが絶妙だ」
「レオン様の教育の賜物ですわ」
「ははっ。……褒め言葉として受け取っておこう」
私たちは窓の外を見た。
国境の向こう、王都へと続く街道には、食料を積んだ馬車が列をなしている。
そして、その逆方向――こちらへ向かう道には、移住を希望する人々の長い列ができ始めていた。
国の形が変わっていく。
かつての大国は衰退し、北の公国が新たな光となって輝き始める。
その中心にいるのが私たちだという事実に、身が引き締まる思いがした。
「……そうだ、エルナ。例の『図書館』の件だが」
レオン様が思い出したように言った。
「王立図書館から運ばれてくる蔵書の中に、興味深いものリストが含まれていた」
「興味深いもの?」
「ああ。……『古代魔法文明における、聖女の魔力と妊娠の関係性について』という論文だ」
「ぶっ……!」
私は飲んでいたワインを吹き出しそうになった。
「な、なんですかそのピンポイントな論文は!?」
「偶然だ。……だが、読んでおく価値はあるだろう? これからの私たちにとって」
彼はニヤリと笑い、私の腰を引き寄せた。
「優秀な聖女の血筋は、魔力の高いパートナーとの間に、稀代の魔法使いを産むらしい。……私と君の子なら、世界を征服できるかもしれないな」
「世界征服なんてしなくていいです! 元気に育ってくれれば!」
「冗談だ。……だが、楽しみだな」
彼は私のお腹に手を当て、愛おしそうに撫でた。
「新しい国を作り、新しい民を迎え入れ……そして、新しい家族を迎える。……私の人生がこれほど充実するとは、夢にも思わなかった」
「レオン様……」
「すべて君のおかげだ。愛している、エルナ」
「私もです。……あなた」
私たちは甘い口付けを交わした。
公務は終わった。ここからは、夫婦の時間だ。
「……今日は、寝かせないぞ」
「……はい。望むところです」
夜は更けていく。
北の空には、未来を祝福するようにオーロラが輝いていた。
***
それから数ヶ月。
アイスバーン公国は、予想通りの、いや予想以上の発展を遂げていた。
王都から移住してきた職人たちは、レオン様の支援を受けて新しい工房を開き、次々と画期的な製品を生み出した。
魔法使いたちは、北の豊富な魔石を使って研究に没頭し、生活を便利にする魔道具を開発した。
農民たちは、ハンスさんの指導の下、寒冷地でも育つ品種改良に取り組み、公国は食料輸出国へと変貌を遂げた。
一方、ルミナス王国は……。
貴族たちが「召使いがいない!」「パンが不味い!」と悲鳴を上げながら、不慣れな家事に悪戦苦闘しているという噂が聞こえてくる。
カイル殿下がいる鉱山の方が、よほど組織化されていて暮らしやすいという皮肉な状況も続いているらしい。
そんなある日。
城のサンルームで、私は一通の手紙を受け取った。
差出人は、ロベルト・バーンスタイン辺境伯の領地にいる、ミューアからだった。
『お姉様へ。
元気ですか? 私は元気すぎて筋肉痛が治りません!
最近、ここの領地でも「ミューア教官式・美容エクササイズ」が大流行していて、貴族の奥様方から引っ張りだこなんですの。
お金も稼げるようになって、自分のドレスは自分で買えるようになりましたわ!
自分で稼いだお金で買うドレスって、カイル様に買ってもらったものより百倍素敵に見えますのよ。不思議ですね!』
手紙からは、彼女の充実した様子が伝わってきた。
かつての「与えられること」しか知らなかった少女が、「自ら掴み取ること」の喜びを知ったのだ。
『追伸:
ロベルト様が最近、私を見る目がちょっと怪しいんですの。
「お前の根性は気に入った。俺の筋肉の嫁になれ」とか訳の分からないことを言っています。
筋肉の嫁ってなんですの? 断固拒否しますわ!
……でも、プロテイン入りのクッキーを焼いてくれたりして、意外とマメなんですのよね。
まあ、キープくらいはしておいてあげますわ!』
「ふふっ……」
私は手紙を読みながら吹き出した。
どうやら、南の辺境でも新しい春が訪れようとしているらしい。
あんなに「筋肉は嫌」と言っていたミューアが、満更でもなさそうなのが可笑しい。
「何がそんなに面白いんだ?」
執務から戻ったレオン様が、私の後ろから覗き込んだ。
「ミューアからの手紙です。……ロベルト様と、いい感じみたいですよ」
「ほう。あの野獣と猛獣使いか。……お似合いだな」
レオン様も苦笑した。
「だが、人の恋路を笑っている場合ではないぞ」
「え?」
レオン様は真面目な顔になり、私の前に跪いた。
そして、そっと私のお腹に耳を当てた。
「……聞こえるか? 未来の足音が」
「レオン様……?」
私は自分の腹部に手を重ねた。
まだ確信は持てないけれど、最近、身体の変化を感じていた。
聖女としての勘が、新しい命の芽吹きを告げている。
「……はい。聞こえる気がします」
私が微笑むと、レオン様は感極まったように私を抱きしめた。
「ありがとう、エルナ。……君は私に、また一つ奇跡をくれた」
「奇跡ではありません。……二人の愛の結晶です」
「ああ、そうだな。……急いで準備をしなければ。子供部屋のデザインはどうする? 名前は? 家庭教師は私が厳選するとして……」
「気が早すぎますってば!」
公爵様の親バカモードが発動しそうだ。
でも、そんな慌ただしくも幸せな未来が、楽しみで仕方がない。
私たちの「国」は、まだ完成していない。
これからも多くの課題があるだろうし、困難も訪れるだろう。
でも、大丈夫。
隣には彼がいて、周りには頼もしい仲間たちがいる。
そして、私のお腹には、新しい希望が宿っているのだから。
「さあ、行きましょうレオン様。……私たちの物語の、次のページへ」
「ああ。……どこまでも、君と共に」
私たちは手を取り合い、光に満ちた廊下を歩き出した。
その先には、誰もが羨むような、最高のハッピーエンドの続きが待っているはずだ。
(第33話 完)
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