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最終章 アリシア脱獄編
闇と刻はまどろむ 9
「…オズワルド様!?オズワルド様!!」
瞼を閉じたまま立っているオズワルド様に、必死で呼び掛けるとゆっくりと瞼が開いた。
「…リディア…?」
「オズワルド様!…っ良かった…!」
オズワルド様の胸に飛び込むように抱きつき、しっかりと背中を握りしめた。
「…リディア?俺は…?」
しかし、こんなことをしている場合じゃない!
「オズワルド様!アリシアです!後ろからアリシアが来ますよ!」
刻の精霊の言った通り、本当に数分しか戻れなかった。
戻った先には、ライア様が倒れているヒース様をまだ癒し中でアリシアも起き上がってない。
テレンスという人を倒し、私達がヒース様の所に来た時間まで戻ったのだ。
それでも、オズワルド様は生きている。
それが全てだ。
「まさか…時間が?」
不思議な感覚に包まれているオズワルド様は、抱きついている私をじっと見ていた。
「オズワルド様!早くしないとまたアリシアに刺されます!」
そして、オズワルド様の胸に顔を埋めたまま、絞り出すような声で言った。
「…お願い…一人にしないで…」
「悪かった…」
そんな私の抱きよせ、オズワルド様も絞り出すような声で言った。
そして、アリシアがゆらりと起き上がった。
「リディア…そのまま見るな」
「…はい」
オズワルド様は、そのまま残った僅かな魔力でアリシアを闇に捕らえ包んでいた。
「キャアァ!?イヤァーッ!?何!?」
アリシアの恐怖の声が聞こえる。
「…オズワルド様?」
「アリシアがリディアにかけようとして返された呪いの魔法を増幅させている…」
オズワルド様はもう魔力がほとんどないからな、とそう言い段々とアリシアは静かになった。
静かになったアリシアを包んでいた闇がフッと消えるとアリシアがゴトンと落ちてきた。
隠し持っていた短剣も一緒に落ちてきた。
「…オズワルド様…アリシアは…?」
「闇の中で呪いを増幅させたから、自分の呪いに蝕まれてもう死んだ」
やっと終わった。
アリシアはもういない。
私もオズワルド様もなんとか無事だ。
「…リディア…どうやって?」
「…刻の精霊です。私が刻の精霊に願いました」
「…リディアとまどろむように闇に落ちている夢を見た。落ちている闇の先には光があって…」
「私もです…一緒にまた時間が戻ったんです…」
力強く抱きしめてきるオズワルド様は温かい。
あの段々と冷たくなる様はない。
「オズワルド様…大好きですよ」
「俺もだ…」
しばし、オズワルド様と抱擁している横でヒース様も目を覚ましていた。
そんな中、私のムカムカの吐き気は頂点に達した。
「オズワルド様…」
「どうした?」
「吐きそう…!」
そして、私は瓦礫の隅に小走りで行き嘔吐した。
「どうしたんだ?疲れたのか?」
「そうかもしれません。アリシアに追いかけられて必死で走っていましたから…」
背中を擦られて気分の悪い私とオズワルド様は、迎えが来るまで座り込んでいた。
「それにしても、刻の精霊はやっぱりリディアの近くにいたんだな…」
「はい…でも、オズワルド様が心配だったのもあると思いますよ?」
「なにか言われたのか?」
「はい…確か、私がいなくなればブラッドフォードの子も絶える、とか、カレン様が悲しむとか…」
「ブラッドフォードは俺だろ?何でリディアがいなくなったら絶えるんだ?」
言われて見ればそうだ。
あの時はオズワルド様のことで頭がいっぱいで気にもしなかった。
「おかしいですね…言い間違いでしょうか?」
「リディア…月のものは?」
「毎晩人の身体を疲れるまで寝させないで、きてないのを知っているでしょう」
毎晩毎晩、飽きずに抱くくせに今さら何を言っているのか。
「おい!」
「何ですか?」
「…それは懐妊しているんじゃないのか!?」
「…いつ?」
「今だ!」
えぇ!?いつから!?
確かに月のものはきてない!
「何で気付かないんだ!?」
「おかしいですね…」
「おかしいのはお前だ!」
怖い顔で心配しないで欲しい。
そして、転移魔法で応援が来た。
やって来たのはヒース様の兄上のヘクター様達だった。
ヘクター様は大丈夫か?と辺りを見ながらやって来た。
「ヘクター様!」
「オズワルドか?無事か?ヒースはどうした?」
「ヒースなら向こうで転がっています!それよりリディアが懐妊しています。すぐに転移魔法で帰らせてもらいたい!」
「懐妊?…それは構わんが…」
チラリとヘクター様が私を見て、また大丈夫か?と聞いてきた。
「すみません、大げさな人で…」
「何が大げさだ!」
オズワルド様は、ヘクター様の前なのに横抱きに抱えて歩き出した。
歩けますよ、というのに降ろしてくれない。
「オズワルド様…他にも怪我人がいますから」
「やかましい!」
いつものように涼しい顔だが、オズワルド様は懐妊に焦っているみたいだった。
それに、心配する様はちょっと迫力がある。
そして、城に帰るなり、オズワルド様は医者はどこだ!と騒ぎ私の懐妊はあっという間に知れ渡り、オズワルド様は治癒もせずに私を部屋へと連れて行った。
瞼を閉じたまま立っているオズワルド様に、必死で呼び掛けるとゆっくりと瞼が開いた。
「…リディア…?」
「オズワルド様!…っ良かった…!」
オズワルド様の胸に飛び込むように抱きつき、しっかりと背中を握りしめた。
「…リディア?俺は…?」
しかし、こんなことをしている場合じゃない!
「オズワルド様!アリシアです!後ろからアリシアが来ますよ!」
刻の精霊の言った通り、本当に数分しか戻れなかった。
戻った先には、ライア様が倒れているヒース様をまだ癒し中でアリシアも起き上がってない。
テレンスという人を倒し、私達がヒース様の所に来た時間まで戻ったのだ。
それでも、オズワルド様は生きている。
それが全てだ。
「まさか…時間が?」
不思議な感覚に包まれているオズワルド様は、抱きついている私をじっと見ていた。
「オズワルド様!早くしないとまたアリシアに刺されます!」
そして、オズワルド様の胸に顔を埋めたまま、絞り出すような声で言った。
「…お願い…一人にしないで…」
「悪かった…」
そんな私の抱きよせ、オズワルド様も絞り出すような声で言った。
そして、アリシアがゆらりと起き上がった。
「リディア…そのまま見るな」
「…はい」
オズワルド様は、そのまま残った僅かな魔力でアリシアを闇に捕らえ包んでいた。
「キャアァ!?イヤァーッ!?何!?」
アリシアの恐怖の声が聞こえる。
「…オズワルド様?」
「アリシアがリディアにかけようとして返された呪いの魔法を増幅させている…」
オズワルド様はもう魔力がほとんどないからな、とそう言い段々とアリシアは静かになった。
静かになったアリシアを包んでいた闇がフッと消えるとアリシアがゴトンと落ちてきた。
隠し持っていた短剣も一緒に落ちてきた。
「…オズワルド様…アリシアは…?」
「闇の中で呪いを増幅させたから、自分の呪いに蝕まれてもう死んだ」
やっと終わった。
アリシアはもういない。
私もオズワルド様もなんとか無事だ。
「…リディア…どうやって?」
「…刻の精霊です。私が刻の精霊に願いました」
「…リディアとまどろむように闇に落ちている夢を見た。落ちている闇の先には光があって…」
「私もです…一緒にまた時間が戻ったんです…」
力強く抱きしめてきるオズワルド様は温かい。
あの段々と冷たくなる様はない。
「オズワルド様…大好きですよ」
「俺もだ…」
しばし、オズワルド様と抱擁している横でヒース様も目を覚ましていた。
そんな中、私のムカムカの吐き気は頂点に達した。
「オズワルド様…」
「どうした?」
「吐きそう…!」
そして、私は瓦礫の隅に小走りで行き嘔吐した。
「どうしたんだ?疲れたのか?」
「そうかもしれません。アリシアに追いかけられて必死で走っていましたから…」
背中を擦られて気分の悪い私とオズワルド様は、迎えが来るまで座り込んでいた。
「それにしても、刻の精霊はやっぱりリディアの近くにいたんだな…」
「はい…でも、オズワルド様が心配だったのもあると思いますよ?」
「なにか言われたのか?」
「はい…確か、私がいなくなればブラッドフォードの子も絶える、とか、カレン様が悲しむとか…」
「ブラッドフォードは俺だろ?何でリディアがいなくなったら絶えるんだ?」
言われて見ればそうだ。
あの時はオズワルド様のことで頭がいっぱいで気にもしなかった。
「おかしいですね…言い間違いでしょうか?」
「リディア…月のものは?」
「毎晩人の身体を疲れるまで寝させないで、きてないのを知っているでしょう」
毎晩毎晩、飽きずに抱くくせに今さら何を言っているのか。
「おい!」
「何ですか?」
「…それは懐妊しているんじゃないのか!?」
「…いつ?」
「今だ!」
えぇ!?いつから!?
確かに月のものはきてない!
「何で気付かないんだ!?」
「おかしいですね…」
「おかしいのはお前だ!」
怖い顔で心配しないで欲しい。
そして、転移魔法で応援が来た。
やって来たのはヒース様の兄上のヘクター様達だった。
ヘクター様は大丈夫か?と辺りを見ながらやって来た。
「ヘクター様!」
「オズワルドか?無事か?ヒースはどうした?」
「ヒースなら向こうで転がっています!それよりリディアが懐妊しています。すぐに転移魔法で帰らせてもらいたい!」
「懐妊?…それは構わんが…」
チラリとヘクター様が私を見て、また大丈夫か?と聞いてきた。
「すみません、大げさな人で…」
「何が大げさだ!」
オズワルド様は、ヘクター様の前なのに横抱きに抱えて歩き出した。
歩けますよ、というのに降ろしてくれない。
「オズワルド様…他にも怪我人がいますから」
「やかましい!」
いつものように涼しい顔だが、オズワルド様は懐妊に焦っているみたいだった。
それに、心配する様はちょっと迫力がある。
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