本当は、ずっと一緒に暮らしたかった~二人を取り持つ古びた写真――偶然と必然が絡み合う、不思議な恋のおとぎ話

 建設会社勤務の隆山が担当する工事現場へ、永塚が下請業者として参入したのが二人の出会い。
 歳が近いこともあり、あっという間に意気投合。
 そんなある日、永塚が住むマンションに上司の古林が入居する。永塚へ一方的に好意を寄せているからだ。
 身の危険を感じた永塚は隆山の部屋へ避難。そのまま二人の共同生活が始まった。
 永塚は次第に隆山へ恋愛感情を抱くようになる。だが相手が男ゆえ、その感情に抵抗する。
 一方、隆山は容姿から趣味まで亡き祖父と生き写し。そのうえ男色までをも引き継いでいたので、ごく自然に永塚を愛してしまう。けれど隆山は、この気質を呪うばかりで行動には移さなかった。
 そんな中、隆山の見合い話が浮上する。縁組みをしたのは祖母である。
 この祖母は、自分を不幸のどん底へと追いやった夫と瓜二つの隆山を忌み嫌い、陰湿な嫌がらせをし続けてきた。なのでまともな縁談ではないのは明確だ。
 よってこの話を断る為に実家へ行く必要があるのだが、祖母に会いたくない隆山の腰は重い。
 そこで永塚は自分も運転手という名目で同行するからと勇気づけ、どうにか出発へとこぎ着けた。
 こうして二人が実家へ行くと、なぜか隆山の母と祖母は、永塚の顔を見るなり顔色を変え、悲鳴をあげた――

 隆山家と永塚家の双方に残る、二枚の古い写真。
 隆山の祖母が抱える深い闇。
 名前も場所も分らぬ、永塚家の遠縁の墓。
 そして、隆山へは異常としか思えぬ言動で婚活し、その一方で永塚に牙をむく、訳ありの女事務員。
 さらに、永塚へ迫る古林の魔の手。

 過去と現在がぶつかり合い、激しく渦巻く濁流に、二人の心と躰は右往左往――
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