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墓参り
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遅刻することなく迎えに来たリオと一緒に向かった霊園。丘の上にあり見晴らしの良い広々とした美しい場所だった。
「キレイな場所ね」
「お前の親父さんが用意してくれた場所だからな。棺を運ぶ手配も場所の確保もしてくれた。せめて墓石だけはって父親が建てたけどな」
「そうだったのね」
父親はなんでも家族に話すほうではない。むしろ子供に関わりのないことは話さない主義。カイルは情報共有として色々聞いているらしいが、アリスは女であるため必要ないと情報共有はカイルが許さない。
この国で生まれこの国で育ったリオの母親にとって異国の地で命を落としたことも、そこで眠ることも本望ではなかっただろう。
「俺さ、子供の頃、爵位があれば金持ちなんだって思ってた」
「そうだよね」
子供は家の金銭事情など知らない。わざわざ知らせる親はいないだろう。爵位の有無で人生は全く変わる。アンダーソン家は子爵の爵位を持っているが裕福とは言えない。
「公爵令嬢がなんだ、貴族なんだから皆同じだろって。でも、全然違った。初めてお前の家に行ったとき、小便漏らすかと思ったぐらいビビったわ」
「リオちゃんすごい顔してたもんね」
「今でもお前の家見る度にクソでけぇって思うわ」
「見慣れてよ」
「あのデカさに慣れるわけねぇだろ」
手入れが行き届いた霊園の中は草が一定のミリ数で整えられており、等間隔に建てられた墓石の前を通りながらリオの母親が眠る場所へと向かう。
たくさんの墓石の前には色とりどりの花束が置かれ、ここに眠る者たちがいかに愛されていたか、見ているだけで伝わってくる。
「キレイね」
「そうだろ」
墓の前に着くと既にいくつもの花束が置かれている。まるでネックレスのようにかけられた花輪もよく映えている。
「皆、彼女が大好きだった。笑顔が素敵で、心が温かい太陽みたいな人。料理上手で、いつも周りに人がいて、いつも笑顔で……」
なぜそんな人が早くにいなくなってしまうのだろうとアリスは息を震わせる。
思い出すのは笑顔ばかり。リオを叱る顔は怖かったが、すぐに笑顔になった。相手に合わせて話ができる大人で、子供の自分と話すときは子供用の話し方をしてくれた。だからアリスは彼女と話すのが大好きだった。
最後に見たのは蒼白になった顔。息子がとんでもないことをしでかしたことに驚きと絶望を感じている顔で、それが最後だと思うとアリスの目からは堪えきれず涙がこぼれる。
大丈夫って伝えたかった。後遺症もなく元気だって。だがもう届かない。よかったと安心して見せてくれる笑顔がない。
「アリスが来てくれたぜ、よかったな」
アリスが用意した花束を置いて墓に手を添える。
いつも反抗的だったが、リオは母親を愛していた。手の置き方と優しい声からそれが伝わってくる。
「直接顔見て謝りたいって何万回聞いたかわからねぇな」
「リオちゃんが謝ってくれました。泣きながら」
「余計なこと言うな」
涙を拭って笑顔を見せるも涙は止まらない。
「傷が残ってるかもしれない。もし傷が残ってたら責任取って婿に行けってうるさかったんだぜ」
「婿? ふふっ、おばさんらしい」
「お前が嫁に来てくれたらいいのにって言ってはベンフィールド家のご令嬢をお嫁さんにもらうなんてムリかって。いつもそれがセットなんだよな」
「それは何度も言われた。子爵家に嫁ぐなんて許されないわよねって」
「ふーん。で、お前はなんて答えたんだ?」
アリスのほうを見ないままリオが問いかける。
「好きになった人と結婚すればいいって言われてるって」
「へー」
「そしたらおばさん、なんて言ったと思う?」
「なんだよ?」
「じゃあリオとは結婚できないわね。好きな子に好きって言えないような意気地なしをアリスちゃんが好きになるわけないもの、って」
「クソババア、誰が意気地なしだ。ほっとけ」
息子の想い人に勝手に想いを伝える母親はそう多くはないだろうが、リオの母親は息子の前でさえアリスに暴露していた。
顔を真っ赤にしながら怒る息子を見て豪快に笑う素敵な女性。女らしいというよりは男前な性格をしていた。それを最低の女だと言う夫人も多かったらしいが、アリスは好きだった。
「もし国に戻ることができたら想いを伝えろってそればっか言ってやがった」
「そう」
「言ってやったぞ、ババア。二度と意気地なしなんて言うんじゃねぇぞ」
ズッと鼻を啜る音が聞こえる。墓にかけているリオの手が小刻みに震えていた。
まだ十七歳。母親を失うには早すぎる。あの豪快な笑い声が、明るい笑顔が、大きな声がない家はどれほど寂しいだろう。
そこに親子二人で暮らしていてどれだけ会話があるのだろうか。
「おじさんと話してる?」
「こないだお前にデートの申し込みの書き方教わった」
ちゃんと送られてきた申し込みの手紙。リオらしくない書き方だと母親と話していたが、大当たり。
「ふふっ、随分丁寧に書かれてると思った。どこかの紳士に代筆でも頼んだのかなって思うぐらいにね」
「俺は意気地なしじゃねぇんだよ。つーか返事寄越せよ」
「紳士は返事を待つものだよ。間違っても催促なんてしない」
「手紙もらったら返事寄越すのは常識だろうが」
貴族の男は催促してはいけない。手紙を出したら待つだけ。ダンスの誘いも上から言ってはいけない。断られたら身を引く。リオにはそれが通用しない。だがそれがリオらしくてアリスはつい笑ってしまう。
「なんだよ」
「貴族としての常識を言ったら人間としての常識を返されたから面白くて」
「お前がさっさと返事してれば俺だって紳士的にルールを守ったっての」
リオが紳士的と言うと妙におかしくてアリスは小さな笑いが止まらない。
「デートってどこ行くの?」
「どこでもいいけど」
「そんなこと言う紳士いる?」
「お前の好きなとこに連れてってやるって言うのは紳士的だろ?」
「屁理屈」
「なっ! なんだよ……」
リオは基本的に周りの人間からどう思われようと気にしない。何を言われようと気にもならない。だが、アリスからどう思われているかだけは気になって仕方ない。だからデートを受けてもらっても自分が立てたプランで満足してもらえるか自信がないためプランを言わない。
意気地なしと母親が笑う声が聞こえ、もう一度墓を軽く叩いた。
「お前は人混みが嫌いだろ」
「苦手」
「だったら嫌いなとこにわざわざ出向く必要ないだろ」
「デートは?」
「総合的に判断した結果、お、俺の家でするのが最適だ! そうだろ?」
どこに総合的に判断する材料があったのだろうと疑問はあるが、最初からそう考えていたのだと思うとアリスは微笑んだままで反論しなかった。
ちょうどアンダーソン家が今どうなっているか気になっていたのが決定打となった。
「いいよ」
「しょ、書面で寄越せよ」
「わかった」
書面は証拠であり思い出にもなる。リオの言葉に頷いたアリスはもう一度墓石を見て名前を指でなぞる。
「リリアンヌ・アンダーソン……おばさんの名前好きだったな。なんか王女様みたいな名前よね」
「名前負けだったけどな」
「おばさんはとても美しかったわ。見た目も心も。誰にも負けない美しさがあった」
「贔屓目だろ」
「本当はわかってるくせに」
「わかんねーよ」
気取らない美しさがあると教えてくれたのは彼女だった。気品だけが価値ではないと教えてくれた。
いつも胸を張っていた彼女の強さと美しさは一生忘れることはないだろう。忘れられないほど色濃く記憶に残っている。
「噂話に花を咲かせる気取った淑女よりずっと好きだった」
「お前は噂されるほうだしな」
「誰かさんのせいでね」
「喜べよ」
「私の噂は必ずお兄様の耳に入るって知ってる?」
まるで魔法の言葉。リオにとってカイルは天敵そのもの。目をつけられればタダでは済まない。もう目を付けられていると言えばそうだが、それでもまだ許されているほうだと自覚はある。
「俺はお前と結婚したい」
「うん」
突然口にした言葉にアリスは驚かなかった。リオの話し方がどこか覚悟を決めたような言い方だったから。
「でも俺がどんなに努力してもお前を手に入れられないかもしれねぇことぐらいわかってるつもりだ」
「うん」
「だからこそ後悔しなくていいようにお前と一回はデートしたい」
「うん」
「ま、その一回でお前が俺を好きになる可能性は充分すぎるほどあるけどな」
「ふふっ、すごい自信」
「当たり前だろ。俺の顔見てみろ。イケメンだろうが」
「見慣れちゃった」
リオはもう恋がなんなのか知っている。きっと愛も知っているのだろう。
その大きな身体で感じる大きな想いをわかりやすいほど真っ直ぐに伝えるリオにアリスは頷くばかり。
リオが望んでいる答えは出せない。リオも今ここで答えをもらうことは望んではいない。
「リオちゃん、ちょっと変わったね」
「お前ん中じゃ俺はあの頃のままかよ」
「だってあの頃と今のリオちゃんしか知らないもの」
「なら、ちょっとをだいぶに変えてやるよ。だからさっさと返事寄越せ」
「はいはい」
このやりとりを見て母親はなんと思うだろうか。大人になったと思うだろうか。
何もしてやれなかった、何も言えなかった後悔が津波のように押し寄せても今更親孝行もできない。
小さな後悔なんてものではないが、変えられないことに嘆くことはしない。
だからリオはせめて母親が笑ってくれるよう願いながら墓の前でアリスと笑い合った。
「キレイな場所ね」
「お前の親父さんが用意してくれた場所だからな。棺を運ぶ手配も場所の確保もしてくれた。せめて墓石だけはって父親が建てたけどな」
「そうだったのね」
父親はなんでも家族に話すほうではない。むしろ子供に関わりのないことは話さない主義。カイルは情報共有として色々聞いているらしいが、アリスは女であるため必要ないと情報共有はカイルが許さない。
この国で生まれこの国で育ったリオの母親にとって異国の地で命を落としたことも、そこで眠ることも本望ではなかっただろう。
「俺さ、子供の頃、爵位があれば金持ちなんだって思ってた」
「そうだよね」
子供は家の金銭事情など知らない。わざわざ知らせる親はいないだろう。爵位の有無で人生は全く変わる。アンダーソン家は子爵の爵位を持っているが裕福とは言えない。
「公爵令嬢がなんだ、貴族なんだから皆同じだろって。でも、全然違った。初めてお前の家に行ったとき、小便漏らすかと思ったぐらいビビったわ」
「リオちゃんすごい顔してたもんね」
「今でもお前の家見る度にクソでけぇって思うわ」
「見慣れてよ」
「あのデカさに慣れるわけねぇだろ」
手入れが行き届いた霊園の中は草が一定のミリ数で整えられており、等間隔に建てられた墓石の前を通りながらリオの母親が眠る場所へと向かう。
たくさんの墓石の前には色とりどりの花束が置かれ、ここに眠る者たちがいかに愛されていたか、見ているだけで伝わってくる。
「キレイね」
「そうだろ」
墓の前に着くと既にいくつもの花束が置かれている。まるでネックレスのようにかけられた花輪もよく映えている。
「皆、彼女が大好きだった。笑顔が素敵で、心が温かい太陽みたいな人。料理上手で、いつも周りに人がいて、いつも笑顔で……」
なぜそんな人が早くにいなくなってしまうのだろうとアリスは息を震わせる。
思い出すのは笑顔ばかり。リオを叱る顔は怖かったが、すぐに笑顔になった。相手に合わせて話ができる大人で、子供の自分と話すときは子供用の話し方をしてくれた。だからアリスは彼女と話すのが大好きだった。
最後に見たのは蒼白になった顔。息子がとんでもないことをしでかしたことに驚きと絶望を感じている顔で、それが最後だと思うとアリスの目からは堪えきれず涙がこぼれる。
大丈夫って伝えたかった。後遺症もなく元気だって。だがもう届かない。よかったと安心して見せてくれる笑顔がない。
「アリスが来てくれたぜ、よかったな」
アリスが用意した花束を置いて墓に手を添える。
いつも反抗的だったが、リオは母親を愛していた。手の置き方と優しい声からそれが伝わってくる。
「直接顔見て謝りたいって何万回聞いたかわからねぇな」
「リオちゃんが謝ってくれました。泣きながら」
「余計なこと言うな」
涙を拭って笑顔を見せるも涙は止まらない。
「傷が残ってるかもしれない。もし傷が残ってたら責任取って婿に行けってうるさかったんだぜ」
「婿? ふふっ、おばさんらしい」
「お前が嫁に来てくれたらいいのにって言ってはベンフィールド家のご令嬢をお嫁さんにもらうなんてムリかって。いつもそれがセットなんだよな」
「それは何度も言われた。子爵家に嫁ぐなんて許されないわよねって」
「ふーん。で、お前はなんて答えたんだ?」
アリスのほうを見ないままリオが問いかける。
「好きになった人と結婚すればいいって言われてるって」
「へー」
「そしたらおばさん、なんて言ったと思う?」
「なんだよ?」
「じゃあリオとは結婚できないわね。好きな子に好きって言えないような意気地なしをアリスちゃんが好きになるわけないもの、って」
「クソババア、誰が意気地なしだ。ほっとけ」
息子の想い人に勝手に想いを伝える母親はそう多くはないだろうが、リオの母親は息子の前でさえアリスに暴露していた。
顔を真っ赤にしながら怒る息子を見て豪快に笑う素敵な女性。女らしいというよりは男前な性格をしていた。それを最低の女だと言う夫人も多かったらしいが、アリスは好きだった。
「もし国に戻ることができたら想いを伝えろってそればっか言ってやがった」
「そう」
「言ってやったぞ、ババア。二度と意気地なしなんて言うんじゃねぇぞ」
ズッと鼻を啜る音が聞こえる。墓にかけているリオの手が小刻みに震えていた。
まだ十七歳。母親を失うには早すぎる。あの豪快な笑い声が、明るい笑顔が、大きな声がない家はどれほど寂しいだろう。
そこに親子二人で暮らしていてどれだけ会話があるのだろうか。
「おじさんと話してる?」
「こないだお前にデートの申し込みの書き方教わった」
ちゃんと送られてきた申し込みの手紙。リオらしくない書き方だと母親と話していたが、大当たり。
「ふふっ、随分丁寧に書かれてると思った。どこかの紳士に代筆でも頼んだのかなって思うぐらいにね」
「俺は意気地なしじゃねぇんだよ。つーか返事寄越せよ」
「紳士は返事を待つものだよ。間違っても催促なんてしない」
「手紙もらったら返事寄越すのは常識だろうが」
貴族の男は催促してはいけない。手紙を出したら待つだけ。ダンスの誘いも上から言ってはいけない。断られたら身を引く。リオにはそれが通用しない。だがそれがリオらしくてアリスはつい笑ってしまう。
「なんだよ」
「貴族としての常識を言ったら人間としての常識を返されたから面白くて」
「お前がさっさと返事してれば俺だって紳士的にルールを守ったっての」
リオが紳士的と言うと妙におかしくてアリスは小さな笑いが止まらない。
「デートってどこ行くの?」
「どこでもいいけど」
「そんなこと言う紳士いる?」
「お前の好きなとこに連れてってやるって言うのは紳士的だろ?」
「屁理屈」
「なっ! なんだよ……」
リオは基本的に周りの人間からどう思われようと気にしない。何を言われようと気にもならない。だが、アリスからどう思われているかだけは気になって仕方ない。だからデートを受けてもらっても自分が立てたプランで満足してもらえるか自信がないためプランを言わない。
意気地なしと母親が笑う声が聞こえ、もう一度墓を軽く叩いた。
「お前は人混みが嫌いだろ」
「苦手」
「だったら嫌いなとこにわざわざ出向く必要ないだろ」
「デートは?」
「総合的に判断した結果、お、俺の家でするのが最適だ! そうだろ?」
どこに総合的に判断する材料があったのだろうと疑問はあるが、最初からそう考えていたのだと思うとアリスは微笑んだままで反論しなかった。
ちょうどアンダーソン家が今どうなっているか気になっていたのが決定打となった。
「いいよ」
「しょ、書面で寄越せよ」
「わかった」
書面は証拠であり思い出にもなる。リオの言葉に頷いたアリスはもう一度墓石を見て名前を指でなぞる。
「リリアンヌ・アンダーソン……おばさんの名前好きだったな。なんか王女様みたいな名前よね」
「名前負けだったけどな」
「おばさんはとても美しかったわ。見た目も心も。誰にも負けない美しさがあった」
「贔屓目だろ」
「本当はわかってるくせに」
「わかんねーよ」
気取らない美しさがあると教えてくれたのは彼女だった。気品だけが価値ではないと教えてくれた。
いつも胸を張っていた彼女の強さと美しさは一生忘れることはないだろう。忘れられないほど色濃く記憶に残っている。
「噂話に花を咲かせる気取った淑女よりずっと好きだった」
「お前は噂されるほうだしな」
「誰かさんのせいでね」
「喜べよ」
「私の噂は必ずお兄様の耳に入るって知ってる?」
まるで魔法の言葉。リオにとってカイルは天敵そのもの。目をつけられればタダでは済まない。もう目を付けられていると言えばそうだが、それでもまだ許されているほうだと自覚はある。
「俺はお前と結婚したい」
「うん」
突然口にした言葉にアリスは驚かなかった。リオの話し方がどこか覚悟を決めたような言い方だったから。
「でも俺がどんなに努力してもお前を手に入れられないかもしれねぇことぐらいわかってるつもりだ」
「うん」
「だからこそ後悔しなくていいようにお前と一回はデートしたい」
「うん」
「ま、その一回でお前が俺を好きになる可能性は充分すぎるほどあるけどな」
「ふふっ、すごい自信」
「当たり前だろ。俺の顔見てみろ。イケメンだろうが」
「見慣れちゃった」
リオはもう恋がなんなのか知っている。きっと愛も知っているのだろう。
その大きな身体で感じる大きな想いをわかりやすいほど真っ直ぐに伝えるリオにアリスは頷くばかり。
リオが望んでいる答えは出せない。リオも今ここで答えをもらうことは望んではいない。
「リオちゃん、ちょっと変わったね」
「お前ん中じゃ俺はあの頃のままかよ」
「だってあの頃と今のリオちゃんしか知らないもの」
「なら、ちょっとをだいぶに変えてやるよ。だからさっさと返事寄越せ」
「はいはい」
このやりとりを見て母親はなんと思うだろうか。大人になったと思うだろうか。
何もしてやれなかった、何も言えなかった後悔が津波のように押し寄せても今更親孝行もできない。
小さな後悔なんてものではないが、変えられないことに嘆くことはしない。
だからリオはせめて母親が笑ってくれるよう願いながら墓の前でアリスと笑い合った。
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