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第1章 異世界帰りの男

第7話 ギルド

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 「んー? 結構安いんだな。上の等級程高くなるのは当たり前として…。2級と1級に関しては、落札希望者もいないのか。この場合は、無料か? あ、最低価格か」

 「どのギルドも失敗したくないんだよ~。罰金も取られるしね~」

 いや、それは分かるけどさ。
 これ、崩壊したらどうすんのさ。
 1級の崩壊までの期限って、2年とかじゃなかった?

 「勝てないからどうしようもないのが現状だよね~。1級と2級は滅多に出てこないし~」

 「いや、2級が二つに、1級が三つもあるが?」

 「そうだよ~。現在日本は大ピンチなのだ~」

 これ、期限いつまでか分からんのがだるいな。
 一応、1級クラスになるとかなり狭間がでかいからすぐ見つかるんだけど。
 発見が遅れたりしてたら、読み誤るぞ。

 「それで~どうするの~?」

 「うーん。とりあえずギルド作るか。その方が後々楽そうだし。で、とりあえず低難易度を攻略。この世界の感触を掴めたらすぐ1級攻略するぞ」

 「やる気じゃ~ん。ダラダラしたいって言ってたくせに~」

 「いや、日本が無くなったらダラダラもないだろ。それに手っ取り早く名前を売る良い機会だ。1級全部攻略したら一躍有名人だろ」

 「有名人になりたいの~?」

 「うーん、まぁチヤホヤされたいけど、とにかく色々出来る地位が欲しい。良いように使われるのはごめんだし」

 「一気に攻略したら絶対無理難題言ってくると思うけど~?」

 「簡単だよ。他国に行きますよって言えば良いんだ。日本に二度と来ないって言うのもいいな。これで大抵の便宜は計ってくれる。他国からの干渉も必死になって防いでくれるだろうよ。後は金次第だな。安い働きはしてやんない。俺が手を出し過ぎるのもダメっぽいし」

 「うわ~ひど~い」

 だいぶ優しいと思うけど。
 大体俺が出張らないといけないレベルなんて早々発生しないんだから。
 日本がそれ相応に扱ってくれるなら、俺だって譲歩するさ。

 地球の女神は人間が弱過ぎるって嘆いてたしな。
 本当に限界になるまでは、手を出さない方が良いだろう。
 今回は名前を売るために頑張るけど。

 あれもこれも攻略してって言われたら、人類の成長の為にーとか言っとけばいいだろ。
 後は誰かが良い感じに解釈してくれるよ。
 この世界の探索者って結構敬われてるっぽいし。
 探索者が攻略しないと、文字通り世界が終わるからさもありなんって感じ。
 その分、不祥事とか攻略失敗した時のバッシングは物凄いらしいけどな。

 「って事でギルドを作る訳だが。ギルド名はどうしようか」

 「桜ちゃん応援隊~」

 「じゃ、それにするか」

 「え!? うそうそ~! 冗談だってば~!」

 なんだ。本当にそれでも良かったんだが。
 自分で提案しといて恥ずかしがるとは、うぶな奴め。
 まぁ、冗談はおいといて。

 「みんなどうやって決めてるんだ?」

 「だんちょ~の能力名とか~ありきたりなのも多いね~」

 憑依は流石にダサいか。意味分からんしな。
 ちょっと色々調べてみるか。



 「なんちゃら騎士団とか、恥ずかしいと思わんのかね」

 何何ちゃん応援隊とかも本当にあるしさ。
 これでそこそこ人気なんだから、日本人って奴は相変わらず業が深い。

 「もう、『働きたくないでござる』とかで良い?実際そうだしさ」

 「そんなギルド入りたくな~い!」

 かっこいい名前とかつけてもさ。
 有名になったら恥ずかしくなってくるもんだよ。
 それなら張り切ってネタに走った方が良いんじゃないかな。

 「『ニート』『自宅警備員』『穀潰し』『こどおじ』『引きこもり』。ほら、選べよ」

 「なんでそっち方面ばっかりなの~? 実際には狭間に行って働くんだから~そうじゃないでしょ~?」

 文句の多い奴だな。じゃあお前が決めろ。
 俺は恥ずかしくなければなんでもいいや。

 「あたし達は秘密が多いんだし~秘密のなんちゃら~とか~」

 「秘密の花園?」

 「なんかいやらしいよ~」

 「もう『秘密』で良くない? なんか面白いだろ?」

 「『シークレット』にしようよ~。その方がなんかそれっぽ~い」

 「はい、それで。もう決定ね」

 こんなどうでも良い事に時間使ってられるか。
 えーっと、ギルド名を入れて団長は俺の名前と。
 他のメンバーはとりあえず桜だけ。
 探索者番号を入力してっと。

 「なんかスマホに招待いってない?」

 「きてるよ~。オッケーするね~」

 現代機器は凄いな。
 こんな感じでなるんだ。
 書類とかを書かなくていいのはありがたい。

 「じゃあ、ギルド『シークレット』結成っと。他のメンバーはとりあえずガチャから出て来た奴でいいだろ。事務員とかは今はいらないだろうし」

 「早く稼いで~お家を改装したいね~」

 「1級三つ攻略したら大金になるだろ。それで改装しよう。意味もないけど、人を雇って事務所に置いとけば、それっぽく見えるっしょ」

 さーて、時間は掛かったがギルドを作った事だし、さっさと落札するか。
 出来れば近場が良いんだが、都合よく狭間はないですかね。

 「おっ。あるじゃん。7級だって。めんどくさいから落札確定額でポチってやろう」

 元はとれないかもしれないが。
 1級を攻略したら些細なもんだろう。

 「明日は家具やらなんやらがあるから、明後日早速行くぞ」

 「ういうい~」
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