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襲いかかられる寸前で目を瞑ってしまった私は、まだ生きてることを不思議に思いながら目を開ける。
パラパラ……という小さな音と煙。
「………………アレ?」
魔物は消えていた。
ついでに魔物周辺の天井と床も消えていた。
私が苦し紛れに放った魔法は、轟音と共に凶暴な獅子型の魔物を一瞬にして消し炭にしたらしい。
マジか。
「大丈夫か?!」
「こっ……コレは……!?」
「魔物の魔力の痕跡……まさか!」
今更来たのか貴公子達よ……(白目)
しかし私は『顕現した……我が力が!』とか、ましてや『アレェ~? 私なにかやっちゃいましたァ? (´>∂`)てへぺろ☆』とか言う気などサラサラない。
そんなのピンクレンジャー一択じゃないか。
また、乙女ゲーム的にもよろしくない。
「この人が助けてくれたんです!」
腐女子が気絶しているのをいいことに、全ての手柄を奴におっ被せることにした。
だがこれで腐女子も、憧れの薔薇の園で推しカプを眺め愉しみ脳内で花咲かせ存分に腐らせられるというもの。
まさにwin-win。
めでたしめでたし。
──みたいな感じを思い描いていたのだが、そう簡単にはいかなかった。
吐いた嘘はアッサリと看破され、色々片付いたあとで引き摺られるように連れていかれた生徒会室。
嫌な予感しかしない。
「ふっ……心配していたが、無事力が顕現したようだな」
──と、氷の貴公子。
眼鏡クイやめい。
私は別に眼鏡スキーじゃない。
「やはり俺の目に狂いはなかった!」
──と、焔の貴公子。
フランクに肩を叩くな。
普通にどちゃクソ痛いわ!
「ご無事でなによりです……」
──と、癒しの貴公子。
そんな台詞ひとつで癒され絆されるとか思うなよ?
普通面した輩が何気に一番危険。
「我々生徒会は学園の平和を守るのが任務だ!! そう……陰日向なく!」
キター!!(※絶叫)
絶対言うと思ったんだよ!
そういうことをさぁぁ!!(※倒置法)
「君の能力がなかなか開花しないから、こちらもヤキモキしたものだが……そろそろ生徒会の真の役割と学園の」
「あーあーあーあー!!」
私は耳を塞ぎ大声で叫んだ。
そういう裏事情っぽいのを聞かせてくるんじゃない!
聞こえません!
私にはなにも聞こえませんよ!!
──フッ
叫んで抵抗していると、急に部屋が暗転した。
『仕方のない子ね……』
闇の中に響く少しハスキーなセクシーヴォイス。
突如黒板を中心に明るさがやや戻る。
それは魔術での通信映像だった。
『私は裏の生徒会長……』
「裏の生徒会長?!」
映し出された女性はボンキュッボンでありながらスラリとしていて、その美しい体型見せつけるかのようなマーメイドラインのシンプルな黒いドレスを身に纏っている。
セクシーだが上品で、顔には仮面。
いやこの人公爵令嬢だよね?
顔隠してたらわからんと思うてか。
丸わかりだわ。
「いやあのアナタ……」
「シッ!」
しかしその台詞を言わんとする私の口は途中で塞がれた。
「彼女は裏の生徒会長……いいね?」
なんでか隠しときたいらしい。
なんなの、シャイなの?
『貴女の力は生徒会執行部5人目として相応しい……勿論、裏生徒会のメンバーとしても』
生徒会って表裏あるモノだったかなァ?!
「ふふっ……」
一人専用の豪華な椅子に座っていた黄金の貴公子が口元に手を当てて笑う。
そしておもむろに立ち上がると、やっぱりファッサー!と髪をその手で払いつつ、私に歩み寄った。
「大丈夫だよ、仔猫ちゃん……ちゃんと君には断る権利があるからね」
「えっ」
ならば断る。
謹んでご辞退申し上げる所存。
「──でもコレ」
スッと私の前に差し出された紙。
私はその紙を見て驚愕した。
それは膨大な額の借用書であった。
そう、ぶっ壊した教室の修繕費用である。
ついでに高位貴族を謀ったこと(※腐女子がやったことにした件)への慰謝料が計上され請求されていたのだ。
「僕が出している寄付金は基本的に、生徒会役員の為のお金だからねぇ……」
やっぱり財力ムーブ!!
金とは恐ろしい。
首が回らないとはよく言ったもので、断れば回らないどころか無いも同然。
私の断る権利もまた、無いも同然。
そして私は晴れて(死)、正式に生徒会役員となった。
それからはちょいちょい戦いに参戦するようになり、周囲の生徒達からも認められるようになった。
つーか魔物出過ぎじゃない?
学園のセキュリティを先ずはどうにかしようぜ。
この先どうなるかはよくわからないが、とりあえず二つ名はまだ貰っていない。
特に要らないけど、多分ピンクっぽくないからだと思う。
あと、恋愛も特に生まれていない。
それも特に要らないけど、『乙女ゲーム転生系』ってこんなんだったっけ、と思わざるを得ぬ。
イケメンの無駄遣いである。
いや、無駄にイケメンなだけか。(辛辣)
ちなみに黒百合の姫君は王太子殿下(※歳上の為、卒業済)の婚約者だそう。
……卒業後が恐ろしい。
一体なにをやらされるんだ。
「俺達の戦いは、まだ始まったばかりだ!」
ある日の戦いで焔の貴公子がそう宣う。
やめろ。
変なフラグを立てるな。
☆おわり☆
パラパラ……という小さな音と煙。
「………………アレ?」
魔物は消えていた。
ついでに魔物周辺の天井と床も消えていた。
私が苦し紛れに放った魔法は、轟音と共に凶暴な獅子型の魔物を一瞬にして消し炭にしたらしい。
マジか。
「大丈夫か?!」
「こっ……コレは……!?」
「魔物の魔力の痕跡……まさか!」
今更来たのか貴公子達よ……(白目)
しかし私は『顕現した……我が力が!』とか、ましてや『アレェ~? 私なにかやっちゃいましたァ? (´>∂`)てへぺろ☆』とか言う気などサラサラない。
そんなのピンクレンジャー一択じゃないか。
また、乙女ゲーム的にもよろしくない。
「この人が助けてくれたんです!」
腐女子が気絶しているのをいいことに、全ての手柄を奴におっ被せることにした。
だがこれで腐女子も、憧れの薔薇の園で推しカプを眺め愉しみ脳内で花咲かせ存分に腐らせられるというもの。
まさにwin-win。
めでたしめでたし。
──みたいな感じを思い描いていたのだが、そう簡単にはいかなかった。
吐いた嘘はアッサリと看破され、色々片付いたあとで引き摺られるように連れていかれた生徒会室。
嫌な予感しかしない。
「ふっ……心配していたが、無事力が顕現したようだな」
──と、氷の貴公子。
眼鏡クイやめい。
私は別に眼鏡スキーじゃない。
「やはり俺の目に狂いはなかった!」
──と、焔の貴公子。
フランクに肩を叩くな。
普通にどちゃクソ痛いわ!
「ご無事でなによりです……」
──と、癒しの貴公子。
そんな台詞ひとつで癒され絆されるとか思うなよ?
普通面した輩が何気に一番危険。
「我々生徒会は学園の平和を守るのが任務だ!! そう……陰日向なく!」
キター!!(※絶叫)
絶対言うと思ったんだよ!
そういうことをさぁぁ!!(※倒置法)
「君の能力がなかなか開花しないから、こちらもヤキモキしたものだが……そろそろ生徒会の真の役割と学園の」
「あーあーあーあー!!」
私は耳を塞ぎ大声で叫んだ。
そういう裏事情っぽいのを聞かせてくるんじゃない!
聞こえません!
私にはなにも聞こえませんよ!!
──フッ
叫んで抵抗していると、急に部屋が暗転した。
『仕方のない子ね……』
闇の中に響く少しハスキーなセクシーヴォイス。
突如黒板を中心に明るさがやや戻る。
それは魔術での通信映像だった。
『私は裏の生徒会長……』
「裏の生徒会長?!」
映し出された女性はボンキュッボンでありながらスラリとしていて、その美しい体型見せつけるかのようなマーメイドラインのシンプルな黒いドレスを身に纏っている。
セクシーだが上品で、顔には仮面。
いやこの人公爵令嬢だよね?
顔隠してたらわからんと思うてか。
丸わかりだわ。
「いやあのアナタ……」
「シッ!」
しかしその台詞を言わんとする私の口は途中で塞がれた。
「彼女は裏の生徒会長……いいね?」
なんでか隠しときたいらしい。
なんなの、シャイなの?
『貴女の力は生徒会執行部5人目として相応しい……勿論、裏生徒会のメンバーとしても』
生徒会って表裏あるモノだったかなァ?!
「ふふっ……」
一人専用の豪華な椅子に座っていた黄金の貴公子が口元に手を当てて笑う。
そしておもむろに立ち上がると、やっぱりファッサー!と髪をその手で払いつつ、私に歩み寄った。
「大丈夫だよ、仔猫ちゃん……ちゃんと君には断る権利があるからね」
「えっ」
ならば断る。
謹んでご辞退申し上げる所存。
「──でもコレ」
スッと私の前に差し出された紙。
私はその紙を見て驚愕した。
それは膨大な額の借用書であった。
そう、ぶっ壊した教室の修繕費用である。
ついでに高位貴族を謀ったこと(※腐女子がやったことにした件)への慰謝料が計上され請求されていたのだ。
「僕が出している寄付金は基本的に、生徒会役員の為のお金だからねぇ……」
やっぱり財力ムーブ!!
金とは恐ろしい。
首が回らないとはよく言ったもので、断れば回らないどころか無いも同然。
私の断る権利もまた、無いも同然。
そして私は晴れて(死)、正式に生徒会役員となった。
それからはちょいちょい戦いに参戦するようになり、周囲の生徒達からも認められるようになった。
つーか魔物出過ぎじゃない?
学園のセキュリティを先ずはどうにかしようぜ。
この先どうなるかはよくわからないが、とりあえず二つ名はまだ貰っていない。
特に要らないけど、多分ピンクっぽくないからだと思う。
あと、恋愛も特に生まれていない。
それも特に要らないけど、『乙女ゲーム転生系』ってこんなんだったっけ、と思わざるを得ぬ。
イケメンの無駄遣いである。
いや、無駄にイケメンなだけか。(辛辣)
ちなみに黒百合の姫君は王太子殿下(※歳上の為、卒業済)の婚約者だそう。
……卒業後が恐ろしい。
一体なにをやらされるんだ。
「俺達の戦いは、まだ始まったばかりだ!」
ある日の戦いで焔の貴公子がそう宣う。
やめろ。
変なフラグを立てるな。
☆おわり☆
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