『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

文字の大きさ
15 / 71

15話 貴方は誰ですか?

しおりを挟む



「おい、聞いてるのか? 」

言葉遣いは変わって、表情もニコニコ笑顔ではなく少し不機嫌そうな顔だけど、相変わらず顔はイケメン。こういう俺様タイプも悪くないわね・・・

「エリシア? 」

「あ、ごめんなさい、聞いてますわ 」

危ない危ない、突然のギャップにやられるところだったわ。

「つまり、婚約者候補を押し付けられないようにする為には恋人が居ると見せるのが手っ取り早いと・・・そういう事ですね? 」

「そうだ、やっぱり理解力は早いな 」

「でも、何故私なのですか? 」

「そんなの決まってるだろ 」

「決まってる? 」

オウム返しに聞く私を、レオンハルト様は不意に柔らかな眼差しで見つめる。

「そんなの、俺がエリシアを好きだからに決まってるじゃないか 」

甘い声で囁くように言われて、思わず顔が赤くなる。

「なっ、わ、私はレオンハルト様の事は好きではありません! 」

焦って顔を背けながら答えると、クスクスと笑い声が聞こえる。
笑い声の主、レオンハルト様を見ると、楽しそうに笑っている。

「私はレオンハルト様は好きではありませんとお答えしたのに、何がおかしいの? 」

「ごめん、本気で捉えるとは思わなかった 」

「・・・はい? 」

「冗談だ 」

「なっ・・・・・・」

くやしい、また騙された!
レオンハルト様は自分の顔が良いのをいい事に、私で遊んでるんだわ。性格悪! もう騙されないわよ!

「・・・レオンハルト様の性格が歪んでいらっしゃるのはよく分かりました。で、本当の理由は何ですか? 」

私は平常心を装って、レオンハルト様を見る。レオンハルト様はクスクスと可笑しそうに笑いながら私を見ている。

「レオンハルト様! 失礼ですわよ! 」

「ああ、すまない、エリシアの表情がおかしくてつい、お前を選んだ理由だったよな 」

ついって・・・私の顔はそんなに変なのかしら。失礼ね!

「さっきも言ったけど、俺は婚約者が居ない。だから諸外国から俺はいい物件に写ってるんだが、俺はまだ結婚する気も婚約する気も無い。だから、虫除けとして女性同伴で行けば相手も何も言ってこなくなると思ってな、かと言って、その辺の令嬢に頼めばそれこそ勘違いされる。その点、エリシアは俺の事避けてるだろ? そういう令嬢の方が安心して恋人役を演じられる  」

そういう事? まぁ、確かに私はレオンハルト様と恋に落ちる気なんてないのでそれは一理あるわね。

「それに、君はジルの妹だ。ジルは俺の事情を知ってるから都合がいいし、おまけに・・・お前は顔が良い、連れて歩くには悪くない  」

「な、何ですか、その人を物のように扱う言い草! 」

「悪い、褒めたつもりだけど? 」

レオンハルト様は悪びれる様子もなく私を見る。

「褒め言葉になってません! 」

 小説の中のイメージしか無かったから、今までのレオンハルト様が当たり前に感じてたけど、実はめちゃくちゃ性格歪んでる?これが本性なのね。

「レオンハルト様こそ、いつもはとても大きな猫を被っていらっしゃるのに、ここまで来て素に戻られたのはなぜかしら? 」

「エリシアを連れ出すことは出来たし、旅の間ずっと優しい王子を演じるのも疲れるからな 」

レオンハルト様は何でもない事のように、車窓を眺めながら肘掛に肘を乗せて頬ずえをつく。
つくづく絵になるイケメンだわ。これで性格が家を出るまでのレオンハルト様なら言うことないんだけど、夢物語はやっぱり物語の中でしかないのね、現実は程遠いわ・・・


「これから行くディアルドの事だが、どんな所か知ってるか? 」

しばらく私も車窓を眺めて物思いにふけっていると、レオンハルト様が頬杖を着いたまま話しかける。

「ディアルドですか? ディアルドは我が国の東に位置し、我が国の国土の三分の一程の国土です。ディアルドでは鉱山から沢山の鉄が取れる為、主な貿易は鉄製品です。後、茶葉が有名で、我が国の名品と言われるお茶はほとんどがディアルド産によるものです。現国王様のシュナイダー様は国産の鉄から作られた大剣を振るう豪快なお方だと聞きますが、民衆から愛される気さくなお方だとも伺っております。今回ご結婚されるのはシュナイダー王の三番目のご子息のコーディー様ですわよね? 」

一気に話し終えてレオンハルト様を見ると、微動だにせず話を聞いている。しまった、話しすぎたかしら・・・
そう思っていると、ククッといきなり笑い出した。

「さすが、見事な知識だな 」

そう言ってサファイアブルーの瞳で柔らかに見つめる。
まさか褒められるとは思っていなかったので焦って視線を逸らしたけど、やっぱりレオンハルト様は変わってるのかしら。
この世界では女が知識をひけらかすのは下品だと言われる超男尊女卑の世界なのよ!
だから、本を読むのは好きだけど、得た知識を表に出す事はして来なかった。
機会が無かっただけだとも言うけれど、女性ももっと社会に対して意見を言える世界になればいいなと思う。

って言ってもさっき話した内容は全然大したものじゃないんだけど、何故か満足そうに私を見るレオンハルト様の視線、ものすごく居心地が悪いんですけど・・・



しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...