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4.かつての恩師
しおりを挟む図書館が閉館するまで璃音と過ごして、私たちは現地で解散した。
璃音は彼氏の家に行ってお泊りをするらしい。
別に、羨ましいという気持ちはない。
私だって、今からマッチングした男性とホテルで会うのだから。
待ち合わせの場所は駅前にあるラブホテルの225号室だった。
人の目につく場所で私と会いたくないという、怪しさ満点の男性だが、私が求めるのは身体の関係のみ。別に何か事情があろうが、私には一切関係がない。
ホテル内に入り、待ち合わせ場所の部屋に向かう。
そして軽く深呼吸をして扉をノックすると、ゆっくりと扉が開いてひとりの男性が姿を現した。
「……え?」
「えっ?」
真っ白なワイシャツを着て、首までネクタイをきっちり締めている男性に、私は見覚えがあった。すこしウェーブのかかった濃い茶髪が揺れ動く。厚い眼鏡の奥から覗く彼の瞳にも動揺が見えた。
「水瀬……」
「ふ、藤岡先生。どうしてここに……」
出てきたその人は、高校時代の恩師である藤岡宏明先生だった。高校の社会科教師で、私が3年生の時は担任だ。その当時から藤岡先生は既婚者で、ホームルームでも当たり前のように奥さんとの惚気話をするような人だったのに。まさか、こんなマッチングアプリを使用していたなんて……。
そう思い、先生の左手の薬指に目をやる。
そこに嵌められたシルバーのリングが、あの頃と同じように煌々と光を放っていた。
「先生、奥さんがいるのに……」
「ふふ、水瀬。男というのはね、常に若い女の子を食べていたい生き物なんだよ」
仮にそうだとしても実行してはいけないでしょう……そう思っても、言葉に出すことはできなかった。
部屋の中に誘導され、すぐに着ている服に手を掛けられる。
当時、結婚していると知られていても生徒から大人気だった藤岡先生は、今も変わらず格好よかった。
彼のその目には情欲が滲み始める。そして私もまた、気持ちが昂るのにそう時間はかからなかった。藤岡先生が既婚者であるという事実は、今の私にとってそこまで大きな問題ではない。
お互いに服を脱ぎ捨て、クイーンサイズのベッドに横たわる。藤岡先生は露わとなった私の肌を撫で回しながら、ゆっくりと顔を近づけてきた。
私はふたつの唇が重なる前にその顔を左手で押し返し、「キスは駄目です」と一言告げる。
先生はふっと鼻で笑い、右手の人差し指を私の口に差し込んできた。太くて長い指に舌を絡めて濡れ音を立てる。先生はまた静かに笑っていた。
「水瀬は、本当に好きな人が現れた時のために取っておきたいタイプ?」
「……何をですか?」
「キスのことだよ」
先生は私が舐めていた指を激しく動かし、口内の形を確かめるかのようになぞり触れる。そして飲み込めなくて溢れ出てきた私の唾液を手ですくい、繰り返し自身の口に含んでいた。
口の中を撫で回されていた指を抜かれ、透明な糸を引くその指を今度は私の恥部へと動かす。上半身にそこまで触れることもせずに淫裂をなぞり、既に溢れ出ていた私の蜜液と唾液を混ぜるように指を動かし続ける。くちゅくちゅと耳につく淫猥な音が部屋に響き、陰口からは止め処なく蜜液が漏れ出し続けていた。
「エロい身体だな。ローション使わなくてもこれだけ濡れるのか?」
「……エッチが好きなんです」
「ふーん、そうなのか」
それだけを呟いた先生は、ぐちゃぐちゃになっている陰口に指を差し込む。そして激しく的確に快感が得られる場所に刺激を与え続けた。
先生も女の扱いに慣れている。
どうすれば快感が訪れるのか、今までに関わってきた男性の中で、いちばん先生が理解をしているような気がした。
「……声、出さないの?」
「声は、あまり聞かせたくない……」
私は両手で口元を押さえて、押し寄せる快楽に耐え続けた。
しかし、それが先生に火を付けてしまったみたい。
陰口の中で動かし続ける指はそのままに、顔だけ胸元に動かして既に固く尖っている蕾を口に含んだ。
激しく動かされる指。それとは対照的に甘く撫で回すように舐められる蕾。
上と下で一致しない愛撫に頭が蕩けそうになったとき、より一層の快感が私のすべてを襲った。
経験をしたことがないくらい、奥から熱い何かが込み上げてくる感覚がする。それは咄嗟に尿意だと思い、激しく動く先生の腕を止めようともがく。しかし先生は「それは大丈夫なやつだから」などと意味の分からない言葉を零して、一切手を止めようとはしなかった。
「や……先生、待って……待って、漏れちゃう……っ!」
「大丈夫だって。それはおしっこではないから」
繰り返し刺激されて快感が限界に達した時、先生が指を差し込んでいる蜜壺から、大量の何かが飛び出すように溢れ出た。
お漏らしをしたように濡れた布団と、全身が濡れている先生がすべてを物語る。
先生は自身に飛び散った何かを拭い取って、それを口に含んでいた。
「水瀬、これは潮吹きだよ。初めてなの?」
「初めて……です」
「そうか。可愛いな、水瀬……」
そういって優しく私の身体を抱きしめてくれた先生は、そっと唇を重ねてきた。
先程嫌だと言ったことを、もう忘れているのだろうか――。
一気に嫌悪感が募り、勢いよく先生の身体を押し退ける。しかしその抱擁から抜け出すことができずに、また唇を重ねられた。
「藤岡先生! 嫌だと言いましたよね!?」
「……ごめん、あまりにも可愛くて」
「はぁ!?」
「ねぇお願い、俺がキスの気持ちよさを教えてあげるから。俺だけは許してよ――」
優しく両頬を掴まれ、柔らかい唇を重ねてそっと愛撫される。軽く吸われたと思ったら引き離されて――、ついばむような接吻を繰り返した。
そして次第に先生の舌が、閉じていた私の唇を割って侵入してくる。温かくて柔らかくて不思議な感触。それを私の舌に向かって伸ばして、優しく絡めてきた。
「……んっ……」
「……はぁ、大丈夫。俺に任せて」
先生が離れると、私と先生を繋ぐ透明な細い糸が姿を現す。その糸が引き離されてちぎれた時、先生はまたかぶりつくように私の唇を塞いだ。
すぐに舌を侵入させ、歯茎の形を確認するかのようにゆっくりと動かす。
しばらく歯茎を堪能したあと、また舌を絡めてお互いの唾液を塗り合う。先生の舌を器用に動かし、私の舌を包み込むように絡ませて舐め回した。
口角から飲み切れなかった唾液が漏れ出る。くちゅくちゅと音を立てながら舌を絡め合い、時折私も先生の舌に甘噛みをしてみる。
無心になって先生の舌に吸い付いていると「嫌とか言いながらするじゃない」と小言を言われたが気にしなかった。
私は西条先生としかキスをしたことがなかった。
私にとって特別で、大切で、西条先生としかしたいと思えなかった。
それなのに今の私は、藤岡先生とのキスに快楽を覚え始めていた。
別に嫌気もしない。唾液を混ぜ合わせるだけの行為がただただ気持ちいい、それだけ。
好きな人ではなくても、相手が上手ければキスは気持ちいい。
その感覚を、私は初めて学んだ。
藤岡先生と唇を重ね続けて、顔が唾液まみれになっても獣のようにお互いの唇を貪りあう。その間、先生は自身の男根を握り、私の陰口に擦りつけていた。
時折、潮と蜜液が混ざり合い、洪水のようになっている私の陰部に男根の先端を押し付ける。既に受け入れる準備の整っている陰部はすぐにでも大きな獲物を捉えようと、入口をひくつかせて咥え込もうとしていた。
「……はっ、ちんこ欲しいの?」
「……っ」
「身体は正直みたいだね」
「言わないでくださいっ……」
もう、限界だった。
先生の腕を引っ張って身体を私の方に寄せ、入口で小刻みに動いている男根を手に取る。そして自ら陰部へと導き、先生自身を難なく受け入れた。
太くて硬くて熱いものが奥まで入っていくのがわかる。先生が先へと押し進めるたびに、浅い呼吸と共に苦しそうな呻き声が漏れていた。
「ん……水瀬のココ、嫁よりもきつくて、最高だ……」
「……はっ、最低……」
陰部に力をこめ、侵入している男根を強く締め上げた。
セックスだけの相手と嫁を比較するなど、言語道断。
急に現実へと戻されたような気がして、とにかく不快。
私はとにかく快楽だけに集中するため、自ら腰を振り、全身で先生の男根を味わう。
元恩師というのと、嫁をちらつかせるくそ野郎という事実を除けば、下半身の相性は最高だと思った。胎内を圧迫しながら動く男根は、これまでの男たちとサイズ感が違う―—って、私も藤岡先生と同じことを考えているではないか。
私だって他の男と先生の性器を無意識に比較している。あまりにも馬鹿馬鹿しくて、思わず笑いが漏れた。
「水瀬、なんで笑っている……?」
「……いえ」
ただそれだけ応えて、さらに腰の動きを加速させる。精液をすべて絞り出してやろうと思い、夢中で男根をしごき続ける。
最初は余裕そうな表情をしていた先生だったが、しだいに余裕さが消え、今度は苦しさが滲み始めた。
唇を噛み締めて、何かに耐えているような表情に愉悦を感じる。
「先生、そのまま胎内に出してもいいですよ」
「え……」
「嫁じゃない女、妊娠させたくないですか?」
「……」
私はピルを服用しているから、妊娠の確率で言えば格段に低い。
とはいえ、この場では正しい情報など不要である。
私は知っている。
生、中出し、妊娠。その言葉によって、遊び相手だからこそ、より一層の快楽が生まれるのだ。
そして私の予想通り、目の前に見える先生の目つきが変わった。
小さく唾を飲み込んだ先生は、ベッドに手をついて大きく腰を動かし始めた。
「とんだビッチになったな、水瀬。高校時代とは、大違いだ……!」
「……あの頃と、さほど変わりありませんけどね」
私の呟きは先生の耳に届かない。「孕め、孕め!」と荒い呼吸で呟いている目の前の人は、もはや私の知っている藤岡先生ではなかった。
獣のような目つきで、唇を噛み締めながら、私の最奥をひたすら突き上げ続ける。
気持ちいいような、気持ちよくないような。
微妙な箇所をひたすら突かれ、私の元にはさほど快感は訪れない。
一方、先生の方はかなり限界なようだった。先生は腰を動かしながら「うっ……」と小さく声を上げて、「水瀬……出るっ」と継いだ。
その言葉通り、私の胎内で男根は大きく身を震わせ、強く脈を打ち始める。何度も何度も脈を打ち、胎内では温かいものが広がっていく感覚が分かった。
「……ん、水瀬……」
蕩けそうな表情をしている先生は、顔を私に近づけてそっと唇を重ねた。啄むように繰り返し唇に触れたあと、今度は唇を割り、舌を侵入させる。あれほど嫌だと思っていたキスなのに、私はいつの間にかキスから快楽を感じるようになっていた。
満足するまでキスをし続けた先生は、ゆっくりと胎内から男根を抜く。すべてが胎内から出ていくのと同時に、先生が出した沢山の精液も溢れ出てきた。
私はそっと手を陰部に回し、溢れたそれを救いとる。粘度の高い白濁を視野に入れ、そのまま口に運び、苦くてまずい液体を余すことなく舐めとった。
先生はその様子を、ただただ静かに見つめる。しなっていた男根は徐々に力を取り戻し、天井を目掛けてまた伸びていた。
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おもち様
感想いただき、誠にありがとうございます😭
私も歳の差恋愛が大好きで、日頃も色々と書いております。
こちらは書きながらも読者さまの反応が鈍く感じ、かなり悩んでいたので少し執筆が遅くなっておりました。
おもち様のご感想でやる気が出ました!!
本当にありがとうございます。また更新しますので、今しばらくお待ちください!