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チートは案外取り扱いが難しい。
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『ブック』はそれ自体がチート仕様。
ステータスの表示に、生物以外の収納機能。
しかもインベントリ内は時間経過が停止状態。
アイテムでも武具でもリルでも、頭で思い浮かべただけで即座に出し入れができる。
本の形状なだけに、確認をしたい時はカタログみたいにページを開いて何がどれだけあるか、確認ができる。
そしてもう一つ。
ショップ、という機能を持つ。
課金や、ゲーム通貨でアイテムを購入できる機能。
購入できるものは基本的なポーション類やペットボトルの水、食べ物などがある。
食べ物は異世界料理に飽きたプレイヤー向けのものでファーストフードからお寿司に中華や洋食なんてものもある。
リアルで食べろよって言う人もいたけど、異世界で食べるからこその良さもあるわよね?
私が今口にした水は、それで購入したもの。
盛大に鳴っていたお腹の虫もおかげで収めることができた。
ふっ、そりゃ食べて大丈夫かしらって疑問も逡巡もあったけれど、背に腹は代えられないもの。
食べましたとも。
おいしかったし、お腹も満足だし今のところグルグル言い出す気配もなし。
なのでこれからも食べるし飲みます。
と、そうじゃなかった。
私が気づいたのは前世のわたしが課金していたお金がそのまま残っていたという事実。
そしてそれがきちんと使用できたという事実。
購入したものがきちんと出てきてしかも食べることも飲むできているという、事実。
私は『ブック』が使えるということはその中身も使える、そう思ってはいた。
だからチートだと。
レベル68のスナイパー『リーナ』がアイテムや武具が使える状態というのはチートだと。
レベル1の衝撃にずいぶんかき消されていたけれど。
「インベントリ内の全アイテム及び武具をリスト化!」
私の叫びに応じて浮かび上がるプレートに次々と収納された物品のリストが並んでいく。
それらは前世のわたしがユグドラシルオンラインで収納していたアイテムや武具の全て。
全てがそのままちゃんと残っていた。
「アサルトライフル」
出ろ、と念じると手の中に現れた『リーナ』仕様の一件オモチャの水鉄砲のような、でも殺傷力は本物の、銃身。
その重みに小さな身体はペタンと尻餅をついたけれど。
「完全チートではないわね。でも」
--武器チートはできる。
「レベル1でも、なんとかなるかも知れないわ」
私は呟いて、唇に笑みを浮かべた。
「うにゃあああっ!」
結果。
--そうでもありませんでした。
「……痛っ!」
さっそくほんの少し扉を開けて外のミニマムモンキーに狙いを定めた私は、弾丸を発射した衝撃でゴロゴロと後ろに転がった。
放たれた銃弾はどこかへ飛んでいって、壁に当たったらしい音がした。
ミニマムモンキー?
ビックリした顔をしてはいる。
怪我はないようね。
あら?
だんだん怒りに満ちてきているような……。
-ーってこっちくるの!!
「いにゃああぁー!来にゃいでー!!」
私は大慌てで痛む身体を引きずり、扉を閉める。
ああ、でも部屋の中には入れないんだったわ。
ここは転職の間。
いわばダンジョン内の安全地帯だもの。
……それでも怖い。
ついでに腕と肩と胸がものすごく痛い。
特に胸がチクチクと痛い上になんだか息もし辛いんだけど?
もしかして、肋骨あたり?
「……か、回復まひょー。アイテム……なんきゃ、なんきゃー……」
もうカミカミとか気にしてられない。
私は私の望み通り出てきたヒールポーションをがぶ飲みして、そのまま床を背にひっくり返った。
ーー武器思った以上に取り扱いが難しいわ。
ってか、ムリ。
ステータスの表示に、生物以外の収納機能。
しかもインベントリ内は時間経過が停止状態。
アイテムでも武具でもリルでも、頭で思い浮かべただけで即座に出し入れができる。
本の形状なだけに、確認をしたい時はカタログみたいにページを開いて何がどれだけあるか、確認ができる。
そしてもう一つ。
ショップ、という機能を持つ。
課金や、ゲーム通貨でアイテムを購入できる機能。
購入できるものは基本的なポーション類やペットボトルの水、食べ物などがある。
食べ物は異世界料理に飽きたプレイヤー向けのものでファーストフードからお寿司に中華や洋食なんてものもある。
リアルで食べろよって言う人もいたけど、異世界で食べるからこその良さもあるわよね?
私が今口にした水は、それで購入したもの。
盛大に鳴っていたお腹の虫もおかげで収めることができた。
ふっ、そりゃ食べて大丈夫かしらって疑問も逡巡もあったけれど、背に腹は代えられないもの。
食べましたとも。
おいしかったし、お腹も満足だし今のところグルグル言い出す気配もなし。
なのでこれからも食べるし飲みます。
と、そうじゃなかった。
私が気づいたのは前世のわたしが課金していたお金がそのまま残っていたという事実。
そしてそれがきちんと使用できたという事実。
購入したものがきちんと出てきてしかも食べることも飲むできているという、事実。
私は『ブック』が使えるということはその中身も使える、そう思ってはいた。
だからチートだと。
レベル68のスナイパー『リーナ』がアイテムや武具が使える状態というのはチートだと。
レベル1の衝撃にずいぶんかき消されていたけれど。
「インベントリ内の全アイテム及び武具をリスト化!」
私の叫びに応じて浮かび上がるプレートに次々と収納された物品のリストが並んでいく。
それらは前世のわたしがユグドラシルオンラインで収納していたアイテムや武具の全て。
全てがそのままちゃんと残っていた。
「アサルトライフル」
出ろ、と念じると手の中に現れた『リーナ』仕様の一件オモチャの水鉄砲のような、でも殺傷力は本物の、銃身。
その重みに小さな身体はペタンと尻餅をついたけれど。
「完全チートではないわね。でも」
--武器チートはできる。
「レベル1でも、なんとかなるかも知れないわ」
私は呟いて、唇に笑みを浮かべた。
「うにゃあああっ!」
結果。
--そうでもありませんでした。
「……痛っ!」
さっそくほんの少し扉を開けて外のミニマムモンキーに狙いを定めた私は、弾丸を発射した衝撃でゴロゴロと後ろに転がった。
放たれた銃弾はどこかへ飛んでいって、壁に当たったらしい音がした。
ミニマムモンキー?
ビックリした顔をしてはいる。
怪我はないようね。
あら?
だんだん怒りに満ちてきているような……。
-ーってこっちくるの!!
「いにゃああぁー!来にゃいでー!!」
私は大慌てで痛む身体を引きずり、扉を閉める。
ああ、でも部屋の中には入れないんだったわ。
ここは転職の間。
いわばダンジョン内の安全地帯だもの。
……それでも怖い。
ついでに腕と肩と胸がものすごく痛い。
特に胸がチクチクと痛い上になんだか息もし辛いんだけど?
もしかして、肋骨あたり?
「……か、回復まひょー。アイテム……なんきゃ、なんきゃー……」
もうカミカミとか気にしてられない。
私は私の望み通り出てきたヒールポーションをがぶ飲みして、そのまま床を背にひっくり返った。
ーー武器思った以上に取り扱いが難しいわ。
ってか、ムリ。
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