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プロポーズの行方ーー3
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「ハリム、ローニャ男爵、ぜひ仲人は俺と妻にやらせてくれ!」
乱入してきた友人兼上司ーー脳筋はそう言ってバカ力でハリムの背を叩いてきた。
とっさに腹に力を込めてどうにか不様な格好は避けたが、ジンジンと痛む背中にハリムは顔をしかめる。
だが脳筋にしてはファインプレイであった。
騎士学校からの付き合いなのでかれこれ10年以上になるが、この男が戦場以外で役に立ったのは始めてではないだろうか。
戦場でもせっかくハリムや部下が睡眠を削って夜通し考えた作戦を無視して自身の勘と感覚と無茶を力押しで押し通すのだが。
それでも最終的には勝利を引き寄せるところが英雄たる由縁なのかも知れないが……。
とにかく非常識で何もかも力押しではた迷惑な脳筋、それがゲイズ・マーホックという男である。
酒を飲めば絡む、道で偶然犯罪を見つけたらそれが食い逃げだろうとチカンだろうとスリだろうと一週間は再起不能にする(明らかにやりすぎだ)、部下の気になる女性を知ったらその女性の家まで「付き合ってやってくれ」と直談判に行く(勝手に)、筋肉をこよなく愛し周りにも筋肉至上主義を半強要するろくでもない脳筋だが、今回だけは本気で感謝しても良いかも知れないと、ハリムは思った。
卑怯なのは承知の上で、この男の発言のおかげで少なくともこの場でもう一度断られる事態はないといえるのだから。
いや、ゴリ押しすれば婚約ぐらいまでは余裕で持っていける!
(一度断られたくらいで諦められるものか)
こうなったらヤケである。
そもそもまともに話したこともない人間にいきなりプロポーズされればリヴの反応は当たり前のものだ。
ハリムの見た目や出世頭という評価に釣られた肉食系女子なら喜んで飛び付いてきただろうが。
そうでないリヴの心根に、よりハリムは彼女に惹かれる。
ハリムは頭を働かせた。
ここで脳筋の地位と権力を利用してリヴの気持ちはひとまず無視してでもローニャ男爵に婚約を受けされることは出来なくはない。
貴族の婚姻は所詮家通しの結び付きだ。
政略結婚は当たり前。
リヴの気持ちがどうであれ、ローニャ男爵に無理矢理にも了承させてしまえば勝ちである。
だがそれではリヴには嫌われるだろう。
形だけ婚約し、結婚までこぎ着けたとしてもリヴの心がなければお互いに辛いだけなのは明らか。
ならば、
「ゲイズ、待ってくれ。おまえにそう言われてしまったらローニャ男爵は断られなくなってしまう」
あえて、脳筋を押さえる。
申し訳ないが先程断られことはスルーさせてもらうが。
「ローニャ男爵、リヴ嬢大変失礼した。つい気持ちが先走ってしまったのです。ですが私とリヴ嬢と結婚したいという気持ちは真実です。まともに話をしたことのない男に突然このようなことを言われてさぞ戸惑っていることだろうが、どうか私との結婚を考えてみてはもらえないだろうか」
リヴは父親の後ろに隠れたままだ。
ハリムはリヴの手をとってすがりたい気分だったが、ここはリヴではなく父親、ローニャ男爵に焦点をあてた。
「必ずリヴ嬢を大切にします」
ローニャ男爵はといえば「……えーあーうー」と言葉が出ない様子だ。
「今すぐ婚約や結婚とは言いません。ですがそれを前提にお付き合いをさせてはもらえないだろうか」
そうしたら必ず落としてみせる、とハリムは思っていた。
基本モテ男である。
自分が本気で迫ればイケるはず!という自信はあった。
「……わ、わかりました」
勝った!
ハリムは内心で小躍りした。
無理矢理だろうが、これは一歩前進だ。
リヴを落とす。
それがどれほど困難なものか気づかないまま、ハリムは満面の笑みを浮かべた。
乱入してきた友人兼上司ーー脳筋はそう言ってバカ力でハリムの背を叩いてきた。
とっさに腹に力を込めてどうにか不様な格好は避けたが、ジンジンと痛む背中にハリムは顔をしかめる。
だが脳筋にしてはファインプレイであった。
騎士学校からの付き合いなのでかれこれ10年以上になるが、この男が戦場以外で役に立ったのは始めてではないだろうか。
戦場でもせっかくハリムや部下が睡眠を削って夜通し考えた作戦を無視して自身の勘と感覚と無茶を力押しで押し通すのだが。
それでも最終的には勝利を引き寄せるところが英雄たる由縁なのかも知れないが……。
とにかく非常識で何もかも力押しではた迷惑な脳筋、それがゲイズ・マーホックという男である。
酒を飲めば絡む、道で偶然犯罪を見つけたらそれが食い逃げだろうとチカンだろうとスリだろうと一週間は再起不能にする(明らかにやりすぎだ)、部下の気になる女性を知ったらその女性の家まで「付き合ってやってくれ」と直談判に行く(勝手に)、筋肉をこよなく愛し周りにも筋肉至上主義を半強要するろくでもない脳筋だが、今回だけは本気で感謝しても良いかも知れないと、ハリムは思った。
卑怯なのは承知の上で、この男の発言のおかげで少なくともこの場でもう一度断られる事態はないといえるのだから。
いや、ゴリ押しすれば婚約ぐらいまでは余裕で持っていける!
(一度断られたくらいで諦められるものか)
こうなったらヤケである。
そもそもまともに話したこともない人間にいきなりプロポーズされればリヴの反応は当たり前のものだ。
ハリムの見た目や出世頭という評価に釣られた肉食系女子なら喜んで飛び付いてきただろうが。
そうでないリヴの心根に、よりハリムは彼女に惹かれる。
ハリムは頭を働かせた。
ここで脳筋の地位と権力を利用してリヴの気持ちはひとまず無視してでもローニャ男爵に婚約を受けされることは出来なくはない。
貴族の婚姻は所詮家通しの結び付きだ。
政略結婚は当たり前。
リヴの気持ちがどうであれ、ローニャ男爵に無理矢理にも了承させてしまえば勝ちである。
だがそれではリヴには嫌われるだろう。
形だけ婚約し、結婚までこぎ着けたとしてもリヴの心がなければお互いに辛いだけなのは明らか。
ならば、
「ゲイズ、待ってくれ。おまえにそう言われてしまったらローニャ男爵は断られなくなってしまう」
あえて、脳筋を押さえる。
申し訳ないが先程断られことはスルーさせてもらうが。
「ローニャ男爵、リヴ嬢大変失礼した。つい気持ちが先走ってしまったのです。ですが私とリヴ嬢と結婚したいという気持ちは真実です。まともに話をしたことのない男に突然このようなことを言われてさぞ戸惑っていることだろうが、どうか私との結婚を考えてみてはもらえないだろうか」
リヴは父親の後ろに隠れたままだ。
ハリムはリヴの手をとってすがりたい気分だったが、ここはリヴではなく父親、ローニャ男爵に焦点をあてた。
「必ずリヴ嬢を大切にします」
ローニャ男爵はといえば「……えーあーうー」と言葉が出ない様子だ。
「今すぐ婚約や結婚とは言いません。ですがそれを前提にお付き合いをさせてはもらえないだろうか」
そうしたら必ず落としてみせる、とハリムは思っていた。
基本モテ男である。
自分が本気で迫ればイケるはず!という自信はあった。
「……わ、わかりました」
勝った!
ハリムは内心で小躍りした。
無理矢理だろうが、これは一歩前進だ。
リヴを落とす。
それがどれほど困難なものか気づかないまま、ハリムは満面の笑みを浮かべた。
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