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第一章 ブラッドフォード編
眠れない
しおりを挟む邸の部屋に戻り、マリオンに寝支度を整えてもらっていると、図書館はどうでした、とマリオンが聞いてきた。
「ヘルハウスみたいですっごく怖かったわ。でも中は本が一杯だったわ。」
「その割には顔が赤かったですよ。」
「…気のせいよ。」
まさか、頬っぺにされたなんて言えないわ!
「ねぇ、マリオン。寝る前にポットにお茶を持ってきてくれる?」
「今日もですか?昨日も起きてたんじゃないですか。お茶が朝には空っぽでしたよ。」
「少し本を読むだけだから。」
全く眠れないことに、マリオンがもう気付きそうね。
うーん、どうしましょう。
一度オズワルド様に相談するべきかしら。
でも、気のせいならどうしましょう。
でももし、夜眠れないと、オズワルド様に言ったら夜にやって来そうだわ。
あの女好きに夜来られるのは、何だか危険な気がするし。
…でも意外と優しいわよね。
大事にすると言って下さったし、今夜も寝れなければ、相談しようかしら。
それとも先に呪いを本で調べようかしら。
そして、お茶を一人飲みながら本を読んでいた。
やはり眠気はこない。
もう深夜なのに、昨日も一睡もしてないのに眠れない。
ベッドに転がったり、ソファーに転がったりしても眠れない。
少し動こうか、と廊下に出るもすでに真っ暗でしんとしていた。
邸にはお化けは出ないと言っていたが、あのヘルハウスを見たから今夜一人で廊下を歩く気にはなれなかった。
部屋のドアをバタンと閉め、眠れないことに何だかイライラする気もした。
マリオンに持ってきてもらったポットのお茶ももうない。
「何で寝れないのかしら…」
一人またソファーに転がり、結局そのまま朝まで一睡もすることができなかった。
そして早朝、霧かかった庭を窓から肘をついて見ていたら、オズワルド様の主寝室から音がした。
こんなに早くお仕事かしら。
そう思い、庭をずっと見ているとオズワルド様が出てきた。
邸の門とは方向が違う。
図書館の方に向かっているのでは、と思った。
こんなに朝早くに図書館に何の用事かしら。
オズワルド様がちらっと私の部屋を見上げようとし、私は思わず隠れてしまった。
何だか見ていることを知られるのが恥ずかしかった。
もう一度、窓の外を見るとすでにオズワルド様の姿はなかった。
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