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第一章 ブラッドフォード編

鳥の悪戯

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昼寝から目が覚め、まだ少ししか立ってないと思ったが、いつの間にか真っ暗だった。
オズワルド様が魔法で灯りを付けていったはずなのに灯りも消えている。
魔法でつけたからオイルがきれることはないはずなのに。

真っ暗で怖い。月明かりもはいらない。
膝かけを握りしめ、真っ暗な中手探りで入り口に向かった。
何とか入り口の扉につくが開かないし、真っ暗過ぎて鍵穴もわからない。
そもそも、内側に鍵穴があったかどうかもわからない。

左右見渡しても真っ暗だ。
いつもなら気にならない家鳴りも真っ暗な中一人だと、誰かが歩いている音のようにさえ錯覚する。
そして、ガタガタッと風で窓が揺れ、窓が悲鳴を上げているようにも聞こえてきた。

キャア!!と思わず叫んでしまっても誰も来ない。
邸には声が届かないのだ。

きっと、いつまでも邸に戻らなかったらリンクスやマリオンが来てくれるわ。
オズワルド様は少し遅くなると言ったから、気付かないわよね…。

オズワルド様…。

真っ暗の中、怖くて壁か扉かわからないけど、おそらく壁と思うところにもたれ座り込んでいた。

風と窓が悲鳴のように音を立てる中、一時間ほどたった頃だろうか、扉がガタガタと音を立て揺れ始めた。
真っ暗な中、お化けが入ってくるのだろうかと、怖くて震えてしまう。
そして、バターンッ!と扉が壊れるのかと思うほど勢いで開いた。

「キャア!!」
「リディア!」

涙を流し見ると、オズワルド様だった。

「大丈夫か!?」
「…オズワルド様っ、」
「怖かっただろう、もう大丈夫だ。」

オズワルド様は座り込んで涙を流している私を抱き締めてくれた。

「私、昼寝から起きたら、真っ暗で、」
「ベルの悪戯だ。図書館の魔水晶を動かしたんだ。」
「扉も開かなかったんです…」
「ベルが開かないように、木で扉を抑えていた。すまない。」

オズワルド様は、邸に帰ろうと、言ってくれたが立てない。

「オズワルド様、腰が抜けて立てません…」

腰が抜け震えている私をオズワルド様はお姫様抱っこをし、抱えてくれた。

「すみません、重くないですか?」
「大丈夫だ。」

そう言いながら、そっと額にキスをしてくれると、震えがゆっくり止まり、オズワルド様の首に腕を回し抱きついてしまった。

図書館を出るとまだ真っ暗ではなくて、薄暗いだけだった。
扉の側にはおそらく、かんぬきのように使ったであろう歪な木が転がっていた。
オズワルド様は、冷たい声でベルガモットさんに話しかけた。

「ベル、リディアを傷つけたら許さないと言っただろう。」

ベルガモットさんの白い眼は何だか落ち込んでいるように見えた。

「オズワルド様、私も悪かったのです。ベルガモットさんに冷たく言ってしまって、あまり怒らないで下さい。」

ベルガモットさんは私の態度に腹を立てたのだろう。
だから、私を怖がらせようとあんなことを。

「…わかった。だが、一週間は肉抜きの食事にするぞ。」

ベルガモットさんは益々落ち込んでいた。



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