薬指に咲く

雨宮羽音

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色々と見て回ったが、僕達は金魚すくいの屋台で足をとめていた。
ビニールでできた大きな水槽で、大小様々な金魚が泳いでいる。

自由奔放じゆうほんぽうに水の中を舞う魚達を、舞葉は感慨かんがい深そうに眺めていた。

「どうしたの。金魚すくいやりたい?」

僕は彼女に問いかける。

「うーん…無理無理。私、相変わらず不器用だから。きっと一匹もとれないもん」

少し考えた舞葉は、残念そうに答えた。

「…景太君がやってるところを見たいな!」

「そっか。舞葉がそう言うなら」

期待の眼差しを、舞葉は僕に向ける。
そんな顔をされたら、男として挑戦しないわけにはいかなかった。

「一回お願いします」

そう言って店のおじさんにお金を払う。
渡されたすくいあみを片手に、僕は水槽の前で臨戦態勢りんせんたいせいをとった。

「頑張れ景太君!」

舞葉の応援を背に、僕はすくい網を水にくぐらせる。
実を言うと、僕は手先の器用さには自信があった。
通っている大学でも、その器用さは結構有名だ。

僕が勢いよく、次々と金魚を器の中にすくっていくと、そばで見ていた人々からは歓声がわき上がった。

舞葉も興奮して喜んでいる。

「わー! すごい、すごーい!」

手を叩く彼女とは逆に、店主は面白くなさそうな顔をしていた。
それでも構わず、僕は金魚をすくい続ける。

その様を後ろで見ていた舞葉が、僕に問いかけてきた。

「ねえ覚えてる? 小学生くらいの頃。今みたいに景太君がいっぱい金魚を取ってくれた事があったよね」

「ああ、確かにあったね」

僕はその問いかけを聞いて、昔の出来事を思い返す。
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