幼なじみは鬼神。そして私は巫女でした

りーさん

文字の大きさ
20 / 23
第一章 鬼神と巫女

第二十話 秘密の共有

しおりを挟む
※間が空いてすみません!次をどうしようか悩んでいました。今日から再開します。

 郊外学習を終えて、翌日の午後の授業は、郊外学習でのレポートまとめである。
 同じ班でまとめて書くため、私たちは班で集まっている。
 ちなみに、書ききれなかったら放課後まで延長してしまうため、みんな真剣だ。

「そういえばさぁ、三咲と萩山さん、美術館で何があったの?急に距離が縮まってたけど」

 ただまとめているだけなのはつまらないのか、花音が話題を振ってくる。
 当事者である私と萩山さんは、思わず顔を見合わせたけど、すぐに花音のほうに向いた。

「う~んと……いろいろ?」
「私がちょっと……神野さんのことで誤解していただけだったので」
「なに?ファンクラブに悪口でも吹き込まれたの?」
「あっ、いえいえ。そんなことはありません。神野さんは何も悪くありませんから」

 萩山さんはふるふると首をふる。
 花音は、なぜか私のほうをじっと見てきたけど、私はレポートのほうに目を向けて、花音の無言は無視した。

◇◇◇

 放課後。レポートはなんとか書き終わったので、私はなにもすることがないのだが、美術館ではぐれていた萩山さんが終わっておらず、私と岩井くんが手伝うことになった。
 岩井くんだけでいいかなと思ったんだけど、なぜか二人が私も残れと言ってきたので、私も残っている。
 ちなみに、居残りになっているのは、私たち三人だけだ。終わったら、鍵を返すように言われているので、先生すらもいない状況。

「はぐれましたって書けばいいでしょ?」
「でも、そんなこと恥ずかしくて書けない……」
「そんな恥ずかしいことをやった萩山が悪いんだからさ」
「うう……」

 完全に岩井くんと萩山さん二人だけの空気になっていて、私は部外者どころか、いないものとして扱われているような気がした。
 それが嫌というわけではないけど、それなら私はいらなかったのでは?と思ってしまう。

「そういえば、神野さん」
「……あっ、な、なに?」

 完全に蚊帳の外だったので、呼びかけられたことに気づかず、反応が遅れてしまう。
 何か用があるんだろうか?いや、なかったら声をかけないか。

「神野さんって、赤城って人のことどのくらい知ってるんだ?」
「ど、どのくらいって……」
「結城!そんなこと聞かなくても……」

 私がどう答えようか迷っていると、萩山さんが岩井くんを制止しようとする。
 二人は、同じ中学校という関係だけではないみたいだ。なんか、私と夜見の関係に近いような気がする。

「だって、お前があの人のこと、あんな風に言ってたから……」
「そ、それはそうだけど……」
「あんな風って?」
「あ~……それは……」

 私が聞くと、岩井くんは言葉に詰まる。話しにくいことなんだろうか。
 すると、萩山さんが代わりに言葉を発した。

「……岩井くんに、赤城さまがあやかしのようだということを……相談していたんです」
「…………へっ?」

 時間を置いて、私はそれしか発言できなかった。理解が追いつかなくて。
 でも、理解が追いついてくると、私は驚愕した。

「岩井くん、夜見の正体を知ってるの!?」
「それだと、神野さんも知ってるのか?」

 私が大声を出したからか、耳を塞ぎながら岩井くんは聞き返す。
 私は、こくりと頷いて肯定した。

「うん、知ったのは最近だけど、夜見から直接」
「ふーん……幼なじみには内緒にしてたのか」
「そうみたい」

 知られたくなかったのか、聞かれなかったから話さなかっただけか、信じてもらえないと思ったのかはわからないけど。
 夜見は多分、聞かれなかったから話さなかっただけな気がする。普通、あなたって人間なの?って聞くことなんてないから、話す機会なんて訪れるわけもない。

「岩井くんはあやかしとか、そういうのは信じるの?」
「う~ん……あやかしであろうとなんであろうと、関係ないって感じかな~。人間でも嫌なやつはいるし、怖いとか思ったことはないよ」

 ずいぶんとあっさりした回答が返ってきた。
 それを聞くと、夜見のことでいろいろと悩んでいた私が馬鹿らしく思えてしまう。こういうところがあるから、萩山さんは岩井くんを信用しているのかもしれない。
 岩井くんの言うとおり、あやかしである前に、夜見は夜見なんだから、いつも通り接していればいいだけだ。
 嫌なことはいつものように嫌とか言えば、夜見も心がけてくれるかもしれない。

「あの……私も気になっていたのですが……」

 私たちに割って入るように、萩山さんが挙手をする。
 別に、そんなことしなくても話は聞いてあげるんだけど。

「なに?」
「神野さんは、霊力が制御できたのですか?できたのなら、最初から抑えてくださるとありがたかったのですが……」

 萩山さんは少しびくびくしながらも訴えてくる。私が怒ったりしないか心配しているのかもしれないけど、私の沸点はそんなに低くない。

「私はできないの。なんか、変なお姉さんが整理してくれて……」

 私は、当時のことを思い出しながら説明する。
 力の制御の知識を身につけるため、神社に行ったところ、そこにいたお姉さんが霊力を整理してくれたこと。

「怪しすぎないか?その人」
「うん、私もそう思うけど、やってくれたのは事実だし……」

 私がもて余していた力を、わざわざ抑え込んでくれたのに、不審者とかで片づけていいのかわからない。

「とにかく、それでへたに力を使ったりしなければ、特に霊力が漏れたりはしないみたい」
「……ですが、少し漏れているような気がします」
「えっ、うそ!?」

 霊力を使うようなことをやったのかと、私はお姉さんに整理してもらってから、今までのことを思い返す。
 そして、先日の侵入者への脅しに使ったのを思い出した。

「一回だけなのに……」

 私がしょんぼりと落ち込んでいると、萩山さんは私を励ましてくれる。

「だ、大丈夫です。赤城さまでも、触れなければそこまでの被害はないと思いますから!」
「逆に言えば、触れたらダメなくらいには垂れ流しているってことにならない?」

 夜見は、以前の私には近づくことさえ嫌悪していた。
 もし、触れられないくらいに漏れているなら、夜見は警戒して以前と同じくらいの距離まで離れてしまいそうだ。
 こうなったら、またあの人に頼ってみるしかない。
 怪しさ満点だけど、実力は確かなようだし。

「ごめん。私、先に帰るね」

 私は、二人にそれだけ言って、教室を出ていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

行かないで、と言ったでしょう?

松本雀
恋愛
誰よりも愛した婚約者アルノーは、華やかな令嬢エリザベートばかりを大切にした。 病に臥せったアリシアの「行かないで」――必死に願ったその声すら、届かなかった。 壊れた心を抱え、療養の為訪れた辺境の地。そこで待っていたのは、氷のように冷たい辺境伯エーヴェルト。 人を信じることをやめた令嬢アリシアと愛を知らず、誰にも心を許さなかったエーヴェルト。 スノードロップの咲く庭で、静かに寄り添い、ふたりは少しずつ、互いの孤独を溶かしあっていく。 これは、春を信じられなかったふたりが、 長い冬を越えた果てに見つけた、たったひとつの物語。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

君は恋人、でもまだ家族じゃない

山田森湖
恋愛
あらすじ 同棲して3年。 毎朝コーヒーを淹れて、彼の寝ぼけた声に微笑んで、 一緒に暮らす当たり前の幸せを噛みしめる——そのはずだった。 彼女は彼を愛している。 彼も自分を愛してくれていると信じている。 それでも、胸の奥には消えない不安がある。 「私たちは、このまま“恋人”で止まってしまうの?」 結婚の話になると、彼はいつも曖昧に笑ってごまかす。 最初は理由をつけていたのに、今では何も言わなくなった。 周囲の友人は次々と結婚し、家族を持ち始めている。 幸せそうな写真を見るたび、彼女の心には “言えない言葉”だけが増えていく。 愛している。 でも、それだけでは前に進めない。 同棲という甘い日常の裏で、 少しずつ、確かにズレ始めているふたりの未来。 このまま時間に流されるだけの恋なのか、 それとも、家族へと歩き出せる恋なのか——。 彼の寝息を聞きながら、 彼女は初めて「涙が出そうな夜」を迎えていた。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

あなたがすき、だったから……。

友坂 悠
恋愛
 あなたが好きだったから、わたしは身を引いた。  もともと、3年だけの契約婚だった。  恋愛感情なしに、偽装夫婦を演じよう。  そういうあなたに同意をして一緒に暮らし出した日々。  それなのに。  約束の期限の三日前、まさか酔ったあなたとそういう関係になるなんて、思わなかった。  だから。 わたしはそのまま翌朝家を出た。  わたしだけが、どんどんあなたを好きになってしまったことを隠したくて。  こんな気持ちを悟られ、あなたに迷惑がかかるのに、耐えられなくて。    ############# なろうさんで開催されていた、氷雨そら先生、キムラましゅろう先生主催、 シークレットベビー企画参加作品だった、「あなたが好きだったから」という短編に、少し加筆修正して連載化しました。 初めてのシクべ、ちょっと変わったタイプのシクべ作品となりました。 お楽しみいただけると幸いです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

処理中です...