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第3章
9.欲情(9)
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「ここからどうしよう?」
「きょう、すけ」
「僕の指、動けなくなってるんだけど?」
「あ、う」
「ねえ、美並」
困ったような声で真崎が入った指を静かに前後させた。
「一本じゃ足りない?」
「っく」
何か答えようとしても、答えかけた矢先に真崎の指が何かを探すように蠢くから、思わずそちらに気を取られ、漏れるのはくぐもって湿った声だけだ。
「ねえ」
「っっあ!」
いきなり引き抜かれた指が外側に滑って美並は震えた。しっとり濡れていながら、それでもざらりとした感触で、真崎の指が奥の方でずきずきしている粒を撫でる。
「っや」
「僕と同じ……? ここ好き?」
「あ、っああっっ」
摘まれて擦られて大きく震えた。
「胸とどっちが好き?」
「きょう、すけっ」
びくん、と仰け反って叫んだのは相手の名前。唇で嬲られた胸と指先で撫で回された部分から一気に走った快感にじわりと奥から零れ落ちたものがある。
「いっちゃった?」
「……ばか…っ」
いつぞやの真崎そのままに呻いて、美並は顔が熱くなった。
「確認、しないで」
「わからないし」
美並は自分で知って、って言ったよね?
「もう一度してみていい?」
「い、やっっ」
「………あ~」
敏感に突き立った部分を再び挟もうとするのに慌てて突き飛ばそうとしたが、揺れもしない相手がふいにほんわりと笑み綻んでぎょっとする。
「なに…」
「今の……いい」
「はい?」
「いやっていうの…」
真崎は薄赤くなって続けた。
「ココにクル」
視線で知らせた先を見ないように美並は眉を寄せた。
「なんでそんなことばでクルんですか」
「だって」
なんかたまんなかったよ、可愛くて。
へらりと笑った真崎がもう一度指を忍ばせてきて、思わず腰を浮かせてしまう。
「っん」
「入った……慣らすってこれぐらい? でも」
「う…っん、あ」
指が増やされゆっくり動かされて呼吸が上がる。快感というより、追い上げられていくのを制御できるかという不安からだ。
「なんか……悔しい…」
「は…あ?」
「……あいつも同じこと…した?」
小さな声で真崎が尋ねてきておいおい、と美並は顔をしかめた。
「何、ですか、一体」
「だって」
美並のここ、こういうの知ってるみたいに僕を誘うよ。
「っん、う」
指が増やされて美並は唇を噛む。
「腰も揺れてるし」
知りませんてば、もう。
気持ちはわかるけれど、こういうときに、そういうものに嫉妬されても、と思いつつ、自分もそうだったか、と息を喘がせながら思った。
真崎の身体に残っている大輔の気配を感じていた。恵子の跡を考えていた。
「美並…っ、もう」
入りたい。
そう言ったとたんに、引き抜かれた指と入れ代わりにぬるりとした感触が広がり、続いて次の瞬間。
「あ、ううぅっ」
無理。
一瞬確かにそう思った。
久し振りとか、真崎のサイズとか、美並の状態とか、まあ理由はいろいろあるだろうけど、絶対そこのところは無理、そういう感覚に引けかけた腰を容赦なく抱き込まれて悲鳴を上げる。
「や、ああっっ」
「あぅっ」
同時に真崎がとんでもなく色っぽい声を上げて固まった。
はい?
えーと、されているのは、私、だよね。
「み、なみ…っ」
なお切ない声で呼ばれて目を開ける。
すぐに状態が通じた。
瞬きして見上げた真崎の顔が苦しそうに歪んでいる。少し青ざめた顔は夕べ見た顔と似ていて、じわじわと赤みを帯びていくに従って表情が惚けていくのがわかる。
「どう…しよ……」
「は……い…?」
「気持ち……い……っ」
「………は、ふ」
ぞくん、と真崎が震えて突き上げ、思わず息を吐いたけれど、じっと動かない相手に次第に落ち着いてくる下半身と逆に、壮絶に競り上がってくるのは見上げた真崎の表情で。
「み…なみ…」
虚ろな瞳で微かに笑う。
「きょうすけ…?」
「おか…しく…なりそ……」
「んっ、ん」
ゆっくりと真崎が動き始める。意志を持って動かしているというよりは、腰が揺れるのに耐え切れなくて動いている、そんな感じだ。
「は、あぁっ」
甘い息を吐きながら真崎が仰け反る。びくびく震えた部分は美並の中で熱く主張している。
「う、うふ」
「っっ」
次第に速度を上げていく真崎がしがみついてきた。耳元でせわしくなる呼吸、やがて。
「たす…けて…っ」
助けて?
美並は漏れた真崎の声に困惑した。
「きょう、すけ」
「僕の指、動けなくなってるんだけど?」
「あ、う」
「ねえ、美並」
困ったような声で真崎が入った指を静かに前後させた。
「一本じゃ足りない?」
「っく」
何か答えようとしても、答えかけた矢先に真崎の指が何かを探すように蠢くから、思わずそちらに気を取られ、漏れるのはくぐもって湿った声だけだ。
「ねえ」
「っっあ!」
いきなり引き抜かれた指が外側に滑って美並は震えた。しっとり濡れていながら、それでもざらりとした感触で、真崎の指が奥の方でずきずきしている粒を撫でる。
「っや」
「僕と同じ……? ここ好き?」
「あ、っああっっ」
摘まれて擦られて大きく震えた。
「胸とどっちが好き?」
「きょう、すけっ」
びくん、と仰け反って叫んだのは相手の名前。唇で嬲られた胸と指先で撫で回された部分から一気に走った快感にじわりと奥から零れ落ちたものがある。
「いっちゃった?」
「……ばか…っ」
いつぞやの真崎そのままに呻いて、美並は顔が熱くなった。
「確認、しないで」
「わからないし」
美並は自分で知って、って言ったよね?
「もう一度してみていい?」
「い、やっっ」
「………あ~」
敏感に突き立った部分を再び挟もうとするのに慌てて突き飛ばそうとしたが、揺れもしない相手がふいにほんわりと笑み綻んでぎょっとする。
「なに…」
「今の……いい」
「はい?」
「いやっていうの…」
真崎は薄赤くなって続けた。
「ココにクル」
視線で知らせた先を見ないように美並は眉を寄せた。
「なんでそんなことばでクルんですか」
「だって」
なんかたまんなかったよ、可愛くて。
へらりと笑った真崎がもう一度指を忍ばせてきて、思わず腰を浮かせてしまう。
「っん」
「入った……慣らすってこれぐらい? でも」
「う…っん、あ」
指が増やされゆっくり動かされて呼吸が上がる。快感というより、追い上げられていくのを制御できるかという不安からだ。
「なんか……悔しい…」
「は…あ?」
「……あいつも同じこと…した?」
小さな声で真崎が尋ねてきておいおい、と美並は顔をしかめた。
「何、ですか、一体」
「だって」
美並のここ、こういうの知ってるみたいに僕を誘うよ。
「っん、う」
指が増やされて美並は唇を噛む。
「腰も揺れてるし」
知りませんてば、もう。
気持ちはわかるけれど、こういうときに、そういうものに嫉妬されても、と思いつつ、自分もそうだったか、と息を喘がせながら思った。
真崎の身体に残っている大輔の気配を感じていた。恵子の跡を考えていた。
「美並…っ、もう」
入りたい。
そう言ったとたんに、引き抜かれた指と入れ代わりにぬるりとした感触が広がり、続いて次の瞬間。
「あ、ううぅっ」
無理。
一瞬確かにそう思った。
久し振りとか、真崎のサイズとか、美並の状態とか、まあ理由はいろいろあるだろうけど、絶対そこのところは無理、そういう感覚に引けかけた腰を容赦なく抱き込まれて悲鳴を上げる。
「や、ああっっ」
「あぅっ」
同時に真崎がとんでもなく色っぽい声を上げて固まった。
はい?
えーと、されているのは、私、だよね。
「み、なみ…っ」
なお切ない声で呼ばれて目を開ける。
すぐに状態が通じた。
瞬きして見上げた真崎の顔が苦しそうに歪んでいる。少し青ざめた顔は夕べ見た顔と似ていて、じわじわと赤みを帯びていくに従って表情が惚けていくのがわかる。
「どう…しよ……」
「は……い…?」
「気持ち……い……っ」
「………は、ふ」
ぞくん、と真崎が震えて突き上げ、思わず息を吐いたけれど、じっと動かない相手に次第に落ち着いてくる下半身と逆に、壮絶に競り上がってくるのは見上げた真崎の表情で。
「み…なみ…」
虚ろな瞳で微かに笑う。
「きょうすけ…?」
「おか…しく…なりそ……」
「んっ、ん」
ゆっくりと真崎が動き始める。意志を持って動かしているというよりは、腰が揺れるのに耐え切れなくて動いている、そんな感じだ。
「は、あぁっ」
甘い息を吐きながら真崎が仰け反る。びくびく震えた部分は美並の中で熱く主張している。
「う、うふ」
「っっ」
次第に速度を上げていく真崎がしがみついてきた。耳元でせわしくなる呼吸、やがて。
「たす…けて…っ」
助けて?
美並は漏れた真崎の声に困惑した。
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