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第34話 嵐が去って、深まる二人の絆
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北の大地に、短い夏が訪れようとしていた。
雪解け水が小川となってせせらぎ、野原には高山植物が可憐な花を咲かせている。
アイスバーン公国の城下町は、王都からの移住者たちも馴染み始め、活気に満ちていた。
新しい工房が建ち並び、市場には見たこともない魔道具や、品種改良された野菜が並ぶ。
かつて「死の土地」と呼ばれた場所は、今や大陸北部で最も繫栄する都市へと変貌を遂げていた。
そんな平和なある日のこと。
アイスバーン城の執務室ではなく、主寝室にて、小さな騒ぎが起きていた。
「……間違いないのか?」
「はい、閣下。間違いございません」
ベッドの脇で、初老の医師が恭しく頭を下げた。
彼は公国で一番の名医であり、王都から移住してきた優秀な治癒師でもある。
「エルナ様のご懐妊です。今のところ母子ともに経過は順調。……おめでとうございます」
「そうか……そう、か」
レオンハルト様――レオン様は、彫像のように固まっていた。
その顔には、喜びと驚き、そして畏敬の念が混じり合ったような、何とも言えない表情が浮かんでいる。
普段の冷静沈着な公爵様の姿はどこへやら、彼は自分の手が震えていることにすら気づいていないようだった。
「エルナ……」
彼がおそるおそるベッドに近づいてくる。
まるで、触れれば壊れてしまう硝子細工を扱うような慎重さだ。
「ありがとう。……ありがとう、エルナ」
彼はベッドサイドに膝をつき、私の手を両手で包み込んだ。
その蒼い瞳が潤んでいるのを見て、私も胸がいっぱいになった。
「ふふっ、そんなに驚かないでください。……数日前から、なんとなく予感はしていましたでしょう?」
「予感と事実は違う。……今、医師の言葉を聞いて、ようやく実感が湧いてきたんだ。私たちが、親になるのだと」
彼は私の手におでこを押し付けた。
「嬉しい。……言葉にできないほど、嬉しい」
「私もです、レオン様」
私は彼の手を握り返し、もう片方の手で自分のお腹に触れた。
まだ膨らみはないけれど、ここに確かに新しい命が宿っている。
私と、愛する彼との結晶が。
「……安静だ」
不意に、レオン様が顔を上げ、真剣な眼差しで言った。
「今日から君は絶対安静だ。ベッドから降りてはいけない。トイレ以外は私が抱っこして運ぶ。食事も私が食べさせる」
「ええっ? そんな、大げさですわ」
「大げさなものか! 君のお腹には、国の宝が入っているんだぞ! いや、国どころか私の宇宙そのものだ!」
スイッチが入ってしまったらしい。
公爵様の過保護モードが、かつてないレベルで発動してしまった。
「仕事はどうするんですか? 公務が山積みでしょう?」
「セバスチャンに任せる。あるいはロベルトに投げればいい。私の最優先事項は君と子供だ」
「そんな無茶苦茶な……」
私が呆れていると、医師が苦笑しながら助け船を出してくれた。
「閣下、お気持ちは分かりますが、適度な運動も必要ですよ。ずっと寝たきりでは、かえって体力を落としてしまいます」
「む……そうなのか?」
「はい。エルナ様の体調が良い時に、城内を散歩する程度なら問題ありません。……ただし、無理は禁物ですが」
「分かった。散歩だな。私が全神経を研ぎ澄ませて護衛しよう。石ころ一つ踏ませない」
医師のアドバイスも、彼にかかると「厳戒態勢での護送」に変換されてしまうようだ。
まあ、それだけ大切に思ってくれているということだろうけれど。
こうして、私のアイスバーン城での「妊婦生活」が始まった。
それは、幸せで、そして少しだけ騒がしい日々の幕開けでもあった。
***
妊娠が分かってから数週間。
私の体調に変化が現れ始めた。
いわゆる「つわり」だ。
「うっ……」
朝、目覚めた瞬間に襲ってくる強烈な吐き気。
大好きなはずの焼きたてパンの匂いが、急に鼻につくようになる。
食欲がなくなり、身体がだるくて起き上がれない日が増えた。
「エルナ、大丈夫か!?」
私が洗面器を抱えてうずくまっていると、レオン様が顔面蒼白で飛んできた。
彼は執務中だったはずなのに、どうやら私の体調不良を察知するセンサーでも持っているらしい(おそらく指輪の通信機能だろう)。
「み、水……」
「すぐに持ってくる! ……いや、氷魔法で作る方が早いか」
彼は手の中に純度の高い氷を作り、それを適温の水へと溶かしてコップに注いでくれた。
冷たくて清らかな水が、荒れた喉を潤してくれる。
「ありがとう……少し、落ち着きました」
「顔色が悪い。……すぐに医師を呼ぼう」
「いえ、ただのつわりですから……病気ではありませんし」
「だが、君が苦しんでいるのを見ていると、私が死にそうだ」
彼は私の背中をさすりながら、本気で辛そうな顔をした。
最強の公爵様が、オロオロとしている姿は少しおかしいけれど、それ以上に愛おしい。
「代われるものなら代わってやりたい。……なぜ神は、男につわりの苦しみを与えなかったんだ」
「ふふっ、レオン様がつわりになったら、国政が止まってしまいますわ」
「国など止まればいい。君の笑顔一つの方が重要だ」
彼は真顔で言う。
本当にやりかねないから怖い。
その日から、レオン様の献身はさらに加速した。
食事が喉を通らない私のために、彼は自ら厨房に立ち始めたのだ。
「匂いがダメなら、匂いのしない料理を作ればいい」と言って、冷製スープやゼリーなど、口当たりの良いものを試行錯誤して作ってくれる。
あの大きな手で、繊細な果物の皮をむき、一口サイズにカットして、「あーん」をしてくれる公爵様の姿。
使用人たちが「尊い……」と拝んでいるのが見える。
「……どうだ? これなら食べられるか?」
「はい……美味しいです。酸味がちょうどよくて」
彼が作ってくれたレモンゼリーを口にすると、スッと胃の不快感が和らいだ。
「よかった……」
彼は心底ほっとしたように息を吐いた。
その額にはうっすらと汗が滲んでいる。
氷の魔公爵が、汗をかくほど必死になってくれているのだ。
「レオン様、お仕事は?」
「終わらせてきた。……というか、君のそばで書類を見ることにした」
見ると、寝室のサイドテーブルに山のような書類が積まれている。
彼は私のベッドの横に椅子を置き、片手で私の手を握りながら、もう片方の手でペンを走らせ始めた。
「これなら、君に何かあればすぐに対応できる」
「……邪魔じゃありませんか?」
「まさか。君の寝息を聞いていると、仕事が捗るんだ。……精神安定剤のようなものだ」
彼は時折、書類から目を離して私を見つめ、優しく微笑む。
その笑顔を見るだけで、私の辛さも半分になる気がした。
つわりの時期は辛かったけれど、レオン様との絆は、この期間にさらに深まったように思う。
言葉にしなくても相手の求めていることが分かる。
苦しみを分かち合い、小さな喜びを共有する。
夫婦として、また一段階、階段を登ったような感覚だった。
***
つわりが落ち着いてきた頃。
季節は夏を迎えていたが、北の地の夏は涼しく、過ごしやすい。
私たちは、体調の良い日を見計らって、城の庭園を散歩することにした。
私が魔法で再生させた庭園は、今や美しい花々で溢れかえっている。
色とりどりの薔薇、ラベンダー、そして私たちの結婚式の時に植樹した記念樹。
風が吹くたびに、甘い香りが漂ってくる。
「……少し、お腹が出てきたかな」
ベンチに座り、レオン様が私の膨らみ始めたお腹を撫でた。
「そうですね。……中で動いているのが分かりますか?」
「いや、まだ分からないな。……だが、温かい魔力を感じる」
彼は耳をお腹に当て、真剣な顔で「交信」を試みている。
「聞こえるか、我が子よ。父だぞ。……早く出ておいで。君に会えるのを、世界で一番楽しみにしている男だ」
「気が早いですわ。まだ数ヶ月ありますよ」
「待ち遠しいんだ。……この子が生まれたら、私はきっと、仕事が手につかなくなるだろうな」
「それは困ります。セバスチャンが泣いてしまいますわ」
私たちはクスクスと笑い合った。
レオン様は私の肩を抱き寄せ、遠くの空を見上げた。
「……エルナ。正直に言うと、不安もあったんだ」
「不安、ですか?」
「ああ。……私は、まともな家庭というものを知らない」
彼の声が、少しだけ低くなった。
「父は厳格で、私に関心がなかった。母は……あの通りだ。私が呪われた時、真っ先に私を捨てた」
イザベラ様の顔が脳裏をよぎる。
息子を愛さず、道具としてしか見ていなかった母親。
レオン様にとって、「家族」という言葉は、温かいものではなく、冷たくて痛みを伴うものだったはずだ。
「だから、自分がまともな父親になれるのか、自信がなかった。……この子に、同じような寂しい思いをさせてしまうのではないかと」
彼は自分の手をじっと見つめた。
その手は震えてはいなかったが、強く握りしめられていた。
「レオン様」
私は彼の手を両手で包み込み、解きほぐすように指を絡めた。
「貴方は、お父様ともお義母様とも違います」
「……そうだろうか」
「ええ、違います。だって、貴方はこんなにも私のことを愛してくれているではありませんか。……つわりの時、あんなに必死になって看病してくれた貴方が、冷たい父親になるはずがありません」
私は彼の手を自分のお腹に導いた。
「この子も、きっと分かっていますよ。お父様がどれだけ自分を愛してくれているか。……魔力を通じて、伝わっているはずです」
レオン様は驚いたように目を見開き、それからふわりと表情を緩めた。
「……そうか。伝わっているのか」
「はい。……それに、貴方は一人ではありません。私がいます。……二人で一緒に、この子を愛していけばいいんです」
「エルナ……」
彼は私を強く抱きしめた。
「ありがとう。……君はいつも、私の心の氷を溶かしてくれる」
「それが私の役目ですから」
「ああ。……君と出会えてよかった。心からそう思う」
私たちは木漏れ日の中で、静かに寄り添った。
彼の中にある過去の傷跡。
それは完全には消えないかもしれない。
でも、新しい家族との温かい記憶で、少しずつ上書きしていくことはできるはずだ。
私たちが作る家庭は、きっと世界で一番温かい場所になる。
そう確信できた。
***
その夜、北の地に季節外れの嵐がやってきた。
轟音と共に雷が鳴り響き、激しい雨が城壁を叩く。
窓ガラスがガタガタと震え、外の世界は荒れ狂っていた。
けれど、私たちの部屋の中は、静寂と温もりに包まれていた。
暖炉には火が赤々と燃え、パチパチと薪が爆ぜる音が心地よい。
厚手の絨毯の上に座り、私たちは一つの毛布にくるまっていた。
「外はすごい嵐だな」
レオン様がホットミルクの入ったマグカップを渡してくれた。
「ええ。……でも、ここは安全ですね」
「ああ。この城の結界は完璧だ。……それに、私がついている」
彼は私の肩に頭を乗せ、甘えるようにすり寄せた。
「どんな嵐が来ても、君と子供は私が守る。……絶対に」
その言葉は、物理的な嵐だけでなく、これから先の人生で訪れるかもしれない困難に対する誓いのようにも聞こえた。
「頼もしいです、旦那様」
私は彼の髪を指で梳いた。
サラサラとした黒髪が、指の間を滑り落ちる。
「……そういえば、エルナ」
「はい?」
「嵐が去ったら、君に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
「ああ。……実は、こっそりと準備していたものがあってな」
彼は少し照れくさそうに頬を掻いた。
「結婚式は終わったが……まだ君に、きちんとした言葉を伝えていなかった気がして」
「言葉?」
「プロポーズだ」
「えっ? でも、もう結婚しましたし、指輪も……」
「あれは契約のようなものだったろう? 『守る』とか『一生そばにいる』とか。……そうじゃなくて、もっとこう、ロマンチックなやつだ」
彼は真剣な顔で言った。
「結婚したから終わりじゃない。……私は一生、君に恋をしていたいんだ。だから、何度でも愛を伝えたい」
「レオン様……」
なんてキザな、そして愛おしい人だろう。
結婚してもなお、私を口説こうとしてくれるなんて。
「明日の夜、中庭に来てくれ。……とびきりのサプライズを用意している」
「分かりました。楽しみにしています」
私たちは微笑み合い、再び窓の外を見た。
嵐はまだ続いているけれど、明日はきっと晴れるだろう。
そして、もっと素晴らしい一日が待っている。
***
翌日。
予報通り、嵐は嘘のように去り、空には満天の星が輝いていた。
空気は雨に洗われて澄み渡り、月明かりが雪解けの残る大地を青白く照らしている。
私はレオン様に言われた通り、ドレスアップして中庭へと向かった。
指定されたのは、私たちが初めて魔法で花を咲かせた、あの場所だ。
「……わぁ」
中庭に足を踏み入れた瞬間、私は歓声を上げた。
そこは、光の海だった。
無数の魔石ランプが宙に浮き、蛍のように煌めいている。
そして、地面には魔法で作られた氷の花々が、本物の花と混じり合って咲き乱れていた。
青い氷の薔薇、銀色の百合、そして黄金色に輝く向日葵。
幻想的で、息を呑むほど美しい光景。
その中心に、レオン様が立っていた。
白いタキシードを着て、手には一輪の、決して溶けることのない『永遠の氷薔薇』を持って。
「……来てくれたか、エルナ」
彼が振り返り、優雅に微笑んだ。
その笑顔は、光の演出よりもずっと眩しかった。
「レオン様……これは……?」
「君へのプレゼントだ。……私たちの愛が作り出した、奇跡の庭」
彼は私に歩み寄り、膝をついた。
まるで、物語の中の王子様のように。
「エルナ。……君と出会って、私の世界は色を取り戻した。君の笑顔が、私の太陽になった」
彼は氷薔薇を私に差し出した。
「君は私の過去を救い、現在を彩り、そして未来を与えてくれた。……感謝してもしきれない」
「私もです。……貴方がいてくれたから、私は強くなれました」
「これからも、君と一緒に歩んでいきたい。……おじいちゃん、おばあちゃんになっても、こうして手を繋いで」
彼は私の手を取り、甲にキスをした。
「エルナ・アイスバーン。……私と、来世まで一緒にいてくれませんか?」
「……えっ? 来世まで?」
「ああ。今世だけでは足りない。……魂が果てるまで、君を愛し抜くと誓おう」
あまりにも重くて、そして最高に甘いプロポーズ。
私は涙が溢れるのを止められなかった。
「……はい。喜んで」
私は泣き笑いの顔で頷いた。
「来世も、その次も……何度生まれ変わっても、私は貴方を見つけます。そして、また恋に落ちます」
「約束だぞ」
レオン様は立ち上がり、私を強く抱きしめた。
祝福するように、周囲の光がいっそう強く輝く。
空からは、あの時のように『星の屑』がキラキラと降り注いでいた。
二度目のプロポーズ。
それは、結婚式よりもロマンチックで、そして確かな絆を確認する儀式だった。
「……愛している」
「愛しています」
私たちは光の中でキスをした。
お腹の中の赤ちゃんも、ポコッと動いて返事をした気がした。
嵐は去った。
そして私たちの愛は、雨降って地固まるように、より深く、強固なものとなった。
これからも様々なことがあるだろうけれど、この手さえ離さなければ、私たちはどこまでだって行ける。
そう信じられる夜だった。
(第34話 完)
雪解け水が小川となってせせらぎ、野原には高山植物が可憐な花を咲かせている。
アイスバーン公国の城下町は、王都からの移住者たちも馴染み始め、活気に満ちていた。
新しい工房が建ち並び、市場には見たこともない魔道具や、品種改良された野菜が並ぶ。
かつて「死の土地」と呼ばれた場所は、今や大陸北部で最も繫栄する都市へと変貌を遂げていた。
そんな平和なある日のこと。
アイスバーン城の執務室ではなく、主寝室にて、小さな騒ぎが起きていた。
「……間違いないのか?」
「はい、閣下。間違いございません」
ベッドの脇で、初老の医師が恭しく頭を下げた。
彼は公国で一番の名医であり、王都から移住してきた優秀な治癒師でもある。
「エルナ様のご懐妊です。今のところ母子ともに経過は順調。……おめでとうございます」
「そうか……そう、か」
レオンハルト様――レオン様は、彫像のように固まっていた。
その顔には、喜びと驚き、そして畏敬の念が混じり合ったような、何とも言えない表情が浮かんでいる。
普段の冷静沈着な公爵様の姿はどこへやら、彼は自分の手が震えていることにすら気づいていないようだった。
「エルナ……」
彼がおそるおそるベッドに近づいてくる。
まるで、触れれば壊れてしまう硝子細工を扱うような慎重さだ。
「ありがとう。……ありがとう、エルナ」
彼はベッドサイドに膝をつき、私の手を両手で包み込んだ。
その蒼い瞳が潤んでいるのを見て、私も胸がいっぱいになった。
「ふふっ、そんなに驚かないでください。……数日前から、なんとなく予感はしていましたでしょう?」
「予感と事実は違う。……今、医師の言葉を聞いて、ようやく実感が湧いてきたんだ。私たちが、親になるのだと」
彼は私の手におでこを押し付けた。
「嬉しい。……言葉にできないほど、嬉しい」
「私もです、レオン様」
私は彼の手を握り返し、もう片方の手で自分のお腹に触れた。
まだ膨らみはないけれど、ここに確かに新しい命が宿っている。
私と、愛する彼との結晶が。
「……安静だ」
不意に、レオン様が顔を上げ、真剣な眼差しで言った。
「今日から君は絶対安静だ。ベッドから降りてはいけない。トイレ以外は私が抱っこして運ぶ。食事も私が食べさせる」
「ええっ? そんな、大げさですわ」
「大げさなものか! 君のお腹には、国の宝が入っているんだぞ! いや、国どころか私の宇宙そのものだ!」
スイッチが入ってしまったらしい。
公爵様の過保護モードが、かつてないレベルで発動してしまった。
「仕事はどうするんですか? 公務が山積みでしょう?」
「セバスチャンに任せる。あるいはロベルトに投げればいい。私の最優先事項は君と子供だ」
「そんな無茶苦茶な……」
私が呆れていると、医師が苦笑しながら助け船を出してくれた。
「閣下、お気持ちは分かりますが、適度な運動も必要ですよ。ずっと寝たきりでは、かえって体力を落としてしまいます」
「む……そうなのか?」
「はい。エルナ様の体調が良い時に、城内を散歩する程度なら問題ありません。……ただし、無理は禁物ですが」
「分かった。散歩だな。私が全神経を研ぎ澄ませて護衛しよう。石ころ一つ踏ませない」
医師のアドバイスも、彼にかかると「厳戒態勢での護送」に変換されてしまうようだ。
まあ、それだけ大切に思ってくれているということだろうけれど。
こうして、私のアイスバーン城での「妊婦生活」が始まった。
それは、幸せで、そして少しだけ騒がしい日々の幕開けでもあった。
***
妊娠が分かってから数週間。
私の体調に変化が現れ始めた。
いわゆる「つわり」だ。
「うっ……」
朝、目覚めた瞬間に襲ってくる強烈な吐き気。
大好きなはずの焼きたてパンの匂いが、急に鼻につくようになる。
食欲がなくなり、身体がだるくて起き上がれない日が増えた。
「エルナ、大丈夫か!?」
私が洗面器を抱えてうずくまっていると、レオン様が顔面蒼白で飛んできた。
彼は執務中だったはずなのに、どうやら私の体調不良を察知するセンサーでも持っているらしい(おそらく指輪の通信機能だろう)。
「み、水……」
「すぐに持ってくる! ……いや、氷魔法で作る方が早いか」
彼は手の中に純度の高い氷を作り、それを適温の水へと溶かしてコップに注いでくれた。
冷たくて清らかな水が、荒れた喉を潤してくれる。
「ありがとう……少し、落ち着きました」
「顔色が悪い。……すぐに医師を呼ぼう」
「いえ、ただのつわりですから……病気ではありませんし」
「だが、君が苦しんでいるのを見ていると、私が死にそうだ」
彼は私の背中をさすりながら、本気で辛そうな顔をした。
最強の公爵様が、オロオロとしている姿は少しおかしいけれど、それ以上に愛おしい。
「代われるものなら代わってやりたい。……なぜ神は、男につわりの苦しみを与えなかったんだ」
「ふふっ、レオン様がつわりになったら、国政が止まってしまいますわ」
「国など止まればいい。君の笑顔一つの方が重要だ」
彼は真顔で言う。
本当にやりかねないから怖い。
その日から、レオン様の献身はさらに加速した。
食事が喉を通らない私のために、彼は自ら厨房に立ち始めたのだ。
「匂いがダメなら、匂いのしない料理を作ればいい」と言って、冷製スープやゼリーなど、口当たりの良いものを試行錯誤して作ってくれる。
あの大きな手で、繊細な果物の皮をむき、一口サイズにカットして、「あーん」をしてくれる公爵様の姿。
使用人たちが「尊い……」と拝んでいるのが見える。
「……どうだ? これなら食べられるか?」
「はい……美味しいです。酸味がちょうどよくて」
彼が作ってくれたレモンゼリーを口にすると、スッと胃の不快感が和らいだ。
「よかった……」
彼は心底ほっとしたように息を吐いた。
その額にはうっすらと汗が滲んでいる。
氷の魔公爵が、汗をかくほど必死になってくれているのだ。
「レオン様、お仕事は?」
「終わらせてきた。……というか、君のそばで書類を見ることにした」
見ると、寝室のサイドテーブルに山のような書類が積まれている。
彼は私のベッドの横に椅子を置き、片手で私の手を握りながら、もう片方の手でペンを走らせ始めた。
「これなら、君に何かあればすぐに対応できる」
「……邪魔じゃありませんか?」
「まさか。君の寝息を聞いていると、仕事が捗るんだ。……精神安定剤のようなものだ」
彼は時折、書類から目を離して私を見つめ、優しく微笑む。
その笑顔を見るだけで、私の辛さも半分になる気がした。
つわりの時期は辛かったけれど、レオン様との絆は、この期間にさらに深まったように思う。
言葉にしなくても相手の求めていることが分かる。
苦しみを分かち合い、小さな喜びを共有する。
夫婦として、また一段階、階段を登ったような感覚だった。
***
つわりが落ち着いてきた頃。
季節は夏を迎えていたが、北の地の夏は涼しく、過ごしやすい。
私たちは、体調の良い日を見計らって、城の庭園を散歩することにした。
私が魔法で再生させた庭園は、今や美しい花々で溢れかえっている。
色とりどりの薔薇、ラベンダー、そして私たちの結婚式の時に植樹した記念樹。
風が吹くたびに、甘い香りが漂ってくる。
「……少し、お腹が出てきたかな」
ベンチに座り、レオン様が私の膨らみ始めたお腹を撫でた。
「そうですね。……中で動いているのが分かりますか?」
「いや、まだ分からないな。……だが、温かい魔力を感じる」
彼は耳をお腹に当て、真剣な顔で「交信」を試みている。
「聞こえるか、我が子よ。父だぞ。……早く出ておいで。君に会えるのを、世界で一番楽しみにしている男だ」
「気が早いですわ。まだ数ヶ月ありますよ」
「待ち遠しいんだ。……この子が生まれたら、私はきっと、仕事が手につかなくなるだろうな」
「それは困ります。セバスチャンが泣いてしまいますわ」
私たちはクスクスと笑い合った。
レオン様は私の肩を抱き寄せ、遠くの空を見上げた。
「……エルナ。正直に言うと、不安もあったんだ」
「不安、ですか?」
「ああ。……私は、まともな家庭というものを知らない」
彼の声が、少しだけ低くなった。
「父は厳格で、私に関心がなかった。母は……あの通りだ。私が呪われた時、真っ先に私を捨てた」
イザベラ様の顔が脳裏をよぎる。
息子を愛さず、道具としてしか見ていなかった母親。
レオン様にとって、「家族」という言葉は、温かいものではなく、冷たくて痛みを伴うものだったはずだ。
「だから、自分がまともな父親になれるのか、自信がなかった。……この子に、同じような寂しい思いをさせてしまうのではないかと」
彼は自分の手をじっと見つめた。
その手は震えてはいなかったが、強く握りしめられていた。
「レオン様」
私は彼の手を両手で包み込み、解きほぐすように指を絡めた。
「貴方は、お父様ともお義母様とも違います」
「……そうだろうか」
「ええ、違います。だって、貴方はこんなにも私のことを愛してくれているではありませんか。……つわりの時、あんなに必死になって看病してくれた貴方が、冷たい父親になるはずがありません」
私は彼の手を自分のお腹に導いた。
「この子も、きっと分かっていますよ。お父様がどれだけ自分を愛してくれているか。……魔力を通じて、伝わっているはずです」
レオン様は驚いたように目を見開き、それからふわりと表情を緩めた。
「……そうか。伝わっているのか」
「はい。……それに、貴方は一人ではありません。私がいます。……二人で一緒に、この子を愛していけばいいんです」
「エルナ……」
彼は私を強く抱きしめた。
「ありがとう。……君はいつも、私の心の氷を溶かしてくれる」
「それが私の役目ですから」
「ああ。……君と出会えてよかった。心からそう思う」
私たちは木漏れ日の中で、静かに寄り添った。
彼の中にある過去の傷跡。
それは完全には消えないかもしれない。
でも、新しい家族との温かい記憶で、少しずつ上書きしていくことはできるはずだ。
私たちが作る家庭は、きっと世界で一番温かい場所になる。
そう確信できた。
***
その夜、北の地に季節外れの嵐がやってきた。
轟音と共に雷が鳴り響き、激しい雨が城壁を叩く。
窓ガラスがガタガタと震え、外の世界は荒れ狂っていた。
けれど、私たちの部屋の中は、静寂と温もりに包まれていた。
暖炉には火が赤々と燃え、パチパチと薪が爆ぜる音が心地よい。
厚手の絨毯の上に座り、私たちは一つの毛布にくるまっていた。
「外はすごい嵐だな」
レオン様がホットミルクの入ったマグカップを渡してくれた。
「ええ。……でも、ここは安全ですね」
「ああ。この城の結界は完璧だ。……それに、私がついている」
彼は私の肩に頭を乗せ、甘えるようにすり寄せた。
「どんな嵐が来ても、君と子供は私が守る。……絶対に」
その言葉は、物理的な嵐だけでなく、これから先の人生で訪れるかもしれない困難に対する誓いのようにも聞こえた。
「頼もしいです、旦那様」
私は彼の髪を指で梳いた。
サラサラとした黒髪が、指の間を滑り落ちる。
「……そういえば、エルナ」
「はい?」
「嵐が去ったら、君に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
「ああ。……実は、こっそりと準備していたものがあってな」
彼は少し照れくさそうに頬を掻いた。
「結婚式は終わったが……まだ君に、きちんとした言葉を伝えていなかった気がして」
「言葉?」
「プロポーズだ」
「えっ? でも、もう結婚しましたし、指輪も……」
「あれは契約のようなものだったろう? 『守る』とか『一生そばにいる』とか。……そうじゃなくて、もっとこう、ロマンチックなやつだ」
彼は真剣な顔で言った。
「結婚したから終わりじゃない。……私は一生、君に恋をしていたいんだ。だから、何度でも愛を伝えたい」
「レオン様……」
なんてキザな、そして愛おしい人だろう。
結婚してもなお、私を口説こうとしてくれるなんて。
「明日の夜、中庭に来てくれ。……とびきりのサプライズを用意している」
「分かりました。楽しみにしています」
私たちは微笑み合い、再び窓の外を見た。
嵐はまだ続いているけれど、明日はきっと晴れるだろう。
そして、もっと素晴らしい一日が待っている。
***
翌日。
予報通り、嵐は嘘のように去り、空には満天の星が輝いていた。
空気は雨に洗われて澄み渡り、月明かりが雪解けの残る大地を青白く照らしている。
私はレオン様に言われた通り、ドレスアップして中庭へと向かった。
指定されたのは、私たちが初めて魔法で花を咲かせた、あの場所だ。
「……わぁ」
中庭に足を踏み入れた瞬間、私は歓声を上げた。
そこは、光の海だった。
無数の魔石ランプが宙に浮き、蛍のように煌めいている。
そして、地面には魔法で作られた氷の花々が、本物の花と混じり合って咲き乱れていた。
青い氷の薔薇、銀色の百合、そして黄金色に輝く向日葵。
幻想的で、息を呑むほど美しい光景。
その中心に、レオン様が立っていた。
白いタキシードを着て、手には一輪の、決して溶けることのない『永遠の氷薔薇』を持って。
「……来てくれたか、エルナ」
彼が振り返り、優雅に微笑んだ。
その笑顔は、光の演出よりもずっと眩しかった。
「レオン様……これは……?」
「君へのプレゼントだ。……私たちの愛が作り出した、奇跡の庭」
彼は私に歩み寄り、膝をついた。
まるで、物語の中の王子様のように。
「エルナ。……君と出会って、私の世界は色を取り戻した。君の笑顔が、私の太陽になった」
彼は氷薔薇を私に差し出した。
「君は私の過去を救い、現在を彩り、そして未来を与えてくれた。……感謝してもしきれない」
「私もです。……貴方がいてくれたから、私は強くなれました」
「これからも、君と一緒に歩んでいきたい。……おじいちゃん、おばあちゃんになっても、こうして手を繋いで」
彼は私の手を取り、甲にキスをした。
「エルナ・アイスバーン。……私と、来世まで一緒にいてくれませんか?」
「……えっ? 来世まで?」
「ああ。今世だけでは足りない。……魂が果てるまで、君を愛し抜くと誓おう」
あまりにも重くて、そして最高に甘いプロポーズ。
私は涙が溢れるのを止められなかった。
「……はい。喜んで」
私は泣き笑いの顔で頷いた。
「来世も、その次も……何度生まれ変わっても、私は貴方を見つけます。そして、また恋に落ちます」
「約束だぞ」
レオン様は立ち上がり、私を強く抱きしめた。
祝福するように、周囲の光がいっそう強く輝く。
空からは、あの時のように『星の屑』がキラキラと降り注いでいた。
二度目のプロポーズ。
それは、結婚式よりもロマンチックで、そして確かな絆を確認する儀式だった。
「……愛している」
「愛しています」
私たちは光の中でキスをした。
お腹の中の赤ちゃんも、ポコッと動いて返事をした気がした。
嵐は去った。
そして私たちの愛は、雨降って地固まるように、より深く、強固なものとなった。
これからも様々なことがあるだろうけれど、この手さえ離さなければ、私たちはどこまでだって行ける。
そう信じられる夜だった。
(第34話 完)
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