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10話目

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(……う。 あぁ、ダンジョンの中か……)

仮眠を取ってしばらくして、地面からくる冷えにより眠りから目覚める。
時計を見れば今は夜中だった。

(夜中……なのか? もしかして半日寝てた? ……ここだと陽の光がないから分からないな)

辺りを伺う、奥まで行っていた先発隊は戻ってきていないようで人気は無い。
ホッと胸をなで下ろし凝り固まった体の筋を伸ばす。

(少し肌寒いけど魔力は快復したね、良かった。 小腹を満たして破れた服を着替えたらダークスネーク狩りに行くか)

菓子パンの残りを頬張りペットボトルの水で喉を潤す。
歯を磨きながら穴を掘る。
うがいをし、そこにペッと吐き出し土を被せる。

(土が緩い……踏まないように気を付けよう。 確かダンジョンの特性って丸1日放置で地形がもとに戻るんだったはず。 なにかの衝撃で崩れたダンジョンに別の人が攻撃を放ち地形が変わった場合元の攻撃分はもとに戻るのかな? それとも別の人の攻撃も同じ人の攻撃判定でそのままなのかな? ダンジョン入ったことないから分からないな)

そんな事を考えながら準備を整えた。

髪を結び直して左右に振り不具合が無いか確認する。

(よし、今日はダークスネークをメインで狩る。 毒の小瓶が出たらアッシュウルフで確認。 戻ってきたらダークスネークの肉の毒性を確認、これくらいか?)

岩場から周りを確認し先発隊が戻ってないかを確認する。
人影が無いのを確認しセーフティーゾーンから出る。

一応3階に続く道を確認がてら出てくるモンスターを討伐する。
セーフティーゾーンから出てすぐにダークスネークと遭遇した。

地面を素早く這い近寄ってくる。 近づき噛みつき範囲内に入ったのかダークスネークが足に噛みつこうとしてきた。

足を上げ避けるとダークスネークは狙いを変え反対の足に噛みつこうとする。

上げた足でダークスネークを蹴り飛ばす。

(重いっ)

自分が思ったよりもダークスネークを離す事は出来なかった。

(ナイフでは簡単に切れるのに殴ったり蹴ったりだと思ったよりも硬いな……ナイフの性能が良いのか?)

不思議に思いながら向かってくるダークスネークを踏みつけ頭をナイフで切り落とした。

(お、早速当たりだ)

モンスターを倒すとアイテムを落とす。
アッシュウルフだと魔石だったり牙や毛皮や肉。
ダークスネークだと魔石に毒の入った小瓶、牙に肉や蛇皮を落とす。 他にも色々あるけどメジャーなのはそこら辺。

今回倒したダークスネークからは魔石と葉っぱに包まれた肉が落ちた。

(……これが毒入りかどうかは食べてみないと……あれ? もしかして)

鑑定魔法をかける。

ダークスネークの肉、毒入りと表記された。

その状態で解毒魔法をかける。

(鑑定)

するとダークスネークの肉と表記された。

(……毒の表記が無くなった)

レベルは上がらなかったけどこれは思わぬ収穫だ。

(食べて判断しなくて良くなったのは素直に嬉しい)

肉をアイテムボックスに仕舞うと次の獲物を狙う事にした。

(……次はアッシュウルフの群れか)

数は6体。

経験値は美味しいけどまだ簡単には討伐出来ない相手だ。

1体の鳴き声を合図に他の5体が飛びかかってくる。

(リーダータイプが居るのか……)

バックステップを踏み距離を取ろうとする、とさらにリーダーが一吠えした。

2体が左右に行き、3体がそのまま私に詰め寄る。

回り込んで逃げ道を塞ぎ囲うつもりのようだ。

風刃ウィンドカッター

魔力に余裕があるうちに、直接私めがけてやって来た3体のうち1体を魔法で仕留める。

もう1体を鍋で顔面を叩き反対側の1体をナイフでけん制する。
ナイフでひるんだ隙にポケットに入れていた毒の小瓶の蓋を開け鍋で顔面を叩き目を回しているアッシュウルフの口に放り込む。

吐き出さないように両手で口を押える。
驚いて飲み込んだのを確認し離れ、もう1体の方に接近する。

逃げようと後ろに下がるアッシュウルフに詰め寄る。

リーダーが吠えると回り込もうとした2体のアッシュウルフが軌道を変え私に詰め寄って来た。

2体が来るよりも先に私が1体に追いつきナイフで仕留める。

毒を飲まされたアッシュウルフは足元がおぼつかないようで、他に打撃を与えたわけではないのにフラフラしている、戦闘には加われないようだ。

(ダークスネークの毒は効くね)

それを確認し頷き詰め寄って来た2体のアッシュウルフに向きなおす。

風刃ウィンドカッター

1体を風魔法で仕留めると、相棒がやられた事に驚くもう1体に向かってナイフを振りかぶり頭に突き刺した。

「グギャッ!!」

『レベルアップしました』

(やった)

魔力が回復するのを感じる。

ギャンギャンとリーダーが吠える。
どうやら手下がやられて焦っているようだ。

今だ毒でフラフラしているアッシュウルフを無視しリーダーに向かって駆けよる。

「グルルルル……ガア!!」

覚悟を決めたリーダーが私に迫る。

破れかぶれなのかは分からないけれど私にとっては好都合だ。

ナイフでそのまま迎え撃ち撃破した。

そして残るは……

(ダークスネークの毒で足元が覚束ないアッシュウルフが1体か)

よだれをダラダラと流し倒れないようにフラフラしながら懸命に踏ん張っている。

(飲ませてから数秒でこれか。 人だと確か動けなくなるんだよね、アッシュウルフはせいぜい動きが覚束なくなるくらいなのか)

ふむ、と観察しあまり長引かせても可哀想なのでナイフで止めを刺した。

モンスターやモンスターを倒して落としたアイテムは数十分でダンジョンに回収される。

昨日狩った時は余裕が無くて魔石しか回収できなかったけど、今日はセーフティーゾーンの近くだ。

レベルアップによりアイテムボックスの容量も増えた。

(レベル10の時はクーラーボックス1個分くらいしかなかったけど今は1、5倍ぐらいになってる)

そして体験して分かったけど意外と地面からくる冷えが辛い。

アッシュウルフが落としたアイテムをお肉以外残らず回収することにした。

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