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14 いや乳首ってこんなに気持ちよかったっけ?
前にも言った通り、俺はエリアスとしか性経験が無い。しかも、実はセックスで快楽を得た試しもない。エリアスの愛撫はいつもおざなりなもので、乳首なんか適当に触られるだけだったし、俺が声を上げると眉を顰めて不機嫌になった。男の喘ぎ声なんか萎えると言いながら、俺の下を雑に指で慣らして、自分のペニスを突っ込んで、ガンガンに突いてくるだけだった。エリアスにとって俺は恋人なんかじゃなく、セフレですらなく、ただの勝手に濡れるオナホだった。しかも普段の扱いで言えば、セフレの方が扱いはだいぶマシだったと思う。
だって、俺はエリアスと一緒に居て肩や腰を抱かれた事なんか一度もなかったもん。アイツは俺に興味が無かった。俺が好き好きうるさかったから仕方なく付き合ってんだ、っていつも顔に出てた。それなのに俺が誰かと話していたり、一緒に居るのを見ただけでその日一日不機嫌になって。
アイツの口から婚約するか、なんて言葉が出たのも、俺が何度か同じ友達と一緒に居るのをエリアスに見られたからだったっけ。実際は一緒に居たってより、バイトの上がり時間が同じだったからエリアスとの待ち合わせ場所の近くまで道が同じだっただけ。それなのに俺は、『あの男に気があるんじゃないのか』なんて執拗く疑われた。
俺はエリアスが他の女とホテルに入っていく場面も、キスしてるとこも目撃して、それが元で喧嘩にもなったし、その後もスマホには色んな女からのメッセージがひっきりなしに来てた。そんな浮気三昧のヤツが言うセリフでも態度でもないよなと思いながらも、エリアスに惚れ切ってボケていたあの頃の俺は、エリアスが嫉妬してくれたのかと嬉しかった。
今考えれば、あんなものは身勝手な独占欲でしかなかったとわかるのに。
婚約なんて言い出したのだって、単に俺という便利なオモチャを他人にくれてやるのが惜しかっただけ。セックスはしなくても、エリアスが急にもよおした時に口で処理させられる事はよくあったから本当に生きたオナホ扱いだったんだ。
エリアスが俺に近寄る人間に見せていたのは、嫉妬じゃなく、単なる所有物に対する独占欲だった。
でもそれは、目が覚めた今だからこそわかる事だ。今なら絶対にお断り。どのバースとも結婚できるよう法改正されたとはいえ、自分を大事にしてくれない人間となんて真っ平御免だ。
長くなっちゃったけど、つまり何が言いたいかって言うと...俺は、自分の体を丁寧に扱われる事に、全然慣れていないって事だ。
陛下が俺の乳首を舌先で転がして、唇ではさみ、ちゅうっと吸う。たどたどしい愛撫なのに、じんじん痺れて腰が抜けそうだ。他人の唇って、舌のぬめりって、こんなに気持ち良いものだっけ?こんなの、俺のアソコが濡れるだけじゃなくて、半勃ちのやわやわムスコがガッチガチにおっきしちゃうじゃん。
「あっ...へい、か...あ、あ...」
思わず、声が息と一緒に鼻から抜けた。
さっきキスした時にも思ったんだけど、陛下の唇って形が良くて薄く見えるけど、実は下唇が少し厚くて弾力があって気持ち良いんだ。そんな唇が、拙いながらも優しく丁寧な動きで俺の乳首を愛撫して、大きくて爪先まで整った綺麗な手の指が耳を、首筋を滑っていく。壊れ易い繊細な硝子細工か、小さく柔らかな何かを扱うみたいに。
オメガとはいえ男の体の俺の乳首なんて、他の男とそう変わらないポツンとしたものがついてるだけなのに、陛下はそれを左右交互に、大切そうに舐めてしゃぶる。俺、もう堪らなかった。陛下がひどく愛しく思えて。さっきまで陛下に感じていた男性的な魅力に加えて、幼い子供を愛しく思うような気持ちって、こんな感じなのかな、なんて...何だか放っとけない気分にさせられた。なんて表現したらいいのか...。
...母性、みたいなもの?男でもオメガは産める性だから、母性があるのかな。陛下、体こそ俺より大きいけど、歳下だし...俺に母性が備わっているのだとしたら、きっと俺は陛下に母性本能をも刺激されてしまったって事になるんだろう。
やっぱり陛下はけしからん陛下だわ。
「ユウリン、君は何故こんなに綺麗なんだ...」
ちゅっ、と音を立てて俺の左乳首から唇を離し、感極まったみたいな表情で見上げてくる陛下に胸がきゅーっとなる。
「...俺なんて全然...」
「いや、そんな筈はない。僕は幼い頃、祖父の後宮に出入りが許されていた頃、そこに居た側室達を見ていたが...ユウリンほどに美しい者は居なかった。君は最高に美しい」
「そんな...」
一応謙遜で言ったんだけど、ガチトーンのマジレスで返ってきてしまった。しかも根拠付きで。
まあ、確かに?後宮なんて一昔前までは、容姿・家柄共に選び抜かれた美男美女(オメガ含む)の集うハーレムだったんだろうからな。今では家柄の部分は免除されてるけど、選抜された美形揃いってのは変わらない。俺だって入内してから見た他のご側室達、その辺じゃ見かけないようなハイクオリティな美形ばっかだもん。...いや、ここに来れたからには俺だって負けちゃいないんだろうけど、それにしたって、俺が最高ってのはどうなんだろ?
...や、好みか!後宮の主である陛下が俺の顔が超絶タイプってだけか!ならいっか!
「嬉しいです陛下!俺も、今まで見てきた中で陛下が1番素敵です」
俺は謙遜するのを止めて、胸元に居る陛下の頭をぎゅっと抱きしめた。
「ユウリン、く、苦しい...だが、それが良い...」
「陛下ぁ...もっと吸ってくださぁい...あん!」
猫なで声で甘えてみたら、また乳首を吸い始める可愛い歳下の男。それにアンアン悶える俺。
なんだか俺の後宮生活、思ってた以上に楽しくなってきた。
絶対、陛下に永久就職してやる。
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