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何かと不穏です
第53話 カトリーヌの恋路②(カトリーヌ視点)
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「シェリー、いるかー?」
扉の向こうから聞こえたのはルーカス様のお声だ。
「はい、どうぞ!」
「え?え?」
え、ルーカス様を入れてしまわれるの!?嫌われていないことは分かったけれど、今すぐお会いするのは心の準備が…!
「じゃあ、伝えたいことがあるときはとにかくストレートに、比喩は決して使わず、10倍くらい誇張した表現で、ね?」
「あの…!」
そう言われましても…!
ガチャ!
「シェリー!…ってあれ、カトリーヌもいたのか?」
「ここはお茶会用の部屋なんですから、私以外にも誰かしらいなくてはおかしいでしょう?」
「確かに、それもそうだな!」
シェルシェーレ様は淡々とルーカス様とお話している。わたしはと言えば、緊張してなかなか言葉が出てこない。
「それで、ご用件は?」
「この前借りて返した本あったろ?あれをもう一度借りたいんだ」
「ああ、あれですね。それでは部屋まで取りに行きますので、その間カトリーヌと話して待っていてください。」
「おお、助かる!」
「え、あの!?」
私はシェルシェーレ様に助けてと言わんばかりの視線を送ったけれど、シェルシェーレ様は1度ガッツポーズをしてからそのまま出ていってしまわれた。
これじゃあルーカス様と2人きりじゃない…!
「ん?どうしたんだカトリーヌ?具合でも悪いのか?」
ルーカス様はソファにお座りになると、私の顔を覗いてそう仰った。
「い、いえ!なんでもございませんわ!」
「そうか?それならいいんだが。」
それにしても、何をお話すれば…
「あ、そうだ!」
突然ルーカス様が声をあげる。
「この前借りたハンカチあったろ?あれ返すの忘れてたから、取ってくるわ!」
ハンカチって…確か、お食事中にルーカス様が誤ってコップの水をこぼしてしまわれたときにお渡したハンカチ…
元々プレゼントとしてお渡ししようと思っていたものをそのタイミングでそのまま差し上げたつもりだったのに、お貸ししたと勘違いなさっていたとは…
「い、いえ!その必要はございませんわ!」
明らかに男性向けの柄のハンカチだからルーカス様もお気づきになられていると思ったけれど、シェルシェーレ様の言うようにしっかり言葉にしてお伝えしなくては…!
「あのハンカチは元々ルーカス様にお渡しする為のものでしたので!」
「え、そうだったのか?…でもなんでだ?俺別に誕生日とかじゃないぞ?」
「それは…!ルーカス様を心からお、お慕いしておりますので、その意思表示にと!」
い、言ってしまった…!
「………」
ルーカス様は黙って私の顔をまっすぐ見る。
「…なんだ、そういう事か!俺もカトリーヌのことは好きだぞ!」
そう言うとルーカス様はニカッと笑い、私の頭をポンポンと撫でてくださる。
ああ、なんと素敵な笑顔なのかしら…!
…でも、私とルーカス様では"好き"の種類が違う気がしますわ!
――――――
「惜しい、そこは10倍誇張して"世界の誰よりもあなたを愛しています"くらい言わないとなー」ボソッ
シェルシェーレは、本を取ってきた後扉の前で2人の会話を聞きながら、そう呟いたのだった。
扉の向こうから聞こえたのはルーカス様のお声だ。
「はい、どうぞ!」
「え?え?」
え、ルーカス様を入れてしまわれるの!?嫌われていないことは分かったけれど、今すぐお会いするのは心の準備が…!
「じゃあ、伝えたいことがあるときはとにかくストレートに、比喩は決して使わず、10倍くらい誇張した表現で、ね?」
「あの…!」
そう言われましても…!
ガチャ!
「シェリー!…ってあれ、カトリーヌもいたのか?」
「ここはお茶会用の部屋なんですから、私以外にも誰かしらいなくてはおかしいでしょう?」
「確かに、それもそうだな!」
シェルシェーレ様は淡々とルーカス様とお話している。わたしはと言えば、緊張してなかなか言葉が出てこない。
「それで、ご用件は?」
「この前借りて返した本あったろ?あれをもう一度借りたいんだ」
「ああ、あれですね。それでは部屋まで取りに行きますので、その間カトリーヌと話して待っていてください。」
「おお、助かる!」
「え、あの!?」
私はシェルシェーレ様に助けてと言わんばかりの視線を送ったけれど、シェルシェーレ様は1度ガッツポーズをしてからそのまま出ていってしまわれた。
これじゃあルーカス様と2人きりじゃない…!
「ん?どうしたんだカトリーヌ?具合でも悪いのか?」
ルーカス様はソファにお座りになると、私の顔を覗いてそう仰った。
「い、いえ!なんでもございませんわ!」
「そうか?それならいいんだが。」
それにしても、何をお話すれば…
「あ、そうだ!」
突然ルーカス様が声をあげる。
「この前借りたハンカチあったろ?あれ返すの忘れてたから、取ってくるわ!」
ハンカチって…確か、お食事中にルーカス様が誤ってコップの水をこぼしてしまわれたときにお渡したハンカチ…
元々プレゼントとしてお渡ししようと思っていたものをそのタイミングでそのまま差し上げたつもりだったのに、お貸ししたと勘違いなさっていたとは…
「い、いえ!その必要はございませんわ!」
明らかに男性向けの柄のハンカチだからルーカス様もお気づきになられていると思ったけれど、シェルシェーレ様の言うようにしっかり言葉にしてお伝えしなくては…!
「あのハンカチは元々ルーカス様にお渡しする為のものでしたので!」
「え、そうだったのか?…でもなんでだ?俺別に誕生日とかじゃないぞ?」
「それは…!ルーカス様を心からお、お慕いしておりますので、その意思表示にと!」
い、言ってしまった…!
「………」
ルーカス様は黙って私の顔をまっすぐ見る。
「…なんだ、そういう事か!俺もカトリーヌのことは好きだぞ!」
そう言うとルーカス様はニカッと笑い、私の頭をポンポンと撫でてくださる。
ああ、なんと素敵な笑顔なのかしら…!
…でも、私とルーカス様では"好き"の種類が違う気がしますわ!
――――――
「惜しい、そこは10倍誇張して"世界の誰よりもあなたを愛しています"くらい言わないとなー」ボソッ
シェルシェーレは、本を取ってきた後扉の前で2人の会話を聞きながら、そう呟いたのだった。
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