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第二章 レオンハルト編

番外編(バレンタインをしましょう 2)

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ウィルはいつもと変わらない。
しかしウィルか。
私のマリオンに手を出すとは中々やるわね。
オズワルド様の影響で手が早かったらどうしましょう。
でもマリオンの邪魔はしたくない。

思わず、ウィルをジィーッと見た。

「…何か?リディア様。」
「ウィル、今日はチョコレート日和ね。」
「はぁ…バレンタインですからね。」

ウィルは、いつもと変わらなかった。
貰えると思ってないのかしら。

「リンクス、今日はもう帰ります。」
「…もう少し買い物をしませんか?」

懐中時計を見ながらリンクスは帰宅を止めようとしていた。

「…何か問題でも?」
「ドレスでも買いますか?」
「要りません。」

何故まだ帰らせようとしないのか。
まさか女が来ているんじゃないでしょうね!

「今すぐ帰ります!」

リンクスの制止を振り切るようにブラッドフォード邸に帰ると、玄関には馬車が止まっていた。

やっぱり誰か来ていた!
急いで馬車から降りると、オズワルド様が女性と馬車の手前で話している。
バレンタインだからと押し掛けて来たんじゃないでしょうね!

修羅場勃発か、と思ったが何だか違った。
女性の馬車には男性もいた。

「…オズワルド様?」
「リディア、もう帰ったのか?」

女性が私を見ると挨拶をして、では失礼します。と何事もなく帰った。

「…オズワルド様?何事もなかったように帰りましたよ。」
「何事とはなんだ。…まさか疑っているのか?」
「…朝から追い出されるように邸から出されましたから。」

オズワルド様は眉間に指を立てて呆れていた。

「こっちに来い。」

オズワルド様に肩を寄せられそのまま部屋に行くと、部屋の中は薔薇をメインとした花で一杯に飾られていた。

「これは何ですか?」
「今日はバレンタインだ。リディアに贈ろうと思って、花屋に準備させた。」

この為に私を朝から出したのかとわかった。

「ありがとうございます。」
「浮気の心配は止めろ。好きなのはリディアだけだ。」
「はい。」

肩を寄せられた腕に力が入ったと思うと上からゆっくり唇が重なった。

「…オズワルド様にもバレンタインを買ってきました。」
「くれるのか?」
「はい、生まれて初めて買いました。」
「嬉しいよ。…手作りはしないのか?」
「私が料理をすると思いますか?」
「全く思わんな。」

花で一杯の部屋のソファーに二人で座り、オズワルド様はチョコレートを食べて下さった。
その姿は嬉しそうでどこか笑顔だった。

「…オズワルド様…もうサプライズは止めて下さいね。」
「勘違いするのが悪い。」

確かに勘違いした私が悪いけど、と何だかバツが悪くなった。

「今度魔法薬の材料の魔法草を買い付けに行くから一緒にいかないか?」
「…謹慎中では?」
「王都にはいかないし、いちいち行くところの報告なんかしないから問題ない。」
「旅行になりますか?」
「少し遠いから、旅行になるな。」
「…楽しみですね。」

フェリシア様の時に魔力回復薬を結構な数を献上したから、どうやら魔法薬の在庫が欲しいらしい。
作るのは専門家に作ってもらうらしいが、魔法草は質のいいのが欲しく自分で買い付けに行きたいと話してくれた。
そして、私を旅行にでも連れて行きたかったらしい。

いつ行くのかまだわからないけど、少し楽しみになってきた。

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