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プロポーズの行方ーー1
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(……やってしまった)
ダンスに誘うつもりがついプロポーズしてしまった。
しかも即座に断られた!
ハリムは茫然自失で立ち尽くしていた。
リヴはローニャ男爵の背中に隠れてしまっている。
男爵の後ろから顔の半分だけを出して、警戒するように大きな緑の瞳がこちらを見つめていた。
(ああ……パッチリとした目が栗鼠のようだ)
そう思って見つめているとまたいつもの笑顔でヘニャッと笑った。
(これは!)
心臓が早鐘を打つ。
今のは自分に笑いかけたのだろうか?
いきなりプロポーズしてきて断った男にその後すぐ笑いかける女性はいるものか。
普段のハリムならすぐその事実に気づいたことだろう。
だが、この時のハリムは普段の彼ではなかった。
というか、リヴに恋したその時から少しばかり頭のネジが弛んでいる。
「あー、で、貴方は確か……」
「ハリム・ウェントソン。騎士団に所属しています。お義父さん」
遅らばせながら自己紹介をして、ハリムは男爵の手を取った。
間違ってしまったが、間違っていない。
ただ予定より早まっただけだ。
リヴと結婚したいという気持ちは確かだ。
なら、もはや貫き通すのみ。
ハリムはそう決意して、背筋を伸ばした。
ハリムとローニャ親子が固まりあっていた頃。
周りでは当然ながら大騒ぎになっていた。
夜会の、それも皆のいる会場内でのプロポーズである。
ないことはないが、普通はベランダや庭に誘い人目を避けた上で行うものだろう。
中には何十年と夜会に参加しているがこのようなものを見たのは始めてだ!と妙に感激する老貴族もいたが、大半は「いきなり何もやってんの?」と口には出さないまでも顔に出していた。
ハリム・ウェントソンといえば英雄の補佐官として社交界でも有名な人物だ。
将来有望な騎士であり、青年貴族。
親は子爵で彼個人も子爵であるが、すでに先の隣国との戦争の褒賞で伯爵位を与えられることが決まっている。
美形といってなんら差し支えのない端正な顔に鍛え抜かれ引き締まった長身。
実家は子爵だが領地は豊かでいくつもの商売で成功している。
つまり金持ちだ。
ハリム自身は次男のため領地を継ぐことはないが、現在彼が与えられている領地も急速に発展し始めているところ。
年齢は25。
騎士として国境に詰めていたため貴族にしては遅いがまだ独身である。
そんな彼を婿にと狙っていた貴族も当然多く、今日の夜会にも彼狙いの年頃の令嬢は数多くいた。
いや、独身令嬢のほぼ八割がそうであった。
そのため中には泣き崩れたりショックで倒れた令嬢もいる。
ーーそんななか。
「おお!やるな!皆の前で公開プロポーズとは!?」
ガッハッハ!と上機嫌に大笑いする筋骨隆々の大男。
英雄ゲイズ・マーホックは愉快愉快と胸筋を震わせて、ずかずかと騒ぎの中心に歩み寄った。
「ハリム、ローニャ男爵。ぜひ仲人は俺と妻にやらせてくれ!」
英雄が大声で告げた言葉により周りの騒ぎが高まり、その中心で視線を一身に集める令嬢がムンクの叫びのような顔になった。
僅かに冷静さの残っていた一部の貴族が「いや、でも断ってたよ?」と内心で考えていたが、口に出せる豪の者は存在しなかった。
ダンスに誘うつもりがついプロポーズしてしまった。
しかも即座に断られた!
ハリムは茫然自失で立ち尽くしていた。
リヴはローニャ男爵の背中に隠れてしまっている。
男爵の後ろから顔の半分だけを出して、警戒するように大きな緑の瞳がこちらを見つめていた。
(ああ……パッチリとした目が栗鼠のようだ)
そう思って見つめているとまたいつもの笑顔でヘニャッと笑った。
(これは!)
心臓が早鐘を打つ。
今のは自分に笑いかけたのだろうか?
いきなりプロポーズしてきて断った男にその後すぐ笑いかける女性はいるものか。
普段のハリムならすぐその事実に気づいたことだろう。
だが、この時のハリムは普段の彼ではなかった。
というか、リヴに恋したその時から少しばかり頭のネジが弛んでいる。
「あー、で、貴方は確か……」
「ハリム・ウェントソン。騎士団に所属しています。お義父さん」
遅らばせながら自己紹介をして、ハリムは男爵の手を取った。
間違ってしまったが、間違っていない。
ただ予定より早まっただけだ。
リヴと結婚したいという気持ちは確かだ。
なら、もはや貫き通すのみ。
ハリムはそう決意して、背筋を伸ばした。
ハリムとローニャ親子が固まりあっていた頃。
周りでは当然ながら大騒ぎになっていた。
夜会の、それも皆のいる会場内でのプロポーズである。
ないことはないが、普通はベランダや庭に誘い人目を避けた上で行うものだろう。
中には何十年と夜会に参加しているがこのようなものを見たのは始めてだ!と妙に感激する老貴族もいたが、大半は「いきなり何もやってんの?」と口には出さないまでも顔に出していた。
ハリム・ウェントソンといえば英雄の補佐官として社交界でも有名な人物だ。
将来有望な騎士であり、青年貴族。
親は子爵で彼個人も子爵であるが、すでに先の隣国との戦争の褒賞で伯爵位を与えられることが決まっている。
美形といってなんら差し支えのない端正な顔に鍛え抜かれ引き締まった長身。
実家は子爵だが領地は豊かでいくつもの商売で成功している。
つまり金持ちだ。
ハリム自身は次男のため領地を継ぐことはないが、現在彼が与えられている領地も急速に発展し始めているところ。
年齢は25。
騎士として国境に詰めていたため貴族にしては遅いがまだ独身である。
そんな彼を婿にと狙っていた貴族も当然多く、今日の夜会にも彼狙いの年頃の令嬢は数多くいた。
いや、独身令嬢のほぼ八割がそうであった。
そのため中には泣き崩れたりショックで倒れた令嬢もいる。
ーーそんななか。
「おお!やるな!皆の前で公開プロポーズとは!?」
ガッハッハ!と上機嫌に大笑いする筋骨隆々の大男。
英雄ゲイズ・マーホックは愉快愉快と胸筋を震わせて、ずかずかと騒ぎの中心に歩み寄った。
「ハリム、ローニャ男爵。ぜひ仲人は俺と妻にやらせてくれ!」
英雄が大声で告げた言葉により周りの騒ぎが高まり、その中心で視線を一身に集める令嬢がムンクの叫びのような顔になった。
僅かに冷静さの残っていた一部の貴族が「いや、でも断ってたよ?」と内心で考えていたが、口に出せる豪の者は存在しなかった。
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