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第132話 昨夜の悶絶、今朝の大はしゃぎ
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翌日。佐野は普段よりも三十分ほど早く現場事務所へ行った。昨日の電話のこともあり、また星崎とレイナが何か危害を加えたのではないかと心配になったからだ。
けれどそれは杞憂に終わる。倉庫や事務所周辺には自分とユキの足跡しかなく、見知らぬ車のタイヤの跡もない。シャッターを覆う養生シートも無事である。
「よかった」
胸をなで下ろし、車中でユキの到着を待つ。事務所の鍵はユキが管理しているからだ。
フロントガラス越しの白銀に朝の陽光が反射する。佐野はまぶしさに目を細め、周囲を見渡す。そして昨日のことを思い出す。
自虐ループは夜になってもしぶとく続き、テレビのお笑い番組を見ても、シャワーを浴びても抜けられなかった。これはもう寝るしかないとあきらめ、早々にベッドへ入っても、部屋の照明を消した途端、今度は今後の人生への不安までもが合流し、いてもたってもいられない。
少しでも気を紛らわそうとスマホを手に取れば、なぜか「健康不安」や「貧乏な老後」の記事や広告ばかりが立ち上がり、自分は呪われているのではないかと震え上がる。そんなこんなで最悪の正月の夜を佐野は過ごしたのであった。
「まあ、今朝起きた時にはだいたい消えていたからよかったけれど」
それでも完璧ではないので気分は重い。するとその時、ユキの車が近づいて来るのが見えた。
「あ! 来た」
途端、心は浮き立ち、大はしゃぎ。自然に笑みまで浮かんでしまう。自分でも節操がないと思うが、これだけはしょうがない。
けれどそれは杞憂に終わる。倉庫や事務所周辺には自分とユキの足跡しかなく、見知らぬ車のタイヤの跡もない。シャッターを覆う養生シートも無事である。
「よかった」
胸をなで下ろし、車中でユキの到着を待つ。事務所の鍵はユキが管理しているからだ。
フロントガラス越しの白銀に朝の陽光が反射する。佐野はまぶしさに目を細め、周囲を見渡す。そして昨日のことを思い出す。
自虐ループは夜になってもしぶとく続き、テレビのお笑い番組を見ても、シャワーを浴びても抜けられなかった。これはもう寝るしかないとあきらめ、早々にベッドへ入っても、部屋の照明を消した途端、今度は今後の人生への不安までもが合流し、いてもたってもいられない。
少しでも気を紛らわそうとスマホを手に取れば、なぜか「健康不安」や「貧乏な老後」の記事や広告ばかりが立ち上がり、自分は呪われているのではないかと震え上がる。そんなこんなで最悪の正月の夜を佐野は過ごしたのであった。
「まあ、今朝起きた時にはだいたい消えていたからよかったけれど」
それでも完璧ではないので気分は重い。するとその時、ユキの車が近づいて来るのが見えた。
「あ! 来た」
途端、心は浮き立ち、大はしゃぎ。自然に笑みまで浮かんでしまう。自分でも節操がないと思うが、これだけはしょうがない。
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