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第5章 海外遠征

第88話 モナコへ

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 凱旋門を充分に堪能した。
 そしてその後も色々と回った。

 運転手さんに初めてだから王道コースでお願いしますって言ったら、本当に馬鹿な俺でも知ってる観光名所に連れてってくれた。

 ノートルダム大聖堂にエッフェル塔。
 凱旋門をバックにしたシャンゼリゼ通り。
 どれもこれも雄大で美しかった。

 「時間があればルーブル美術館にも行きたかったんだけどな」

 「あそこは回るのに一日かかるからね~。狭間を攻略してから観光したにしては充分でしょ~」

 残念ながら時間がね。
 明日は朝からまた飛行機に乗ってモナコに行かないとだし。

 「攻略が終わってからでも戻ってこれるしな。モナコでも行きたい場所はあるけど」

 「どこどこ~?」

 おや。桜さんは分からないのかな。
 それなら行ってからのお楽しみにしておこう。
 モナコで金持ちが行くってなったら一つしかありませんぜ。

 「内緒」

 「けち~!」



 そして翌日。
 美しい都、パリを後にしてモナコに向かった。
 今回も飛行機で向かい、約1時間ちょっとのフライトだ。

 「ここがモナコ。楽しみで仕方ないぜ」

 「だんちょ~がそんなに楽しみにする事ってなんだろ~?」

 着いたら前回と違う案内役の人がお出迎えしてくれた。そしてここでも人人人。
 パリでファンサービスしてここでやらない訳にはいかない。狭間攻略するのは明日だし、今日は朝早くから出て来たら時間はたっぷりある。

 「あ~! だんちょ~やらし~!」

 「やらしいとはなんだ、人聞きの悪い」

 前回、幼女にもらったお花を今回も胸ポケットに装備している。
 俺達がモナコに来るのは生放送されてるし、幼女にもらったお花を大事にしてますよアピールだ。
 このささやかなワンポイントに気付いたら、またまた俺のファンは増えてしまうだろう。困っちゃうね。実際大事に保管してたし。普通に嬉しかったので。

 「このロリコンめ~」

 「やめろ。あの女神が聞いてたらどうする」

 ロリでもいけるじゃないかと癇癪を起こすだろ。
 決して俺はロリコンではない。子供に純粋に応援されると心が洗われるんだよね。
 大人になってもその心が失われない事を祈る。

 「なんかパリより多くない?」

 「パリの2級攻略が大々的に報道されたからじゃな~い? あれで本当に攻略出来るのか不安だった人も安心したんだと思うよ~」

 なんだ、信用されてなかったのか。
 天魔君残念。まだまだ圧倒的な支持を得られていないとは。もう少し積極的に攻略する姿勢を見せるべきか? みんなの成長の機会を奪うみたいで申し訳ないんだけど。

 「まぁいいや。とりあえずはファンサだな。俺のイケメンスマイルに慄くがいい」

 「寒気がするほどの愛想笑いだよね~」

 そんな事言ってる桜もしっかり愛想笑いをして手を振っている。
 時には糸を使って子供をあやしたりしている。
 こういう時はお手軽に使える能力って羨ましいよな。俺は一々仰々しくなっちゃうから。

 「でも負けてられません」

 俺も憑依して対抗。
 地上での戦闘系能力行使は禁止されてるんだけどね。パリでもそうだったけど、見逃してくれるらしい。適当に浄化をばら撒きながら、少しずつ空港を進んでいく。

 「うーん。フランス人は美人が多いなぁ」

 眼福眼福。目の保養になりますな。これだけでもここに来た甲斐がありますわい。

 「桜ちゃんの方が美人だよね~?」

 「勿論でございます」

 束糸で俺の頭をペシペシ叩いてくる。
 これ、生放送されてるんだよ? 勘弁してよね。



 パリよりも長い時間ファンサービスをしてから、モナコの協会へ。
 そこで支部長に会ってから、一つお願いされる。
 せっかくなら攻略動画を撮ってくれませんかという簡単なお願いだ。

 「そういえば桜の攻略動画をアップするの忘れてたな」

 「そういえばそうだね~? ホテルに戻ってからアップしておくよ~。ついでに明日の攻略動画もアップ予定ってSNSで伝えとくね~」

 うっかりしてしました。
 後でアップするから許しておくんなまし。

 その後は今日泊まるホテルへ。
 パリに負けず劣らず、いやそれ以上かもしれないほど豪華なホテルだ。

 「それで~? だんちょ~が行きたい場所は~?」

 「行くのは夜だ。それまでゆっくりしようぜ」

 長時間のファンサービスで疲れました。
 桜はマジックリングから撮影器具やらパソコンを出してぽちぽちしてるけど。早速桜の攻略動画をアップしてるんだろう。
 なんか俺がダラダラしてるのは申し訳なくなってくるな。

 「桜様。肩などは凝っていませんか? 良ければマッサージ致します」

 「苦しゅうないぞ~」

 「いつもご苦労様です」

 「良きに計らえ~」

 桜の邪魔をしないようにうつ伏せでノートパソコンをぽちぽちしてる上に乗ってマッサージを開始する。決してやらしいマッサージじゃない。本当に善意からやらせてもらってます。

 「お加減いかがですか」

 「うむ~。悪うないぞ~。大儀である~」

 「ははぁ。ありがたき幸せ」

 「よ~し。終わった~」

 「はや。じゃあ俺も終わりだよ」

 「え~」

 パソコン弄り始めて10分ぐらいしか経ってないじゃん。そんな早くアップ出来るのかよ。無編集だからかな?

 その後も二人してベッドでひたすらゴロゴロ。
 そしてそろそろ時間かなって所で準備を開始する。いよいよ俺がフランスで一番楽しみにしてた所に行けるぜ。


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 この世界のモナコはフランスと併合してセレブが住む街みたいになっています。
 作者、最近までモナコってフランスの街の一つだと思ってました。
 リーグアンにもモナコってチームあるしさ…

 
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