婚約なんて致しません!

黒田悠月

文字の大きさ
4 / 12

デビュタントの夜。 リヴ目線

しおりを挟む
「……私と結婚して下さい!」

???????

ーーは?
意味がわからない。

どうしましょう。
この方頭どうかしたんでしょうか?

やたらギクシャク近づいてくると思っていたら突然プロポーズされたのです!

「嫌です!絶対にイヤっ!」

リヴはぶんぶん頭を振って傍らで唖然としている父親の後ろに隠れた。

(相手を間違えてますっ!なんで私なのっ!!)

貴方がそれを言う相手は英雄さんでしょ!
リヴはそう内心で地団駄を踏んだが、それも間違っている。
ハリムからすればいったい何故愛してもいない脳筋上司兼友人にプロポーズしなければならないのか。


リヴは社交界デビューなんかしたくなかった。
表面だけは穏やかで裏ではドロドロの令嬢や令息たちとオホホウフフなんて上っ面で笑いあってまして知らない男性と手を取り合ってダンス。

ゾワワっと背筋におぞけが走る。

(私は遠くから想像して楽しみたいの!自分が中に入りたいわけではないの!)

まあ、目の保養にはなるけど……。
着飾った紳士淑女、きらびやかなシャンデリアの明かり手と手を取り合い身体を密着させて踊る美男美女。

さすがにいい加減社交界デビューさせるようにと祖父が贈ってくれたドレスのおかけでリヴはデビュタントを果たした。
母の分まではドレスの用意は出来なくて留守番(今頃は働きに出ている食堂の下ごしらえでもしている最中だろう)エスコートする父親だけ貸衣装屋で一番安いタキシードを借りて。

どうせ安物ドレスの貧乏男爵令嬢に声をかけてくる相手もいまいと父親の知り合いに軽く挨拶したら壁の花になって思う存分妄想しまくり、そのあとはベランダに出てイチャイチャしている恋人たちを陰から観察しようと思っていたのに。

(そうよ、きっと……)

「誰を見ていたの?」
「誰も見てなんておりませんでしたわ?誤解です」
「嘘ばっかり。私とダンスしているのに別の男に目をやるなんて悪いコだ……」
「そんな、私はそのような……あっ、あぁ……、何をなさるの?」
「悪いコにはお仕置きをしなくてはいけないだろう?」
「そんな、あっ……んん……っ」

(なんてことが……いやんっ(///ω///)♪)

突然の愛娘へのプロポーズに唖然としていたローニャ男爵は自身の背後に隠れた娘とプロポーズした青年を交互に見て、はっ、と娘の顔に浮かんだヘニャッとした笑みに気づいてしまった。

何故この娘はこの状況で妄想に浸ってるんだ!
可愛い可愛い愛娘である。
何も言わずともわかってしまうことはある。

娘がこの顔をしている時は何やら妄想している時である。
我が娘ながらちょっと頭がオカシイ。
だが、可愛い娘である。
可愛いが今は違うだろう。

ローニャ男爵はこっそり娘の腹を肘でツンツンした。

戻っておいで。
頼むから今は戻ってきてくれ!と。

リヴは目をぱちぱちさせて父親の顔を見上げた。 
その顔には「いけない。ついやってしまったわ(´▽`;)ゞ」そう書いてある。

ゴホンッ。

リヴは目でわざとらしく咳払いする父親に「ごめんちゃ(^ー゜)ノ」と謝って改めて突然のプロポーズ男、ハリムの顔を見上げた。

なかなかのイケメンだ。
が今はリヴがプロポーズをおもいっきり断ったからか( ̄□||||!!みたいな顔になっている。
あまりに絶望感が顔に出ていてちょっと笑える。

笑えるが笑ったりはしない。
リヴは空気が読めるコなのだ。 

「あー、で……貴方は確か……」
「ハリム・ウェントソンです。騎士団に所属しています。お義父さん」

誰がお義父さんだ。
ローニャ親子はツッコミをお互いに腹をこっそりツネリあって我慢した。

『どうなってんの?ってか知り合いだったの?』
『知りません。わかりません!私に聞くな!』

親子は目で語り合いながらさてこの場をどう切り抜けようかと頭を働かせた。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛

Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。 全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)

処理中です...