『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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16話 捜し物

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ディアルドまでの旅は7日間、今日は4日目の宿泊。ここまでレオンハルト様は度々私をからかう事はあるけれど、行動はとても紳士的だった。
今日も夕飯の後は宿の一室を私にあてがって下さって、私用に侍女もつけて下さったので困ることは何も無い、とても快適な旅が送れてる。
部屋に入って落ち着いたので、昼間馬車の中で読んでいた本の続きを読もうと荷物を見ると、本がない。

「あれ? 私馬車の中で見てた本どうしたかしら・・・ 馬車の中に置き忘れたか、レオンハルト様の荷物に紛れちゃった? 」

独り言のように侍女のマリーに話しかける。

「そういえば見ていませんわ、探してきましょうか 」

「あ、いいわ、私が探してくる。マリーはもう下がって休んでちょうだい 」

私の趣味のためにわざわざ探しに行かせるのも忍びないので自分で探そう。

「でも・・・ 」

「いいのよ、無かったらもう寝るだけなんだし 」

「分かりました。では失礼致します 」

私はマリーが出て行ったのを確認してからもう一度荷物を探してみる。
やっぱり見つからない。馬車の中を探しに行ってみようかしら、その前に、レオンハルト様の方に混ざってないか確認した方がいいかしら。

私は部屋を出ると、レオンハルト様の部屋の前まで移動してノックしてみる。
しばらく待ったけどレオンハルト様が出てくる様子はない。
いないのかしら? 
それじゃあ、馬車の中を探しに行ってみよう。

馬車は確か宿の隣の納屋の中に入れられてるはず。納屋に入れるか分からないけど、とりあえず気になるので行ってみる。

「エリシア様? どうかなさいましたか? 」

納屋の前まで行くと、入口に護衛の騎士が立っていて、私を見るなり驚いた様子で話しかけて来た。

「こんばんは、馬車の中に忘れ物をしたみたいで、中を確認したいのだけど、入ってもいいかしら 」

「忘れ物ですか? どうぞ、こちらからお入りください 」

そう言って、小さな入口を開けてくれる。中は真っ暗で何も見えない。そう思ってると、後ろから明かりが灯る。
振り向くと、騎士様がランプを片手に立っていた。

「すみません、灯りを忘れていました。どうぞ 」

そう言って先に立って中に入ってくれる。

「ありがとうございます 」

私はお礼を言うと、騎士様について中に入った。
馬車を開けてもらって中を確認したけれど、そこにもなかった。

「やっぱり、レオンハルト様の荷物に紛れてしまったかしら・・・ 」

「レオンハルト様でしたらしばらくは戻られないと思いますよ 」

騎士様の言葉に振り返る。

「どこかへ行ってらっしゃるの? 」

「ええ、いつもの事ですので、しばらくはお戻りになられないと思います 」

いつもの事? どこへ行ったのかしら・・・ まさか、女? ・・・うーん、あの王子様の事だからそれも有りうるかも・・・

「あ、安心してください。女性ではありませんよ 」

私がよからぬ想像をしていると騎士様が付け加える。

「私は心配はしていませんわ 」

「そうですか? 失礼ですがお寂しそうに見えたので・・・ 」

寂しそう? この人は何を言っているのかしら。

「気の所為でしょ? それより、レオンハルト様がどこへ行かれたかご存知なのですか? 」

「ああ、レオンハルト様は立ち寄る町毎にその町の情勢や情報を聞き出す為酒場に行かれます。色んな方と杯を酌み交わして悪い噂から有益な情報まで、自ら集めていらっしゃるんです 」

「まぁ・・・そうでしたの? 」

知らなかった。町ごとって事は、出発してから毎日やってるのかしら。

「エリシア様にはあまり面白くない話ですよね 」

「何故? 」

騎士様にそう言われて騎士様を見上げる。
背は高くて細身なのに、頼りなく感じない、鍛えられた体つきなのが分かる。新緑のようなグリーンの髪にグレーの瞳、よく見ると整った綺麗な顔をしてるわ。

「何故って、情勢なんて女性にはあまり興味のない話しでしょ? それよりもレオンハルト様がそばに居てくれる方がいいと思われるのではないかと・・・ 」

「そんなことありませんわ。驚いてしまいました。王子様自らそのような事をなさっているなんて、でも、体験でしか得られない情報や繋がりは多いです。それを解っていらっしゃるからこその行動だと思うと、レオンハルト様を見直してしまいましたわ 」

実際そうだ。適当そうに見える王子様がそんな事をしていたなんて知らなかった。

「・・・貴方は面白い方ですね、レオンハルト様は婚約者にいい方を見つけられたようだ 」

「え? ちょっと待って、私は婚約者では無いわ 」

とんだ誤解を受けているようだわ。
まぁ、レオンハルト様が自ら迎えに行って連れてきた女性なんだからそう思われても仕方ないけど、そこはしっかり訂正しておかなくちゃ。

「え? 違うのですか? 」

「ええ、今回はご一緒してますけど、レオンハルト様とは何も関係ありませんし、私レオンハルト様の事はなんとも思っていません 」

キッパリ言うと、騎士様が少し嬉しそうな表情に変わる。
ん? 何が嬉しかったのかしら?

「てことは、俺がエリシア様に恋しても問題無いのですね? 」

・・・・・・はい?



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