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43話 仕事仲間
しおりを挟む「レオンハルト様が来ていらっしゃるの? 」
クリスティーナ様がよそ行きの声色になってエミリーに問いかける。
「今日来るなんて一言も聞いてないわ、なぜ突然いらっしゃったのかしら? 応接室? 」
私もエミリーに問いかける。
「はい、ジルフレア様とご一緒にお待ちです 」
「分かったわ、クリスティーナ様、一緒に来てちょうだい 」
私がクリスティーナを見ると、クリスティーナ様は「もちろん!」と強く頷いていた。
「失礼致します。レオンハルト様、いらっしゃいませ 」
部屋にはまず私だけが入って挨拶をする。
「やぁ、こんにちは、久しぶりだね 」
久しぶりって、3日前にやっと解放されたばかりですけど、キラキラした笑顔は眩しいです。
「そうですわね、今日はどのようなご要件で? 」
「うん、ちょっとそこまで来たからエリシア嬢の顔を見に来たんだ 」
にっこり笑うレオンハルト様を一瞥して、促された椅子へと腰かける。
「で? 本当の要件はなんなのですか? 」
「エリシア嬢は鋭いね 」
「まぁ、レオンハルト様がいらっしゃる時はいつも理由がありますから 」
「あはは、そうか、私の事はお見通しか 」
レオンハルト様は可笑しそうに、綺麗な顔を破綻させて笑う。
「で? 何ですか? 」
もう一度問いかけると、レオンハルト様は真顔に戻って真っ直ぐに私を見つめる。
「今日はクリスティーナ嬢が来てるって聞いたけど? 」
ああ、そうか、クリスティーナ様を警戒しているのね。
「はい、いらっしゃってます。後でご紹介したいのですけど、いいですか? 」
「紹介? 」
私の問いかけに、訝しげな表情をするレオンハルト様。そりゃそうよね、知らない間柄じゃないのに今更何を紹介するのかと思うわよね。
「・・・もしかして、エリシアが言ってた協力者って・・・ 」
「さすがレオンハルト様、鋭いですわね、そうです。今日ちょうどいらしてくださって良かったです 」
にっこり笑うと、レオンハルト様は信じられないと言うような表情をした後、嘆息して私を見る。
「クリスティーナ嬢がそんなに優秀な方だとは知らなかったよ、紹介してくれるか? 」
「ええ、もちろん 」
私は頷いた後、エミリーに合図を送ると、直ぐにクリスティーナ様が姿を現した。
「レオンハルト様、ご無沙汰しております 」
クリスティーナ様は扉を入った所でレオンハルト様に向かって淑女の礼で挨拶をする。
「やぁ、クリスティーナ嬢、久しぶりだね、今日は珍しい所でお会いしたね 」
レオンハルト様もクリスティーナ様に答える為に立ち上がって柔らかな笑みを浮かべる。
「エリシア嬢がクリスティーナ嬢を紹介したいと聞いたんだけど? どういう事かな? 」
さっき話したのに、わざわざもう一度私に問いかける。クリスティーナ様の手前、知らないことにしたいのね、まぁいいわ。
「はい、クリスティーナ様にはディアルドの事業のサポートをして頂こうと思っています 」
「エリシア嬢が言ってた協力者ってクリスティーナ嬢だったんだね、クリスティーナ嬢はそういった知識を持っているってことかな? 」
レオンハルト様に見つめられて少し顔を赤らめるクリスティーナ様。
「エリシア様からお誘い頂いて、内容は少し聞かせていただきました。微力ですがお役に立てるかと思います 」
にっこり笑って答えるクリスティーナ様はとても綺麗、レオンハルト様と並んでいるとやっぱり絵になるわ。
「しばらくはここで活動させてもらおうと思ってるから、クリスティーナ嬢には度々足を運んでもらうことになると思うけど、大丈夫かな? 」
「もちろん、大丈夫ですわ 」
誘っておいて今更なんだけど、大丈夫なんだ。侯爵令嬢が子爵家に入り浸るって、あまり印象良くないわよね・・・世間からはお兄様とデキてると思われるかもしれないわ。
「その手に大事そうに抱えてるものは何? 」
レオンハルト様がクリスティーナ様の手に抱えたものを見て問いかける。
クリスティーナ様?! 何故持ってきてるの?! それは私の書いた小説!
「あ、これは・・・ 」
クリスティーナ様は気まずそうに私をちらりと見る。
もしかして、意図せず持ってきちゃったの? クリスティーナ様って天然?
「ん? エリシア嬢の物なの? 」
クリスティーナ様が視線を私に投げたのを見て、レオンハルト様は私を見る。
レオンハルト様に見せると何を言われるか分からない。
「それは内緒です! 」
「ふーん? そういうことにしておいてあげる 」
食いつくかと思ったのに、以外とあっさり引き下がってくれたのでちょっと拍子抜け、クリスティーナ様が居るからかしら。まだ猫を脱ぐつもりは無いみたいね。
「では、少し仕事の話をしようか 」
「はい 」
そうして私達は今後の詳細を話し合った。
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