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第一章 ブラッドフォード編

悪巧みを覗き、扇子は折れなかった

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翌朝は、マリオンとウィルが簡単な朝食を準備してくれた。

朝食を持ってきた時にウィルが準備が出来ましたと、オズワルド様にリボンのついた箱を出した。

「それは何ですか?」
「人にやる。」
「…誰に?」
「気になるのか?」
「すっごく気になります。昨日からどうしたのですか?」

オズワルド様は、ウィルを下がらせ少しだけネタばらしを始めた。

「今日、夕べのレストランを貸し切りにした。」

また貸し切り…。

「そこで今日は、ノートン男爵に会う。」
「ノートン男爵って、アリシアの父親ですよ。」
「だから会う。あいつは単純だから、きっとエサにかかるぞ。」

エサって、あのフォーレ伯爵のワイナリーですか?
怪しい、怪しすぎる。

「そのプレゼントは?」
「ノートン男爵の娘のアリシアにやるようにする。」
「何故アリシアに?」
「少し仕掛けをしている。もしまた呪いを使えばわかるようにしている。リディアは、ノートン男爵に会わなくていいから二階からこっそり見ていればいい。今日はアリシアは来ないはずだ。」

そこで覗いて何の話か見ろってことですか。

「大丈夫なのですか?」
「心配するな。リディアは守ってやるから。」
「私ではなくて、オズワルド様が大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ。」

オズワルド様はフッと笑い、お茶を優雅に飲んでいた。

そして、オズワルド様に言われた通り、一階のテーブルの一つにオズワルド様が座り、私はそのテーブルから死角になる位置から見下ろした。
私から見えても、一階からは見えないのだろう。

その時、カランカランとレストランのドアが開く音がした。
ノートン男爵がやって来たのだ。
と思ったら、アリシアまでいる!

なんで一緒に来るんだ!
しかも、また胸を強調した服を着てるし!
それがお前の正装か!
胸を強調しないといけない呪いでもかかっているのか!
オズワルド様に微笑まないでよ!
殺意がふつふつと沸きそうだわ!
くぅ!
勢いに任せて手に持っている扇子を折ろうとしたが非力過ぎて折れない!

「マリオン!私の代わりに扇子を折って!」
「えっ!無、無理ですっ!」

マリオンは扇子を折ってくれなかった。



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