蒼い月 -ペンダントの力-

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大学生活

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京都の大学の工学部3年生の智己と拓也は、同室の寮で暮らすようになってまる2年が経っていた。二人の寮は大学のそれではなく、地元OB/OGの寄附でできていた。そんなこともあって、プライベートな空間と語らいの空間を備えた作りになっていた。二人は高校時代からの友人で、お互いのことをよく知っている。親友と言ってもいい。

智己は内向的で、物静か、拓也はアクティブで話好き、正反対の二人は不思議と気が合った。高校にひとクラスしかない進学コースの二人は始めこそ「出席番号の座席で隣」なだけの仲だったが、学年が上がるごとに、仲良くなっていった。
受験勉強も互いの得意教科を教えて乗り切った。智己は化学、拓也は物理と数学を教える、それが二人のルーチンだった。

智己は、縁無しのメガネをかけ、細身の体型をしている。感情の表現は控えめで、拓也の明るい性格とは対照的だ。拓也は地黒に加えてサッカーで鍛えた太い脚と引き締まった腹筋がアクティブな印象を与えている。

智己は、拓也のことが好きだった。高校の時はただ拓也の隣に座り、一緒に勉強し、部活の話や、ゲームの話をしているだけで満足だったが、同じ部屋で暮らして3年目、智己はだんだんと拓也の真っ直ぐな性格と八重歯が見え隠れする笑顔にドキドキするようになっていた。

ある3月の日、智己は京都の街をうろうろとしていた。古びた建物の並ぶ狭い路地を歩いていると、なにやら怪しい雰囲気の骨董屋を見つけた。何度も通った辻に初めて見る店構え。好奇心に駆られ、智己は店内に入ってみた。

店内は、様々な骨董品で溢れていた。智己は、店主の高齢の男性と世間話を交わし、店内の品々を眺めた。店主は、智己が学生だと知ると、機嫌を良くして語り始めた。

「学生さんとは若くていいもんだ。若さは一瞬でなくなる特別な力だ。この店にも不思議な力を持つ品がいくつかあるぞ、たとえば...」

店主は、店の奥から小さな箱を取り出し、智己に差し出した。

智己が箱を開けると、そこには青い石のついたペンダントがあった。石は神秘的な光を放ち、智己の心を惹きつけた。

「これは蒼き月のペンダント。箱のなかの紙切れには、これがペルシャのスルタンが家臣に造らせたもので、意中の女性の気持ちを魅了するために家臣に造らせたとあるらしい。人の心と体を操る力のある特別な石が使われているとか。もっともわしには読めんがな。ペルシャといえばいまのイランだ。わかるか?青い石が美しいだろう?これはラピスラズリだろう。」

智己は、店主の話に興味を惹かれた。ペンダントに誰かを意のままにできる力があるとは思えない。
それでも拓也に秘める想いが、智己を購入に駆り立てた。

「まあ、きれいな石だし、細工も細かい。かっこいい。それでいいじゃないか。効果があれば尚更儲けもんだ。」と自分を言い聞かせつつ、どこか期待をしながら金を支払った。学生には少し背伸びな値段と言えた。

帰ると早速付けてみる。装飾品をつけ慣れない智己はなんとなく気恥ずかしく、服の中にしまっていた。
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