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縁を切るとき
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「ずっとそこにいたの?」
「ずっといたわよ!」
「いつから?」
「アンタと話したときからずっと!」
「帰ってなかったの?」
「アンタに言いたいことが山ほどあるのに帰るわけないでしょ! ふざけたこと言ってんじゃないわよ!」
誰も気付いていなかった屈辱に顔を真っ赤にさせながら怒鳴るティーナに珍しくアルフレッドが笑い声を上げた。
「花のない君が美しく輝く花をバカにするのは許せないな」
カイルとヴィンセルとセシルの三人はその言葉に驚きを隠せなかった。
常日頃から『どんなレディでも慈しみ愛するべきなんだよ』と語っていたアルフレッドがまさか女性に対してそんな言葉を使うとは思っていなかった。
「はあ? 花ってなに?」
「僕のことを好いてくれてる令嬢たちのことだよ」
「花って呼んでるの? ははっ、ダッサ」
「ティーナ、口の利き方に気を付けて」
「は? アンタこそ何様のつもりよ」
もはや暴走しているとしか言いようがないティーナの言動は非常識でしかなく、アリスの忠告など聞きはしない。
もともと人を敬うことをしないティーナに今更何を言おうと無駄だとわかっているが黙ってはいられなかった。
ティーナが対峙する相手は伯爵と侯爵。男爵家のティーナがそんな口を利いていい相手ではないのにティーナはそれがわからない。
「何様なのはそっちでしょ」
「は?」
たった一言なのに嫌な迫力に怯んでしまいそうになるのを唇を噛んで堪えながらゆっくり息を吐き出し前に出た。
「ティーナ・ベルフォルン男爵令嬢、彼らに敬意を払いなさい」
「味方がいっぱいいるからって強気に出てんじゃないわよ。人の後ろに隠れるしか能がないくせに」
ドンッと肩を押されてもアリスは片足が後ろに動いただけで引きはしなかった。
このままティーナの言うことを聞き続けていては自分の人生がダメになる。
楽しかったはずの関係はいつの間にか主従関係にも似たようになっていて、それは間違いなく言うことを聞き続けてきた自分のせいという自覚があった。
楽しかったから、好きだったから喜んだ顔が見たくて聞いてきたワガママも、今日ここで終わりにすべきだと強い意思でティーナの前に立ち続ける。
「私に逆らうの? 一人じゃなんにもできないクソ女のくせに?」
「逆らうって…私とティーナの間に上下関係なんてない」
「偉そうに。大体、ずっと気に入らなかったのよね。アンタが公爵令嬢なんて笑わせないでよ。アンタにそんな称号相応しくない。地味なくせに、弱いくせに、男に媚びるのだけは上手くて? ハッ、ふざけんじゃないわよ!」
いつからそんな風に思っていたのだろう。
いつから憎しみに変わっていたのだろう。
いつから友達だと思っていなかったのだろう。
考え始めるとキリがない疑問が悲しみとなって押し寄せる。
ずっと友達でいたかった。軽口を言い合って、笑い合って、怒り合って———でももう、二人の関係は戻れない場所まできてしまったのだ。
ティーナは変わってしまった。
「貴族として生きるなら貴族のルールに従わなきゃダメだよ」
「貴族に生まれたくて生まれたわけじゃないから」
「でも貴族でしょ。貴族には貴族のルールがあって———」
「知らないわよ! 私は好きで男爵の娘に生まれたわけじゃないし、好きでアンタの友達やってたわけじゃない! ルール? 男爵は下で公爵は上? そんなの知ったこっちゃないわよ! どうして私がアンタたちに頭を下げて回らなきゃいけないわけ? おかしいじゃない!」
男爵と公爵では立場に天と地ほどの差がある。誰だって生まれるなら王家や公爵家に生まれたい。だが、生まれる場所は選べないし、そこを憎んだからといって何にもならない。
ティーナが男爵以上になるにはベルフォルン家の娘ではないと親権放棄の書類にサインをもらい、男爵よりも上の爵位の家へ養子縁組をして入るか、男爵以上と結婚するかしかない。
どれを選ぼうとも今すぐに叶えられることではないのだ。
自分の立場や相手の立場を恨んだところで現実は変わらないのにティーナはそれがやめられない。自分のほうが上なのにという絶対の自信が故に込み上げる怒りが止められなかった。
「元からあるルールに従えないなら貴族をやめるしかないんだよ」
静かな声が通り過ぎると同時にティーナの頭に紙袋がかぶされた。
呆然とするのはティーナだけではなく皆同じ。やってきたセシルだけがのんきにパンにかぶりつきながらアリスの傍で立ち止まった。
「アリス、バカに正論なんて通じないって」
「セ、セシル……」
なぜパンの紙袋をかぶせたのかと聞くまでもなく、あれはセシルによるただの嫌がらせ。
やりすぎだと思うもティーナの言葉に我慢している面々の、特にカイルのことを思えばセシルには感謝していた。
「ちょっとッ! 何すんのよッ!」
「パンくずが髪飾りになってオシャレだね」
「ふざけんじゃないわよッ! 私にこんなことしてどうなるかわかってるの!?」
「わかんないな、教えてよ」
固焼きパンの外側をあえて袋の中で砕いておいたセシルによる嫌がらせは大成功で、キレイにセットされていたティーナの髪にはパンくずが山のようについている。
それを取ろうとしてもキレイには取れない。髪を払えばそれだけセットが乱れてしまう。
「アリスが公爵に相応しくないかどうかなんてお前が決めることじゃない。だって彼女は誰が何を言おうとベンフィールド公爵令嬢なんだから。どう足掻いてもお前がベルフォルン男爵令嬢なのと同じ。それが嫌なら家飛び出して街で暮らせば? お前みたいな威張ることしか能がないバカなんてどこも雇ってくれないだろうけど」
「侮辱するのも大概に———」
「ああ、一つだけあった。娼婦宿なら雇ってくれるだろうね。雇ってもらえたところでその性格じゃ客のほうからお断りだろうけど」
どんな性格であろうとティーナは男爵令嬢で貴族である。その相手に『娼婦にならなれる』と言ってしまうセシルにとってティーナ・ベルフォルンは目障りで不愉快な存在でしかなかった。
礼儀も知らない、ルールも守らないでは貴族の世界を生き残るのは不可能だ。
ありのままでいることは良いことだと言われても貴族の世界で大事なのは化かし合い。一方的な嘘しかつけないティーナは化けることさえできない。
親の顔に泥を塗り、家名を汚すことをなんとも思わない女を誰が好きになるのかと親切に口にすることはしなくとも嘲笑として顔に出ていた。
「アンタが…アンタが一番気に入らないのよ! 何の恨みがあって私をバカにするのよ! アッシュバートン家なんて何も誇れるとこなんて何もないくせに! 役立たずの次男坊のくせに!」
ティーナの大声にセシルは肩を竦める。
「アリス! 私がここまで言われてるのにアンタ黙って見てるわけ!?」
あれだけ攻撃をしておいて何を言っているんだというのがアリスの本音。
もうアリスの中にティーナへの感情は何も残っていない。怒りも悲しみも同情心さえも湧いてはこなかった。
「ティーナ、もうやめよう。学園で一人で大騒ぎするなんて恥ずかしいよ」
「恥ずかしい? なに、私が恥ずかしいって言うの?」
「どこでも叫んで騒いで、人の気持ちなんておかまいなし。昔はそんな子じゃなかったのに」
「だからなに? 私と友達やめたくなった? 友達やめんの? 私はいいよ。アンタなんかいなくても私にはたくさんの友達がいるから。でもアンタはどう? 友達いなくて一人ぼっちになるの耐えられるわけ?」
ずっとティーナのようになりたいと思っていた。誰にでもハッキリ言い返すことができて、友達を傷つけられたら本気で怒れるような人になりたいと思っていた。
ワガママに振り回されてきたのはそういう部分も憧れだったから。相手の気持ちを考えてはワガママ一つ口にできなくなってしまったアリスにとって羨ましい部分だったから。
でも今はもうそれに憧れようなどとは思わなくなっていた。
親友を嘲笑うのは友情?
嘘を真実に変えようとするのは強さ?
違う。
アリスはグッと拳を握ってティーナを見つめた。
「いいよ」
「は?」
「友達やめよう」
「はあッ!?」
いつだって下僕のように扱ってきた相手が自らの意思で発言したのが気に食わなかったティーナの低い声が響く。
「自分が何言ってるかわかってんの? 一人になるってことなのよ?」
「わかってる」
「アンタが一人でいられるはずないでしょ! 一人ぼっちが怖くて私を利用してたくせに!」
「利用……」
していないとは言えなかった。ティーナと一緒にいたのは楽しかったり憧れもあったからだが、一人になりたくないからというのもあった。ティーナといれば誰かにバカにされることはないし、一人にならなくてすむから。だからその代わりにティーナのどんなワガママにも付き合ってきた。憧れることができないほどのワガママでも。
「あーそっか~。アリスは一人じゃないもんね。それだけのたーくさんの男がいるんだから私なんかいなくなっても平気なんだあ。彼らを利用すればいいもんね~」
「利用なんてしない」
「じゃあ本当に一人でいるの? 誰に誘われても断ってずっと一人でいるって約束できるの?」
なぜ問い詰めようとするのだろう。なぜそんなことに執着するのだろう。ティーナが友達の縁を切ると言うのであればそれを受け入れると言っただけなのになぜ一人でいることを強要されなければならないのか、アリスにはわからなかった。
ティーナは親友というポジションに居ただけであって、ティーナだけが友達なわけではない。それなのに一人でいると約束しろと迫るティーナにアリスは眉を寄せて首を振る。
「約束なんてしない。友達と一緒に過ごすもの」
「アンタに友達なんていないじゃない!」
「ティーナだけが友達じゃない!」
「じゃあ呼びなさいよ! アンタの友達だって言ってくれる変人を今すぐここに連れてきなさいよッ!!」
一際大きく放たれる怒声にアリスの肩が跳ねる。
「わかっ———」
アリスの口を塞いだ柔らかな手。
「アリシア様……ナディア様……」
アリスの横で仁王立ちをするように腕を組む二人は目が合うとウインクをした。
「彼女にあなた以外のお友達がいないなんて嘘をつくのはどこのどいつですの?」
「あの方だそうよ、ナディア」
「どこ?」
「あそこ。ああ、あなたって確か伯爵以下の人間は覚えられないし、子爵以下の人間は見えないんでしたわね。あそこに立ってるのよ、クソ忌々しい卑しき雌豚が」
「なっ———!?」
アボット姉妹の二人の侮辱に拳を震わせるティーナだが、すぐには言い返さない。二人はアリスとは正反対の性格で、ティーナよりも身長が高い。目の前に立たれるだけで威圧感があり、そこから冷たい目で見下ろされると更に圧が増す。
こういう人間は敵に回せば厄介で、相手にしすぎると自爆する危険性があるため噛みつこうにも噛みつけない。
ギリッと歯を鳴らすティーナに二人の嘲笑が向けられる。
「侯爵令嬢がそんな下品な言葉遣いをするなんて意外だわ」
「下品な言葉を使おうとも侯爵令嬢ですの」
「どんなに上品な言葉を使っても男爵令嬢がそれ以上になれないのと同じですわね。下品な言葉遣いでもわたくしたちは侯爵令嬢、うふふっ」
爵位が全ての世界ではティーナはどうしたって二人には勝てない。アリスと違って爵位を口にし、それを盾に下品な言葉遣いも嘲笑も使う二人にはティーナを黙らせるなど赤子の手をひねるよりも簡単なのだ。
「アリスも酷い女ね」
「えっ!?」
「すぐにわたくしたちをお友達だと言ってくださらないなんて」
「そうですわ。あまりのショックで寝込むところでしたのよ」
「ご、ごめんなさい!」
慌てて頭を下げるアリスに二人が笑う。
「二人はアリスなんかの味方するってわけ? 知らないようだから教えてあげるけど、アリスはセシル様にもヴィンセル様にもイイ顔しようとしてるのよ」
ティーナの言葉に二人は顔を見合わせたあと、辺り一帯に響き渡るほどの笑い声を響かせた。
「な、なにがおかしいのよ!」
明らかにバカにしたような笑い方に声をあげるティーナを見て二人は更に笑い声を大きくする。
「アリシア、そんなに笑っては可哀想ですわよ!」
「だって彼女、当たり前なことをドヤ顔で言うんですもの! こんなに笑えることってなかなかありませんわよ!」
「バカにしてんじゃないわよ!」
響き渡る二人の大笑いに廊下から顔を出して覗く生徒の数が増えていることに気付いたティーナが羞恥を感じて焦る。
「知らないようだから教えてさしあげますわね、おバカさん。イイ男にイイ顔するのは当然のこと。ねえ、覗き見てるレディたちに問いますけど、二人のイイ男に迫られてどっちかに素っ気なく返すって方がいたら教えてくださる?」
アリシアの問いかけに誰一人手を上げる者はいなかった。
「ほらね。素敵な男性に素敵な女性と思われるためにイイ顔をするのは至極当然のこと。レディの嗜みですのよ」
「あら、わざわざ教えてあげるだなんてナディア、あなたいつからそんなに親切になりましたの?」
「だって、公爵令嬢の乞食をするような貧乏男爵令嬢ならそういう当たり前の嗜みも教わってないんじゃないかと思って」
「今日のあなたってすごく優しい」
アリスを挟んで褒め合う二人にティーナは思いきり唇を噛み締める。
何を言っても必ず侮辱で返ってくる現状をどうにか打破できないかと必死に考えを巡らせるも何も思い浮かばない。
「アリスの味方すると後悔するわよ」
「アリスを敵に回すと後悔しますわよ」
声を低めたティーナに合わせて声を低めたナディアのほうがずっと迫力があった。
「ッ~! アリス、アンタだけは絶対に許さないから!」
「アリシア、あれが俗に言う負け犬の遠吠えってやつですわよ」
「まあ素敵。負け犬の遠吠えって初めて聞きましたわ」
最後まで侮辱をやめない二人を睨み付けて去っていくティーナに二人はハイタッチをし、そのまま間にいるアリスを抱きしめる。
「アリスも何もわかっていないおバカさんのようだから教えてさしあげますわね」
「な、なんでしょう?」
おバカさんという言葉に焦りながら見上げると二人がにっこり笑う。
「わたくしたち、お友達ですわよ」
「え?」
「違うなんて言わせませんわよ」
「え?」
急に宣言された友達という言葉にアリスが戸惑う。
「まさか、友達じゃないって言うつもりですの?」
「あんなにお茶を楽しんで恋バナで盛り上がりましたのに?」
「そ、そういうわけじゃなくて!」
「お友達ですのよね?」
「お友達じゃないなんて言いませんわよね?」
「も、もちろんです! お友達です!」
「当然ですわ」
「当然ですわね」
友達だと言われただけなのになぜこんなにも嬉しいのだろうと自分の感情に理解が追いつかないものの、二人の笑顔に涙がこぼれそうになるのを指で拭ってアリスも笑顔を見せた。
自分にもちゃんと友達がいた。教室で喋る同級生はいても、友達だと言ってくれる相手はいなかった。
強制的ではあれど、友達だと思っているのはアリスの本音。
「美しい花がここに二輪も咲いてるなんて驚きだな」
「キャアアアアアッ! アルフレッド様!」
アルフレッド推しのアリシアが悲鳴のような声で喜びを表すとアルフレッドはそっと腰に手を回して顎を上げさせ、顔を近付けた。
そこにだけ花が咲き乱れているように見える幻覚に頭を振るも花は消えずに咲いている。これが皆が言う【アルフレッド背景】かと初めて見る光景にアリスは瞬きを繰り返す。
「セ、セセセセセセセシル様、はじめまして。わ、わわわわわわたくし、ナディア・アボ———」
「知ってる、アボット侯爵の娘でしょ」
「わわわわわたくしをご存じなのですか!?」
「有名だよ。親バカアボット公爵自慢の美人姉妹って」
「信じられませんわ……ああ……嘘みたい……」
「ちょっとッ!?」
「ナディア!?」
「ナディア様!?」
自分の推しに一目で気に入られたアリシアを見てナディアも行動に出たが、憧れのセシルが自分を知っていることに感動しすぎたのか、額に手の甲を当ててその場に倒れてしまった。
ティーナが喚き散らすより大騒ぎになったナディアの失神にアリスも大慌てになるが、いつも胸に抱えていた不安やモヤが晴れて久しぶりに心がスッキリとしていた。
「ずっといたわよ!」
「いつから?」
「アンタと話したときからずっと!」
「帰ってなかったの?」
「アンタに言いたいことが山ほどあるのに帰るわけないでしょ! ふざけたこと言ってんじゃないわよ!」
誰も気付いていなかった屈辱に顔を真っ赤にさせながら怒鳴るティーナに珍しくアルフレッドが笑い声を上げた。
「花のない君が美しく輝く花をバカにするのは許せないな」
カイルとヴィンセルとセシルの三人はその言葉に驚きを隠せなかった。
常日頃から『どんなレディでも慈しみ愛するべきなんだよ』と語っていたアルフレッドがまさか女性に対してそんな言葉を使うとは思っていなかった。
「はあ? 花ってなに?」
「僕のことを好いてくれてる令嬢たちのことだよ」
「花って呼んでるの? ははっ、ダッサ」
「ティーナ、口の利き方に気を付けて」
「は? アンタこそ何様のつもりよ」
もはや暴走しているとしか言いようがないティーナの言動は非常識でしかなく、アリスの忠告など聞きはしない。
もともと人を敬うことをしないティーナに今更何を言おうと無駄だとわかっているが黙ってはいられなかった。
ティーナが対峙する相手は伯爵と侯爵。男爵家のティーナがそんな口を利いていい相手ではないのにティーナはそれがわからない。
「何様なのはそっちでしょ」
「は?」
たった一言なのに嫌な迫力に怯んでしまいそうになるのを唇を噛んで堪えながらゆっくり息を吐き出し前に出た。
「ティーナ・ベルフォルン男爵令嬢、彼らに敬意を払いなさい」
「味方がいっぱいいるからって強気に出てんじゃないわよ。人の後ろに隠れるしか能がないくせに」
ドンッと肩を押されてもアリスは片足が後ろに動いただけで引きはしなかった。
このままティーナの言うことを聞き続けていては自分の人生がダメになる。
楽しかったはずの関係はいつの間にか主従関係にも似たようになっていて、それは間違いなく言うことを聞き続けてきた自分のせいという自覚があった。
楽しかったから、好きだったから喜んだ顔が見たくて聞いてきたワガママも、今日ここで終わりにすべきだと強い意思でティーナの前に立ち続ける。
「私に逆らうの? 一人じゃなんにもできないクソ女のくせに?」
「逆らうって…私とティーナの間に上下関係なんてない」
「偉そうに。大体、ずっと気に入らなかったのよね。アンタが公爵令嬢なんて笑わせないでよ。アンタにそんな称号相応しくない。地味なくせに、弱いくせに、男に媚びるのだけは上手くて? ハッ、ふざけんじゃないわよ!」
いつからそんな風に思っていたのだろう。
いつから憎しみに変わっていたのだろう。
いつから友達だと思っていなかったのだろう。
考え始めるとキリがない疑問が悲しみとなって押し寄せる。
ずっと友達でいたかった。軽口を言い合って、笑い合って、怒り合って———でももう、二人の関係は戻れない場所まできてしまったのだ。
ティーナは変わってしまった。
「貴族として生きるなら貴族のルールに従わなきゃダメだよ」
「貴族に生まれたくて生まれたわけじゃないから」
「でも貴族でしょ。貴族には貴族のルールがあって———」
「知らないわよ! 私は好きで男爵の娘に生まれたわけじゃないし、好きでアンタの友達やってたわけじゃない! ルール? 男爵は下で公爵は上? そんなの知ったこっちゃないわよ! どうして私がアンタたちに頭を下げて回らなきゃいけないわけ? おかしいじゃない!」
男爵と公爵では立場に天と地ほどの差がある。誰だって生まれるなら王家や公爵家に生まれたい。だが、生まれる場所は選べないし、そこを憎んだからといって何にもならない。
ティーナが男爵以上になるにはベルフォルン家の娘ではないと親権放棄の書類にサインをもらい、男爵よりも上の爵位の家へ養子縁組をして入るか、男爵以上と結婚するかしかない。
どれを選ぼうとも今すぐに叶えられることではないのだ。
自分の立場や相手の立場を恨んだところで現実は変わらないのにティーナはそれがやめられない。自分のほうが上なのにという絶対の自信が故に込み上げる怒りが止められなかった。
「元からあるルールに従えないなら貴族をやめるしかないんだよ」
静かな声が通り過ぎると同時にティーナの頭に紙袋がかぶされた。
呆然とするのはティーナだけではなく皆同じ。やってきたセシルだけがのんきにパンにかぶりつきながらアリスの傍で立ち止まった。
「アリス、バカに正論なんて通じないって」
「セ、セシル……」
なぜパンの紙袋をかぶせたのかと聞くまでもなく、あれはセシルによるただの嫌がらせ。
やりすぎだと思うもティーナの言葉に我慢している面々の、特にカイルのことを思えばセシルには感謝していた。
「ちょっとッ! 何すんのよッ!」
「パンくずが髪飾りになってオシャレだね」
「ふざけんじゃないわよッ! 私にこんなことしてどうなるかわかってるの!?」
「わかんないな、教えてよ」
固焼きパンの外側をあえて袋の中で砕いておいたセシルによる嫌がらせは大成功で、キレイにセットされていたティーナの髪にはパンくずが山のようについている。
それを取ろうとしてもキレイには取れない。髪を払えばそれだけセットが乱れてしまう。
「アリスが公爵に相応しくないかどうかなんてお前が決めることじゃない。だって彼女は誰が何を言おうとベンフィールド公爵令嬢なんだから。どう足掻いてもお前がベルフォルン男爵令嬢なのと同じ。それが嫌なら家飛び出して街で暮らせば? お前みたいな威張ることしか能がないバカなんてどこも雇ってくれないだろうけど」
「侮辱するのも大概に———」
「ああ、一つだけあった。娼婦宿なら雇ってくれるだろうね。雇ってもらえたところでその性格じゃ客のほうからお断りだろうけど」
どんな性格であろうとティーナは男爵令嬢で貴族である。その相手に『娼婦にならなれる』と言ってしまうセシルにとってティーナ・ベルフォルンは目障りで不愉快な存在でしかなかった。
礼儀も知らない、ルールも守らないでは貴族の世界を生き残るのは不可能だ。
ありのままでいることは良いことだと言われても貴族の世界で大事なのは化かし合い。一方的な嘘しかつけないティーナは化けることさえできない。
親の顔に泥を塗り、家名を汚すことをなんとも思わない女を誰が好きになるのかと親切に口にすることはしなくとも嘲笑として顔に出ていた。
「アンタが…アンタが一番気に入らないのよ! 何の恨みがあって私をバカにするのよ! アッシュバートン家なんて何も誇れるとこなんて何もないくせに! 役立たずの次男坊のくせに!」
ティーナの大声にセシルは肩を竦める。
「アリス! 私がここまで言われてるのにアンタ黙って見てるわけ!?」
あれだけ攻撃をしておいて何を言っているんだというのがアリスの本音。
もうアリスの中にティーナへの感情は何も残っていない。怒りも悲しみも同情心さえも湧いてはこなかった。
「ティーナ、もうやめよう。学園で一人で大騒ぎするなんて恥ずかしいよ」
「恥ずかしい? なに、私が恥ずかしいって言うの?」
「どこでも叫んで騒いで、人の気持ちなんておかまいなし。昔はそんな子じゃなかったのに」
「だからなに? 私と友達やめたくなった? 友達やめんの? 私はいいよ。アンタなんかいなくても私にはたくさんの友達がいるから。でもアンタはどう? 友達いなくて一人ぼっちになるの耐えられるわけ?」
ずっとティーナのようになりたいと思っていた。誰にでもハッキリ言い返すことができて、友達を傷つけられたら本気で怒れるような人になりたいと思っていた。
ワガママに振り回されてきたのはそういう部分も憧れだったから。相手の気持ちを考えてはワガママ一つ口にできなくなってしまったアリスにとって羨ましい部分だったから。
でも今はもうそれに憧れようなどとは思わなくなっていた。
親友を嘲笑うのは友情?
嘘を真実に変えようとするのは強さ?
違う。
アリスはグッと拳を握ってティーナを見つめた。
「いいよ」
「は?」
「友達やめよう」
「はあッ!?」
いつだって下僕のように扱ってきた相手が自らの意思で発言したのが気に食わなかったティーナの低い声が響く。
「自分が何言ってるかわかってんの? 一人になるってことなのよ?」
「わかってる」
「アンタが一人でいられるはずないでしょ! 一人ぼっちが怖くて私を利用してたくせに!」
「利用……」
していないとは言えなかった。ティーナと一緒にいたのは楽しかったり憧れもあったからだが、一人になりたくないからというのもあった。ティーナといれば誰かにバカにされることはないし、一人にならなくてすむから。だからその代わりにティーナのどんなワガママにも付き合ってきた。憧れることができないほどのワガママでも。
「あーそっか~。アリスは一人じゃないもんね。それだけのたーくさんの男がいるんだから私なんかいなくなっても平気なんだあ。彼らを利用すればいいもんね~」
「利用なんてしない」
「じゃあ本当に一人でいるの? 誰に誘われても断ってずっと一人でいるって約束できるの?」
なぜ問い詰めようとするのだろう。なぜそんなことに執着するのだろう。ティーナが友達の縁を切ると言うのであればそれを受け入れると言っただけなのになぜ一人でいることを強要されなければならないのか、アリスにはわからなかった。
ティーナは親友というポジションに居ただけであって、ティーナだけが友達なわけではない。それなのに一人でいると約束しろと迫るティーナにアリスは眉を寄せて首を振る。
「約束なんてしない。友達と一緒に過ごすもの」
「アンタに友達なんていないじゃない!」
「ティーナだけが友達じゃない!」
「じゃあ呼びなさいよ! アンタの友達だって言ってくれる変人を今すぐここに連れてきなさいよッ!!」
一際大きく放たれる怒声にアリスの肩が跳ねる。
「わかっ———」
アリスの口を塞いだ柔らかな手。
「アリシア様……ナディア様……」
アリスの横で仁王立ちをするように腕を組む二人は目が合うとウインクをした。
「彼女にあなた以外のお友達がいないなんて嘘をつくのはどこのどいつですの?」
「あの方だそうよ、ナディア」
「どこ?」
「あそこ。ああ、あなたって確か伯爵以下の人間は覚えられないし、子爵以下の人間は見えないんでしたわね。あそこに立ってるのよ、クソ忌々しい卑しき雌豚が」
「なっ———!?」
アボット姉妹の二人の侮辱に拳を震わせるティーナだが、すぐには言い返さない。二人はアリスとは正反対の性格で、ティーナよりも身長が高い。目の前に立たれるだけで威圧感があり、そこから冷たい目で見下ろされると更に圧が増す。
こういう人間は敵に回せば厄介で、相手にしすぎると自爆する危険性があるため噛みつこうにも噛みつけない。
ギリッと歯を鳴らすティーナに二人の嘲笑が向けられる。
「侯爵令嬢がそんな下品な言葉遣いをするなんて意外だわ」
「下品な言葉を使おうとも侯爵令嬢ですの」
「どんなに上品な言葉を使っても男爵令嬢がそれ以上になれないのと同じですわね。下品な言葉遣いでもわたくしたちは侯爵令嬢、うふふっ」
爵位が全ての世界ではティーナはどうしたって二人には勝てない。アリスと違って爵位を口にし、それを盾に下品な言葉遣いも嘲笑も使う二人にはティーナを黙らせるなど赤子の手をひねるよりも簡単なのだ。
「アリスも酷い女ね」
「えっ!?」
「すぐにわたくしたちをお友達だと言ってくださらないなんて」
「そうですわ。あまりのショックで寝込むところでしたのよ」
「ご、ごめんなさい!」
慌てて頭を下げるアリスに二人が笑う。
「二人はアリスなんかの味方するってわけ? 知らないようだから教えてあげるけど、アリスはセシル様にもヴィンセル様にもイイ顔しようとしてるのよ」
ティーナの言葉に二人は顔を見合わせたあと、辺り一帯に響き渡るほどの笑い声を響かせた。
「な、なにがおかしいのよ!」
明らかにバカにしたような笑い方に声をあげるティーナを見て二人は更に笑い声を大きくする。
「アリシア、そんなに笑っては可哀想ですわよ!」
「だって彼女、当たり前なことをドヤ顔で言うんですもの! こんなに笑えることってなかなかありませんわよ!」
「バカにしてんじゃないわよ!」
響き渡る二人の大笑いに廊下から顔を出して覗く生徒の数が増えていることに気付いたティーナが羞恥を感じて焦る。
「知らないようだから教えてさしあげますわね、おバカさん。イイ男にイイ顔するのは当然のこと。ねえ、覗き見てるレディたちに問いますけど、二人のイイ男に迫られてどっちかに素っ気なく返すって方がいたら教えてくださる?」
アリシアの問いかけに誰一人手を上げる者はいなかった。
「ほらね。素敵な男性に素敵な女性と思われるためにイイ顔をするのは至極当然のこと。レディの嗜みですのよ」
「あら、わざわざ教えてあげるだなんてナディア、あなたいつからそんなに親切になりましたの?」
「だって、公爵令嬢の乞食をするような貧乏男爵令嬢ならそういう当たり前の嗜みも教わってないんじゃないかと思って」
「今日のあなたってすごく優しい」
アリスを挟んで褒め合う二人にティーナは思いきり唇を噛み締める。
何を言っても必ず侮辱で返ってくる現状をどうにか打破できないかと必死に考えを巡らせるも何も思い浮かばない。
「アリスの味方すると後悔するわよ」
「アリスを敵に回すと後悔しますわよ」
声を低めたティーナに合わせて声を低めたナディアのほうがずっと迫力があった。
「ッ~! アリス、アンタだけは絶対に許さないから!」
「アリシア、あれが俗に言う負け犬の遠吠えってやつですわよ」
「まあ素敵。負け犬の遠吠えって初めて聞きましたわ」
最後まで侮辱をやめない二人を睨み付けて去っていくティーナに二人はハイタッチをし、そのまま間にいるアリスを抱きしめる。
「アリスも何もわかっていないおバカさんのようだから教えてさしあげますわね」
「な、なんでしょう?」
おバカさんという言葉に焦りながら見上げると二人がにっこり笑う。
「わたくしたち、お友達ですわよ」
「え?」
「違うなんて言わせませんわよ」
「え?」
急に宣言された友達という言葉にアリスが戸惑う。
「まさか、友達じゃないって言うつもりですの?」
「あんなにお茶を楽しんで恋バナで盛り上がりましたのに?」
「そ、そういうわけじゃなくて!」
「お友達ですのよね?」
「お友達じゃないなんて言いませんわよね?」
「も、もちろんです! お友達です!」
「当然ですわ」
「当然ですわね」
友達だと言われただけなのになぜこんなにも嬉しいのだろうと自分の感情に理解が追いつかないものの、二人の笑顔に涙がこぼれそうになるのを指で拭ってアリスも笑顔を見せた。
自分にもちゃんと友達がいた。教室で喋る同級生はいても、友達だと言ってくれる相手はいなかった。
強制的ではあれど、友達だと思っているのはアリスの本音。
「美しい花がここに二輪も咲いてるなんて驚きだな」
「キャアアアアアッ! アルフレッド様!」
アルフレッド推しのアリシアが悲鳴のような声で喜びを表すとアルフレッドはそっと腰に手を回して顎を上げさせ、顔を近付けた。
そこにだけ花が咲き乱れているように見える幻覚に頭を振るも花は消えずに咲いている。これが皆が言う【アルフレッド背景】かと初めて見る光景にアリスは瞬きを繰り返す。
「セ、セセセセセセセシル様、はじめまして。わ、わわわわわわたくし、ナディア・アボ———」
「知ってる、アボット侯爵の娘でしょ」
「わわわわわたくしをご存じなのですか!?」
「有名だよ。親バカアボット公爵自慢の美人姉妹って」
「信じられませんわ……ああ……嘘みたい……」
「ちょっとッ!?」
「ナディア!?」
「ナディア様!?」
自分の推しに一目で気に入られたアリシアを見てナディアも行動に出たが、憧れのセシルが自分を知っていることに感動しすぎたのか、額に手の甲を当ててその場に倒れてしまった。
ティーナが喚き散らすより大騒ぎになったナディアの失神にアリスも大慌てになるが、いつも胸に抱えていた不安やモヤが晴れて久しぶりに心がスッキリとしていた。
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