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ここは取締組です 第2話

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「……ということです。氷川ひかわ総長、如何いたしますか。」

私は、桜谷さんと神楽さんに総長室へ連れてかれ、同様の説明をした。

と言っても、神楽さんがとてもしっかり者だったので、私と桜谷さんは返事をする程度だったのだけど。

桜谷さんに至っては、暇そうに寝っ転がり始めてしまっている。

えぇ。上司の前で、そんな態度で怒られないの?私が怖いよー。

それにしても、この総長さんのお部屋もとっても広いなぁ。巻物みないな書物も沢山あるけど、綺麗に整理整頓されている。総長さんの後ろには、見事な虎の絵が描かれた掛け軸が飾られている。



「……なるほどな。まぁ、京也の言うとおり、俺達は信じるしかできねぇな。……桃子ちゃんよ。」

「は、はい!」

いけない、氷川総長さんがイケおじすぎて、見とれてしまっていた。総長というだけあって、桜谷さん達より、年齢は上そうだが、きっちりと整えられた髪に彫の深いお顔立ちは、昭和の俳優のようだ。

目の保養です。ありがとうございます。というか、なんとか信じてもらえそうだ。こんな胡散臭いやつに……なんていい鬼さん達なの。

「悪いが、野放しにはしちゃおけねぇ。それに住むとこもねぇんだろ?……とりあえず当面は、この取締組の中で生活してもらう。」

「おー!桃子ちゃん!良かったやん!」

「ふっ、氷川さんの決定ならば仕方ありませんね。」

えっ!!いいんですか!!イケメンと一緒に生活なんて私にとって、ただのご褒美ですが!しかも桜谷さんと神楽さんも許してくれているようだ。

「ありがとうございます!とても助かります。なんとお礼を言ってよいのやら……。」

私は内心テンションぶち上がりだが、イケメン達にに変態と思われるのはご勘弁なので、平静を努めて三人にお礼を言う。

「なんだ、劉紀に京也。おめぇらずいぶんと嬉しそうだな。」

たしかに、桜谷さんも神楽さんもパッと喜んだ表情に見えた。

「当ったり前やないか~!桃子ちゃん、ごっつおもろそうやん!」

桜谷さんは、嬉しそうに私の肩を抱く。うわっ!近距離の美男!破壊力がえぐい。

「なっ、俺はそういうわけでは……劉紀!桃子!距離が近いぞ!風紀を乱すな!」

神楽さんは、氷川総長さんの言葉に動揺しているようだ。心なしか頬が赤い。

「ほほう……こりゃ面白くなりそうだな……じゃあ、劉紀、お前に桃子の身の回りの世話を頼もうか。」

「おう!もちろんええで!な!桃子ちゃん!」

「はい!ありがとうございます!桜谷さん!」

「ちょっと待て!劉紀!お前に女性の世話など、任せられん!」

「なんでや!このむっつりスケベが!」

「……いいだろう、劉紀……表へ出ろ。」

えーなになに!私の取り合い?私のために喧嘩はやめて!きゃー♡
二人ともかっこいいから、この際鬼でもなんでもいいです!

「ハハッ!まぁ、待て二人とも、お前らの気持ちはよーく分かった。とりあえずは、お前ら二人に桃子ちゃんの世話は任せよう。」

「……それとな、この取締組内も安全とは言い難い。桃子ちゃんのことを知って、混乱する奴もいるだろう。よって、このことは四人の秘密だ。表向きは、俺の昔なじみの娘とでも言って通す。桃子ちゃんをここに置いとくにも肩書がいるしな……そうだな。女中見習いとでもしておくか。」

「分かりました!ご迷惑おかけすると思いますが、よろしくお願いします。」

私は高鳴る胸とは裏腹に、冷静なフリをし、お利口に頭を下げた。
見たかアラサーOLの技術を!

桜谷さんと神楽さんも睨み合ってはいたが、総長の決定には逆らえないようで、渋々返事をしていた。可愛い。
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