『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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63話 緊迫した朝

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あれから、クリスティーナ様とは色々話をした。
クリスティーナ様が吹っ切れているのは、私とレオンハルト様の様子を間近で見て早々に諦めたから、それにもう1つ、私のお兄様のジルフレアに恋してしまったからだと聞かされた。
最初はレオンハルト様狙いだったので気にもしていなかったらしいけど、レオンハルト様を諦めようと決めた時、レオンハルトを好きだと言う自分は、前世で読んだ物語に踊らされていただけに過ぎない、自分の心は別の所にあったのだと気が付いたらしい。

ジルフレア兄様は確かにレオンハルト様に負けないくらいイケメンだけど、性格はシスコンで外面は良いけど内面は私にも何を考えているのか分からない腹黒だと正直に話してあげたけど、一緒にいる事が多くなってなんとなくそんな気はしていたと言っていた。
そんな部分も含めて惹かれたのだと。

そんな兄でも好きだと言ってくれるなら、私はクリスティーナ様を応援しようと思う。
それにクリスティーナ様と義姉妹になれるならとても嬉しいじゃない、ジルフレア兄様はどう思ってるのか分からないけど、私はクリスティーナ様の味方よ!


二人でそんな話をして沢山笑いあって励ましあって、その日の夕方、クリスティーナ様のお父様が迎えに来るまで話し込んでしまった。

「また来てね 」

「ええ、もちろん! レオンハルト様からエリシア様が寂しい思いをしないよう頼まれてるからね 」

「ふふっ、ありがとう 」

ウインクをしながら明るく話すクリスティーナ様に、私も笑顔で返しながら手を振った。


1人になって改めて2人の事に思いを巡らせる。
そしてやっぱりレオンハルト様の事が1番に思い浮かぶのだと気が付いた。

もしかして私はレオンハルト様の事を好きなのかしら、いつから?
考えてもレオンハルト様が私をからかって笑う本当に楽しそうな表情しか浮かばない。
・・・・・・ほんとに好きなのかしら?
なんか流されて絆されてるだけじゃないかしら?

・・・・・・ん~~っ、考えても分からない。
やっぱりまた二人に会った時に直感で考えよう。
とりあえず書庫に行こう。
何も考えずに本を読んでれば今のもやもやした気持ちもきっとスッキリするはずよ。


そうして書庫と自室への行き来を繰り返す事5日、合間にレオンハルト様のお母様やクリスティーナ様とお茶を楽しんだりしながら、たまに執筆をしたりと平和な日々を過ごした。

レオンハルト様がディアルドに行ってから10日目の朝、何やら慌ただしい雰囲気に目が覚めた。

何かあったのかしら?
ベッドから起き上がると、サッと身なりを整えて部屋のドアを開けてみる。
私の居る塔とは反対側の廊下を慌ただしく走る人がいる。
その中の一人、あれは・・・リーリエ様?
蒼白な面持ちで足早に歩いていく。
その方角はレオンハルト様のお部屋がある方角よね? レオンハルト様が帰ってきたのかしら、でも様子がおかしい。

そう思っていると、バタバタとこちらに向かってくる足音がして、見るとジャスタ殿下が凄い勢いで走ってきていた。

「エリシア!」

私の姿を捉えるなりジャスタ殿下が叫ぶ。

「ジャスタ殿下、お帰りになっていたのですね、何かありましたか? 」

「ああ、すぐに来てくれ! 」

ジャスタ殿下は目の前まで来ると、そう言って私の手を引いてまた駆け出した。

「な、何があったんですか? 」

ジャスタ殿下のただならぬ雰囲気、周りの張り詰めた雰囲気、リーリエ様の蒼白な表情、とても嫌な予感がする。
鼓動が早くなる。まさかレオンハルト様に何かあったの?

「俺が付いていながらすまない 」

ジャスタ殿下は私の手を引いて足早に歩きながら振り返りもせず、前を向いたまま話す。
その表情は見えないけれど、緊迫した声から、何か大変な事が起こったのだけは分かる。

「・・・・・・レオンハルト様に何かあったんですか? 」

思い切って聞いてみた。
けれど、ジャスタ殿下は振り返ることなく歩き続けるだけだった。
それだけで、私の質問の答えは「イエス」なのだと分かった。






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