従兄弟の婚約者を寝取ったら、とあるルートに突入したのだが(そのシンデレラストーリー・シュラバーツ編)

Q矢(Q.➽)

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7 思考回路がわからない

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そんな私の様子を見てか、シュウは更にとんでもない事を言い出した。

「何だ、そんなに嫌か?では、お前以外の側室は離縁して帰すとするか...。ただ、正室は立場上、離縁できない。許せ」

「え?いや、そういう事ではなく...」

「違ったか?」

私の答えに不思議そうに小首を傾げるシュウ。何が問題なのか全くわからない様子に、再び私のこめかみがズキズキと痛み出した。

(いや、この男、何を言ってる?は?私が望むなら正室以外を追い出すだと?流石にそれはどうなんだ...それで良いのか?そういうものなのか?いやそんな訳ないよな。
というか、私が他の女の存在に嫉妬するとでも思っているのか?拐かされて来て、ついさっき目を覚ましたばかりの私のが?初対面の男に?
王子の私をいきなり奴隷呼ばわりした不遜な男に気があるとでも思われている??)

こめかみは痛んでも、頭の中には忙しなく疑問ばかりが湧いてくる。
そこで一旦、私は落ち着いて状況を整理してみる事にした。
つまりこの男には既に妻と妾がおり、男を抱くのはあくまで嗜みの一つだという認識を持ちながら、男の私に一目惚れし、手に入れる為に王城敷地内の堅固な警備を破り、身代わりの死体まで用意した...と、そういう事だな?
そして、女を抱き子を儲けるという、王としての義務は果たしたのだから、後は私と共に好きに生きると...。



「それは流石に身勝手すぎないだろうか...?お妃がたは納得しないのではないか?」

らしくもない言葉が口を衝いて出る。しかしシュウは平然とした顔でこう返してきた。

「身勝手?何故だ?彼女達は義務は果たしてくれた。子は3人いれば十分だ。子を産んでくれた者にはそれに報いる恩賞と、それぞれに離縁に対する慰謝料でも保証してやれば...」

「いや...何故そうなるんだ?私はそんな事は望んでなどいないぞ。それに、彼女達の処遇はそんなに容易に決めて良いものではないだろう」

言いながら、この男の思考回路を本気で疑ってしまう。
私も散々勝手と傍若無人を重ねて生きてきたから人の事は言えないが、私の場合はわざとそう振る舞っていたのだ。理由は先ほども話した通り。
要するに、出来の良い従兄弟(サイラス)に対する劣等感を拗らせて拗ねていたからだ。鬱屈した憂さを晴らす為に我儘三昧したし、サイラスと顔を合わせれば嫌味も言ったし、最終的には婚約者も寝盗った。しかしアレは、今までエリスの浮気を散々見過ごして来たサイラスが、今更婚約破棄などしないだろうと踏んでの事だったし、不味い事をしているという自覚も本当は常にあった。

しかし、シュウは違う。

義務は果たしているのだから自分がこうするのは正当だと、本気で思っている様子だ。身勝手だなどとは少しも考えていない。ポッと出の私を迎えて、妻子や子供達、妾達を傍に置く事に些かの罪悪感も抱いてはいないようなのだ。

国は違えど同じ王子という立場に生まれ育った筈なのに、この違いは何なのだろうか。それとも、王位継承権の序列の問題か?いやしかし、王太子である一の兄上も次兄もこんな風ではない。責任を果たせば好きにして良いなんて考え方はしていない筈だ。父上だって、王妃様の他にも私の母上含め、数人の側妃はいる。しかし万が一、お気に入りの女を側妃に迎えて夢中になったとしても、他を切り捨てるなんて事はなさらないだろう。
それは、どこの国であれ、通常王妃を初めとして王を取り巻く女性達というのは、正妾共に重要なバックグラウンドや政治的理由等々を背負っている事が殆どだからだ。
王の、ましてやお気に入りの誰かの発言如きで気軽にどうこう動かして良い女性達ではないのは私だって知っている。
ホーンであろうとそれは同じだと思うのだが、違うのだろうか?

私はじっとシュウの顔を見つめた。こんな事を言い出す人間の正気を疑ってしまう。こんな男が次期国王になるなんて、ホーンは大丈夫なのだろうかという意味を込めて。

だというのに、シュウはそんな私の唇に、またしても口づけをしてきた。目を覚ましてからの短い時間で、私は何度唇を奪われたのか。手が早すぎる。

「思いの外、真面目なところがあるのだな。私の立場を案じてくれるか。やはりお前はタダの暗愚ではない」

「...買い被りだ」

「ますます惚れてしまうわ、私だけの奴隷、アンリストリア第4王子シュラバーツよ」

「...っ」

シュウの黒真珠の瞳が熱っぽく潤み、伸びて来た腕が私の体を抱きしめた。奴隷だと言われたり一目惚れの相手だと言われたり、王子と言われたり。彼が口にする私の肩書きは忙しない。それでも、王子シュラバーツと呼ばれた事でやっと自分を認められた気がして、少し鼻の奥がツンと痛くなる。
その時、コンコンと2回、ノックの音が聞こえた。

「殿下、湯浴みの用意が」

「ご苦労」

扉越しに要件だけを簡潔に述べたその声は、先ほどのアスカという男の声だろうか、と思っていると、シュウに抱き上げられた。

「では、行こうか」

「え」

「私の手で本来の輝きを取り戻させてやろう、美しき私の奴隷よ」

「いや、え、」

「開けよ」

シュウの命令で、扉が開く。廊下に控えていたアスカが開けたのか。
私を抱き上げたシュウはそのまま部屋を出て、やはり扉が開かれた向かいの部屋に入った。





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