『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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60話 訪問者

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レオンハルト様とジャスタ皇子がお城を経って二日目、私は二人のことを考えることから逃げていた。
レオンハルト様の事を恋愛対象として考えてはいなかったので突然そんなことを言われても困る。それに、レオンハルト様はクリスティーナ様と引っ付いてもらう予定だし、だからレオンハルト様は無いって言いたいけど、あの寂しそうな表情が頭から離れない。

ジャスタ殿下を選んでも2部のヒロインに負けちゃうかもしれない。レオンハルト様は応援すると言ってくれたけど、本心から言っているようには思えない。
もちろん、演技の上手いレオンハルト様だから誰にも悟られることなく演技をするのだろうけど、そんなレオンハルト様はレオンハルト様らしくなくて、私は嫌だ。

そもそもこの二人のうちどちらかを選ばないといけないなんてことは無い。
選ばなければ表舞台に上がることは無い。今まで通り、目立たない生活を送れる。
私はそれを選ぶ。・・・でもそれって逃げ?
とか思い出すと何が正しいのか、私はどうすればいいのか分からなくなる。
1日堂々巡りの思考を繰り返して繰り返して・・・結果、考えることを辞めた。
その時が来れば何とかなる。自分の直感と気持ちに従う。
そう決めると心が楽になった。

え? それを「逃げ」と言うのだって?
いいのよ、そもそも私は小説や漫画での恋愛知識はあっても前世から実経験値0の超初心者なのよ、その私にイケメン二人とか、キャパオーバーにもなるわよ! 
なんて事を一人言い訳して今現在に至る。


今日ものんびり本を読もうと図書室に向かおうとしたその時、部屋のドアが鳴った。
誰が来たのかしら?

「どうぞ 」

声を掛けるとすぐに扉が開いて華やかな空気が一気に流れ込んできた。

「エリシア様! 大丈夫なの?? 」

慌てて飛び込んできたのは華やかな美しさを持つクリスティーナ様だった。

「クリスティーナ様! どうしてここに?」

クリスティーナ様の登場に驚いたけど、ヤバイわ、クリスティーナ様にきっと怒られるわ。レオンハルト様とひとつ屋根の下に居るんですもの。
って・・・ん? 今クリスティーナ様は開口一番なんて言った?

「ちょっと、攫われたって聞いたけど、大丈夫なの? どこも怪我はない? 」

状況が飲み込めずに居ると、クリスティーナ様が駆け寄ってきて私の体をあちこち確認するように見る。
どうやら、クリスティーナ様は私がここに居ることよりも、私自身の事を心配してくれているみたい。

「私は大丈夫よ、ギリギリレオンハルト様が来てくれたから何もされてないわ 」

「そう、良かった 」

クリスティーナ様は深く息を吐き出して本当に安堵したように肩の力を抜いた。

「でも怖かったでしょ? エリシア様に何も無くて本当に良かったわ 」

「クリスティーナ様、ごめんなさい、私だけレオンハルト様に近いこんな所に居て 」

「何を気にしてるの? そんなの当たり前じゃない! さすがレオンハルト様ね、直ぐに判断してエリシア様を安全な場所に連れてきたんですもの、でも、狙われてると分かっていたのならもっと早くにここに保護してくれても良かったのに・・・そこはマイナス点ね 」

クリスティーナ様、ごめんなさい。
私はクリスティーナ様が怒り狂うと思っていた。クリスティーナ様はとても心が広くて優しい方だ。私は全然クリスティーナ様の事が分かってなかったみたい。
本当にごめんなさい。

「心配してくれてありがとう 」

優しい眼差しのクリスティーナ様を見ながら、私は心から謝罪していた。

「エリシア様の無事な姿を見たらほっとしたわ 」

クリスティーナ様は嘆息した後、にっこり笑ってソファに腰かける。

「クリスティーナ様、私レオンハルト様とひとつ屋根の下に居るのだけど、ヤキモチ妬かない? 」

何だか自分の中で気後れしてしまうので思い切って聞いてみる。

「そうね、でもエリシア様の安全を思えばここに居るのが最善だと思うもの、私に遠慮することなんてないわよ、貴方は自信持ってレオンハルト様に匿われてなさい 」

「クリスティーナ様は安全なの? 大丈夫? 」

「私は大丈夫よ、うちは元々警備が厳しいもの、それに夜はお父様が居るから大丈夫よ 」

「安心していいの? 」

「ええ、大丈夫よ 」

クリスティーナ様の変わらない笑顔に安堵してほっと息を着いた。




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