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協力者
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カフェテリアに寄っておやつと飲み物を購入してから裏庭へと向かった二人。
到着してすぐリオがいい加減離せと腕を振り払ったことでティーナの身体が離れるとリオが先にベンチに腰掛ける。
「で、お前の言う重要な話ってなんだよ」
今以上にアリスに接近するためには何かそれなりの理由が必要。それもカイルが納得するだけの。
それを知っているかのような言い方をするティーナについてきたが、リオもティーナには昔それなりに苦汁をなめさせられたためだけに完全には信用していない。
「私が旅行に行ってる間のことを友達が色々教えてくれたの」
「お前、友達いたのか」
エレメンタリースクールでもティーナはアリスを連れ回し、クラスで喋る相手は友達というよりはもはや下僕か取り巻きのような存在だけだった。
なんの利益もなしに付き合う相手はいなかったように思うと当時のことを思い出して驚くリオにティーナの笑顔が引き攣る。
「いるの。それでね、私、セシル・アッシュバートンのヤバい秘密知ってるのよ」
「ヤバい秘密?」
「それをカイル様が知ったらセシル・アッシュバートンを傍には置いとかないんじゃないかな。でもアリスを一人にはできないし、渋々かもしれないけどアリスの護衛を任せる相手を選ぶんじゃないかしら? アリスが気を使わなくて済む相手をね」
「……なんだよ。さっさと話せよ」
リオの中では既に想像できてしまっている。カイルがセシルのヤバい秘密を知って激怒し、二度とアリスに近付くなと言ったあと、リオを少し早めに生徒会室に呼び出してアリスの護衛をしろと言うカイルの姿が。
そうなれば昼休みも登下校も一緒。エレメンタリースクール卒業式の日に想像していたことが叶うのだと表情には出さないものの、ティーナを急かした。
「でもこれはアリスには絶対に言わないで。言えば絶対にセシル・アッシュバートンのこと庇うから」
「なんで庇うんだよ」
「アリスが気が弱いの知ってるでしょ? ああやって強引にされるとアリスは何も言えなくなっちゃうの!」
アリスは昔から気が弱く、強く言われると言い返せなくなってしまう子供だった。嫌なことも人と喧嘩するぐらいなら受け入れてしまおうという考え。喧嘩しても言い合いになっても勝てる自信がないからそうしなかった。
リオはアリスのそういう行動を何度も見てきたためよく知っている。
アリスを連れて行ったセシルはかなり強引だったことから、アリスはあの頃と変わらず言い返せないままセシルと過ごしているのかもしれないと思った。
「セシル・アッシュバートンは銃を持ってる」
「…………は?」
マヌケな声を出したリオの反応は当然で、この国に生まれ育った者なら銃がどういう扱いの物なのか知らないはずがない。
「本当よ! 私この目で見たの! アリスと一緒に乗ってる馬車が襲われたとき、セシル・アッシュバートンも一緒だったんだけど、銃を強盗に向けたのよ!」
「……どこに持ってたんだよ」
「そこまでは見てないけど、腰とかに隠してたんだと思う。常に持ち歩いてるって言ってたし」
「……で?」
「でね、学園長にそれを知らせに行ったら当然彼もアリスも呼び出されたんだけど、アリスは彼が銃を持ってるのなんて見てません。彼は持ってませんでしたって庇ったの! それで私は嘘つき扱いされて学園長から怒られた。アリスは親友の私より男を取ったの」
それであの物言いかと納得したリオはどうするか迷っていた。
ティーナとセシルの様子を見るに二人は互いに嫌悪し合っている。ティーナを好きな物好きなど砂漠で砂金を見つけるより難しいことだとリオは思う。
これこそティーナの嘘で、セシル・アッシュバートンを嫌っているが故に失墜させるための嘘なのだとしたらベルフォルン家は終わる。
ティーナはそういう貴族の縦社会について何も考えていない危うい部分があるだけに完全には信用していない。
だがもし、セシルが本当に銃を持っているのだとしたら危険人物であることに違いはない。カイルにもアリスにも報告しなければならないことだろう。
しかし、ティーナの言うようにアリスがセシルを庇うのだとしたらアリスに言うだけ警戒されてしまう。アリスに伝わり、それがセシルに伝わる可能性は高い。となるとアリスには言うなと警戒するのも当然かとも考えた。
「あれはたぶん、セシル・アッシュバートンが狙われたのよ。危険だと思わない? 二人が一緒に出かけた帰りにまた強盗にでも遭ったらどうする? 武器を取り出したら向こうは反射的に撃っちゃうかもしれないでしょ? それがアリスに当たったら……」
「……やめろ。想像させんな」
「じゃあ協力してくれる? セシル・アッシュバートンは銃所持の重犯罪者だってこと一緒に暴くの。これはアリスの幸せな未来のためよ」
アリスに流れ弾が当たって怪我で済めばいい。だが、怪我で終わらなければ? それがもし首や心臓に当たったら?
想像もしたくないと表情を歪めるリオの隣に腰掛けて二の腕に手を添えるティーナの誘いにリオはすぐ返事をしなかった。
これが本当にアリスのためになるのであればリオは二つ返事で協力すると即答しただろう。だがもしこれがティーナの陰謀だったら?
手を組むのは男爵と子爵。ティーナの言葉を鵜呑みにして剣を持つには危険すぎる。銃を持っている証拠が見つからなかったら? 自分たちがしていることがバレたら?
タダでは済まない──
「ビビってんの?」
「ダセェ挑発してんじゃねぇよ」
「アリスが銃を向けられても平気なの?」
平気なわけがない。だが、セシルのあの感じは人を支配している感じでもなかった。
手を握られたときも引かれていくときもアリスは抵抗しなかったし、戸惑っている様子もなかった。むしろ安堵していたようにも見えた。
セシルに押されて流されていると言うにはそこにアリスの意思が見えたような気がしてティーナの言葉に乗り気にはなれない。
アリスがセシルを気に入っているとなれば、失敗はアリスとの関係も壊すことになるかもしれない。リオが一番怖いのはそこだった。
「アリスが取られちゃってもいいの?」
「あ?」
「好きなんでしょ、アリスのこと」
「ッ!?」
ギクッと反応したリオが背筋を伸ばすとティーナが笑う。
「リオって一途だよね。子供の頃からずーっとアリスのことが好きなんだもん。すごいすごい」
「バカにしてんのかよ」
「そうじゃない。逆だって。ずーっとアリスを見つめてきたのに不慮の事故でアリスと引き離されちゃったじゃない? リオが苦しんでる間に泥棒猫みたいに入ってきた男がアリスを奪っていくんだよ? アリスみたいな子ってさ、絶対に自分を理解してくれてる男と結婚したほうが良いと思うんだよね。でないと気が弱い妻って好き放題されちゃうって聞くし」
「まあ、な」
「私はリオが一番アリスに合ってると思う。アリスにとってもリオは特別だよ。だってアリスがちゃん付けで呼ぶのってリオだけだし」
「ま、まあな。アイツ昔から俺のことだけそうやって呼ぶんだよな」
ちゃん付けで呼ばれるのは恥ずかしくもあったが嬉しくもあった。
自分だけがそうやって呼ばれる。親しい仲でなければ絶対に呼ばない呼び方だ。公爵令嬢が人をちゃん付けで呼ぶなど本来ならありえない話だが、現にアリスは今もリオだけをちゃん付けで呼んでいる。
嬉しかった。嬉しい。何度聞いても喜びが込み上げてくる毎日。
「だからさ、セシル・アッシュバートンがヤバい奴だって暴いてアリスを解放してあげようよ。きっとリオに感謝するよ」
囁くティーナの声が頭の中でぐるぐる回る。
アリスに感謝されたい。今よりもっと近くを歩いて一緒に出かけたりもしたい。今は何が好きで、放課後はどう過ごしていて、休日は何をしているのか知りたい。
でもそれを許される距離にはいない。
自業自得といえど、本来なら自分がいたかもしれない場所に当たり前の顔で立っているセシルが嫌いだと感じていたリオは決意した表情で頷いた。
「協力はする」
「やった!」
「一応だぞ、一応。一応だからな」
「わかってる。一緒にアリスを奪還しよう!」
手を叩いて大喜びしたティーナはまたリオの腕に抱きついて頭を寄せた。
協力者が増えることもそうだが、リオがイケメンに育っていたことはティーナにとって予想外に嬉しいハプニング。
一緒に歩いていても恥ずかしいどころか自慢できる。
「そうやってくっつくのやめろ」
「なんで? いいじゃん。アリスとデートするときのために慣れておいたほうがいいって」
「慣れとかじゃねぇんだよ。ウゼェ」
「アリスにそんな言い方したらアリス二度としないよ?」
「ア、アイツには言わねぇ」
「緊張で言っちゃうかもよ? 慣れておいたらそんなことないだろうし」
アリスに緊張する必要などないのに、リオは今でもアリスを意識すると緊張してしまう。
距離があれば平気なのだが、見つめ合ったり、少し肌が触れ合うだけでも意識して身体が硬くなる。そうなると口も乱暴になってしまうのだ。
慣れない行為でまた傷つけたくないとトラウマを思い出してギュッと目を閉じ、ティーナの言葉を渋々ながらも受け入れ、暗くなるまで作戦会議を続けた。
到着してすぐリオがいい加減離せと腕を振り払ったことでティーナの身体が離れるとリオが先にベンチに腰掛ける。
「で、お前の言う重要な話ってなんだよ」
今以上にアリスに接近するためには何かそれなりの理由が必要。それもカイルが納得するだけの。
それを知っているかのような言い方をするティーナについてきたが、リオもティーナには昔それなりに苦汁をなめさせられたためだけに完全には信用していない。
「私が旅行に行ってる間のことを友達が色々教えてくれたの」
「お前、友達いたのか」
エレメンタリースクールでもティーナはアリスを連れ回し、クラスで喋る相手は友達というよりはもはや下僕か取り巻きのような存在だけだった。
なんの利益もなしに付き合う相手はいなかったように思うと当時のことを思い出して驚くリオにティーナの笑顔が引き攣る。
「いるの。それでね、私、セシル・アッシュバートンのヤバい秘密知ってるのよ」
「ヤバい秘密?」
「それをカイル様が知ったらセシル・アッシュバートンを傍には置いとかないんじゃないかな。でもアリスを一人にはできないし、渋々かもしれないけどアリスの護衛を任せる相手を選ぶんじゃないかしら? アリスが気を使わなくて済む相手をね」
「……なんだよ。さっさと話せよ」
リオの中では既に想像できてしまっている。カイルがセシルのヤバい秘密を知って激怒し、二度とアリスに近付くなと言ったあと、リオを少し早めに生徒会室に呼び出してアリスの護衛をしろと言うカイルの姿が。
そうなれば昼休みも登下校も一緒。エレメンタリースクール卒業式の日に想像していたことが叶うのだと表情には出さないものの、ティーナを急かした。
「でもこれはアリスには絶対に言わないで。言えば絶対にセシル・アッシュバートンのこと庇うから」
「なんで庇うんだよ」
「アリスが気が弱いの知ってるでしょ? ああやって強引にされるとアリスは何も言えなくなっちゃうの!」
アリスは昔から気が弱く、強く言われると言い返せなくなってしまう子供だった。嫌なことも人と喧嘩するぐらいなら受け入れてしまおうという考え。喧嘩しても言い合いになっても勝てる自信がないからそうしなかった。
リオはアリスのそういう行動を何度も見てきたためよく知っている。
アリスを連れて行ったセシルはかなり強引だったことから、アリスはあの頃と変わらず言い返せないままセシルと過ごしているのかもしれないと思った。
「セシル・アッシュバートンは銃を持ってる」
「…………は?」
マヌケな声を出したリオの反応は当然で、この国に生まれ育った者なら銃がどういう扱いの物なのか知らないはずがない。
「本当よ! 私この目で見たの! アリスと一緒に乗ってる馬車が襲われたとき、セシル・アッシュバートンも一緒だったんだけど、銃を強盗に向けたのよ!」
「……どこに持ってたんだよ」
「そこまでは見てないけど、腰とかに隠してたんだと思う。常に持ち歩いてるって言ってたし」
「……で?」
「でね、学園長にそれを知らせに行ったら当然彼もアリスも呼び出されたんだけど、アリスは彼が銃を持ってるのなんて見てません。彼は持ってませんでしたって庇ったの! それで私は嘘つき扱いされて学園長から怒られた。アリスは親友の私より男を取ったの」
それであの物言いかと納得したリオはどうするか迷っていた。
ティーナとセシルの様子を見るに二人は互いに嫌悪し合っている。ティーナを好きな物好きなど砂漠で砂金を見つけるより難しいことだとリオは思う。
これこそティーナの嘘で、セシル・アッシュバートンを嫌っているが故に失墜させるための嘘なのだとしたらベルフォルン家は終わる。
ティーナはそういう貴族の縦社会について何も考えていない危うい部分があるだけに完全には信用していない。
だがもし、セシルが本当に銃を持っているのだとしたら危険人物であることに違いはない。カイルにもアリスにも報告しなければならないことだろう。
しかし、ティーナの言うようにアリスがセシルを庇うのだとしたらアリスに言うだけ警戒されてしまう。アリスに伝わり、それがセシルに伝わる可能性は高い。となるとアリスには言うなと警戒するのも当然かとも考えた。
「あれはたぶん、セシル・アッシュバートンが狙われたのよ。危険だと思わない? 二人が一緒に出かけた帰りにまた強盗にでも遭ったらどうする? 武器を取り出したら向こうは反射的に撃っちゃうかもしれないでしょ? それがアリスに当たったら……」
「……やめろ。想像させんな」
「じゃあ協力してくれる? セシル・アッシュバートンは銃所持の重犯罪者だってこと一緒に暴くの。これはアリスの幸せな未来のためよ」
アリスに流れ弾が当たって怪我で済めばいい。だが、怪我で終わらなければ? それがもし首や心臓に当たったら?
想像もしたくないと表情を歪めるリオの隣に腰掛けて二の腕に手を添えるティーナの誘いにリオはすぐ返事をしなかった。
これが本当にアリスのためになるのであればリオは二つ返事で協力すると即答しただろう。だがもしこれがティーナの陰謀だったら?
手を組むのは男爵と子爵。ティーナの言葉を鵜呑みにして剣を持つには危険すぎる。銃を持っている証拠が見つからなかったら? 自分たちがしていることがバレたら?
タダでは済まない──
「ビビってんの?」
「ダセェ挑発してんじゃねぇよ」
「アリスが銃を向けられても平気なの?」
平気なわけがない。だが、セシルのあの感じは人を支配している感じでもなかった。
手を握られたときも引かれていくときもアリスは抵抗しなかったし、戸惑っている様子もなかった。むしろ安堵していたようにも見えた。
セシルに押されて流されていると言うにはそこにアリスの意思が見えたような気がしてティーナの言葉に乗り気にはなれない。
アリスがセシルを気に入っているとなれば、失敗はアリスとの関係も壊すことになるかもしれない。リオが一番怖いのはそこだった。
「アリスが取られちゃってもいいの?」
「あ?」
「好きなんでしょ、アリスのこと」
「ッ!?」
ギクッと反応したリオが背筋を伸ばすとティーナが笑う。
「リオって一途だよね。子供の頃からずーっとアリスのことが好きなんだもん。すごいすごい」
「バカにしてんのかよ」
「そうじゃない。逆だって。ずーっとアリスを見つめてきたのに不慮の事故でアリスと引き離されちゃったじゃない? リオが苦しんでる間に泥棒猫みたいに入ってきた男がアリスを奪っていくんだよ? アリスみたいな子ってさ、絶対に自分を理解してくれてる男と結婚したほうが良いと思うんだよね。でないと気が弱い妻って好き放題されちゃうって聞くし」
「まあ、な」
「私はリオが一番アリスに合ってると思う。アリスにとってもリオは特別だよ。だってアリスがちゃん付けで呼ぶのってリオだけだし」
「ま、まあな。アイツ昔から俺のことだけそうやって呼ぶんだよな」
ちゃん付けで呼ばれるのは恥ずかしくもあったが嬉しくもあった。
自分だけがそうやって呼ばれる。親しい仲でなければ絶対に呼ばない呼び方だ。公爵令嬢が人をちゃん付けで呼ぶなど本来ならありえない話だが、現にアリスは今もリオだけをちゃん付けで呼んでいる。
嬉しかった。嬉しい。何度聞いても喜びが込み上げてくる毎日。
「だからさ、セシル・アッシュバートンがヤバい奴だって暴いてアリスを解放してあげようよ。きっとリオに感謝するよ」
囁くティーナの声が頭の中でぐるぐる回る。
アリスに感謝されたい。今よりもっと近くを歩いて一緒に出かけたりもしたい。今は何が好きで、放課後はどう過ごしていて、休日は何をしているのか知りたい。
でもそれを許される距離にはいない。
自業自得といえど、本来なら自分がいたかもしれない場所に当たり前の顔で立っているセシルが嫌いだと感じていたリオは決意した表情で頷いた。
「協力はする」
「やった!」
「一応だぞ、一応。一応だからな」
「わかってる。一緒にアリスを奪還しよう!」
手を叩いて大喜びしたティーナはまたリオの腕に抱きついて頭を寄せた。
協力者が増えることもそうだが、リオがイケメンに育っていたことはティーナにとって予想外に嬉しいハプニング。
一緒に歩いていても恥ずかしいどころか自慢できる。
「そうやってくっつくのやめろ」
「なんで? いいじゃん。アリスとデートするときのために慣れておいたほうがいいって」
「慣れとかじゃねぇんだよ。ウゼェ」
「アリスにそんな言い方したらアリス二度としないよ?」
「ア、アイツには言わねぇ」
「緊張で言っちゃうかもよ? 慣れておいたらそんなことないだろうし」
アリスに緊張する必要などないのに、リオは今でもアリスを意識すると緊張してしまう。
距離があれば平気なのだが、見つめ合ったり、少し肌が触れ合うだけでも意識して身体が硬くなる。そうなると口も乱暴になってしまうのだ。
慣れない行為でまた傷つけたくないとトラウマを思い出してギュッと目を閉じ、ティーナの言葉を渋々ながらも受け入れ、暗くなるまで作戦会議を続けた。
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