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第一章 襲われがちなアラサー女子
第21話 寝ぼけた大男に襲われるっ!
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◇◇◇◇
チュン……チュンチュン……。
この季節の日の出は早い。
明るくなった窓の外では、すでに雀が活動を開始していた。
……いつもの天井、いつもの平日。
一つ違うことがあるとすれば、隣の布団からスー、スーという静かな寝息が等間隔に聞こえてくることくらいだろうか。
私はベッドの上で、ムクリと起き上がる。
そして思った。
(あれ……私、手出されなかったんですけど……?)
服装に乱れはない。
体もすべすべだし、カピカピになっていることもなければ、体の何処かが局所的に内出血になっていることもない。
下腹部に痛みを感じることもなかった。
当然である、昨夜は本当に何もなかったのだから。
日本一虚しい朝チュンを経験してしまった私は、カーテンを開け、晴れた空をボーッと眺める。
何処にいるかもわからない家族のことを思った。
ーー拝啓、お母さん(一応、お父さんも)。
今、何処で何をしていますか。
お母さんがかの有名な某宗教団体で働き始めて、はや十六年ほどになりますか。
最近は忙しいのか、お母さんと顔を合わせる機会が減ってしまい少しさみしいです。
あれから私も、色々あって一人の男の人を家に連れ込むことになりました。
ネットの知識を元に下準備をして、雰囲気づくりや、身だしなみも整えて、できるだけ万全な状態で望んだつもりです。
しかしながら、ついぞ一度も触れられることなく、一晩明けてしまいました。
以前襲われたことを思えば、嘘のように静かな夜でした。
お母さんの遺伝子を濃く受け継いでおきながら、このような不甲斐ない結果に終わってしまい、大変申し訳ないと思っております。
……私は魅力がないのでしょうか。
鏡を見れば、徹夜明けのギンギンに決まったような目をした、哀れな成れ果ての女が写っています。
そういえば、お母さんはかつて私に「女は耐え忍ぶのよ」教えてくれましたね。
なんだか自分が女として価値がないと言われてしまったようで、少し涙が出てしまいます。
お母さんは、私がこのようなことになると分かっていたのでしょうか……。
……正直、こんな気持になったのは生まれて初めてで、私はどうしたらよいかよくわかりません。
でも彼のことを思うと、どうしようもなく胸が痛くて、今も張り裂けそうなほど辛いです。
ただ、私は急ぎすぎたのかも知れません。
偏った知識ばかり詰め込んでしまったせいで、一般的な価値観から離れすぎてしまったのでしょう。
私、エッチなことを考えるのはもうやめにします。
堅実がモットーの私は、私らしく、自分の気持に向き合っていきたいと思います。
金言をありがとう、お母さん。
ーー上村柚月、二十八歳、上村家の名にかけて私は耐え忍んでみせます!
「……ぐがっ。……ん?……朝か。……ふわぁ……むふー」
そんなことを思ったら、堂島くんがムクリと起き上がった。
「……あ、堂島くん……おはよう」
私は泣いてしまったことを隠すために涙を拭って、いつも通りの顔で堂島くんに向き合う。
堂島くんの髪はボサボサで、まだ眠いのか、むにゃむにゃと寝ぼけ眼をこすりながらぼーっとしている。
「ど、堂島くんまだ寝てていいんだよ……?」
「ん……起きる」
体は大きいので、寝ぼけたクマさんのようだった。
(か、かぁいい……)
どうやら堂島くんは朝が弱いらしい。
漫画家さんは締切前にバリバリ働くイメージだし、サラリーマンのように出勤時間に追われることはないのだろう。
「そ、そっか。それじゃ顔を洗おうね~」
「……うん」
いつものように超然としたような姿はなく、素直な子供のようだった。
私はなんだか幼稚園の先生になったような気分になる。
「ほら洗面所はこっちだよ~」
「……ん」
私は、園児を先導するかのように、堂島くんの両手を取って、洗面所に案内する。
堂島くんは目が半開きのまま、ぼーっと立っている。
私はつい「お世話してあげなきゃ」という気分になってしまう。
「はい、お水出しましたよ~、顔をゆすぎましょうね~……へっ? ひゃああ!」
子供をあやすような口調で話していると、突然背後から抱きしめられた。
私はびっくりして、思わず短く悲鳴を上げてしまう。
身長差があるので、腕を首からおっぱいにかけて堂島くんの太い腕が巻き付いている。
「……むにゃむにゃ。……柚月」
「ゆ、ゆずっ……!? ……へ? ちょっ、ちょっと……!」
堂島くんが聞き捨てならないセリフを口にし、私は思わず反応する。
しかし寝ぼけた様子で、私のおっぱいを下から掴んで揉み上げていた。
「柚月のおっぱい……やわらかい……」
「ど、堂島くん……こらぁ! おっぱい揉んじゃだめでしょ! そ、それに私のこと下の名前で……」
不意に名前で呼ばれたからか、私は著しく動揺した。
そのせいか強く抵抗できないまま、おっぱいを揉みしだかれてしまう。
(うぅ……。も、もしかして今から犯されちゃうの……?)
私は若干期待混じりで、背後の堂島くんに顔を向ける。
堂島くんは、私の顔を見ながら首をかしげていた。
「ふにゅー……?」
「ハァ……ハァ……堂島くん……?」
私は息を荒げながらも、堂島くんの挙動を伺う。
次の瞬間、堂島くんは驚くべき行動に出た。
「……はむっ!」
「いっ……ひゃぁぁあああ!」
右耳を覆った生暖かいぬくもりと、ぬめりとした感覚。
くすぐったさと気持ち悪さを二で割ったような奇妙な悪寒が走り、私は思わず悲鳴を上げた。
堂島くんが私の右耳をぱくりと食んだのだと分かった。
ーーにゅるん、にゅるるん。
太い触手が私の耳の中までくまなく蹂躙してゆく。
聴覚が、ぐじゅぐじゅと絶えず舐め取ら続けるだけの卑猥な音を拾い続け、右耳は、堂島くんの唾液まみれになってしまった。
「ひゃっ……ぅあ……ぁ……らめぇ……! ぁ……イグッ……!」
未知の感覚に酔いしれる中で、私は唐突に絶頂を迎えてしまう。
耳が性感帯だったということを、私はこの時初めて知ることになったのだ。
「お”っ……ん”ん”っ……!」
ビクンビクンと体はオーガズムに踊らされ、私は女としては致命的な野太い声を上げてしまう。
足の力が抜け、ヘタリとうずくまりそうになるが、堂島くんが支えてくれた。
堂島くんは「むふー」と満足そうに鼻を鳴らすと、何故か私を洗面台に座らせる。
私は意識が朦朧としたまま、「一体何をするつもりなのか」と焦点が定まらないまま堂島くんを見つめていた。
そして次の瞬間。
「んぐむっ……!?!?」
私は堂島くんにキスされていた。
以前キスされた時とはまた違う。
堂島くんの太い舌が私の口の中ににゅるんと入り込んでいたのだ。
「もごっ……! お”ごぉ……も”お”お”お”っ……!」
「んむっ……んっ……じゅるっ……柚月、好きだ……柚月っ……んフーッ!」
口の内側、私の舌の下部に潜り込んでは、歯と歯の間まで舐め取るようにして舌の上部へ。
まるでドラム式の洗濯機のように、堂島くんの舌が私の舌に巻き付き、何度も何度もぐるぐると絡め取る。
これがベロチューというやつか、私はその勢いに圧倒された。
朦朧とする意識の中、私は何か告白めいた言葉を聞いた気がして……悦び、女として満たされた気持ちになる。
「ん~~~! ん~~~!…………! ゴクリっ……!」
鼻で息をする事も忘れ、私は過呼吸気味になりながら蹂躙され続けた。
もはや私の唾液か、堂島くんの唾液かすらわからなくなったものを飲み込む。
「……ハーッ……ハーッ! 堂島……くん、私もしゅ、しゅ……っんむぐっ……!?!?」」
息継ぎすらままならない。
かろうじて空気を取り込んでも、次の瞬間には堂島くんに口を塞がれてしまう。
そんな中でも今の気持ちをぶつけたいと、必死に言葉を紡ごうとするが失敗してしまった。
「んも”っ……じぬ”っ……んお”お”お”……じぬ”ぅぅっ……お”お”っ!」
しかしこの苦しさは、どうしてか中毒性があった。
堂島くんに強く抱きしめられ、私は何一つ抵抗できぬまま、口の中をただひたすらにーー犯され続けた。
視界は何も映していない。
ぐるんと白目を向き、私の頭の中ではパチパチと線香花火が弾けていた。
「あ”……お”お”お”……お”っ!」
もはや苦しいのか、気持ちいいのかすらわからない。
私は何か超えては行けない壁を超えてしまった。
いや……理性で堰き止めていたものが、決壊したのだろう。
プシャァァァッ……!
下半身から出てはいけない液体が、勢いよく吹き出てしまう。
それは私のショーツをビタビタに濡らし、私の太ももを伝って滴り落ちた。
脳をぐわんぐわんと揺らすような快楽が何度も押し寄せては、私の体を痙攣させる。
その度にプシャッ……プシャァァッ……と吹き散らかすのを私は止めることができなかった。
「あ……あぁ……うぅ……。もうやだ……これじゃお嫁にいけないよぉ……」
「……」
快楽の波が過ぎ去ると、私は正気に戻った。
床には黄色く濁った水たまりができ、抱き合っていた堂島くんのスエットにも洪水が侵食している。
私は、何かが悲しくて泣いてしまった。
覚えている限り、最後に寝小便をしてしまったのは小学四年生の頃だったか。
その時にも恥ずかしくて泣いてしまったが、大人になった今ではなおひどい。
「う、うぅ……堂島くんの馬鹿ぁ……。責任……責任取ってよぉ……!」
「……」
次に湧いてきたのは怒りである。
こんな思いをさせたのは何処のどいつか。
当然、目の前の大男である。
私はこの落とし前を付けさせなければ、気がすまなかった。
しかし目の前の大男はうんともすんとも言わない。
「どうして何も答えてくれないの? 堂島く……」
「ぷしゅー……」
しかし、そんな未来は訪れなかった。
堂島くんは突然電池が切れたロボットのように脱力する。
そして布団が敷いてある私の部屋に戻ると、何事もなかったかのように寝息を立て始めた。
「……え、えぇー……?」
洗面所に残された私は一人、困惑の声を漏らす。
堂島くんはどうやら、本当に寝ぼけていただけだったようだ。
それにしては、冗談では済まされないほどの疵痕を残していってくれたものである。
私はこのなんとも言えない気持ちを抱えたまま、途方に暮れたのだった。
チュン……チュンチュン……。
この季節の日の出は早い。
明るくなった窓の外では、すでに雀が活動を開始していた。
……いつもの天井、いつもの平日。
一つ違うことがあるとすれば、隣の布団からスー、スーという静かな寝息が等間隔に聞こえてくることくらいだろうか。
私はベッドの上で、ムクリと起き上がる。
そして思った。
(あれ……私、手出されなかったんですけど……?)
服装に乱れはない。
体もすべすべだし、カピカピになっていることもなければ、体の何処かが局所的に内出血になっていることもない。
下腹部に痛みを感じることもなかった。
当然である、昨夜は本当に何もなかったのだから。
日本一虚しい朝チュンを経験してしまった私は、カーテンを開け、晴れた空をボーッと眺める。
何処にいるかもわからない家族のことを思った。
ーー拝啓、お母さん(一応、お父さんも)。
今、何処で何をしていますか。
お母さんがかの有名な某宗教団体で働き始めて、はや十六年ほどになりますか。
最近は忙しいのか、お母さんと顔を合わせる機会が減ってしまい少しさみしいです。
あれから私も、色々あって一人の男の人を家に連れ込むことになりました。
ネットの知識を元に下準備をして、雰囲気づくりや、身だしなみも整えて、できるだけ万全な状態で望んだつもりです。
しかしながら、ついぞ一度も触れられることなく、一晩明けてしまいました。
以前襲われたことを思えば、嘘のように静かな夜でした。
お母さんの遺伝子を濃く受け継いでおきながら、このような不甲斐ない結果に終わってしまい、大変申し訳ないと思っております。
……私は魅力がないのでしょうか。
鏡を見れば、徹夜明けのギンギンに決まったような目をした、哀れな成れ果ての女が写っています。
そういえば、お母さんはかつて私に「女は耐え忍ぶのよ」教えてくれましたね。
なんだか自分が女として価値がないと言われてしまったようで、少し涙が出てしまいます。
お母さんは、私がこのようなことになると分かっていたのでしょうか……。
……正直、こんな気持になったのは生まれて初めてで、私はどうしたらよいかよくわかりません。
でも彼のことを思うと、どうしようもなく胸が痛くて、今も張り裂けそうなほど辛いです。
ただ、私は急ぎすぎたのかも知れません。
偏った知識ばかり詰め込んでしまったせいで、一般的な価値観から離れすぎてしまったのでしょう。
私、エッチなことを考えるのはもうやめにします。
堅実がモットーの私は、私らしく、自分の気持に向き合っていきたいと思います。
金言をありがとう、お母さん。
ーー上村柚月、二十八歳、上村家の名にかけて私は耐え忍んでみせます!
「……ぐがっ。……ん?……朝か。……ふわぁ……むふー」
そんなことを思ったら、堂島くんがムクリと起き上がった。
「……あ、堂島くん……おはよう」
私は泣いてしまったことを隠すために涙を拭って、いつも通りの顔で堂島くんに向き合う。
堂島くんの髪はボサボサで、まだ眠いのか、むにゃむにゃと寝ぼけ眼をこすりながらぼーっとしている。
「ど、堂島くんまだ寝てていいんだよ……?」
「ん……起きる」
体は大きいので、寝ぼけたクマさんのようだった。
(か、かぁいい……)
どうやら堂島くんは朝が弱いらしい。
漫画家さんは締切前にバリバリ働くイメージだし、サラリーマンのように出勤時間に追われることはないのだろう。
「そ、そっか。それじゃ顔を洗おうね~」
「……うん」
いつものように超然としたような姿はなく、素直な子供のようだった。
私はなんだか幼稚園の先生になったような気分になる。
「ほら洗面所はこっちだよ~」
「……ん」
私は、園児を先導するかのように、堂島くんの両手を取って、洗面所に案内する。
堂島くんは目が半開きのまま、ぼーっと立っている。
私はつい「お世話してあげなきゃ」という気分になってしまう。
「はい、お水出しましたよ~、顔をゆすぎましょうね~……へっ? ひゃああ!」
子供をあやすような口調で話していると、突然背後から抱きしめられた。
私はびっくりして、思わず短く悲鳴を上げてしまう。
身長差があるので、腕を首からおっぱいにかけて堂島くんの太い腕が巻き付いている。
「……むにゃむにゃ。……柚月」
「ゆ、ゆずっ……!? ……へ? ちょっ、ちょっと……!」
堂島くんが聞き捨てならないセリフを口にし、私は思わず反応する。
しかし寝ぼけた様子で、私のおっぱいを下から掴んで揉み上げていた。
「柚月のおっぱい……やわらかい……」
「ど、堂島くん……こらぁ! おっぱい揉んじゃだめでしょ! そ、それに私のこと下の名前で……」
不意に名前で呼ばれたからか、私は著しく動揺した。
そのせいか強く抵抗できないまま、おっぱいを揉みしだかれてしまう。
(うぅ……。も、もしかして今から犯されちゃうの……?)
私は若干期待混じりで、背後の堂島くんに顔を向ける。
堂島くんは、私の顔を見ながら首をかしげていた。
「ふにゅー……?」
「ハァ……ハァ……堂島くん……?」
私は息を荒げながらも、堂島くんの挙動を伺う。
次の瞬間、堂島くんは驚くべき行動に出た。
「……はむっ!」
「いっ……ひゃぁぁあああ!」
右耳を覆った生暖かいぬくもりと、ぬめりとした感覚。
くすぐったさと気持ち悪さを二で割ったような奇妙な悪寒が走り、私は思わず悲鳴を上げた。
堂島くんが私の右耳をぱくりと食んだのだと分かった。
ーーにゅるん、にゅるるん。
太い触手が私の耳の中までくまなく蹂躙してゆく。
聴覚が、ぐじゅぐじゅと絶えず舐め取ら続けるだけの卑猥な音を拾い続け、右耳は、堂島くんの唾液まみれになってしまった。
「ひゃっ……ぅあ……ぁ……らめぇ……! ぁ……イグッ……!」
未知の感覚に酔いしれる中で、私は唐突に絶頂を迎えてしまう。
耳が性感帯だったということを、私はこの時初めて知ることになったのだ。
「お”っ……ん”ん”っ……!」
ビクンビクンと体はオーガズムに踊らされ、私は女としては致命的な野太い声を上げてしまう。
足の力が抜け、ヘタリとうずくまりそうになるが、堂島くんが支えてくれた。
堂島くんは「むふー」と満足そうに鼻を鳴らすと、何故か私を洗面台に座らせる。
私は意識が朦朧としたまま、「一体何をするつもりなのか」と焦点が定まらないまま堂島くんを見つめていた。
そして次の瞬間。
「んぐむっ……!?!?」
私は堂島くんにキスされていた。
以前キスされた時とはまた違う。
堂島くんの太い舌が私の口の中ににゅるんと入り込んでいたのだ。
「もごっ……! お”ごぉ……も”お”お”お”っ……!」
「んむっ……んっ……じゅるっ……柚月、好きだ……柚月っ……んフーッ!」
口の内側、私の舌の下部に潜り込んでは、歯と歯の間まで舐め取るようにして舌の上部へ。
まるでドラム式の洗濯機のように、堂島くんの舌が私の舌に巻き付き、何度も何度もぐるぐると絡め取る。
これがベロチューというやつか、私はその勢いに圧倒された。
朦朧とする意識の中、私は何か告白めいた言葉を聞いた気がして……悦び、女として満たされた気持ちになる。
「ん~~~! ん~~~!…………! ゴクリっ……!」
鼻で息をする事も忘れ、私は過呼吸気味になりながら蹂躙され続けた。
もはや私の唾液か、堂島くんの唾液かすらわからなくなったものを飲み込む。
「……ハーッ……ハーッ! 堂島……くん、私もしゅ、しゅ……っんむぐっ……!?!?」」
息継ぎすらままならない。
かろうじて空気を取り込んでも、次の瞬間には堂島くんに口を塞がれてしまう。
そんな中でも今の気持ちをぶつけたいと、必死に言葉を紡ごうとするが失敗してしまった。
「んも”っ……じぬ”っ……んお”お”お”……じぬ”ぅぅっ……お”お”っ!」
しかしこの苦しさは、どうしてか中毒性があった。
堂島くんに強く抱きしめられ、私は何一つ抵抗できぬまま、口の中をただひたすらにーー犯され続けた。
視界は何も映していない。
ぐるんと白目を向き、私の頭の中ではパチパチと線香花火が弾けていた。
「あ”……お”お”お”……お”っ!」
もはや苦しいのか、気持ちいいのかすらわからない。
私は何か超えては行けない壁を超えてしまった。
いや……理性で堰き止めていたものが、決壊したのだろう。
プシャァァァッ……!
下半身から出てはいけない液体が、勢いよく吹き出てしまう。
それは私のショーツをビタビタに濡らし、私の太ももを伝って滴り落ちた。
脳をぐわんぐわんと揺らすような快楽が何度も押し寄せては、私の体を痙攣させる。
その度にプシャッ……プシャァァッ……と吹き散らかすのを私は止めることができなかった。
「あ……あぁ……うぅ……。もうやだ……これじゃお嫁にいけないよぉ……」
「……」
快楽の波が過ぎ去ると、私は正気に戻った。
床には黄色く濁った水たまりができ、抱き合っていた堂島くんのスエットにも洪水が侵食している。
私は、何かが悲しくて泣いてしまった。
覚えている限り、最後に寝小便をしてしまったのは小学四年生の頃だったか。
その時にも恥ずかしくて泣いてしまったが、大人になった今ではなおひどい。
「う、うぅ……堂島くんの馬鹿ぁ……。責任……責任取ってよぉ……!」
「……」
次に湧いてきたのは怒りである。
こんな思いをさせたのは何処のどいつか。
当然、目の前の大男である。
私はこの落とし前を付けさせなければ、気がすまなかった。
しかし目の前の大男はうんともすんとも言わない。
「どうして何も答えてくれないの? 堂島く……」
「ぷしゅー……」
しかし、そんな未来は訪れなかった。
堂島くんは突然電池が切れたロボットのように脱力する。
そして布団が敷いてある私の部屋に戻ると、何事もなかったかのように寝息を立て始めた。
「……え、えぇー……?」
洗面所に残された私は一人、困惑の声を漏らす。
堂島くんはどうやら、本当に寝ぼけていただけだったようだ。
それにしては、冗談では済まされないほどの疵痕を残していってくれたものである。
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