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第三章 休みくらい好きにさせて
第17話 街中デート!? 3
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ちょっと気まずいような雰囲気になってしまったが、私はカインの手を引いて、とりあえず街を見て回ることにした。
カインは、先ほどから後ろを気にしているような素振りだ。もしかしたら、視線の主なのかもしれない。でも、私が狙いなのだとしたら、視線は私しか感じないはずだ。それとも、私を視界に入れていたが、近くにカインもいたために、敏感なカインが気づいたのだろうか。
……というか、この尾行してるような感じの奴がいなければ、これってデートなんじゃないの!?
第三者から見たら、完全にデートよね!?もちろん、やましい気持ちとかは一切ないけど、さっきは不覚にもカインにドキドキさせられたし……!
なんか意識すると、ちょっと熱くなってきた。
「……リリアン?どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」
ついつい顔を反らしてしまって、少し気まずい空気が流れる。
これは、デートなんかではない。だって、尾行している存在がいるのだから。決して、デートなんかではない!
そんな自己暗示をしながら、カインと街を歩いていく。
すると、カインがたずねてきた。
「……いつまで歩くんだ?」
私は、それを聞いて辺りを見渡す。すると、賑やかな広場からは大分離れて、関所が見えていた。どうやら、自己暗示をしている間に、早歩きになっていて、街の端まで歩いてきてしまったらしい。
「あっ、ごめんなさい!」
思わず恥ずかしくなる。だって、なんか気まずくなったから。私がカインを意識していたせいでこうなったみたいで。いや、そうなのかもしれないけど。でも、好きだとか、そんな思いではない。断じてない!
彼氏にフラれたから、また男を好きになることなんて、私には無理だ。逆立ちしても難しい。
「……気配が近いな。人混みから離れたからかもしれない」
カインは、完全に無意識なのだろう。私を引き寄せて、そうやってボソッと呟いている。
うん、離せよ。二回目ともなると、さすがに冷静になってくるわ。引き寄せる必要はないと思うの。守ってくれるつもりなのかもしれないけど。
まぁ、カインのことは置いておくとして、冷静になってきたし、ちょっと考えよう。
ここまで来ていなくならないということは、私が狙いなのだろう。もしかしたら、カインに尾行していてという可能性もなくはないだろうが、それだったら、カインは同行を断るくらいはするはずだ。少なくとも、部外者として、私をスタンピードから遠ざけるくらいはするのだから。
そうなってくると、何が狙いだというのだろうか。私が『青の月』を引っ掻き回したからか?白梟相手は無理だから、私に来たとかだろうか。
「カイン様。あの者たちは、カイン様をつけてきたのでしょうか?」
少しでも選択肢をなくすために、私はカインに小声でたずねる。こんなに至近距離なら、普通に話さなくても聞こえるだろうしね。
「いや、つけられていたら気づく。おそらく、狙いは君だろうな」
「う~ん……。心当たりはなんとなくあるんですけど……」
いろいろやっちゃってるからなぁ。『青の月』のアジトを潰したり、計画を台無しにしたり、組織の一員を寝返らせたり……。うん、言葉にしてみると、恨まれる要素しかないわね。
でも、それ以外は?と聞かれると、全然思いあたらない。
「……君は、私以外にも粗雑な扱いをしているのか?」
「えーっと……クラスメイトの女子と、アリエル様くらいですね。今のところは」
他の人たちは、そもそも相手にすらしていないというね。
まぁ、こそこそ噂話してくるくらいだから、無視していれば実害はないし。
クラスメイトの女子は、完全にカインが狙いだろう。でも、私と仮婚約状態になってから、あまり私には突っかからなくなってきたから、そこまでの問題ではない。
問題は、あの宇宙人だ。あの宇宙人は無理。無視ができない。話が通じない。母親の洗脳状態にあるというのは、ちょっとかわいそうだけどね。
でも、わざわざ私が助ける義理はない。モニカちゃんのときは、私の悪評を気にせずに話しかけてくれたのが嬉しかったから助けただけ。アリエル様に感謝するようなことを、私はされたことがない。それに、モニカちゃんのように、犯罪を犯そうとしているとか、関わっているのが裏組織とかならば、堂々と断罪させられるだろうが、あの宇宙人の場合は、母親だ。身内の問題として片づけられるのが目に見えている。
あの母親に関しては、別にグレーゾーンというだけで、『青の月』の組織なのかはわからないし。関わっていたとしても、しらばっくれる可能性もある。動かぬ証拠というのが見つからない限りは、どうあがいてもあの宇宙人ヒロインは助けられない。助けるつもりもないけど。
「……リリアン。何も知らないふりをしておくといい。知られているとわかると、口封じに無理やり出てくる可能性もある」
「わかりました」
まぁ、一理ある。下手に気づいているぞアピールをしても、自分の命を縮めるだけだ。それはダメ。断罪とかはされてもいいけど、さすがに死ぬのはゴメンだ。
「では、エスコートしてくださる?」
「あぁ、屋敷まで送り届けよう」
カインは、私の言葉にほんの一瞬だけきょとんとしたが、すぐに自然な笑みを向けて、私に腕を差し出してくる。私は、それに自分の腕を絡めた。
これだと、カップルにしか見えないだろうけど、婚約関係なのだから、なにもやましいことはないし、この距離なら内緒話してもそこまでの違和感はないしね。
このカップル作戦が効いたのかはわからないけど、結局何も起こらないまま、屋敷に戻ることができましたとさ。
カインは、先ほどから後ろを気にしているような素振りだ。もしかしたら、視線の主なのかもしれない。でも、私が狙いなのだとしたら、視線は私しか感じないはずだ。それとも、私を視界に入れていたが、近くにカインもいたために、敏感なカインが気づいたのだろうか。
……というか、この尾行してるような感じの奴がいなければ、これってデートなんじゃないの!?
第三者から見たら、完全にデートよね!?もちろん、やましい気持ちとかは一切ないけど、さっきは不覚にもカインにドキドキさせられたし……!
なんか意識すると、ちょっと熱くなってきた。
「……リリアン?どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」
ついつい顔を反らしてしまって、少し気まずい空気が流れる。
これは、デートなんかではない。だって、尾行している存在がいるのだから。決して、デートなんかではない!
そんな自己暗示をしながら、カインと街を歩いていく。
すると、カインがたずねてきた。
「……いつまで歩くんだ?」
私は、それを聞いて辺りを見渡す。すると、賑やかな広場からは大分離れて、関所が見えていた。どうやら、自己暗示をしている間に、早歩きになっていて、街の端まで歩いてきてしまったらしい。
「あっ、ごめんなさい!」
思わず恥ずかしくなる。だって、なんか気まずくなったから。私がカインを意識していたせいでこうなったみたいで。いや、そうなのかもしれないけど。でも、好きだとか、そんな思いではない。断じてない!
彼氏にフラれたから、また男を好きになることなんて、私には無理だ。逆立ちしても難しい。
「……気配が近いな。人混みから離れたからかもしれない」
カインは、完全に無意識なのだろう。私を引き寄せて、そうやってボソッと呟いている。
うん、離せよ。二回目ともなると、さすがに冷静になってくるわ。引き寄せる必要はないと思うの。守ってくれるつもりなのかもしれないけど。
まぁ、カインのことは置いておくとして、冷静になってきたし、ちょっと考えよう。
ここまで来ていなくならないということは、私が狙いなのだろう。もしかしたら、カインに尾行していてという可能性もなくはないだろうが、それだったら、カインは同行を断るくらいはするはずだ。少なくとも、部外者として、私をスタンピードから遠ざけるくらいはするのだから。
そうなってくると、何が狙いだというのだろうか。私が『青の月』を引っ掻き回したからか?白梟相手は無理だから、私に来たとかだろうか。
「カイン様。あの者たちは、カイン様をつけてきたのでしょうか?」
少しでも選択肢をなくすために、私はカインに小声でたずねる。こんなに至近距離なら、普通に話さなくても聞こえるだろうしね。
「いや、つけられていたら気づく。おそらく、狙いは君だろうな」
「う~ん……。心当たりはなんとなくあるんですけど……」
いろいろやっちゃってるからなぁ。『青の月』のアジトを潰したり、計画を台無しにしたり、組織の一員を寝返らせたり……。うん、言葉にしてみると、恨まれる要素しかないわね。
でも、それ以外は?と聞かれると、全然思いあたらない。
「……君は、私以外にも粗雑な扱いをしているのか?」
「えーっと……クラスメイトの女子と、アリエル様くらいですね。今のところは」
他の人たちは、そもそも相手にすらしていないというね。
まぁ、こそこそ噂話してくるくらいだから、無視していれば実害はないし。
クラスメイトの女子は、完全にカインが狙いだろう。でも、私と仮婚約状態になってから、あまり私には突っかからなくなってきたから、そこまでの問題ではない。
問題は、あの宇宙人だ。あの宇宙人は無理。無視ができない。話が通じない。母親の洗脳状態にあるというのは、ちょっとかわいそうだけどね。
でも、わざわざ私が助ける義理はない。モニカちゃんのときは、私の悪評を気にせずに話しかけてくれたのが嬉しかったから助けただけ。アリエル様に感謝するようなことを、私はされたことがない。それに、モニカちゃんのように、犯罪を犯そうとしているとか、関わっているのが裏組織とかならば、堂々と断罪させられるだろうが、あの宇宙人の場合は、母親だ。身内の問題として片づけられるのが目に見えている。
あの母親に関しては、別にグレーゾーンというだけで、『青の月』の組織なのかはわからないし。関わっていたとしても、しらばっくれる可能性もある。動かぬ証拠というのが見つからない限りは、どうあがいてもあの宇宙人ヒロインは助けられない。助けるつもりもないけど。
「……リリアン。何も知らないふりをしておくといい。知られているとわかると、口封じに無理やり出てくる可能性もある」
「わかりました」
まぁ、一理ある。下手に気づいているぞアピールをしても、自分の命を縮めるだけだ。それはダメ。断罪とかはされてもいいけど、さすがに死ぬのはゴメンだ。
「では、エスコートしてくださる?」
「あぁ、屋敷まで送り届けよう」
カインは、私の言葉にほんの一瞬だけきょとんとしたが、すぐに自然な笑みを向けて、私に腕を差し出してくる。私は、それに自分の腕を絡めた。
これだと、カップルにしか見えないだろうけど、婚約関係なのだから、なにもやましいことはないし、この距離なら内緒話してもそこまでの違和感はないしね。
このカップル作戦が効いたのかはわからないけど、結局何も起こらないまま、屋敷に戻ることができましたとさ。
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