『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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17話 騎士のヨシュア様

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ええ? 
今なんて言った?

「俺にもチャンスはあるって事ですよね? 」

突然の事に驚いていると、もう一度確認のように爽やかな笑顔で聞かれる。

「あ、えっと・・・申し訳ございません、私は騎士様のことを何も知りません  」

私は出来るだけ目立たないように生きてきたので、あまりこういった経験がない。こういう時、なんて答えればいいのか分からない。

「申し遅れました。私はヨシュア・ミゲルです。道中何かあれば是非頼ってくださいね 」

爽やかな笑顔で自己紹介をするヨシュア様。
・・・・・・え? ヨシュア? 騎士の? 
しまった! 面倒事の種に自分から近づいてしまった!

「ヨシュア様ですね、よろしくお願いいたします。では、私はこれで失礼致します 」

「危ないからお送りしますよ 」

納屋から出ながらヨシュア様が申し出てくれるけど、私は出来ればこれ以上関わりたくない。しかも何故か私に興味を持たれた様子。

「いえ、すぐですから大丈夫ですわ。お仕事のお邪魔をしてすみませんでした 」

私は会釈をすると、そそくさとその場を後にしようとしたけれど、気が付くとヨシュア様が隣に並んで歩いていた。

「レディを夜一人で歩かせる訳には行きません。送らせてください 」

さすがに騎士様、動きが素早い。なんて感心してる場合じゃない。
ヨシュア様はゲームの中で私に好意を持ってくれていた人。でも、「私、悪役令嬢にはなりません!」の中ではクリスティーナ様に強力して私を陥れる人なのよ!
人好きのする素敵な笑顔に騙されちゃいそうだけど、この人は敵に回してはいけない人だわ。

「申し訳ございません、ではお願いします 」

怒らせないように素直に従ったけれど、これって仲良くなるべき? でも、好意を寄せられても私には全然その気が無いんだけど、どうしたらいいかしら・・・

「エリシア様はジルフレア殿の妹ぎみなんですね 」

「ええ、そうです。兄をご存じですか? 」

まぁ、お兄様はレオンハルト様ともつるんでるし、有名人っぽいので知っててもおかしくないわよね。

「はい、彼の知識の多さにはいつも驚かされることばかりで、レオンハルト様の心もしっかり掴んでいらっしゃるようですし、近い将来国を背負って経つ一人になられる事は間違いないでしょう 」

身内の事をそこまで褒めてくれるのは嬉しい半面、なんだか恥ずかしい。

「そんなに兄の事を褒めていただけるなんて恐縮ですわ、ありがとうございます 」

照れつつもにっこり笑って返すと、ヨシュア様もにっこり笑う。

「貴方はジルフレア殿によく似ていらっしゃる 」

「まぁ、そうですか? 私も兄の事は大好きなのでそう言って頂けると嬉しいです 」

確かに、私と兄はよく似ていると言われる。
けれど私には兄の様な艶やかさも華やかさもない。目立たないように生きてきたので特に華やかになろうとも思わないけど、兄の事をよく思っていただけているのは純粋に嬉しい。

「エリシア様のそばに居るのがジルフレア殿やレオンハルト様だと、私は見劣りしてしまいますね 」

苦笑いで私を見るヨシュア様は、確かに兄と比べるとそうなのかもしれないけれど、十分モテそうな顔をしている。

「そんな事ないですわ、ヨシュア様も素敵です 」

「そう? エリシア様に言っていただけると嬉しいな 」

私の言葉に満面の笑みで答えてくれるヨシュア様はなんだか可愛らしいと思ってしまう。
確か設定ではヨシュア様は21歳のはず。
大人の男性に可愛らしいなんて言ったらショックを受けるかもしれないから黙っておこう。

たわい無い話をしているとあっという間に部屋の前まで来てしまった。

「わざわざ送って頂いてありがとうございました 」

「これくらい何時でもご一緒致します。ゆっくりお休みください 」

「ありがとうございます。おやすみなさい 」

ヨシュア様を見送って部屋に入ると、ほっと一息つく。
ヨシュア様の対応はこれでよかったのかしら・・・まあ、出会ってしまったのだから今更どうしようもないし、前向きに行こう。
本は明日になればレオンハルト様が持ってるか確認すればいいか、また同じ馬車の中で一日過ごすわけだしね。
私は着替えを済ませるとベッドに入った。
だけどしばらく寝付けなくて、布団の中でゴロゴロしているうちにまどろみの中へ落ちて行った。

眠っていた時間がほんの数分だったのか、数時間だったのかわかないけれど、不意に廊下を歩く足音に気が付いて意識が戻る。




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